441.閑話~混成都市で働く人々+勇者役のC.V.:ミミックラヴァ
ライオンの群れが食事をする時、群れのボスである雄ライオンが、獲物の美味しい所を食べ。弱い立場のライオンは、なかなか獲物にありつけません。
それは人間も同様であり。狩猟に頼った古代世界では、ライオンよりも悲惨なことになりかねない。
獲物の減少・狩りの失敗などで、充分な食糧が得られなければ。
〔狩りの効率が悪く、コストオーバーになれば”残酷劇場”になりかねない〕と、愚考します。
そもそも二足歩行の人間は、四脚全てを移動に使う獣と比べ。脚力・移動に伴う『疲労度』も大きくなり。古代人が、どんなに超人であろうと。獲物を求め、戦災から逃れて旅するのは、動物よりも過酷になったでしょう。
少なくとも『アフリカの猛獣が獲物を求めて、移動する』ようにはいかなかったと、愚考します。
ケイジアスと呼ばれる、この世界には『冒険者』という職業がある。
〔犯罪者になるより冒険者になったほうがマシ〕と、いう考えのもとゴロツキの類を受け入れる、『仕事の仲介所』という面もあれば。
将来の『勇者候補』を育て支援する、『互助組織』という顔を持つ。それ以外にも『何でも屋』だったり、『魔物狩りの斡旋所』を併せ持つ、拠点の場合もあり。
冒険者ギルドは、自由を愛する『冒険者』たちを束ねる、準軍事組織でもある。
そんな冒険者ギルドの共有事項として、他所からの干渉イコール自由を奪う敵対行動という認識であり。かつては『盗賊ギルド』とも激しく暗闘をしたり、『怪物退治』を手札にして『激しい外交』を繰り広げたものですが。
そんな盗賊ギルドが、C.V.勢力によって多方面から攻撃されて、劣勢に陥り。
冒険者ギルドも『改革』を装った、『ギルドへの干渉』が容赦なく行われていった。
はじまりは『依頼料の分割払い』でした。
冒険者には前金・後金で払う。もしくは今まで通り、成功報酬で一括払いされるものの。
依頼を受け付ける冒険者ギルドは、依頼人から『分割払い』でも依頼料を受け取り。
『分割払い』という、事実上の『借金取り立て』をする、手間はかかるものの。多少の『利息』はとれるから、事業が軌道に乗れば、冒険者ギルドの収入も増大するし。
貧しい農村が『高額の依頼料』を出して、運ぶ困難も下がり、単純に依頼件数が増える。依頼件数が増えれば、冒険者たちの仕事も増えて、好循環が生まれる。
そんな『依頼料の分割払い』を契機に、冒険者ギルドは混成都市から干渉されるようになり。
混成都市が莫大な『出資金』を出したり。依頼人が分割払いをしている間は、『情報提供』をする手駒・窓口になったり。
そのままズルズルと関係が深まり、『相場の情報』を得た混成都市は『先物買い』などで荒稼ぎをしていき。
そのぐらいだったら〔冒険者ギルドと混成都市は共存していた〕と、言えなくもないですが。
〔職業・身体能力によって、移動時の足並みが乱れるのは、問題ありでしょう〕
〔冒険で疲労した身体をケアしないと、身体をこわしてしまう〕
〔子供の冒険者には薬草採取も難しい。先輩冒険者のマッサージで、収入を得ることから始めなさい。それと冒険者ギルドの建物周囲の三軒となりまで、掃除をすること〕
このぐらいなら、まだよかったのですが。
C.V.が女系種族だからなのか、段々と母親モドキな言動が始まり。
〔味がわからなくなるほど、酒を飲み。食事を食い散らかすなど、農家・料理人に失礼でしょう〕
〔生き延びて、憂さ晴らしをしたいんだ!飲み食いぐらい好きにさせろっ!!〕
