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ヴァルキリーズ・シティ~混成都市ができるまで、あるいは盗賊連合の滅亡記  作者: 氷山坊主
閑話~混成都市の渦+シグルスの模擬戦闘
441/443

441.閑話~混成都市で働く人々+勇者役のC.V.:ミミックラヴァ

 ライオンの群れが食事をする時、群れのボスである雄ライオンが、獲物の美味しい所を食べ。弱い立場のライオンは、なかなか獲物にありつけません。


 それは人間も同様であり。狩猟に頼った古代世界では、ライオンよりも悲惨なことになりかねない。

 獲物の減少・狩りの失敗などで、充分な食糧が得られなければ。


 〔狩りの効率が悪く、コストオーバーになれば”残酷劇場”になりかねない〕と、愚考します。


 そもそも二足歩行の人間は、四脚全てを移動に使う獣と比べ。脚力・移動に伴う『疲労度』も大きくなり。古代人が、どんなに超人であろうと。獲物を求め、戦災から逃れて旅するのは、動物よりも過酷になったでしょう。


 少なくとも『アフリカの猛獣が獲物を求めて、移動する』ようにはいかなかったと、愚考します。

 ケイジアスと呼ばれる、この世界には『冒険者』という職業がある。


 〔犯罪者になるより冒険者になったほうがマシ〕と、いう考えのもとゴロツキの類を受け入れる、『仕事の仲介所(職業安定所)』という面もあれば。

 将来の『勇者候補』を育て支援する、『互助組織』という顔を持つ。それ以外にも『何でも屋』だったり、『魔物狩りの斡旋所あっせんじょ』を併せ持つ、拠点の場合もあり。


 冒険者ギルドは、自由を愛する『冒険者(荒くれ者)』たちを束ねる、軍事組織でもある。



 そんな冒険者ギルドの共有事項として、他所からの干渉イコール自由を奪う敵対行動・・・・という認識であり。かつては『盗賊ギルド』とも激しく暗闘をしたり、『怪物退治』を手札にして『激しい外交』を繰り広げたものですが。


 そんな盗賊ギルドが、C.V.勢力によって多方面から攻撃されて、劣勢に陥り。

 冒険者ギルドも『改革』を装った、『ギルドへの干渉』が容赦なく行われていった。




 はじまりは『依頼料の分割払い』でした。


 冒険者には前金・後金で払う。もしくは今まで通り、成功報酬で一括払いされるものの。


 依頼クエストを受け付ける冒険者ギルドは、依頼人から『分割払い』で()依頼料を受け取り。


 『分割払い』という、事実上の『借金取り立て(貸金業)』をする、手間コストはかかるものの。多少の『利息』はとれるから、事業が軌道に乗れば、冒険者ギルドの収入(手数料)も増大するし。


 貧しい農村が『高額の依頼料』を出して、運ぶ困難コストも下がり、単純に依頼件数(・・)が増える。依頼件数が増えれば、冒険者たちの仕事も増えて、好循環が生まれる。

 

 そんな『依頼料の分割払い』を契機に、冒険者ギルドは混成都市(C.V.勢力)から干渉されるようになり。



 混成都市ウァーテルが莫大な『出資金』を出したり。依頼人が分割払いをしている間は、『情報提供』をする手駒・窓口になったり。

 そのままズルズルと関係が深まり、『相場の情報』を得た混成都市(C.V.勢力)は『先物買い』などで荒稼ぎをしていき。


 そのぐらいだったら〔冒険者ギルドと混成都市は共存していた〕と、言えなくもないですが。



 〔職業・身体能力によって、移動時の足並みが乱れるのは、問題ありでしょう〕

 〔冒険で疲労した身体をケアしないと、身体をこわしてしまう〕


 〔子供の冒険者には薬草採取も難しい。先輩冒険者のマッサージで、収入を得ることから始めなさい。それと冒険者ギルドの建物周囲の三軒となりまで、掃除をすること〕

 


