ドアを開けると、そこは異世界だった。
手を刺し込んだ壁の破片が地面に落ちた。
パラパラ………
石の壁位ならダム級の強度でも十秒で砕ける。
でも、それをすると爆音で城中に脱走がバレる。
流石に70人をお姫様抱っこして逃げるのは難しい。
じゃぁ…城の人間を一人掴んで投げて3人にぶつけて……を繰り返して城を落とす?流石の私もそんな事やらない!
だからこそ、静かに逃げる『どこだってドア』を使った。
「お姉ちゃん、壁に手が入ってる…?!」
驚きながら疑問を抱いているのか、赤毛の子の目が私の手に釘付けだった。
しかし、悠長にやる暇なんて無い。
城壁にめり込ませた手を更に奥に刺し込む。
抵抗が無くなった。壁を貫通させた。
後は簡単。
「空!」
刺し込んだままの手を楕円軌道に走らせて壁をくり貫き、壁の一部を投げ捨てるとそこには人が数人通れる穴が空いていた。
「さぁ、皆、逃げましょう。」
壁に穴を空けた先に待つ自由へ少女達は駆けて行った。
さぁ、私も不本意ながら異世界転移させられたけど、それならそれなりに楽しく生きて、で、帰る方法も探さなきゃ!
JKは、異世界へと歩き出していった。
この日、キロン国王城の騎士や魔術師ら最高戦力が異世界人を召喚し、何故かその後、異世界人が行方不明となり、王城の最高戦力が軒並み謎の重傷(原因は主に打撲と骨折)で病院送りとなった。
事実上この国の最高戦力が全滅に近い状況に追い込まれた。そう、王城が……キロン王国が、実はこの日、落とされていた。
「さぁて!どうやって生計を立て………アレ?」
少女達は各々、街へと駆けて行った。
皆バラバラな方向へ。
自分の行くべき方向へ。
迷いなく駆けていった。
一人を除いて。
「お姉ちゃん……」
赤毛のあの子だった。
『流石に城は落とさない』と言っているのですが、『落とせない』と言わない辺りに恐怖を覚えます。
まー…やれるでしょうね。あの勢いなら。
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