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61.陸戦師団長と姫長シャドウ

 カマキリ。この肉食虫がモンスター化、妖人に魔改造された場合にオリジナルの強さが失われていると感じるのは私だけでしょうか。

 ステータス、攻撃の要たる前肢は単なる巨大化カマキリより強力になっています。弱い腹部も補強されたり人間の下半身となって隙が減っているのは否定しません。


 しかしそれらの強さは〈曲刀使い〉の強さではないでしょうか?そのためカマキリ怪物は序盤のやられ役。もしくはステータス頼みな中の下程度の強さしか感じられんせん。

 「何だっ!?あれはっ!」

 

 「こっちに突っ込んでくる。逃げろっ!」


 かつて大陸の玄関口とも呼ばれた都市ウァーテル。様々な船が寄港し停泊できる巨大な船着き場を持つ港には、当然それにふさわしい大きさの灯台・見張り塔が建造されている。


 その頂上から特製の遠見筒によって沖合を監視していた見張りは異形の箱舟が急接近する姿をとらえていた。


 「戦艦か?それとも海魔獣?」


 緊急を知らせる信号で何を伝えるか迷ったのは一瞬のこと。

 見張りは怪物の襲来を告げるマジックベルを打ち鳴らす。たとえ戦艦だとしても魔獣よりアレのほうが脅威だろう。

 そう判断した見張りの男は最大限の警戒を呼び掛ける。


 「ッ!?あいつらいったい何をしてやがる!」


 しかしその警鐘を聞くものは少なく、応じるものは皆無だった。

 この非常時に船着き場ではのん気に喧嘩をしており争いの声がやまない。そんな無様に頓着することなく箱舟らしきものが突進してくる。


 「ダメだ間に合わん。傭兵団とボスに連絡しろ!」


 「ッ!?」


 そんな指示を出したところで灯台守たちの視界が金色の光によってふさがれていく。その魔術の光は人ばかりか塔の全てを飲み込んでいった。






 「団長。どうしてあの塔をお力で覆ったのですか?」


 「良い灯台だからな。光属性のC.V.として気に入ったから押さえておきたいだけだ」


 イセリナが率いる陸上戦力を運ぶ魔道の箱船。4つの光輪を戦車の車輪のように帯びたその船は周辺エリアに魔術光をばらまいてから最期の役目を果たそうとしていた。


 「総員、上陸準備!『箱船は盾にはならない!!』」


 合い言葉によって船中に待機している騎士団が身構える。それは激突の衝撃に備えるものではない。


 「カウント開始!5, 4, 3, 2, 今っ!」


 そのかけ声に合わせて箱船が魔力の光を帯びつつ海面から浮き上がり浮遊する。そうして港から倉庫街へと行く道を封鎖する位置に着陸した。


 「総員、出撃!我ら騎士団の武威を示せ!!」


 「「「「「ウオオオ~~~」」」」」


 副団長ガルドと騎士たちが鬨の声を上げる。それにあわせて船体の装甲が四散した。それにより箱船は竜骨までさらし、船どころか防御施設としての用も成さない。


 できるのは運んできた戦士を出撃させる門としての役割。そして威容によって海賊と港の関係者たちを圧倒することだけだ。


 「何だ、この重戦士の一団は!?」


 「知るかっ!だが港にまで侵入を許しちまったら・・・」


  混乱する海賊たち。一かけらの例外はあるが海戦が強い賊は陸戦で集団の強さを発揮することは不可能に近い。少なくとも完全武装の精鋭陸軍に不意まで突かれての勝率はゼロだ。

 それを熟知している海賊たちの士気が引き潮のように退いてゆく。

 

 「ひるむなっ!少し持ちこたえれば援軍は来る!海賊ギルドの意地を見べげっ!?」


 そんな腰抜けたちに発破をかけようとする海賊の頭。その身体に黒髪、和装の旋風が着地してセリフを永久にしゃべれなくする。


 「遅かったなイセリナ・ルベイリー。

  悪党共の巣はイリス・レーベロア様の聖賢によって陥落した。そして配下の有象無象も我らシャドウによって狩り尽くされるだろう」


 「ひっ!?」「ガッ、バっ!!」


 話ながらも周囲の海賊に死をばらまく化け物。壁通しの術理によって船の中にまで恐怖をばらまくような存在を姫とは呼ばない。

 その出現に隊列を組んだ重装騎士たちまでもが緊張を隠せないでいた。


 「相変わらず仕事の速さだけはたいしたものね扇奈・セティエール!

