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異世界帰りの勇者達の現代でのお話  作者: 茶坊ピエロ
二章 北海道、異世界侵略対策委員本部騒動
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勇者は死に際、何か不思議なことが起こり、敵より圧倒的に強い力を使うという

 明石光。

 彼は勇者である僕よりずっと強い。

 だけど今はそんなことどうでもいい。

 それ以上に怒りと殺意を持っている。

 ヘイストが完全に堕とされ、ベネッサは頭を撃ち抜かれて絶命している。

 ヘイストがあのような状況じゃ蘇生は絶望的。

 なによりヘイストに対してあんなことをするあの女を許せない。

 いや、一番許せないのは僕自身だ。

 いくら異世界侵略対策委員をあれだけ倒したとはいえ、ここまで猛者がいるとは思いもしなかった。

 せめて、ザノールだけでも逃がさないと。

 僕にはその義務がある。


「ザノール。僕を信じて、この場は逃げてくれ」


「キョウヤ!?無理です。いくら貴方でもこの数を相手に生き残れるはずがない」


「信じてくれ。そうすればまだ勝機がある」


「言いましたね?絶対ですよ?」


 ザノールは浮遊する。

 なんで”転移(ポート)”を使わないんだ?


「”鑑定眼”」


 どうやら空間が固定されてるから転移ができないのか。

 転移はあくまで空間を歪めて距離を縮める魔法。 

 空間そのものが固定されたら、転移は使えない。


「ならば、”オールレジスト”」


「助かりますキョウヤ!」


「させないよ!固――――」


 指弾いて、詠唱の邪魔をする。

 外人の女性が銃をザノールに向けているけどさせない。

 ――――――カキン!

 ありがとうザノール。

 僕はまだ闘える!



 さぁ勇者にトドメを刺さないとな。

 満身創痍でもないみたいだが。


「ザノール。僕を信じて、この場は逃げてくれ」


「キョウヤ!?無理です。いくら貴方でもこの数を相手に生き残れるはずがない」


「信じてくれ。そうすればまだ勝機がある」


「言いましたね?絶対ですよ?」


 まだ勝つ気でいるのか?

 ザノールは空中に浮き始めた。

 天井から外に逃げる気か!


「”オールレジスト”」


「させないよ!固――――――」


 ――――――ドゴォォォン!

 指を弾いただけでどんだけ音が!?

 キャリーが銃を撃つが、すべて弾いた。

 銃弾が見えてるのか?

 俺は勇者のステータスを見る。


――――――――――――

名前 国府宮 恭哉 17歳


ジョブ 英雄


レベル 111


状態 絆の力


HP999999999/999999999

SP999999999/999999999


筋力1111111111

俊敏1111111111

技量999999999

スキル

翻訳 状態異常無効 身体強化 信頼強化 限界突破 身体硬化 見切り 無詠唱 逆転する世界 転移 空間収納 

――――――――――――


 勇者ってなんなんだろうな。

 何か不思議なことが起こって強化されるのか?

 神様って奴は俺達のことが本当に嫌いらしい。


「全員警戒だ。さっきのあいつよりもステータスが高い」


「あぁ。悪いが俺はもうSPがない。足手まといにはなりたくないから下がるな」


「ワタクシは援護するわよ」


「あぁキャリー。後方で頼むな」


 宮崎瑠璃は一歩下がる。

 

「貴方はあたしには援護を求めないみたいだったから。勝ちなさいよ」


 よくわかってるな。

 キャリーが宮崎瑠璃を睨んでいたので、頭を撫でて落ち着かせる。


「待っててくれたのか?」


「そうだよ?」


「下手な嘘だな」


「待っていたのは事実さ」


 じゃあカウンター狙いか?

 まぁもっとも勝ちをつかみ取るのは俺だけどな。


「一つだけ聞いておく。言い残すことは?」


「言い残すことか。死ぬのはあんただよ勇者でどうだ?」


「そう。バイバイ!」


 消えた。

 転移か!

 隔離空間では転移は使えなかったんだろうな。

 目の前に現れて右手の剣を一閃。

 俺は身体を後ろに傾けて躱す。


「拍子抜けだよ」


 一閃したまま刃の向きを変えて、巻き戻るようにもう一閃しようとしてくる。

 これは避けきれないな。

 だから拍子抜けだと言ったのだろう。

 まぁそれは俺が一人だったらの話だ。

 

「忘れてないか?俺は一人じゃない」


 キャリーが銃弾を何発も撃ち込み剣を折る。

 折れた剣は空を切る。

 残ってる左手の剣で攻撃してきたが、肘と膝を使って白羽取りの要領で受けとめた。


「悪いけどさ。今の僕はさっきより筋力が跳ね上がってるんだよ」


「知ってるけど?」


 ――――――パパンッ!

