イギリス支部、キャロライン・スカイ
「あー親の転勤により本日をもって天池龍輝くんは転校することになりました」
教師から天池龍輝の転校が告げられた。
青谷のやつちゃんと記憶操作をしてるようで何よりだ。
「えー。天池の奴そんなこと言ってなかったのにな」
「あーん。こんなことなら告白しておけばよかったぁ」
外面ばかりしかみてないやつか。
あいつと付き合いだしたら、話を聞かないことがわかってすぐ破局だろうな。
「あーそして入れ替わりにより転校してきた生徒を紹介しまーす」
転校生?
AACからはそんな情報伝えられてないぞ?
入って来たのは金髪碧眼の外人女性。
「ハーイジャパニーズのミナサーン!ワターシのナマーエはキャロライン・スカイ。イギリスの高校から来ました!仲良くしてクダサーイ」
俺は思わず机についてた肘をおとし倒れかける。
キャリー!?
なんでイギリス支部のあいつが日本の、しかもAACが複数派遣されているこの学園に!?
「あーキャロラインの席は、明石の隣りだ」
「ハーイ」
キャリーが俺の横の席につく。
俺に小声でキャリーが話しかけてくる。
「明石。あとで話がある。屋上に来なさい」
俺は目配せでOKサインをし、よろしくと一言言った。
キャリーもヨロシクデス!と言い返した。
*
外国人の転校生は珍しく、キャリーは大量の女子生徒に囲まれていた。
「キャロラインさんって、イギリスではどんな高校にいたの?」
「女子校デース。校舎はこの学校より広カッタデスネ」
よく言うよ。
AACの任務を優先して、高校には通ってないのに。
俺は壁を叩いてまだかと合図する。
「あ、ワタシちょっとティーチャーによばれてるんデシた」
「あ、そうなの?職員室案内しようか?」
委員長である、梅田美帆は親切に言ったのだろうが、キャロラインはそれを断った。
「ダイジョウブです。じゃあちょっとイッテキマスネ」
「うん。いってらっしゃい」
キャロラインは教室を出た直後一瞬で消える。
あいつ待っててやったの先に行きやがった。
「あれー?明石くん?キャロラインさんは?」
「あ、委員長。キャロラインさんって足はやいね。もう階段まで行っちゃったみたい」
「へ!?彼女って陸上選手かなにか?」
「さぁ?僕は初対面だしわからないな」
「そっかー」
「あ、僕ちょっとお手洗い行きたい。朝からずっと我慢しててさ」
「ふふっ明石くん。それセクハラだよー」
俺と委員長は笑い会って別れ、俺は階段まで歩いて行った。
*
「遅い!」
「それはこっちの台詞だ」
こいつ。スキル、テレポートがあるからって調子に乗りやがって。
俺はキャリーのステータスを確認する。
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名前 キャロライン・スカイ 17歳
レベル28
ジョブ 女子高生
状態 健康
HP4000/4000
SP785/785
筋力95
俊敏211
技量856
スキル
瞬間移動 記憶改変無効 剣技 銃技
――――――――――――
お、剣技と銃技を新しく修得したのか。
この前仕事を手伝ってやったときはテレポートと記憶改変無効だけだったからな。
「一年ぶりね。久しぶり光」
「久しぶりだなキャリー。それで学校で俺になんの用だ?」
「用ってほどじゃないわ。こっちに来た女勇者をあんたに譲るって話よ」
「はぁ?任務放棄か?お前が?」
まさかこいつに限って。
いやあり得ないな。
この仕事の鬼が。
「いいえ。彼女はワタクシでも対処できるわ」
「じゃあなんでだ?」
「彼からのお達しよ。絶倫王子のね」
「げっ!?あいつ来てんのかよ」
絶倫王子とは文字通り絶倫能力者。
イレギュラーが女性だった場合死ぬまで犯し続ける、所謂鬼畜変態だ。
「なんであいつが?」
「その女勇者、処女なのよ」
あーあいつ処女厨だもんな
「そういうことな。わかったよ。で?お前は任務終わったら帰るのか?」
「いいえ。配属先が変更になったんのよ。あと外泊は貴方の家を希望したわ」
「絶対にクラスでは言うなよ。俺は陰キャとして扱われてるんだからな」
「わかってるわよ。それにバレても記憶改変を青谷に頼めばいいじゃない」
アホだ。考えなしは相変わらずか。
記憶改変無効を持ってる勇者がいたらどうするんだ。
「勇者相手には記憶改変が効かないかもしれない。警戒されるのは望まないところだ」
「あーもうわかってるわよ。相変わらず頭固いわね」
いやキャリーが頭お花畑なだけだぞ。
「まぁいいわ。決行は明日の朝よ。彼は夜は日本の風俗を楽しみたいらしいの。絶倫王子との待ち合わせ場所はここよ」
「何やってんだあいつ。てか会いたくないんだけど」
「我慢してくださいまし」
指定された場所はよく知っている家だった。
そう、委員長の家だった。
「あいつがここに外泊してるのか?」
「いいえ、その家に外泊しているのが女勇者よ」
マジかよ・・・。
青谷に記憶改変してもらわないとな。
委員長を巻き込むのは心苦しいけどやるしかないか。
「何か問題でも?」
「クラスメイトに梅田美帆って居ただろ?これはあいつの家だ」
「あら?家まで知ってるなんてどういった仲?」
少しムッとした顔をするキャリー。
あいつとはただの幼馴染みだっつーの。
「昔なじみだ。それにあいつと何かあるわけないのは知ってるだろ?」
「まぁそこは安心してるわ。ただ女性として嫉妬するのは当たり前でしょ?」
嫉妬ってなぁ・・・
俺は前回の任務の帰りキャリーに告白された。
仕事ぶりに惚れたんだと。
それでまぁ一夜は共にしたが、籍はいれずお互いの任務に集中しようということになったのだ。
AACの実行任務は主に学生時代で終わる。
日本支部の任期は22歳で、イギリス支部は20歳だったか?
だからそれまでは会わないと思ってたんだけどな。
「まぁ今夜はお楽しみが待ってるわよ。するの自体、久しぶりだから優しくしてくださいな」
「はぁ・・・まぁわかったよ。俺もここんところ任務で忙しいから一人でもしてないしな」
その後、帰宅して俺達は同じ部屋で寝た。
何をしたかは・・・想像に任せる。
一読ありがとうございます。
いきなり恋人が出て一夜を共にするというラノベあるある!
次回若干性模写が入る可能性があったりなかったり。