闘争と火炎のニオイ
ブクマや評価有り難う御座います。
そして、更に改名しました。
暴険譚→暴拳譚 です。こっちの方が相応しいのでは?と今更気付きました。
道具街。
それは王都東部の端、火を扱う際の火事と延焼を防ぐ為に鍛冶職人達が城壁の傍に固まって工房を作り出したのが始まり。
王都の金属加工品やその他の細工品全ては大概ここから生まれているらしい。
それに、ヤンチャが持っていた剣やギルドの人達が持っていた武器もここで。
要は………………。
「ここには何でも有る!って事ね!」
「凄い、一杯!」
見渡す限りレンガ作りの建物が沢山!
煙突が有って煙がモクモク出てて、The職人みたいなおじさん達と業物を持った素人じゃない人達が一杯そこら中に歩いてる。
こんな創作物でしか見た事無い光景見たのは初めて!
「何から買う⁉」
「?お姉ちゃんの武器とか防具とかじゃ無いの?」
テミスちゃんが首を傾げる。
「私は得物と防具はコレで十分なのよ。」
そう言って街娘スタイルのセーラー服と、背中に交差して隠してある名状しがたいバールのようなものを指差す。
何処からか視線が飛んでくる。
「だから、主にテミスちゃんの防具と武器を…………アレ?」
視線が飛んでくる。しかも、それは一つじゃない。全方位から飛んでくる。
全方位から飛んでくる強い意志の籠った視線。
それは凄まじく鋭いけど、敵意じゃないし殺意でもない。
ただ、そこには凄まじい重圧が有る。人生全てを注ぎ込んだ者の、凄まじく鋭い重圧がッ!
「オゥ姉ちゃん。聞き捨てならねぇなぁ!」
「これで十分だァ?良い度胸してるな!」
「職人の街でよくも言ってくれるなぁ!」
ゾロゾロゾロゾロ………レンガ作りの工房から屈強な男達が出て来る。
闘士ではない。明らかに闘い向きでは無い。でも………
「猛者!」
口角が思わず上がっちゃう。
「お姉、ちゃ…………ん?」
「オゥ!鍛冶馬鹿野郎共ォ!ここの嬢ちゃんが、『これで十分!』だとよぉ!こんな装備で大丈夫だとよぉ!薄布とバール二つでだぜェ?オイ!ハンマー持つ手が有るならよぉ!焼きぃ入れてやろうじゃねぇかよぉ!」
ガチャガチャガタガタドタドタバタバタ……………………………………。
職人達が私達目掛けてやって来た。
どうやら、ケンカウッチマッタミテーダナ!
「イイゼェ、ココデイチバンツエーヤツノトコロニツレテケヨ!」
「お姉ちゃん?明らかにこの中で一番強そうなのって、お姉ちゃんだよ⁉⁉⁉」
抜バール!
街娘からセーラー服に変える。
「良いぜ!俺の所に来い!」
「馬鹿野郎!俺の所が最強だ!」
「ザケンナオレダ!」
「寝惚けるな馬鹿野郎共!」
ガヤガヤガヤガヤ、男達がにわかに殺気立って来た。
闘争の、ニオイがしやがる。
ヤバイ!色々!