 銃弾を上で三発弾け、全弾が剣の棟に降り注ぐ。

 ナイスだキャリー。

 剣は呆気なく折れた。


「君の相棒が厄介だね。先に殺しとこう」


「キャリーそっちに来るぞ」


「わかってるわ」


 キャリーは銃弾を弾き合わせて弾幕を作る。

 俺には当たらないような見事な弾幕だ。

 これで勇者が転移しても平気だろう。

 ――――――パンッ!


「危なっ!」


「あら?ちょっとズレたかしら?」


「容赦ないな君も」


 勇者はその弾幕を掻い潜ってキャリーの裏に転移したようだ。

 しかしキャリーはそれを読んで、後ろに発砲。

 それを勇者は咄嗟の判断で躱した。


「キャリー!しゃがめ!」


 俺はレーヴァテインをキャリーめがけて、思いきり投げつける。

 キャリーはしゃがみ込み拳銃を投げてきた。

 かなりの回転をしてキャリーの頭の上を通り、勇者に向かっていく。


「ありがとう返してくれて。そして――――――」


 そして転移で俺の前に来る勇者。

 いいね。

 予想通りだ。

 ――――――パパパンッ!


「さよう――――がはッ・・・」


「なぁどうだ?転移した瞬間に穴だらけにされるのは」


「何故・・・」


 俺に刺しに来たんだろうな。

 転移をしてくるのは予想が付いた。

 あとはその転移の位置を上手く狙い撃ち抜いた。

 ホントは頭を狙おうと思ったんだけどな。

 それに避けていても位置的に影に当たっていた。

 俺の影斬は強化されて、人の影に攻撃したら影本人にもダメージが喰らうようになった。

 詰まり転移してくる予測が当たっていた時点で俺の勝ちだった。

 俺は胸から血を垂らしている勇者から、レーヴァテイン、聖剣を奪い取り蹴飛ばす。


「かはっ!くそ”治――――――」


「させるかよ」


 俺は聖剣を勇者の胸に突き刺した。


「カハッ!くそぉ・・・」


「たしかにあんたのステータスが上がったのは驚いたよ。それはスキル信頼強化か?」


 驚いた顔をする勇者。

 たしかに状態異常、絆の力だけじゃ確信を得られないし予想だったけど、その表情で確信だ。

 まぁもう死ぬ奴のスキルを知ってもしょうがないんだけどな。

 信頼強化なんて見たことがないし。

 信頼強化はおそらく、文字通り信頼されているほど身体が強化されていくスキルだろう。

 だからザノールに自分を信じさせた。

 しかしキャリーの後ろに転移した時点で動きが鈍った。

 今確認したが、身体強化後のステータスに戻っていた。

 おそらくザノールが死んだんだろう。

 殺したのは本部長かクソ親父か?

 どっちでもいいけど助かった。

 もし、ステータスがあのままだったらもっと苦戦してただろうな。

 もちろん負けるようなヘマはしないが。


「くっ!・・・地獄に・・・堕ちろ!”ヘルズファイア”!」


「巨大な炎だろうとさ――――――」


 影斬で切り刻めるんだよな。

 決死の思いで放った一撃も完全に霧散。

 ここまで絶望的な状況もないだろう。


「くっ!」


「残念なお知らせ。あんたのステータス。身体強化後と同じになってるよ」


「なに!?それじゃあザノールは・・・」


「あぁ死んだだろうな」


「ふざける・・・ゴボォ」


 大声を上げようとして吐血する勇者。

 可哀想に。

 そうだ一つ言い忘れたことがあった。


「あぁ、言い忘れてたことがあった」


「この後に及んで・・・なんだ!」


「俺さ。勇者を殺そう時には言ってる言葉があるんだ」


 そうだ。

 これはせめてもの手向けだ。

 相手がどう思うかは知らないけどな。


「異世界での魔王討伐ご苦労様。現代に戻ってこなければ、異世界でスローライフを送れたのにね」


 怒りに満ちていく勇者の顔。

 さぁそろそろ殺してあげようか。


「光、もう殺すの?」


「あぁ、敵とはいえ俺とこいつは剣を交えた。任務で苦しませたり拷問をしろと言われない限り、苦しませるのは俺の美学に反する。ちゃんと殺してやらないとな。拳銃ありがとな」


