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異世界帰りの勇者達の現代でのお話  作者: 茶坊ピエロ
四章 区立千葉高等学校 文化祭編
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会場を味方に付けるという考え方を馬鹿にしちゃいけない。でもなんからしくないよなぁ

「めんどくさいのぉ」


「いくら君でもこの二体を相手に勝利をもぎ取れるかい?」


 不可能ではないと言えるが、少々この巨体を相手にするのは骨が折れるのぉ。

 サウザンドソードを発動させて見るが傷が付かぬ。

 鱗が堅いんじゃろうな。

 あの天使が操ってる方は腐敗してるのか突き刺さるがのぉ。

 そういえば様子がおかしいのぉ。


「なんで此奴は別の方向を向いておるのかのぉ?」


「なに!?」


 なんじゃ?

 此奴も気づいていなかったのか。

 つまり不測の事態かのぉ。


<Warning!Emergency Quest!Town Defence>


 緊急事態かの?

 なんか空からアナウンスの様な物が流れてくる。

 街の防衛?


「緊急クエスト、街を防衛が発令。カプエル殿。緊急事態発生。ラーシャーロウが大規模集落に向かって進行中。現在警備兵が対象中?」


 警備兵なんておったか?

 おーよくみれば弓を発射してる奴らがおるのぉ。

 全員同じ顔じゃのぉ。

 気持ち悪いのぉ。


「クエスト成功条件、ラーシャーロウ討伐。失敗条件、街にラーシャーロウが攻め込まれる。ペナルティ、ゲームの電源オフ!?」


 此奴、物を読むときは口に出すタイプか。

 機密文章なんかは絶対に見せられない奴じゃのぉ。

 つまり出世はできぬってことじゃ。

 なにせこの時点で儂の方針は決まった。


「ふふふ!つまり儂の勝利条件はラーシャーロウを街に攻め込ませることじゃな」


「なに!?本気で言ってるのか!一応罪の無い人間が大勢死ぬんだぞ!これはゲームだがNPCにもちゃんと生命がある。立派な命だ!」


「だから?」


「は?」


 だからどうしたというのだ。

 元々人間自体に儂は良い印象は持っておらぬし、生き残るために最善の手を使うのは常識じゃろう。


「いくら死んでも所詮知らぬ人間。女子供はできるだけ巻き込みたくはないがのぉ。だが、できるだけなだけじゃ。身を削ってまで守りたい者などおらぬよ」


「お前は悪魔か!」


「弱者は淘汰される。のぉ?これも神とやらの試練じゃ。生き残れないと決まったわけじゃあるまい?さぁ試練に存分と楽しむがいい!」


 先ほど神の試練とか言っておったからの。

 仕返しじゃ。

 今、儂はとてもゲスな顔をしておるんじゃろうな。

 だからって意見を覆すつもりなど毛頭ないのじゃ。


「神はこんなことを望んではおられない!」


「じゃあ儂等の破滅は望んでおったということじゃな?」


「うっ・・・」


 図星か。

 許されざることじゃな。

 それに奴が無関係な者を巻き込みたくないと思ってるように思えん。

 これが電源オフという条件が無ければ奴は街を見捨てておっただろう。


「儂なんかに気を取られて良いのか?街を滅ぼされてしまうぞ?」


「黙れ!そうしようとしても後ろから魔法を放つ気だろ!」


「うむ。敵が背を向けたのに追撃をせぬバカは居ぬよ」


 儂を先に倒すシフトに変えよったか。


「ならお前を先に倒してやる。ラーシャーロウ!あれの足止めを頼む」


「ブラアアアアアアアア!」


「良いのか?」


「何がだ?」


「あれを見ればわかるじゃろ?」


 見ると操られている方のラーシャンロウとやらは、腐敗で崩れていった。

 これには天使は驚きを隠すこと無く口を開いていた。


「バカな!?なぜ同じラーシャーロウなのに」


「腐敗していたところをみるとネクロマンスとやらのスキルで死体を操っていたと言うところじゃろ?鱗があちらと比べて柔らかかったからのぉ。あの巨獣の強みは鱗の硬さにあると見てる。つまりその強みがなくなって時点で勝てぬと言うわけじゃ」


「くっ!ラーシャーロウ!」


 ほぉ。

 武器に変えるか。

 しかしあれはなんじゃ?

 蜘蛛みたいな形をしておる。


「ラーシャーパラサイト。0.001%の確率でドロップする、大当たりだ」


 蜘蛛みたいな形をしたアイテムが武器へと張り付いた。

 剣に張り付くと、吸い込まれたかのように埋まっていき、気づいたら模様も変わっていた。

 いやな感じがするのぉ。


「これで君は終わりだ!」


 踏み込んだかと思うと剣を反対側に向ける。

 変な持ち方じゃのぉ。


「発射!」


「いやなんでじゃ!?」


 剣が先から何か吹き出し回転しながらこちらで迫ってきておる。


「その程度弾け・・・ん?」


 儂にターゲットを絞りおったと思ったら、ラーシャーロウにレーザーを撃とうとしておったのか。

 まぁさせんがのぉ。


 ――――――パチンッ!


「曲がった!?くっ!君の仕業か」


「そうじゃよ?忘れたのか?街を救う邪魔をすると言ったろう?」


 レーザーは光。

 水晶を生み出す魔法で攻撃を逸らした。

 とりあえず剣を持たれたらまずいからの。

 まずは剣を引き抜く・・・か?

 何故か剣に触れる事ができぬ。


<Error!>


 エラーじゃと?