〔食事もままならない、スラム・寒村の住人に同じセリフを言えるのかしら?〕
〔〔〔〔〔・・・~・〕〕〕〕〕
〔そんなことより、都市で暮らすなら衣服を着替えなさい。
街中だと『代謝』のせいで、臭いがただよってくる〕
〔てめぇ…それを言ったら‥・・・〕
〔言わないで、『歓楽街』のお姉さん・お兄さんたちに、伝えたほうがいいと?〕
〔*:!;?-〕〔・・・₋・+〕〔待てっ、待ってくれ・;*〕
〔ガキどもっ!!新しい仕事だ、駄賃をやるぞ‥〕
〔随分、安い代金のようだけど…『歓楽街』のみ・!な・!さー―-∼〕
〔マッサージの料金をアップして、洗濯道具も購入する!!!・・・洗濯場の購入は『分割払い』で頼みます〕
〔そこは『オネガイシマス』でしょう?〕
C.V.勢力は、だんだんうるさく冒険者たちに、口出しするようになり。
〔ギルドを通さず依頼を受けると、罠にはまる。『傭兵・密偵』などと兼業している冒険者と遭遇したら、不幸な結末になるかもしれないわ〕
そんな脅しをしたかと思えば。
〔農村を作るには多大なコストがかかり。もし農村が滅ぼされれば、食糧の値段があがり、街の住民が困る。街の住民が困れば、盗賊にそそのかされ、冒険者が穏やかに眠れない。
つまり冒険者が農村を守るのは、自分たちの利益のためよ〕
神官の説法みたいな、”偽善”を語ってくる。
C.V.勢力は冒険者ギルドにとって、厄介な相手となっていき。
最近では公然と勝手に、冒険者パーティーに拠点の移動を強いてくる有り様。
〔ちゃんと報酬を払い『拠点を変える』と、いう依頼を出してるわ〕
〔くそっ…約束通り半年だけ、村暮らしをすればいいんだろう!〕
〔人口の少ない村をめぐって、適当に依頼をこなす。それが『賭け』の条件でだったはずだけど?〕
〔わかっている!!〕
勝負に負けて、傷を負っている冒険者がC.V.様の言いなりになっている。それは冒険者ギルドによる、上級冒険者への『優遇措置』を飛び越えて行われ。
ギルドスタッフとしては不本意だが、違法とも言い難い。『仕官』などの引き抜きよりマシとはいえ、街のギルド支部としては、勝手に冒険者を指揮されているに等しい。
それをする理由が、冒険者が一か所に集まり過ぎて、依頼を奪い合いにならないよう。各地域の戦力が手薄にならないように、冒険者が活動するエリアを指定している。
〔みんなの世界のため〕と、いう面があり。盗賊ギルドにバレると悪用されるうえに、冒険者ギルドが防諜で当てにならない。納得できる理由は、たくさんあるものの。
ギルド職員の感情を逆なでにしている。相談もなく新しい仕組みという横車を押す、忌避すべき越権行為なのは変わりなく。
受付嬢のベルカとしては〔必ず思い知らせてやる〕と、誓っていた。
混成都市ウァーテル。悪徳の都と陰口をたたかれていたころに比べて、はるかに豊かになり住民の笑顔があふれる。
そんな都市にも陰があり、過酷な職場がある。
都市の治安を守る『衛兵』は、その最たるものであり。
給料が3倍になり、少し広めの『寮』が用意され。装備が一新されたうえに、『訓練』は硬軟を織り交ぜた、適格なものとなり。
おそらく小国の騎士に近い待遇を、ウァーテルの衛兵たちは与えられている。
そんな推測を衛兵のバルムはしているが。
それでもウァーテルの衛兵は、過酷な職場だと思う。
「戦姫様がケンカしています!お願いですから止めてください!!」
こんな訴えを聞いた時、しり込みしているようでは衛兵など勤まらない。速やかに急行して、住民を避難させて。
「〔シャドウ様っ!シャドウの騎士様っ!
