感謝って言葉を辞書で調べた方がいい
ここは成田空港。
絶倫王子が、来日するから来た。
土曜日で学校が休みだ。
あれから河野薫は一度も学校に来なかった。
さすが不登校?
いいや油断は禁物だな。
今のところ梅田美帆は、佐川の嫁たちが交代で見張ってくれている。
クレソン・ウメダに早く代わってほしいからつい来てしまった。
「Oh!ミスターアカシ!わざわざ空港まで迎えに来てくれたんだね!」
「誰がお前なんかを迎えに来るか!クレソンウメダを連れてきたか、確認しにきただけだ」
「ツンデレさんだね!照れちゃって可愛いな」
「殺すぞ?」
俺は拳銃を誰にも見えない範囲で突きつける。
「唆るよその目。この短い期間にどれだけ修羅場を潜り抜けてきたんだい?」
「さぁな」
銃を構えるのをやめる。
ほんのおふざけだ。
「それで?クレソンウメダはどうした?」
「荷物待ちさせてる。来なよ」
マジか。
荷物待ちって話しが通じる状況になったのか?
少なくともこいつが帰国するとき、雌堕ちしてたのは覚えてる。
「ほらあれ」
そこにいたのは黒髪のキャリアウーマンだった。
ていうか誰だ?
大人びて見える。
「あら、お久しぶりですね。明石光さん」
いや誰だ!?
そんなに丁寧に話してるやつだったか?
「ふふふ。どうだい?僕好みに調教したんだ」
「お前の趣味ってこんなんだったか?なぁ処女厨?」
どちらかというと少女を好む傾向にあると思っていたけれど。
まさかこいつがお姉さんタイプを好むなんてな。
「うるさいわね、ち〇カスがいつもこびりついてる汚い野郎がぁ!ぶっ殺すわよ」
「アヒンッ!」
あ、そういうこと。
こいつがマゾだと言うことを忘れていた。
もう処女じゃ無くなったら今度はSな奴隷がほしかったわけね。
ていうか奴隷と言えるのかわからないな。
あと公共の場だから一応そういうのは自重して欲しかった。
「あぁ。ほかの人たちに見られる。ぎもぢぃぃぃ」
「汚いわね、薄汚い家畜が!喋るのをやめなさい!」
「ハヒィ!」
やっべぇ、すげぇ笑顔。
こいつ、顔面をハイヒールで踏まれてるのになんでそんな満足そうな顔ができるんだ。
真性のマゾだな。
「まぁそのくらいにしてやれって」
「そうですね。オラァさっさとカバン入れやゴミがぁ!」
「ハイご主人さまぁ」
キャリーバックに絶倫王子は入れられる。
どっちがご主人様でどっちが奴隷かわからないな。
まぁそういうプレイの一環と思っておこう。
考えるのをやめたわけじゃないぞ?
決してやめたわけじゃ――――――
「さぁ行きましょうか。へーいタクシー」
クレソン・ウメダがタクシーを止めて、絶倫王子が入ったバックを――――――トランクに入れちゃうんだ。
まぁ駅までだし、これくらいは許容範囲か。
クレソンウメダの横に座る。
「見苦しいところをお見せしました」
「ホント見苦しい。次からは人目のない場所でやってくれ」
マジでドン引きだったぞ。
クレソン・ウメダも苦笑いしながら話す。
一応美人なのは家系なんだろうか?
「これでもあの方には感謝しているのです。なにせわたし程度じゃ、AACのAランクにBランク、Cランクすらまともに闘えるかわかりません。奴隷として夜の伽は要求されますが、それ以外はなにも強制されません。嫁に近い立場です」
俺達と絶倫王子、全員がCランクだがたしかに、俺達に勝てる可能性は低い。
けれど間違ってる事が二つある。
一つは――――――
「人間なにが起こるかなんてわからないさ。100%勝てる闘いなんてこの世にはないよ」
油断して負けるなんてAACではざらにある。
まして勇者は少なくとも魔王を殺している強者だ。
経験が浅い勇者なんて現代にはいない。
「ふふっ。そうですね」
その笑顔は美人に見える。
けどさ、俺にはもうどう頑張っても響かないんだ。
もう一つの間違ってること。
何故サディスティックになった!