「驚いてるね。剣を引き抜けなくて困ってる」


「種があるのかの?」


「この世界で僕の作った剣を持てるのは僕のみだからさ!」


 なるほどの。

 要するに拒否されたと言うわけじゃ。

 ならば剣もとらせずにレーザーを撃たせない状況を作るまで。


「サウザンドタイフーン!」


「なんだ?その竜巻程度――――――くっ!」


 この量を避けるのは骨じゃろう。

 これであとは、レーザーだけに注意を払っておけば問題あるまい。


「クソ厄介な!」


「ふふっ。良いのか?速くしないとどんどん近づいてくるぞ?」


 焦っておるな。

 飛び上がって避けたのはわかる。

 だったら次は土魔法を使った落とし穴じゃ。

 着地点に落とし穴を付ける。

 それだけでも時間は浪費できる。


「ならば!」


 ほほぅ。

 空気を固定して空中に足場を作っておるのか。

 だったらそれは空気自体を消すかのぉ。

 ――――――パチンっ!


「なにっ!僕の足場が!?」


 更にタイミング良くラーシャーロウが雄叫びをあげる。

 咆哮かのぉ?

 気づくと上から岩が降ってくる。


「避けるのは危険か!」


 後ろに下がる天使。

 距離を取るならば近づかねばのぉ。


「喰らうが良い!」


 儂は全力でチョップした。


「くっくっ!何度チョップを繰り返す気だ!」


 何度だって繰り返してやる。

 足場を作れば消すし、後ろに下がって撃ち続けてきたら竜巻を発生させ飛ばす。

 諦めなければ何度も竜巻を引き起こし、落下でコンティニューする。

 そしてターゲットをラーシャーロウに変えようとしたら咆哮で岩が降ってくる。

 突っ込めば良い物の彼奴を討伐したのは初めてじゃないだろう。

 避けれないことがわかっておるのかのぉ。

 後ろに下がれば接近戦でチョップを繰り返す。

 儂を倒すにはラーシャーロウは邪魔じゃ。

 何回やっても倒せないと言うのに蘇る。

 そろそろ街にたどり着くというのに。


「そろそろ時間じゃよ?さぁこれで終わりかのぉ?」


「諦めずに何度だって挑戦するさ!」


「もう時間も残ってないと言うのにか?」

 

「君のSPはイカれてるよ。キリが無い」


 だからと、何か飲む。

 そしてステータスを確認するとHPだけが回復している。

 回復アイテムがあったのか?


「だからこうやって最後まで取っておいた、回復薬ミラクルを使う!」


「あるほど回復しながら攻撃を避けずに突き進むと言うことかのぉ?」


「そうだよ。だってここまで来るまで気づいたら何度も同じ事を繰り返してるんだから笑えるよ」


 ふらふらとレーザーを発射してくる。

 もう精神が限界か?

 天使で何度もコンティニューを繰り返しておるだろうに、時間制限が来たことで焦りが生まれたんじゃのぉ。

 

「さすがにこれは返してやろう」


「今更、この剣を返されたところで・・・」


「可能性をやるんじゃ、嬉しいじゃろ?」


 ――――――ゴゴゴ


 おー立ち上がるか。

 このままじゃ倒れ込んで街は一瞬で崩壊じゃのぉ。

 ご愁傷様じゃ。


「ならば一撃で倒せばいい話だ!」


「させぬといったであろう?」


 空を飛んでいようが関係ない。

 儂だって飛行魔法くらいある。

 扇子で受けとめる。

 レアという割に噴射する以外なにもできんじゃのぉ。


「どけっ!」


「お断りじゃ」


「お前の所為で人が大勢死ぬんだぞ!」


「何度も同じ事を言わせるな。どうでもいい」


 敢えて扇子で受けとめたのはせめてもの慈悲じゃのぉ。

 竜巻で吹き飛ばしてもよかったのじゃが、それでは味気ない。


「がんばれハンター様!」


「勝って!わたし達を守って~!」


 街の奴らが応援しておる。

 なるほど、天使であると同時にこの世界で此奴は勇者と言うことか?


「ふはは!なんか知らないけど力が湧いてくるな応援というものは!」


 儂がまだ村に居た頃は応援を受けていた。

 弱者に応援されるのは良い物じゃ。

 隆二達とはあくまで肩を並べる夫と仲間じゃ。

 弱者からの声援はない。


「だからほだされる訳じゃない。死は平等に訪れる。儂は自然の摂理に従っておるだけ」


「残念だ。俺は今のあんたは倒せないよ。ゲームが切れない限り何度だって挑めるんだ。殺してやる!」


 その諦めない心に街の人間の声援はより大きくなる。

 すごい・・・。

 気押されるレベルまでの声援は儂等の世界では勇者にすら向けられなかった。


「この声援。なるほどのぉ。今の儂は完全にアウェー。雰囲気を味方に付けるという考え方を舐めたらいけないと隆二に言われておったが・・・これほどとは」


 それでもかなり離れていた戦力差が埋まるわけじゃない。

 だから儂を倒すことができるようになったわけじゃない。

 しかし儂の隙を突いてラーシャーロウを倒すことは可能になったのかのぉ?

 少なくとも冷静さを取り戻されたのは痛い。


「ならば・・・」


「行くぞ!」


「来いッッ!」


 久々の高揚感じゃ。

 バトルジャンキーじゃったのか儂は――――――。 

一読ありがとうございます!

なにこの展開。

なんで王道バトルみたいになってんの?

ぶち壊していくのがモットーだろうが!

ということで次回色々ぶっ壊れ回にします!

(断言はできない!)

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