お願いですから戦姫様の争いを止めてください!!〕」
「〔『大盾』を借りてこい!私たち衛兵の装備では、あの方たちの暴威を止められない〕」
「ッ⁉-・⁺・」×2
住民を避難させながら、戦姫C.V.様たちに聞こえるように、大声で叫ぶ。
ワンパターンにならないよう、感情をこめて哀れっぽく。
〔こんな戦姫様たちとハーレムを築いたら、大変なことになる〕と、いう思念?をこめて『言霊』を放ち。
それによって夫・良人を求める戦姫様たちの大半は、魔術バトルを止めて逃散してくれる。
恐ろしい視線を向けても、戦姫様たちは『戦乙女』であり。
夫・良人の最有力候補となるシャドウ・重騎士様たちに、怖れられて怯えられる言動は、色々と台無しにする。
男としてはイロイロと手遅れな気もするが。彼女たちが良い人をつかまえて、(色ボケして)優しくなったり家庭に引っ込んでくれる。そのことをバルムたち、衛兵はいつも切実に祈っているのだが。
その祈りが聞き届けられることは、めったになく。
「大変です、衛兵さん!向こうでケンカが起きています」
「‥!・なにィ、それは急行してトめないと…
あとは任せたっ!」
「…承知した。全員、覚悟を決めろ!」
「「・・・-・・・」」
当たり前の話だが、衛兵が『言霊』でC.V.様を制止するのはリスクを伴う。
そもそも衛兵ごときが、『言霊』でC.V.様を惑わすなど、本来ならば許されるはずがない。
それでも都市内での騒乱・ケンカを嫌う強力なC.V.様が後ろ盾になり。
〔争いを仲裁するため働く、衛兵は保護すること〕と、いう『お達し』が出されている。
そのため再起不能となる重傷を、C.V.様が衛兵に与えることはない・・・はずなのだが。
『下級の竜』の類を、普通に狩るC.V.様の手が滑れば、衛兵の装備など無きに等しく。
盗賊ギルドの飼い犬だった衛兵が、光神殿を滅ぼすC.V.様の思惑に頼りすぎれば、待っているのは破滅であり。
バルムたちは猛獣の争いを止める覚悟で、慎重にC.V.様に声掛けする。
「お勤めご苦労様です、C.V.様。本日はお日柄も良く…」
「民の話し声を真似して、私たちを操ろうとは、いい度胸をしているわね。
当然、バレた時の覚悟もしているのかしら?」
「もちろんでございます。治安を預かる衛兵として、身命を賭してお二人の争いを止めさせていただきます」
「その意気やよし。
お前たち衛兵をたたきのめして、女の戦いを続けさせてもらう!」
〔興がそがれた〕と、おっしゃって矛を収めてくださる、穏健派なC.V.様ばかりではない。横槍を許さない猛獣は、迷わず『魔力を帯びた拳』を向けて、容赦なくバルムたち衛兵をたたきのめし。
『Figure オープン!』
「ッ-⁉」「なっ⁉」
倒れ伏したバルムの『切り札』を、目の当たりにして硬直する。
「これは、いったい…」
「ご理解なさっているでしょう?
これ以上、騒乱をもたらすならば貴女様たちの夫どのに、この『請求書』が回っていく。彼らは苦労人だから、笑って許してくださるでしょう。
そして自らの余暇を削って、被害の弁済に赴き…」
バルムの言葉に、C.V.様2人は目に見えて動揺し始める。
この世界は『ブツリ法則』とやらが厳しく、『魔力』で好き放題はなかなかできない。すくなくとも争いの傷痕・器物破損をなかったことにはできず。
金・資材に時間をかけて、『弁償』しなければならない。
まあ”クズ貴族”ならば、平気で踏み倒しにかかるだろうが。
誇り高いC.V.様、ハーレムの中心にいる旦那様たちが、そんなことをするはずもなく。
タイミングを見計らって、防具の裏に仕込んだ『見積書・工程表』などを、光文字で『投影』すれば。普通に頭の回るC.V.様ならば、正気に返るわけで。
「この通り私は打ちのめされて、もはや上司からいただいた『切り札』に、すがるしかありません。
ここはどうか別の場所で、【穏便】に競い合っていただけないでしょうか」
「ぐっ…やむをえまい」
「私たちの負けよ。その顔は覚えておく」
こうして今日もC.V.様たちの人外バトルは収められたわけだが。いつも、うまくいくわけではない。