 

  だけど格下狩りなど使い魔にもできること。

  私の騎士団のように治安維持を行い【失われた財宝】を復活させる力を持つ者こそ家臣の地位にふさわしい。今までご苦労だったわね!!」


 船を停泊すべき港で二種類の魔力が渦巻き火花を散らす。

 魔術の戦場と化した領域で馬のない騎士団たちはなけなしの勇気をふりしぼって踏みとどまる。


 だが〈狩り尽くす〉対象とされた海賊たちにその気概はない。連中は生存本能の赴くままに、わき目も降らず逃げ散った。





 だから当然、気が付くはずもなかった。こんな会話が術式で交わされていることに。


 『任務はほぼ完了。地下水路の表層部も藤次、遥和の夫婦で掌握した』


 『夫婦って。藤次殿は今でも無駄な抵抗を続けているはずだけど』


 『ああ、無駄な抵抗を続けているけどそろそろ詰んでハーレム・奥殿が完成する。奴の尊い犠牲はこれからも私たちに素晴らしい幸をもたらし続けてくれるだろう』


 『・・・ハァ。壊れないよう程々にね。男性の勇士には休養も大切よ』


 【『フォトンワード』】ライトの術式によって無言会話を行う術式には様々なバリエーションがある。

 その中には上級幹部用の秘匿通信もあれば。親友、志を共にする仲間二人の間だけでやり取りする極秘の会話魔術も存在する。


 『それはともかくこれからどうする?少し不毛な模擬戦をしてもう少しマスターの必要性をアピールしてみるか?』


 『やめておきましょう。部下たちだけならともかく、これから支配する民の前でこれ以上のじゃれあいは行き過ぎよ』


 その中には敵対しているフリを装った同盟者と会話する。崇拝する主までをも半ば欺く超極秘の計画を推し進める。そんな会談の場を設ける術式も構築可能だ。


 イセリナと扇奈。それぞれ騎士団とシャドウを束ねる団長と姫長である。

 そんな彼女たちには共通した悩み事があった。


 それは女王に等しい長姉であり恩人でもあるイリスの去就に関すること。イリス・レーベロアが姫将軍として使い潰される未来を回避するためのまともな手段が存在しないことだ。


 『シャドウと騎士を統べる我らが相争う。それを止められるのはマスターだけ』


 『いずれ抑え役が派遣されるでしょうからこの手が使える時間には制限がある。

  だけど私たちはウァーテルという要衝を得た。かつて商都であったその蔵を復活させる。

  

  私たちと家臣たちの全力をぶつければ上のヴァルキリーたちだろうと文句は言わせない』



 『『姉上・マスターには絶対に幸せになってもらう』』


 イセリナと扇奈。二人の言動は忠誠・敬愛からくるものだろう。そして同時に極めて危険で狂った妄執とも言える。

 彼女たちがやっていることは主である領主のために国王、宮廷の権力者たちに干渉する執事のようなものだ。勝算、実行に移す以前に思考したと判明すれば危険分子として扱われかねない。


 騎士団、シャドウの存続を考えれば当主としての資質に問題があるレベルだろう。



 「ゴホンッ!団長、扇奈殿。作戦行動中でございますぞ。お控えください」


 しかしここは魔術が幅をきかせる世界だ。それは単に神秘を探求する術者が強いということではない。


 理不尽を欺き利用して下剋上を成す。それを可能とする魔術の欠片が存在する世界ということだ。




 


 カマキリの強さ。それは六足の機動力を捨て去ってまで、鎌を持ち攻撃力を高めたこと。

 獲物を切り裂きつつ圧壊捕縛までする恐怖の両腕を振るうことではないでしょうか?


 マンティスクリーチャーを見ていると双曲刀、義手の二刀鎌を装着しただけの感じがします。

 それなら双剣使いや大鎌一振りのほうが強力ではないでしょうか。共食い、雄捕食までするカマキリの凶暴性が失われているクリーチャー。凄みにいまいち欠けると愚考します。

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