今の話を聞いた感じ強制されてない。
なら、あれはクレソン・ウメダの趣味だろ!
それで?ミホを狙う勇者はそんなに強いのですか?」
「あぁ、そうだったな。お前には先に話しておこう」
俺は今週に起きた、河野薫について話した。
これは情報を共有しとかないと本当に危険だ。
「まぁ!光様も勇者を奴隷に!?」
「お前達との関係とは違うな。どちらかというと友に近い」
勇者と友達になるなんて、AACにいて想像できるか?
少なくとも数ヶ月前の俺はそんなこと思いもしなかったな。
「友ですか。一つ聞いていいですか?」
「なんだ?」
「勇者を友人に持つ貴方は今後、勇者を殺せますか?」
それは愚問だ。
佐川は佐川でしかない。
勇者とは関係ない。
「やめる気なんてさらさらない。勇者を殺すのがAACの仕事であり、そして俺達はそんな勇者達を愉快に殺すのが楽しい。それだけにならない」
「それでも快楽殺人はやめないんですね」
「俺は絶倫と違って、女性を貶めたりしないさ。苦しまずに逝かすのが俺の美学だからな。というか、あいつは厳密には勇者じゃないけどな。神殺し?まぁそんな感じの奴だ」
魔王も勇者も殺した下級職だからな。
鍛冶士が下級職かどうかは、わからないけれど
「そうですか。AACと言っても色々な人がいるようです」
まぁそうだな。
勇者を奴隷ってのはさすがにレアだが、死体をおもちゃにしたり、生きたままサンドバックにしたり、ストレス発散する奴らなんかもいる。
「さて、そろそろ駅だ。あの絶倫王子を下ろすぞ」
「そうですね。貴方と話を終えるのは名残惜しいですが」
「また話す機会はあるさ。梅田美帆は俺の幼馴染みでもあるからな」
「えぇ。わたしはミホを守るために呼ばれたんですものね」
話していた感じ、このしゃべり方が本来のしゃべり方だろうな。
どうやらあのときは敵だから、しゃべり方がラフかったようだ。
トランクを開けると、絶倫王子が良い笑顔でいた。
うわぁ。
イケメン顔が台無しだ。
「オラ起きろ!くせぇんだよ!汗を垂らすな!」
「アヒィン!ごめんなさいご主人さまぁ」
「唾飛ぶだろうがぁ!てめぇは現地に着く前カバンに入ってろ!」
――――――ビィィィ。
チャックを無理矢理閉める。
ちょっとだけ指が見えるが痙攣してる・・・。
興奮してイってんのか?
気持ち悪!
「指がちょこっと出てるだろうがぁ!」
クレソンウメダは飛び出た指に向かって思い切り拳を振り下ろす。
――――――ボキッ!
「ギィヤァァァァァ!」
いや、今のは普通の叫び声に聞こえたぞ?
さすがに飛び出た指を思い切り押し込んだら痛すぎて叫びたくなるだろう。
カバンの中にきちんと入ったが。
「やっと入りきった。行きましょう」
もう何も言えなかった。
まるで何事も無かったかのように満面の笑みを浮かべていたからだ。
キャリーバックの中から少し声が聞こえてくる。
「い、痛い・・・さすがに今のは――――――スビビビ痛いよ」
ズビビビと鼻水をすする音がする。
さすがに今のは応えたか。
本気で泣いちゃってる。
真性のマゾってのは訂正しよう。
「クレソン?本気で泣いているぞ?」
「あーかまってちゃんモードです。大丈夫ですよ。着くまで放っていおいてください」
かまってちゃんモードです、じゃねぇ!
絶対ちげぇ。
クレソン・ウメダさん、処女を奪われて奴隷にされてたこと、ホントは恨んでませんか?
一読ありがとうございます!
夢に向かって歩くことはいいことです。
時間は限られてますよぉ〜




