本部長vs秘書プリプリ
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名前 秋 晴臣 25歳
レベル 38
状態 健康
HP4978/5000
SP654/4800
筋力124
俊敏147
技量846
スキル
記憶読取 高速演算 記憶改変無効 筋肉増加
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これだけを見るとどうしても強そうに見えない。
だけどまぁ隠蔽を使ってるだろうな彼は。
「貴方とはまだ闘いたくなかったですよ」
「君には秘書でいて欲しかった。有能な秘書が死ぬことになって残念だよ」
部下の落とし前は上司が付ける。
だから私が直々に相手をしてやる。
「祖よ!火山は噴火し、山々はそびえ立つ。大地が変化するとき、時代もまた変化する。その真名、ファイアードラグーン」
「炎の龍を召喚する魔法か。みたことあるな。お前の生前の名はハナチト・マラヌか」
私の初陣を飾ってもらった男だ。
よく覚えてる。
「あぁそうですよ!思い出しましたか?貴方が摘み取った命。イギリス出身の勇者ハナチトですよ!」
ハナチトの殺し方はどうだったかな。
たしか魔法をすべて受けとめて調子にのらしてから殺した記憶だ。
「貴方がこの程度じゃ死なないのは知っていますけどね。いきなさいファイアードラグーン!」
――――――キェェェェ!
炎の龍が迫ってくる。
「あの時食らった時は少し熱かった。今は――――ちょうどいいなぁ」
炎の龍は私に攻撃が効かぬことも御構い無しに、襲いかかるが、なんてことはない。
私からしたらアイロンに素手で触る方が熱い。
「最悪ですね。炎が全く効かないとは」
「全くではないよ?少々耐性があるだけだ」
「人間を消し炭にできる炎は少々ではないと思います」
そんなことないさ。
私だって太陽に突っ込めば消し炭だ。
これが価値観の違いというやつか。
「ブレインコントロール!」
「一瞬頭がぐわんときたよ」
「ふはは!まさか本部長に洗脳が効くとは思ってたみませんでした!」
この程度が洗脳か?
抗えぬほどじゃないな。
晴臣はいつの間にか持っていた剣を振り始める。
「ふふふふ」
「その笑い方はキモい」
―――ブシュー
頸動脈を斬られた!?
確かに避けたはずだ。
どうなっている?
「今のは貴方は私に洗脳されている身。貴方の脳を少し揺さぶるだけでワンテンポ遅れます」
「厄介だな」
「貴方のその再生力のが厄介ですよ」
「自慢ではないが、確かに私の再生力は以上だと思うな」
致命傷以外ならほとんどすぐ回復するからな。
さて、ワンテンポ遅れているのなら、ワンテンポ早く動けばいいだけだ。
しかし、攻撃はあたってしまった。
「これが読みあいです。正確にはここらですか?この二回の間に首を切り落として勝ちを決めたかった」
「なるほど。洗脳しなければ早く動いたところで隙だらけか」
「ご明察」
どんどん斬りつけられ、傷が増えていくな。
どうにかこの負のループをなんとかしたいところだが―――
「タフですね」
「この程度で悲鳴をあげていたら、AACの本部長なんてできないさ」
「今日で殉職です。お疲れ様でした」
―――グサっ!
私の胸に剣が突き刺さる。
これは少々まずいな。
しかし晴臣はここでミスを犯す。
「貴方は副本部長とは違い、死は超越できない。いくら貴方でもこれで終わりです」
「スキル発動痛み分け」
「え―――?」
口から血を吐いて倒れる晴臣。
これで仕留めたな。
終わりだ。
刺されたままだったら終わっていたのは私だったな。
――――カンカララン
晴臣は持っていた剣を落とし、倒れ込んだ。
「なん・・です・・かこれは!」
「スキル痛み分けだ。お互いの傷を均等に分ける」
だから心臓に穴は開いたが即死にはなってないのだが。
しかし出血多量になるのにかわらない。
「悪いな。私は致命傷も治るのだ。剣を刺したままだったら再生ができなくて死んでいた可能性もあるが、お前のおかげで死なずに済んだ」
「ハァハァ・・ふざ・・けるな!」
息をするのもキツそうだな。
さて、殺すか。
「これまで秘書をしてくれていたから感謝している」
「ハァハァ・・それは本心でしょうね!・・私の妻子と私自身を殺した・・悪魔!」
悪魔と失礼な。
私はれっきとした人間だ。
「まぁ恨んでくれていい。真に恐ろしいのはそんなお前を転生させた神だと思う」
「まだほざくかぁ!」
「だってそうだろ?その様子だと嫁は転生させれていないのだろう?されているならこんな真似しなかっただろうに」
「くっ!」
結局、神どもは勇者を殺させたくないのだろう。
あいつらにとって勇者は子に等しい。
そしてそんな子を殺す我々に対して、憎悪を持っている人間を選んだ。
そして壊滅させることを願ったというところだろうか。
だから憎悪する原因の嫁や子供は転生させなかった。
「まぁそう理由は実のところでどうでもいいがな。晴臣よ。貴様が謀反を起こしたことが問題だ。覚悟はできているか?」
「覚悟?それはお前にも言えます!」
血を吐きながらも立ち上がる晴臣。
がんばるねぇ。
最後の力を振り絞ったってところか?
「私の死は免れない。ならば道連れです。禁術:自爆」
最後の最後で最悪の魔法を使ったか。
―――ドゴゴゴゴォォォン!
爆風で私の腕は吹き飛んだ。
しかしな――
「残念だったな。即死しない限り傷は再生する。それが私のスキル、核再生―――」
「油断しましたねぇ本部長!アハハハ!」
しまった。
今のは爆発魔法か。
腕が再生してまだ間もないときに
晴臣に羽交い締めにされた。
高速演算が答えを導き出したのだろうか?
「あと5秒です。4、3、2、1」
―――パンッ!
私は自身の眼球に弾丸を撃ち込む。
するとどうだろうか。
後ろでドサッと倒れる音がした。
「ジャストミート」
脳天を撃ち抜いて、完全に絶命した晴臣の姿だった。
私の眼球は再生する。
「少しでもズレていたら同じ末路を辿っていたな」
どうやら使用者が死ぬと、自爆は発動しないんだな。
「晴臣・・・」
「おーい栗原無事か!」
この声は―――
あのバカまた私の本名を。
「栗原と呼ぶな!何度も言ってるだろう!」
「よかった。無事そうでなによりだ」
「人の話を聞け!」
昔からいつもそうだ。
こいつは俺より使い勝手のいいスキルを持ちながら、まるで人の話を聞かず、自己流で強くなった。
羨ましい。
「晴臣を殺したんだな」
「あぁ。こいつは裏切り者だったからな。制裁というやつだ」
「そうか」
それ以上影政は何も言わなかった。
そして天を仰ぎ、馬鹿野郎と言っているのが聞こえた。
お前は仲間思いだよほんと。
私は仲間が死んでも毛ほども感じないだろうな。
一読ありがとうございます!
この章も次回で終わりですかね。
短くなりましたが、本部長のステータスはまだ不明です!
ありがとうございます!




