彼女の浮気相手が女性でレズならば浮気にはなりません!
「ん?ん?ん~!?」
何がなんだか分からない状況。
わたしとキャロラインさんがキスしてる!?
わたし、たしかクレちゃんと先生と文化祭の売り上げの確認をしてて、それから――――――
「ミホ!?ミホ、どうやら生きてるみたいね。あの神、絶対に許さないわ」
「キャロラインさん?」
「え?意識があるの?」
そっか。
今までわたし、意識失ってたんだ。
そうだよね。
見渡す限り――――――
「見渡す限り海ぃ!?」
「そうよね。普通はそういう反応するわよね・・・」
「ここどこぉー!?」
わたし泳げないのにぃ~!
――――――サブゥァァン
何かが海面から飛び出した。
あれは鯨かな?
え、待って・・・わたし達浮いてる!?
「キャロラインさんこれって一体どういう――――――鯨ってこんなに大きかったっけ!?」
いつまで起っても鯨が飛び出しきらないと思ったら、東京にある電波塔くらいあるし!
てか、これどういう仕組みで浮いてるかわからないけど、潰されるんじゃ?
あ、鯨と目が合った。
え、睨まれてる!?
「そうだった!まだこいつが残ってたんだ」
「ど、ど、ど、どーすればいいのかな!?」
「落ち着いて聞いてミホ。クリエイトマグマって鯨に向けて言ってくれル?」
え?
クリエイトマグマって、溶岩を作る?
こんな時にどうしてそんなこと言わないといけないの?
わたしの肩を掴んでわたしの目を見て言う。
「良いからお願い!」
そうだ。
キャロラインさんも焦ってるんだ。
だったら言うとおりにしよう。
少なくともこの宙に浮いてる現象自体、どうやってるかわからないし。
「く、クリエイトまぐまぁ!」
鯨のお腹らへんに、何か赤茶色の物体が現れる。
糞?
まさかマグマができてたりはしないよ・・・ね?
「よし!背中に穴が開いた!苦しんでる!」
「ん?流暢に日本語話すねキャロラインさん」
「え?」
え?
あ、たしかに今この状況で聞くことじゃなかった。
目の前で大きな鯨は暴れているのだ。
そして水へと沈んで言ったところでキャロラインさんがまたわたしの肩を掴んでくる。
「理由はわからないけど、英語が使えるなら丁度良いわ!クリエイトサンダーって言ってみて」
雷を作り出すの?
でもたしかに水面に沈んでったと思ったら潜っただけ何て勘弁したい。
でもまだこの現象に半信半疑なんよね。
「でもそうするしかないのよね。クリエイトサンダー」
――――――ゴロゴロ
すごい・・・
雨雲あれ?
もしかして落雷が――――――
「ミホ、危ない!」
キャロラインさんがわたしを守るように、抱えて守った。
――――――ピキャーン
雷が海面に落ちた。
鯨の死体?が海面へと浮かんできた。
「やったわミホ!いぇーい」
「い、いぇーい」
結局どういう状況かわかってないのよね。
これどうしたらいいの?
あ、もしかしてこれって――――――
「クリエイトエア」
すごい。
空気の足場ができたんだ。
どういう仕組みだろー?
「あ、貴女の力がわかった?でもこれは貴女の力じゃないんだけどね」
「え、どういうこと!?」
「あーそうね。ちゃんと説明しないといけないわね」
そしてキャロラインさんは話し出す。
なるほど、青谷くんと明石くんが仲がいいのはAACと言う組織に所属する同僚だからなんだ。
でもショックだな。
勇者とは言え、罪の無い人間を明石くんが殺していたんだ。
いやでも、今の状況を作ったのも勇者なわけだし。
勇者にはみんなこんな力があるとしたら、たしかにこの世界には脅威なのかな?
でも勇ましい者と書いて勇者なのに、勇者の定義が揺らぐわね。
「わかったわ。それで、このゲーム機が起動しているときだけがわたしは能力が使えるんだ」
「そうよ。あと何故か翻訳機能もあるみたいなのよね」
「どういうこと?」
「今、ワタクシの言葉が流暢に聞こえるでしょ?」
「うん」
「ワタクシ今、英語で話してるのよ」
「え!?」
たしかに口の動きと音声が一致してない違和感があったけど。
それでも多少だけどね。
わたしも一つ疑問に思うことがある。
先生とわたしだけが操られていたのなら、クレちゃんはどうなったんだろう?