今のにしても、最初から『切り札』を見せて、〔おとなしくしろ!〕と、居丈高に振る舞えば。C.V.様たちは容赦なく、バルムを挟撃してくるし。
そうなれば『見積書・工程表』の写しを、『光文字』にして仕込んだ上司たちは、迷わず衛兵たちを見捨てるだろう。
所詮、バルムたちは盗賊ギルドを裏切った、信用ならない『駒』であり。
〔”虐殺”をすると抵抗が激しくなる〕と、いう『打算』で生かされた存在だ。
よって過酷な衛兵の仕事をこなせなければ、辺境で魔物の『囮』に使い潰され。C.V.様の勢力に不快・不利益をもたらせば、見せしめの”裁判”が開幕する。
混成都市での”厄介な争い”を、何割かの確率でとどめているから、生かされていることを自覚して…・
『アイシクルトルネード!!』
「「「・・・-・~・」」」
先程、衛兵の隊長が向かった方向から、『青白い柱』が出現する。同時に空気が冷えて、小粒の氷が降り注ぎ・・・
「どうやら隊長の向かったところで、不測の事態が発生したようだ」
「バルムさんっ>?!<」「ちょっと待ちましょう」「そうだっ、ここでの後片付けをしないと…」
部下たちは〔心底から、関わりたくない〕と、わかりやすく伝えているが。
盗賊ギルドに飼われていた時に比べれば、今はマシな状況だとバルムは思っており。
「その心配はないわ」「ええ、誓って騒乱はおこさない」
「‥・C.V.様たちも、こう言ってくださる。さあ、行くぞ!」
「「「∼;・+-…;」」」
”ブラックジョーク”のような状況だが、これが混成都市の平常であり。
嫌がる部下たちをなだめすかして、バルムたちは塔のような青白い光へと向かっていった。
悪徳の都を築き上げ、大陸中の裏社会を支配していた盗賊ギルド。
その存在は”魔女C.V.”の襲来によって、存亡の危機に瀕していた。
面子を潰され、情報網を断ち切られ、財貨に至っては”貧者・寄生虫”の烙印を押される。武力では遠く及ばず、『魔術』という卑怯な手段を使い圧倒してくる。
その結果、少なくないシーフたちが逃散・逃走してしまったが。ザノムから言わせれば、愚かな行為としか言いようがない。
裏社会は一度、足を踏み入れたら逃れられるものではなく。シーフとして盗み、奪い、暴力を開放した時の快感は、決して忘れられない。
そもそもどんな英雄だろうと隙があるもので。そこを突けば、たちまち破滅するのは、伝承が証明している。
いかに強者だろうとC.V.は刺せば死ぬオンナにすぎず。そもそも英雄ですらないのだから。
そんなことを考えながらザノムはアジトに戻り、袋に詰め込んだ『モノ』をとり出し、仲間たちに見せつける。
「コレが獲物か・・・」
「「「「・・・・・‐・」」」」
それは村のガキだった。
少しばかり身なりのいい。だが一人だけでは、この場にいる盗賊たちの食事代にしかならない、奴隷の候補にすぎず。ヘマをしたり手順を誤れば、即座にシャドウやら冒険者どもが殺到してくる。
昨今では、あつかうのに慎重にならざるを得ない、人身という『モノ』だった。
それを胡乱な目で見る部下たちに、ザノムは檄を飛ばす。
「いいかっ!”奴等”どもは”偽善者”でハンターだ。英雄様でも、貴族でもねぇ…実力があるから、えばっていられる」
「「「「「・・・-・」」」」」
「だったら有象無象どもに、実力を疑わせてやればいい。ヘマをさせて、大言を黙らせて、面子をつぶす!
そうして勇士の化けの皮をはがして、やろうじゃねぇかっ」
ザノムたちが村から子供をさらったのは、そのためだ。
今頃、村では〔子供がいなくなった〕と、大騒ぎしているだろう。そしてガキの救出を役人か冒険者に頼むだろうが。
この子供が助け出されることは、絶対にない。それによって子供を愛する親は、悲嘆にくれ。そのうちの何人かは、夢から醒めて気付くだろう。
〔この世にヒーローなどいない〕と、いう事実を知り。無念を訴え叫んで、その声が”奴等”を責める声に変わるまで、時間はかからない。
そういう風に誘導するための『酒毒・タバコ』は、皮肉なことに”奴等”のもたらした平和で、増産されており。