 このぐらいなら、まだよかったのですが。

 C.V.が女系種族だからなのか、段々と母親モドキな言動が始まり。


 〔味がわからなくなるほど、酒を飲み。食事を食い散らかすなど、農家・料理人に失礼でしょう〕


 〔生き延びて、憂さ晴らしをしたいんだ!飲み食いぐらい好きにさせろっ!!〕


 〔食事もままならない、スラム・寒村(生まれ故郷)の住人に同じセリフを言えるのかしら?〕


 〔〔〔〔〔・・・~・〕〕〕〕〕


 〔そんなことより、都市で暮らすなら衣服を着替えなさい。

  街中だと『代謝』のせいで、臭いがただよってくる〕


 〔てめぇ…それを言ったら‥・・・(戦争だぞ)


 〔言わないで、『歓楽街』のお姉さん・お兄さんたちに、伝えたほうがいいと?〕


 〔*:!;?-〕〔・・・₋・+〕〔待てっ、待ってくれ・;*〕

 〔ガキどもっ!!新しい仕事だ、駄賃をやるぞ‥〕


 〔随分、安い代金のようだけど…『歓楽街』のみ・!な・!さー―-∼〕


 〔マッサージの料金をアップして、洗濯道具も購入する!!!・・・洗濯場の購入は『分割払い』で頼みます〕


 〔そこは『オネガイシマス』でしょう?〕



 C.V.勢力は、だんだんうるさく冒険者たちに、口出しするようになり。


 〔ギルドを通さず依頼を受けると、罠にはまる。『傭兵・密偵』などと兼業している冒険者と遭遇したら、不幸な結末(・・・・・)になるかもしれないわ〕


 そんな脅しをしたかと思えば。


 〔農村を作るには多大なコストがかかり。もし農村が滅ぼされれば、食糧の値段があがり、街の住民が困る。街の住民が困れば、盗賊にそそのかされ(犯罪に走って)、冒険者が穏やかに眠れない。


  つまり冒険者が農村を守るのは、自分たちの利益のためよ〕


 神官の説法みたいな、”偽善”を語ってくる。

 

 C.V.勢力は冒険者ギルドにとって、厄介な相手となっていき。

 最近では公然と勝手に、冒険者パーティーに拠点の移動を強いてくる有り様。



 〔ちゃんと報酬を払い『拠点を変える』と、いう依頼を出してるわ〕


 〔くそっ…約束通り半年だけ、村暮らしをすればいいんだろう!〕


 〔人口の少ない村をめぐって、適当に依頼をこなす。それが『賭け』の条件でだったはずだけど?〕


 〔わかっている!!〕


 勝負に負けて、傷を負っている冒険者がC.V.様の言いなりになっている。それは冒険者ギルドによる、上級冒険者への『優遇措置』を飛び越えて行われ。

 ギルドスタッフとしては不本意だが、違法とも言い難い。『仕官』などの引き抜きよりマシとはいえ、街のギルド支部・・としては、勝手に冒険者を指揮されているに等しい。

 


 それをする理由が、冒険者が一か所に集まり過ぎて、依頼(仕事)を奪い合いにならないよう。各地域の戦力(冒険者)が手薄にならないように、冒険者が活動するエリアを指定している。


 〔みんなの世界のため〕と、いう面があり。盗賊ギルドにバレると悪用されるうえに、冒険者ギルドが防諜で当てにならない。納得できる理由は、たくさんあるものの。

 ギルド職員の感情を逆なでにしている。相談もなく新しい仕組みという横車を押す、忌避すべき越権行為なのは変わりなく。


 


 受付嬢のベルカとしては〔必ず思い知らせてやる〕と、誓っていた。











 混成都市ウァーテル。悪徳の都と陰口をたたかれていたころに比べて、はるかに豊かになり住民の笑顔があふれる。

 そんな都市にも陰があり、過酷な職場がある。


 都市の治安を守る『衛兵』は、その最たるものであり。


 給料が3倍になり、少し広めの『寮』が用意され。装備が一新されたうえに、『訓練』は硬軟を織り交ぜた、適格なものとなり。

 おそらく小国の騎士に近い待遇を、ウァーテルの衛兵たちは与えられている。


 そんな推測を衛兵のバルムはしているが。

 それでもウァーテルの衛兵は、過酷な職場(職場)だと思う。



 「戦姫(C.V.)様がケンカしています!お願いですから止めてください!!」


 こんな訴えを聞いた時、しり込みしているようでは衛兵など勤まらない。速やかに急行して、住民を避難させて。


 「〔シャドウ様っ!シャドウの騎士様っ!