「いいのよ」


 俺はキャリーに拳銃を返す。

 さて、じゃあ一応遺言を聞こう。

 こいつも聞いてきたしな。


「お前に倣って聞くよ。なにか言い残すことは?」


「死ね!人でなしのクズ共!」


「むしろ心地良いな。ハハハハハ」


 そして勇者に刺していた聖剣を引っこ抜く。

 勇者の首に聖剣を当てて言う。


「じゃあな勇者。いや国府宮恭哉くん?」


「君に名前を呼ばれると腹が立つよ!さっさと殺しなよ」


 それじゃお望み通り――――――


 ――――――パンッ!


 ッ!?

 俺が聖剣を振り下ろす前に、勇者の脳天が撃ち抜かれた。

 キャリーが勇者を撃ち抜いていた。

 そして勇者から目の光が消える。


「キャリー?」


「ごめん。その、見てられなかったから」


「いやいいよ。ありがとう」


 一応ステータス確認をするが表示されない。

 完全に死んだだろう。

 そうだ死体の処理をしないとな。

 青谷と宮崎瑠璃が近づいてくる。 

 俺達の長いようで短い一日は終わった。


「さて、じゃあ片付けしたらレポートでも書きましょうか」


「事件現場はここだから大丈夫じゃないのか?」


「そういうわけにはいかないわよ。さぁ藍とも合流しましょう」


 任務通達を行う宮崎瑠璃からそう言われたら大丈夫じゃないだろう。

 どのみち書いておくのが正しいだろうな。

 まぁ重鎮が死んだことは・・・こいつらの所為って事で。



 まずいですね。

 キョウヤが強いとはいえ、あの数に適うとは思えません。

 上手く離脱してくれるといいのですが。

 そしてキョウヤともう一度異世界侵略対策委員の本部を攻め落とさねば。


「おい、待ちな」


「誰ですか?」


 そこには煙草を吸った中年くらいの男が現れる。

 ここにいるということは異世界侵略対策委員の人間ですか?

 まぁどのみちここで戦闘を始めて時間をかけるのは悪手ですね。


「俺は明石影政ってんだ」


「明石・・・?明石光の関係者ですか?」


「おー息子を知ってんのか!じゃああいつ取り逃したのかぁ?」


 決まりですね。

 隙を突いて離脱。

 その一択でしょう。


「そうですか。貴方の息子さんには本当に腹が立ちますよ」


「おーってことはお前さんだけ命からがら逃げてきたってことか?じゃあ勇者は討伐されたんだろうな」


 キョウヤが負けるのは想像できませんね。

 あの状況では勝利も難しいでしょうが逃げるが勝ちと言います。


「さぁそれはどうでしょうね。では俺はこれで」


「いや、なんで逃げれると思ってるんだ?」


 男は立ち上がる。

 しかしもう遅いですよ。


「”転――――」


「おせぇ」


 俺は空を見上げていた。

 どうなってるんですか?

 距離は結構離れていたのに吹き飛ばされた。

 しかし吹き飛ばされたとなると、もう一度転移を起動させなければ。


「口をパクパクさせてるけど、何か言おうとしてるのか?」


 なぜ転移ができないのです!?

 まさか魔法”固定(ロック)”ですか!?

 他にも使い手がいたなんて・・・。

 ならば浮遊して空から逃げましょう。


「死に際の一言くらい聞いてやりたいが――――よっこらせい」


 顔を捕まれたと思ったら下を向けられました。

 これは俺の身体?

 でも首がないですね。

 なにか別の人間なのでしょうか?


「これはお前さんの身体だ。どうやら首を切られたことに気づいてないみたいだから、これは親切心だ」


 嘘だ・・・

 じゃあ俺の命はもう。


「異世界魔王討伐おつかれさん。まぁ本部を襲撃してこなきゃ殺さなかったんだけどな。まぁ重鎮を殺したことは感謝するぜ。俺達は手を出せなかったからな」


 何か言ってるが、もう意識がなくなりそうです。

 せめてキョウヤ、俺達の仇を・・・取ってください。

 

「おっ・・・ステータスが表示されなくなった。死んだか」

一読ありがとうございますー!

勇者パーティは1人を除き全滅!

せっかく帰還したのに元の世界のが地獄とは!

この章はあと少しです!

あ、感想の設定も変えました!

誰でもに!

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