心の隙間を埋める、手練手管を持つ業師・策士は活躍の場を求めている。
「”奴等”が立っているのは所詮、砂上の楼閣にすぎん。
一つのしくじりで、”魔女”から見捨てられれば、あとは破滅するのみだ。
そうしたら再び、悪徳の都は復活する!!」
「「おおっ!」」「そうしたら…」「「・・・^~^」」
人は一度得られた富を、失うことに耐えられない。耐えたとしても、すさまじい屈辱を感じる。
『悪徳の都』で財貨を得て、勝手気ままにふるまった時のことを、シーフたちは忘れられない。そんな連中にとって、かつての栄華を取り戻すのは、既に宿願と化しており。
ザノムは、そのことに全てを賭けるつもりだ。
『ミミックラヴァ』
「っ!!‐?」
しかし、その執念に『赤い色』が降り注ぐ。
「「「「「ギャ∼ァァァアアアアアアア」」」」」
部下たちの絶叫が耳朶をうつのに、逃げられない。跳びあがれず、脚が動かず、走れない。
「ァァァァ*aaa;アアアアアアアア」
醜い悲鳴が響き渡る。その叫びが、自分の発したモノだと理解した時、ザノムの視界に『赤い塊』が見えて。
さらって気絶させた子供だと思っていた『モノ』が、鍛冶場の炉の中のごとく、赤熱の光を発しはじめ。
〔このっ!バケモノがぁ‥〕
心で叫ぶものの、身体は『本能』を優先する。
未知に恐怖して、全身から脂汗を流し、生き延びるべく逃走を試み。
「ひぃ;・」
ザノムたちの脚が靴・ブーツごと赤熱して、床に『接合』されている。『粘液で接着』などという、生やさしいものではない。
『地獄の業火』が、ザノムの下半身を炙り、脚を床を『接合』し。それから恐怖をあおるように、アジトの床を赤色に染めていって・・・否、順番なぞ正確なところわからない。
〔もしかしてさらったガキが、『呪われアイテム』だったのか?〕
そんな推論を今さらしても、この地獄が変わることはなく。『呪われアイテム』は武器・鎧や宝石の類で、ヒトの形をとっているはずなく
「このっ/-/**イ、イダぁ;」「「;+・・*・*」」
「ど、ドコだっ!妖術師が姿をaアアア*;+」
「ヤメろォ~~∼~*∼;」
〔何故だっ、これほどヤバい『モノ』があるなら、ウワサの一つも、一ツモ、ヒヒっイ;*-〕
ザノムの冷静な思考が、痛みの狂気によって、侵蝕されていく。あまりの苦しみに両脚をナイフで切り落とそうとする奴がいるが、そんなことをしても無駄だろう。
その思考を最期に、ザノムの視界は全て真っ赤に、染まっていった。
異種族と交流するにあたって、『認識・度量衡』は極めて重要な情報だ。
一例をあげると。
人間にとっては大魔法でも、C.V.様からすれば『狼煙』みたいなものだったり。
並みの魔術士にとって『100』は全魔力だが、1000万の魔力を持つC.V.様にとっては『爪の先』を放出したにすぎず。
そもそも攻撃魔術をほぼ無効化するC.V.様にとって、『アイシクルトルネード』を攻撃だと認識すらしていない。
C.V.様の諍いをとどめる衛兵は、まずこういう理不尽に見舞われ。
彼女たちの『暴威』が止まるかは、運試しの要素が強い。
「やあ~、ごめんねー
(こっちの)人間の世界のことは、よくわからなくて。
これは、ほんのお詫び。みんなで楽しく飲んで、忘れてくれると嬉しいかな」
「・・・-—・」
しかし諍いを止められたからと言って、平穏が訪れるかは別問題であり。
バルムたちは歓楽街で、何故か接待を受けていた。
〔いったい、どうしてこんなことになったんだろう?〕
バルムは胸中で首をひねるも、答える者はおらず。
彼の周りでは、同僚・ケンカをした連中や巻き込まれた者たちが、楽しく酒色におぼれていた。
仕方なくバルムは、この騒ぎを起こしたC.V.様に問いかける。
「あの~、ウィルニス様。
どうして我々を歓楽街に連れてきて、酒をおごってくださるのでしょう?」
「ウィルニスでいいよ、バルムさん。
私なんて、どこにでもいる勇者役で世間知らずの『メロウ』にすぎない。
街中で危険な術式を『呼び鈴』代わりに使ったんだから。いっそ投獄してくれれば、よかったのに魔王君の『外交関係』で無罪放免になってしまう」
