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魔女と三人の弟子

作者: 新田納豆

 ある森に魔女が住んでいました。

 村のはずれにある森です。村の長老のおじいさんのそのまたおじいさんがこどもの頃から、ずっと森には魔女が住んでいました。魔女と村はあまり交流がありませんでしたが、ごくたまに魔女が村に出てくる時には貴重な薬を何かと交換してくれ、都会から遠く離れ物流が豊かではない村はとても助かっていました。


 ある時、村に流行り病がひろがりました。たくさんの人が苦しみ、なくなりました。ある少年は両親、祖父母、妹すべてをなくしてしまいました。村のみんなも大変な思いをしていて、少年を助ける余裕はありませんでした。そこに魔女が現れました。

「おや。おまえ、綺麗な目をしているね。私と一緒に行くかい?」

 少年は魔女についていきました。

 それきり少年は村には帰りませんでした。


 ある時、村に旅芸人の一座がやってきました。久しぶりの娯楽に、村はみんなで喜びました。気を利かせた一人の村人が魔女にも旅芸人の訪れを知らせました。魔女も一人の盲目の弟子を連れてきて楽しんでいました。

 舞台は大盛況でした。その舞台の裏で、一人の女の子がひいひいと汗を流していました。一座に拾われた女の子は小さいながら大人のような仕事をこなしていました。その腕はとても細く、今にも折れてしまいそうです。その女の子に気付いた魔女が言いました。

「おや。おまえ、綺麗な声をしているね。私と一緒に行くかい?」

 女の子は魔女についていきました。

 一座はいなくなった女の子を捜すことなく、次の村へ旅立って行きました。


 ある時、ご令嬢が途方にくれていました。あらぬ疑いを着せられ、婚約を破棄されてしまったのでした。両親は大層怒り、家を追い出されてしまいました。兄弟も使用人達も当主を恐れ、誰も助けてくれません。城下町で一人馬車から降ろされてしまったご令嬢は一体どうしたらいいのかと、道で立ち尽くしていました。そこに偶然街に出かけていた魔女が通りすがりました。

「おや。おまえ、綺麗な髪をしているね。私と一緒に行くかい?」

 ご令嬢は魔女についていきました。

 疑いが嘘だと分かった元婚約者と当主が四方八方探し回りましたが、ご令嬢は見つかりませんでした。


 ある時、久々に村に魔女が現れました。魔女はいつでも同じローブを羽織っているので、村のひとびとはローブを目印に魔女を認識していました。

「おや。ひさしぶりだね、魔女さん。随分綺麗な声をしているね。髪もつやつやと輝いていてとても綺麗だ。それに、初めて見たけれど、とても魅力的な目をしていたんだね」

「ふふ、これはみんな弟子たちのおかげなのさ。とてもいい子達だよ。私の自慢さね」

「魔女さんもついに弟子をとったんだね。魔女さんはとてもいい人だから、お弟子さん達は幸せだね。うらやましいなあ」

「おや。おまえも私の弟子になりたかったのかい?」

「若ければねえ。今もう奥さんも子どももいるから。来世ではぜひお願いしたいね」

「楽しみに待ってるよ」

 そう言って魔女はにんまりと笑いました。

某SNSで流行っていたタグに乗っかりました。絵が描けないので文章で。ほのぼのばかり見ていたのに思いついたのはこんなんでした。

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