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8.ウァルキリーの等級

 今回の独り言は無しにさせてください。

「やっぱりボクたちだけで、盗賊ギルドには退場してもらおう」


「かしこまりました、マスター」


天気の話をするような気軽なやりとり。だがそれはバルムの心胆を寒からしめるセリフだった。


「待て、待ってくれ!!あんたは7級カオス・ヴァルキリーと名乗っただろう!一人で都市を壊滅させようと言うのか!!」


「ふうん。C.V.について知っているんだ。どのくらいの知識があるのかな?」


「オレの質問に答えろ!本当にウァーテルを滅ぼす気か!」


先ほどまで敗北を受け入れていたはずのバルムが絶叫する。そこに取り繕った敬語はなく、明確な怒りと闘争心があった。それに対しイリスは無礼をとがめることもなく返答する。


「こんなことをこの場、この時に冗談で言う趣味はないよ。あっ、でも大量虐殺をする気はないから。ちゃんとアサシン集団・人買いとその私兵だけを討ち取るよ」


「そんな話を信じられるか!」


異能の持ち主。勇者、英雄と讃えられる存在は理不尽の化身である。魔王を滅ぼすその戦闘力がいつ自分たちに向けられ玉座を脅かすか。特に権力者たちにとってはいつの世も頭痛の種だ。


しかしそれを狭量と嘲笑うのは愚劣の極みというもの。異能の余波、戦術の一環とやらで兵士・民草が無情にすりつぶされる。〔明日は我が身〕な只人の命運を左右する。そんな理不尽なチカラを嘲笑うなど、愚か者でしかない。


「ごめんねえ。だけどウァーテルの富で生活しているキミに、文句を言われる筋合いはないな」


「そっ、それはっ・・・」


悪徳都市ウァーテル。その存在は穏やかな表現で言っても犯罪都市。そして一部の勇士からは生き血をすする“邪悪の権化”と罵られている。


様々な勢力の境界、文化が交わるウァーテルはかつて貿易都市だった。だがその富を独占しようと戦火が渦巻き、ウァーテルはその地位から転落していく。現在のウァーテルは周辺地域から富を略奪する賊の城塞であり、血生臭い陰謀の支援者である。当然、周囲から怨嗟の声が絶えることはない。


〔ウァーテルの住人が無情のほむらによって焼かれようと自業自得だろう〕そういう声があるのは確かだ。


「だけどあんたは7級C.V.だろう。都市を滅ぼす力はないはずだ」


戦闘民族とよく混同されるC.V.。その根拠として彼女たちの階級が戦闘力を重視して決められることがあげられる。


9~12級C.V. ほぼ人間と同等かそれ以下。

8級C.V. 5,6人の冒険者パーティーと同等。もしくは小隊を壊滅出来る能力を持つ

7級C.V. 戦闘力は8級C.V.とほぼ変わらず。ただし作戦立案、指揮能力が有り

6級C.V. 勇者クラスの戦闘力を持つ。大隊を壊滅させられる魔力の持ち主

5級C.V. 魔王クラスの戦闘力を持つ。都市を壊滅させ、国を亡ぼす異能者

4級C.V. 詳細は不明。5級以下のC.V.を従える女王だと考えられる


「うん、そうだね。確かにボク単独で一騎駆けなんてできないよ」


そう告げるイリスに対し忠実であるべき従者が白い目を向けてくる。嫌味な謙遜を雄弁に視線が否定する。そんな扇奈の瞳を無視してイリスは言葉を紡ぐ。


「だけど、ここはキミたちの好きな戦場。使者のボクが突貫するなんて予測は難しい。何より近づいてくる軍勢に備えなければいけないからね~」


その備えが防衛戦に集中したものならイリスの行動は無謀でしかない。だが陰謀、欲望の世界で生きる者たちの場合は『裏切りの算段』も含む。イリスたちに振り分けられる戦力はいかばかりか。


「けっこういけるんじゃないかな。分の悪い賭けにはならないと思うよ」


そう告げるイリスは自然体で、危険な賭けに出る際の緊張感など欠片も無い。彼女の忠実な部下に至っては、買い物でもするかのように目を輝かせる。それは獲物を物色する『捕食者』の瞳だった。


このままでは少数の異能者による、都市攻略が始まるのは時間の問題であり。それはこの都市に住まう、バルムの家族が理不尽な制裁を受けることを意味する。この都市でまともな者たちが暮らすには、高リスクな(ヒトジチ)契約を結ぶ必要があるのだ。


「だったらオレが分の悪い賭けにしてやるよ」


「いいの?ここは『異能持ちがムソウしたら袋叩きにあう。同じ勇者たちに制裁を受けるぞ』という感じに脅かすところだと思うんだけど」


「・・・最後に教えろ。あんた達の本当のランクは幾つなんだ」


「もちろん、ボクは正真正銘の7級C.V.だよ。まあちょっと対人戦に有利な異能持ち。色々やらかしちゃって昇級試験を受けられなくなったけどね」


「そんなことだろうと思ったよ。[熊の毛皮よ来たれ!!]」

 次回から改めて、書きます。


 なお私が“独り言”を書くのは、そうしないと小説が書けないから。小説の『あらすじ』を考えてから、書いていたときは筆が進まず。“独り言”で頭の体操をしてからのほうが、更新のペースが早いという。しょ~もない理由のためです。

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