「はあ…」
〔・・;‐—>*<⁺・:ー・・・〕
とても殊勝なことを仰るC.V.様ではある。
だがバルムとしては〔いっそ貴族のように傲慢にふるまってくれれば、イロイロと助かる階層の存在だろう〕と、思っており。
背後で百面相とジェスチャーをする、シャドウ様の存在が確信をいだかせる。
「役人である衛兵が、民草から『お礼』を受け取るのは、”賄賂”になる。
それは立派な考えだけど、迷惑をかけた勇者役としては〔はい、さようなら〕と、いうわけにはいかない。
だから偶然、盛り場でパーティーを開いて、たまたま歩いている人にも奢る。そうすれば”悪徳商人”みたいに、お金で"ずる"をしたことにならない。
私は、みんなの記憶が『お酒』でトんでくれれば、ラッキーという感じかな」
「そうですかぁ…」
〔。!>;<ー:・-!^!〕
〔…・:+#-・+*`・‘ー〕
かつては退廃的な雰囲気が漂い、華やかながら闇が深かった。
そんな歓楽の街は、シャドウ様が元締めになって生まれ変わり、笑いさざめく『夢の区画』と化した。
とはいえ夢を見る『料金』まで、お安く変わることはなく。
ウィルニス様が、どれほどの『金』をばらまいたか、バルムは絶対に聞きたくなかった。
聞いてるシャドウ様に元締めの情婦が加わり、相当ヤバいことになってるのは、確実だろうけど。
だから話題をそらすべく、バルムはうっかり尋ねてしまう。
「ところで、ウィルニスさんの『勇者役』というのは、どんなお役目ですか?」
神に誓って言うが、バルムは考えなしに問いかけたわけではない。ウィルニス様が、ご自身で自らを『勇者役』と既に名乗っている。
〔ならば『役者』や『道化』に近いものだろう〕と、バルムは分析して推測していた。〔『勇者役』というのは秘匿すべき情報ではない〕・・・と
そんなバルムに、ウィルニス様は朗らかに答えてくださり。
「ん~『勇者役』というのはね。
自称魔王とか魔王モドキが悪さをする前に、連中を✖✖に沈めたり。魔王君やハーレムにちょっかいをかける、若者魔王に『拳骨』をしたり。
あとは魔王君が、ちょ~っとだけやり過ぎた時にストップをかける。
ちっとも聖剣をふるわない、勇者モドキを『勇者役』というんだよ」
「「・‐・-・―・⁺‥」」
「へ、へぇ~、そうなんですかぁ」
まともそうな返事をした、バルムを褒めてほしい。
聞き耳を立てている、シャドウとマリーデ様は卒倒しそうになっており。眼前で『凶悪邪竜』が酒を飲んでいるに等しい、この状況にバルムも現実逃避をしたくなったが。
「そういう御方を、世間では勇者モドキとは言わないでしょう」
〔〔〔サヘル様っ;!!!〕〕〕
そんな状況に対し、歓楽街の主であり面倒見のよい元締め様が、応対にあたる。
「貴女様が善良なことを疑ったりしませんが。この場は『席』を変えていただけませんか?」
「仕方ないか…それなら君が。この都市で平穏にすごすため、私に必要なことを教えてくれる?」
「微力を尽くしましょう」
ウィルニス様の対応に当たられる、その背中は大きくも輝いて見え。その背中を追いかけて行く、マリーデ様は女主人の威を取り戻し。
ようやく衛兵の長い業務が終了するのを、バルムは心身で感じ取った。
ネタバレ説明:『怪奇箱の溶岩』について
火の四凶刃である藤次が使う『怪奇箱の魔導』に含まれる『複合術式』です。
1)刺客・誘拐魔に対抗するため、呪力をこめた『影武者の人形』を作り。
2)『ミミックドール』が破壊される。結界を準備した部屋に、『ミミックドール』が運ばれる。他に設定した『発動条件』を満たす。
3)発動した部屋の出口をふさぐように、『炎熱の結界箱』が展開される。床が高温を発したり、『火球』がふりそそいだり、バウンドする。トラップハウスから処刑部屋など、様々な『炎熱の結界箱』が展開される。
4)捕らえた相手を始末する時は、『溶岩』が流れるなど、火山地帯のようになり。〔怨念を利用して呪っている〕と、装ったホラーハウスを併用する時もある。
完全にホラーな『呪術式』であり。