「クレちゃんは一体どうなったのかな?」
「クレソンはおそらく、殺されたでしょう。貴女を護衛していたんだから。彼女も勇者だけれど、神に勝てるような実力は、佐川のようにはないわ」
「あの客の人、そんなに強いんだ。でもさ、勇者ならもしかしたら生命力で生き残ってるんじゃないかな?」
「あり得ないとは言い切れないわ。限りなく低いけど、生きている可能性はある」
ひとまず、息を吐いた。
生存確率が0じゃなければ、まだ希望がある。
じゃあ取りあえず元の世界に戻った方がいいよね。
「ゲームの電源を切れば良いの?」
「えぇ。あと了承して欲しいんだけど、貴女の記憶は元の世界に戻ったら、青谷の能力で消さして貰うけど良い?じゃないと貴女はAACに入隊するか、AACに抹殺対象にされるかの二択になるの」
人殺しの秘匿組織だもんね。
だったらそこは徹底してるのは当たり前。
青谷くんがいない場合は殺すしかないって言うんだから、まだましな措置だと思う。
「わかってるわ。わたしは人殺しになりたくないもん」
「ふふっ。AACは貴女みたいな優しい子は入れないわ」
「キャロラインさんも殺人に快楽を感じるの?」
これは気になる。
明石くんは勇者の絶望した顔を殺すのが楽しいらしいし。
まぁ青谷くんは興味ないから知らないって言ってたけど。
「ワタクシは殺人の仕事に誇りを持っているわ。快楽なんかないわね」
「あ、でも聞いた感じ、キャロラインさんはメンヘラだもんね」
「え?」
「え?」
わたしのことを驚いた顔をしてる。
なんか間違ったこと言ったかな?
「わたしがメンヘラ?」
「うん?だって明石くんに女の子が近づくだけで、殺したくなる殺人衝動があるんでしょ?」
「それって女性として当然でしょ?」
これはメンヘラの中でもかなりの重症ね。
ヤンデレの域まで達してるわ。
ちゃんと説明しないと。
「良いキャロラインさん?普通は嫉妬くらいはするかもしれないけれど、殺人衝動なんて起きないよ?」
「嘘!?じゃあミホが好きな人が別の女性に迫ってたら殺したくならないの?」
え、どうかな?
好きな人なんか――――――
な、なんでキャロラインのことを思い出すのよ。
彼女は女性よ!?
でも唇、やわらかかったなぁ。
わたしはノーマルな筈。
わたしはノーマル
「どうしたの?あーもしかしてミホ、好きな人のこと想像して照れてるー?でも光は駄目よ!」
「え、明石くん?別に明石くんのことはなんとも・・・寧ろその恋人の方が」
「え、恋人の方?」
すごい怖い顔してる。
勘違いしてる。
明石くんの浮気疑ってるんだ!
「光、もしかして・・・」
「違う!わたしが好きなのはキャロラインさ――――――」
「え?ワタクシ!?」
「ち、違う!」
口が滑った。
どうして、わたしの口はこんなことを!
でもまさかわたしレズビアンだったんだ。
「あー、貴女も特殊性癖持ってたのね。なるほどなるほど。でもワタクシは光しか恋人はいないのよ」
「そ、そうだよね」
「うん」
「ん!?」
わたしはキャロラインさんにキスされた。
え!?
どういうこと?
「でも光の幼馴染みだしね。記憶が消える前にこれくらいはサービスよ」
ウィンクされた。
優しいな。
この記憶・・・消したくないな。
でも、元の世界に戻らないと駄目だよね・・・
「ありがとうキャロラインさん!」
「どういたしまして。じゃあそろそろ戻りましょう」
「うん!」
少し名残惜しいけど、この世界にキャロラインさんを残したらやってることは、悪い勇者と同じだよね。
それに望んでもいないことはしたくないし。
わたしはゲームの電源を切った。
「すごい、神秘的だね」
「世界の崩壊って神秘的なのか?ミホも結構歪んでそう」
でもホントに綺麗だもの。
わたしは空がペラペラと剥がれてく光景に、ただ目を奪われていた。
一読ありがとうございます!
同性愛、認めてあげて欲しいと思います!
ちなみに私はノーマルです。
ノーマルですっ!!




