表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
59/441

59.C.V.ハーレムの理由

嫌われているモンスターを一種類あげてくださいと言われたら。その最有力候補はローチ・Gでしょう。

 汚く不気味で。生命力、機動力も高く悪食の古参蟲。これが直立した亜人など現れたら悪夢に違いありません。

 ではローチ、群体の虫には数段劣るものの詩人や開拓者の皆様に嫌われている系統・カテゴリーの怪物は何か?そう質問されたら皆さんはどんな動物たちを連想するでしょうか。

 悪徳の都ウァーテル。その中心部である政庁の最奥、執務室は不思議な雰囲気が漂っていた。


 「ふんふふ~ん。行けっ、そこだっ、やれっ!」


 「「・・・・・・・・・・・」」


 政庁の防衛にあたった戦力を壊滅させた7級光属性のC.V.イリス・レーベロア様。

 シャドウたちから絶対の忠誠を捧げられている彼女が上機嫌なのはいい。


 すでに大勢は決しウァーテルは陥落したのも同然の戦況だ。部下のシャドウたちはまだ戦っているがそれは追撃戦に近い。その状況で部下の生死に不安を抱き祈るのは〈配下の実力を信じていない〉と見られるだろう。

 よって酒を飲まないイリスが『フォトンキューブ』という術式の娯楽に興じるのはさほど問題ではない。


 「「・・・・・」」


 問題があり不思議な空気を醸成しているのはイリスの務める側仕えを務める二人。

 ウルカ、サキラの姉妹シャドウたちだった。


 悪徳都市を壊滅させた主君に対していっそう忠誠を深めた二人。

 しかし彼女たちはイリスの臣下であると同時にシャドウの一族でもある。姫長の扇奈様に命じられたら一族の利益を優先しなければならない立場だった。


 "行くわ"   "ええ"


 イリスの眼前でアイコンタクトの類を使うのは大声で怒鳴るに等しい。ウルカとサキラは使えもしない精神会話を行いながら大恩ある主君に挑んだ。


 「ご機嫌でございますね。イリス様。光箱で何を観ておられるのですか?」


 「ああこれ?せっかく藤次君からオリジナル術式を流用させてもらったんだからね。

  予測演算の第一号は彼の将来にしてみたよ」


 一瞬空気がきしんだのはサキラたちの気のせいだろう。悪い予感という不穏を意識から追い出し彼女は会話のやり取りを継続する。


 「予測演算でございますか?藤次様の未来はどのようになったでのでございましょう」


 「それはもう幸せなハーレムを築いたよ。お堅いマジックナイトも不器用な武道ヴァルキリーもみんながメロメロ。さらにちょっぴり面倒な鬼娘の赤ん坊もだっこしていたね」


 朗らかに語るイリス。それは仮にもヴァルキリーや女系の英雄勇者が語る内容ではなかった。



 しかしカオスヴァルキリーは一部の例外を除いて〈男一人に女複数の〉【ハーレム】を理想の家族とする。さらにその〈一部の例外〉は協調性に欠ける慎みに欠ける女として同族から敬遠されかねない。


 何故か?理由はC.V.が戦場に生き魔術を行使するからだ。


 戦死したヴァルキリーの子供を残されたハーレムメンバーに育ててもらうため。

 魔術を使うため変化、改良して出生率が下がったC.V.に対し色恋を奨励するために。


 他にもいくつかの理由があるが、アマゾネスもどきのC.V.が男中心のハーレムを築く理由の根幹はこの二つによるものだ。

 オスの権限が弱い肉食獣の群れに近い感じだろうか。 


 「へえ~~、ソレはようゴざいマシタ。三人とはさすが幹部のおヒトリ様ですねぇ」


 「・・・・・」


 動揺を隠せず言葉がおかしい双子の姉ウルカに対しサキラは内心で頭をかかえる。

 ならば自分が扇奈の命を果たすしかない。


 シャドウの主君であるイリス様にはどうか1対1の婚姻を結び平穏な生活を送ってほしい。

 億に一つがあればシャドウの一族が全力をあげて後継者をお守りする。女性が集うハーレムなんて女王たる聖賢イリスの御方様にふさわしくない。


 というか騒乱・問題発生の未来しか想像できないのは側近・幹部たちの一致した考えだ。そんな不安の芽を摘み取るためにも何とか諌言をしなければ。


 「アハハッ。やだなあC.V.だけで三人だよ。藤次君は幹部なんだしシャドウからも二人。

  能力と編み出した術式に正当な対価を払えば人間の御令嬢が一人に娼婦の一人も身請けする。


  ハーレムメンバーはこのくらいにして一夜妻とか妾も数十人はいてもいいかなあ」


 「ヘエ~~~。ソレはすごいですねぇ」


 

 ウルカから妙な気配が放たれる。


 重婚などシャドウでは認められない。

 そのしきたりをたてに藤次のハーレムに断固反対したいという怒りの感情。同時にハーレムを許容してシャドウの枠二人に入ったほうがいいのではないかという計算。

 それらが絡み合いねじくれた意思や魔力が放出されているという感じか。


 「・・・・・・・・・・フゥ」


 どちらにしても姫長の扇奈様から命じられたことは姉の脳裏から消え去っているようだ。


 同時にこの場で諌言をしたところで通じないだろうことをサキラは確信する。今回はこの情報を得られたことで満足するしかないだろう。


 そう考えたサキラは沈黙によって微妙な空気をやり過ごすことにした。   


 


 

 私は水陸両用のモンスター。肉食のカニ、ワニや両生類系のモンスター全般が水源を封鎖するため嫌われていると考えます。

 開拓者にとって水の確保は死活問題。退治しても川、沼のどこかから再びやってくるモンスターなどいたら、いつ家族が襲われるか知れたものではありません。

 そして創作者にとっても水陸両用のモンスターは厄介です。その証拠に水陸両用のモンスターは何故か一撃離脱どころか有利な浅瀬で戦おうとしません。わざわざ固い陸に上がって人間に退治されています。

 狩猟本能というか学習能力が欠落した水陸両用のモンスターたち。オリジナルの動物にすら劣る弱体化をしているそれらは創作者の皆様にとって詩にするのが難しい厄介者ではないでしょうか。


 四足歩行の陸上ヒュドラが圧倒的に多いのも、神話の水蛇ヒュドラが凶悪すぎるからだと思うのです。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