”誘拐魔”を狩ることに特化した、C.V.リアベルの『キラーゲーム』が、善良に感じてしまう。それほど凶悪に、戦果をあげている『呪術式』です。
ちなみに今回のアレンジは『ミミックドール』を通して、周囲の”誘拐魔”たちを把握し。『高熱化の付与術式』で床と賊の履物を、接着して逃げられないようにして。
『ミミックドール』を分解して、『禍々しい溶岩』を賊たちに見せて、怖がらせて注意をひき。改めて靴・ブーツに『高熱化』を付与して、脚→下半身と焼いていきました。
その際、藤次は”誘拐魔”たちが標的にした、村に潜んでおり。村を守るため、アジトから距離があったため、こういう『複合術式』を使いました。
”盗賊ギルド”が権力を握るにあたって、”誘拐による脅迫”は強力な手札であり。物理的にイリスが悪徳の都を滅ぼそうと。”誘拐”によって人質を取れば、情にもろい善人も動かして、混成都市を包囲することが可能なはずでした。
それに対し〔誘拐事件が起きるたびに、対処するのは大変だ〕と、いうまっとうな意見が出され。〔それなら偽人形・影武者を使って、”刺客・誘拐魔”を罠にはめよう〕と、いうところまでは『暗闘』と言えなくもなかったのですが。
藤次が『旋風閃』とは異なる身体強化で、刺客となる暗殺者ギルドの拠点を次々と滅ぼし。
〔”誘拐”は未遂だろうと、被害者の評判を貶める。(上下を問わず、ウワサ雀どもが騒ぐから)そして”誘拐犯”に捕らわれれば、無傷だろうと傷物あつかいされる〕と、いうまっとうそうな意見を言ってから。
狂気の所業で、”誘拐団”のメンバーを次々と捕らえ。連中から『呪力』をしぼり取って、呪われた偽人形の『怪談・イメージ』を作り。
それから芋づる式で、”誘拐”をやらかす連中を炎熱地獄に落とし、”盗賊ギルド”に大打撃を与えたのですが。
真相は、イリスが使う『名誉を愚弄する魔導』の効果に便乗して、裏社会での名声をなかったことにしてしまい。
それによって誘拐された人々の『名誉』も、若干?ながら回復させ。
”誘拐魔”たちは、連中を憎む被害者がドン引きするレベルで、今も生き地獄を味わっているとか。男女平等に等しく、色町の最底辺に売られたり。裏切り者として、”盗賊ギルド”をおびき寄せる『囮』となって、使い潰されたり。
『訓練』で、誘拐団の役を演じている者は口をつぐみ。
『ダミードール』の材料として、生きたまま焼かれて、魂がこの世をさまよっているとか。
『ホラーなウワサが流され』ることで、”誘拐団”の不安があおられ。あげく、いまだに真実は明らかになっておらず。
”盗賊ギルド”も人手不足で、”誘拐”の難易度が上がり、コストが高すぎる・・・というイメージが各国の隅々にまで広まってしまい。
そうなると”誘拐団”も悪目立ちして、物理的にも次々と殲滅されていく。普通に尻尾切りでイケニエにされ、見捨てられる。
C.V.のリアベルが来訪した時には、ほとんどの”誘拐魔”が再起不能にされ。四凶刃のダレかは道化を演じて、地下でしょーもない酒場経営を『計画』していたとか。
以上、『ミミックラヴァ』のネタバレ説明でした。
そのため『毒矢で効率よく獲物を狩る。集団の脅威となる、害獣を毒矢で倒す』のは必須事項だった。”毒矢は卑怯”などと言うのは”仲間を犠牲にして、人間を生贄にするに等しい行為だ”と、考えます。
とはいえ歴史を振り返れば、『毒矢』が悪役・敵国の武装であるのも事実であり。
『毒矢』を放つ英雄は、『ギリシャ神話』の大英雄ぐらい。芸術・娯楽メディアでヒーローな『ヘラクレス』は、『毒矢』を射ることはありません。
そして、この事実を無視して〔毒矢はスバラシイ〕などと、私は言う気なく。
毒矢には”おぞましい歴史”もあると、愚考します。
古代世界において、『毒矢』は狩りの効率・成功率をあげ。大英雄のように害獣を退治しましたが。
同時にヘラクレスの悲惨な最期と同じように、『誤用』で破滅をもたらした。
そもそも『薬』も、まっとうに作れない古代世界で、『毒』の製造・管理がまともにできるはずもなく。”迷信”で”生贄の儀式”をやらかしていた時代に、『毒・毒矢』を製造するのは”残酷劇場”だったと推測します。




