本部長と明石光の父親明石影政登場
俺は佐川隆二の事件があってから二日後、北海道にある本部に来ていた。
何故二日後なのか?
それは千葉から北海道まで電車で半日以上かかるからだ。
「ほう。それでその二日酔いした神様(笑)とやらが嘔吐して、その勇者の顔面にふっかけたと」
「はい。そうなります。我々は、二日酔いした神じゃなければ彼らを始末することができたと考えており、責任はすべてえ――――石川静にあると考えております」
俺は本部長に一昨日の出来事を話していた。
しかしなんで北海道なんだ?
なんで北海道に本部を建てたんだ!?
遠いっつうの!
ちなみに外ではキャリーと青谷が待っている。
三人でこの本部に来たのだ。
「まぁいい。今回は我々の落ち度でもある。体裁上お咎めなしとは言えない。しかし貴様にはあの変態の世話をしてもらった恩もある。うーむ。本部で一週間謹慎処分としようか」
それは処罰なのか?
むしろ学校も仕事もしなくてよくてハッピーじゃないのか?
給料は出るのだろうか?
「ふはは。これがお咎めなのか?と思っているのではないか?」
エスパーか?
本部長はそれはもう人の表情だけで何を考えているのかわかると有名だ。
なんせわかるスキルがひとつもないのだから。
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名前 本部長 56歳
ジョブ 不明
レベル 解析不可
HP 解析不可
SP 解析不可
筋力 解析不可
俊敏 解析不可
技量 解析不可
スキル
解析不可
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彼のステータス隠蔽は破られたことがない。
AACは学生時代の階級は処理した人数で決める。
学生時代の処理人数は1500人。
歴代で二人しか居なかったSランクの条件は1000人であり、もう1人は1100人だったそうだ。
そもそもAACがいつからあるかは知らないけど。
しかしこれは恐ろしい数だ。
俺は大体50人前後しか処分してない。
これはDランクに入る。
絶倫王子は大体100人。
これでCランクになる。
ちなみに500人殺害するとBランク、800人でAランクだ。
ランクに応じて将来に関わる。
AACはあくまでも政府機関。
AAC出身の政治家や軍人も今や珍しくはない。
「君の父の仕事を手伝ってもらおう」
ゲッ――――
この人よりによって一番嫌な仕事を・・・。
「ハハハ。顔が嫌そうだな光!」
「でたなクソ親父!」
明石影政。俺の父親だ。
この仕事を俺に紹介してくれたのもこいつだ。
だから、その点は感謝してる。
しかしこいつの女癖は悪くて大嫌いだ!
「お前親に向かってクソとはなんだ!」
「その節操のない、男性としての象徴を斬り落としてから父親面しろ!」
「そりゃあ無理だ!給料日あけの女子高生達との援助交際が俺の楽しみだ。俺は酒に強くねぇからな」
いけしゃあしゃあと。
俺はそんな父親が母さんに援助交際で無責任に作った子供だ。
死ぬまで俺の面倒を見てくれた母さんに恨み言はない。
しかし母さんが死んでからけろっと現れてお前の父親だって言ったこいつを俺は好きになれなかった。
「お前まだ母さんの葬式の日のコト恨んでるのか?」
「恨んじゃ居ない。いきなり父親って言って挙げ句の果てに間違って、できちまったけどなんて言ってきた奴を嫌いにならない子供がいるか?」
「まぁそれはそうだな。まぁこの仕事は楽しいだろ?」
図星をついてくる。
命がけの闘いがあるけど、キャリーとも出逢えて悪くはねぇな。
「ところで外に待ってるのはお前の彼女か?青谷の彼女か?」
「キャリーは俺の恋人だが?」
「ちょっと味見してもいいか?」
「殺すぞ?」
俺はこのクソ親父に向かって手を前に翳す。
「おいおい。俺を殺す気か?俺は歴代二位のSランクだったんだぞ?」
認めたくないがこいつは歴代二人しか居ないSランクのうちの一人。
俺が逆立ちしても勝てるかわからない。
けど俺は普段も格上と闘ってるからな。
まぁ今は関係ない。
「格上だろうと殺せる奴は殺せる。俺達の仕事はそういう仕事だろ?」
「まぁな。だが俺は殺せねぇよ」
たしかにこいつは化け物だ。
スキルが物語っている。
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名前 明石影政 56歳
レベル120
ジョブ 性欲魔人
HP1280/1280
SP165400/165400
筋力1351
俊敏1457
技量3547
スキル
死亡耐性 痛覚無効 無詠唱 ステータス隠蔽 @#$%&
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死亡耐性ってのがおかしいんだ。
一日に一度だけ死亡を無効にして傷を全治療するスキル。
勇者かよ!こいつ異世界から帰還したんじゃないだろうな?
勇者なら正当な理由で殺せるし、それならそれで嬉しいが。
一つだけ文字化けしてる。
それに前あった絶倫は消えてる。
一体どんなスキルが増えたんだ?
「ステータス確認は済んだか?」
「気づいてて敢えて隠蔽しなかったな。文字化けがあったんだがあれはなんだ?」
「教えてやらねー。お父さん僕が悪かったです。教えて下さいって言ったら教えてやる」
死んでも嫌だ!
お父さんとすら呼びたくない。
「なんでもいいけどな。キャリーに手を出すなよ」
「まぁ孫の顔くらいみたいからな。子供ができるのは誤算だったが、AACに貢献する息子でよかった。孫も立派にAACに入隊させるんだぞ」
それは俺の子供次第だ。
こんな特殊な嗜好の偏屈軍団のAACに入隊できるのは、同じ特殊な嗜好を持つ奴らくらいだろう。
「それで?俺達は何をすればいいんだ?」
「あぁん?だから俺の手伝いだ。こう見えて俺は忙しいんだ。まずはホテルに行く。昨日乱交パーティをしてかなり汚しちまったからな。ホテル側が俺に清掃依頼を出してきたんだ。ほんとAACをなんだと思ってるんだか」
いやお前が悪いだろ。
それAACじゃなくてお前宛だよ。
マジで汚ぇこいつ。
「それだけか?お前は邪魔だからそれくらい俺達で掃除してやる」
「おーまじか?そりゃ助かる。じゃあホテルは三軒あるからよろしくな」
おいおい。昨日の乱交パーティって言ったよな。
三回も乱交パーティしたのかこいつ。
もう60にもなろうってやつがなにしてんだ。
「はぁもう呆れた。さっさと別の仕事しろ馬鹿」
「あぁそうさせてもらうぜ。プミはいるか?」
プミ?プミって誰だ?
「あー絶倫王子だ。今日の仕事はあいつ向けなんだがな」
「あいつなら帰国したぞ。あ、仕事内容は聞きたくない。言わなくて良い」
仕事内容を言いそうだったので先に釘をさした。
絶対ろくでもない。
絶倫を呼ぶような仕事に。
「今回の仕事は捕らえた勇者の取り巻きの女に拷問して勇者の情報を引き出すことだ」
「なんで言った?」
「嫌がると思って」
こいつ喧嘩売ってるな。
報復にあって死んでしまえ。
「そうか。がんばれ。俺はもういくな」
「素っ気ねぇな。その女の仲間の勇者には気を付けろ。帰還してから2年以上が経っている猛者だ」
帰還してから2年以上!?
それはつまりAACの目をかいくぐって2年も生き延びていることになる。
ステータス隠蔽していても長期間、強力な力を隠すのは無理がある。
どうしても勇者と言うモノは厄介事には首を突っ込まないと気が済まない質だからだ。
「忠告どうも。じゃあなクソ親父」
正直言われて助かってるがそのことは言いたくない。
だから俺は礼とも言えるかわからない言葉を残して部屋から出て行った。
*
「もっとまともな会話ができんのか、お前達親子は!」
「だってよぉ栗原~」
「俺の本名で話しかけるな。隠蔽している意味が無い」
本部長の苗字は栗原で、影政とは旧知の仲。
しかし二人は学生時代は犬猿の仲だった。
任期の終わりの大学卒業数ヶ月前で、本部長と埋めらないほどの差をつけられ良好な関係になった。
「わざわざ仲直りの機会をやってやったのにな」
「俺達はこれでいいんだ。なんだかんだあいつは俺のことを親父って呼ぶしな」
嫌われていようと父親扱いされる。
それだけで影政は満足だった。
本来は父親と呼ばれる資格もないのに。
「まぁお前が良いならいいんだがな」
「あぁ。それよりあの勇者の取り巻きの女だ」
「なにも口は割らないのだそうだな」
「もう一ヶ月も経ってるのに助けに来ないことが気になる。あの勇者は仲間だけは見捨てないと思っていたんだけどな」
勇者の取り巻きの女性は一度も口を開いていない。
暴力から女の尊厳を無くす拷問まですべて耐え、なにも喋ることはなかった。
これは恐ろしい忍耐力だと言える。
「今日割らなかったら廃棄予定だが、餌に使わなくて良いのか?」
「あぁ。これは内閣からの命だ。従わないわけにもいかんだろう」
「そうか。まぁ総理の命令じゃ俺達は逆らえないわな」
内閣総理大臣の命令はAACは何も口出しはできない。
AACはあくまで政府のお膝元で異世界帰りの勇者狩りを行っている。
いかなる理由があろうともそれに変わりは無いからだ。
「そういうことだから拷問が終わったら始末しろ」
「へいよー本部長様ー」
そして影政は本部長室をあとにした。
一読ありがとうございます
昨日は更新できず申し訳ないです。
AACには変体しかいないのかぁ