  お願いですから戦姫様の争いを止めてください!!〕」


 「〔『大盾』を借りてこい!私たち衛兵の装備では、あの方たちの暴威を止められない〕」


 「ッ⁉-・⁺・」×2



 住民を避難させながら、戦姫C.V.様たちに聞こえるように、大声で叫ぶ。

 ワンパターンにならないよう、感情をこめて哀れっぽく。


 〔こんな戦姫様たちとハーレムを築いたら、大変なことになる〕と、いう思念?(魔力)をこめて『言霊』を放ち。

 それによって夫・良人を求める戦姫様たちの大半は、魔術バトル(ドン引きするケンカ)を止めて逃散ちょうさんしてくれる。



 恐ろしい視線を向けても、戦姫様たちは『戦乙女』であり。

 夫・良人の最有力候補となるシャドウ・重騎士様たちに、怖れられて怯えられる言動は、色々と台無しにする。

 男としてはイロイロと手遅れな気もするが。彼女たちが良い人をつかまえて、(色ボケして)優しくなったり家庭に引っ込んでくれる。そのことをバルムたち、衛兵はいつも切実に祈っているのだが。


 その祈りが聞き届けられることは、めったになく。



 「大変です、衛兵さん!向こうでケンカが起きています」


 「‥!・なにィ、それは急行してトめないと…

  あとは任せたっ!」


 「…承知した。全員、覚悟を決めろ!」


 「「・・・-・・・」」



 当たり前の話だが、衛兵が『言霊』でC.V.様を制止するのはリスクを伴う。

 そもそも衛兵ごときが、『言霊』でC.V.様を惑わすなど、本来ならば許されるはずがない。


 それでも都市内での騒乱・ケンカ(デート妨害)を嫌う強力(凶悪)なC.V.様が後ろ盾になり。

 〔争いを仲裁するため働く、衛兵は保護すること〕と、いう『お達し』が出されている。


 そのため再起不能となる重傷を、C.V.様が衛兵に与えることはない・・・はずなのだが。

 『下級の竜(レッサードラゴン)』の類を、普通に狩るC.V.様の手が滑れば(がミスをすれば)、衛兵の装備など無きに等しく。


 盗賊ギルドの飼い犬だった衛兵バルムが、光神殿を滅ぼす(心身ともに狂猛な)C.V.様の思惑に頼りすぎれば、待っているのは破滅であり。



 バルムたちは猛獣の争いを止める覚悟で、慎重にC.V.様に声掛けする。


 「お勤めご苦労様です、C.V.様。本日はお日柄も良く…」


 「民の話し声を真似して、私たちを操ろうとは、いい度胸をしているわね。

  当然、バレた時の覚悟もしているのかしら?」


 「もちろんでございます。治安を預かる衛兵として、身命を賭してお二人の争い(ケンカ)を止めさせていただきます」


 「その意気やよし。

  お前たち衛兵をたたきのめして、女の戦いを続けさせてもらう!」


 

 〔興がそがれた〕と、おっしゃって矛を収めてくださる、穏健派なC.V.様ばかりではない。横槍を許さない猛獣(C.V.)は、迷わず『魔力を帯びた拳』を向けて、容赦なくバルムたち衛兵をたたきのめし。


 『Figure(金額データ) オープン!』


 「ッ-⁉」「なっ⁉」


 倒れ伏したバルムの『切り札』を、目の当たりにして硬直する。


 「これは、いったい…」


 「ご理解なさっているでしょう?

  これ以上、騒乱をもたらすならば貴女様たちのシャドウどのに、この『請求書』が回っていく。彼らは苦労人だから、笑って許してくださるでしょう。


  そして自らの余暇を削って、被害の弁済に赴き…」


 バルムの言葉に、C.V.様2人は目に見えて動揺し始める。



 この世界は『ブツリ法則』とやらが厳しく、『魔力』で好き放題はなかなかできない。すくなくとも争いの傷痕・器物破損をなかったことにはできず。

 金・資材に時間をかけて、『弁償』しなければならない。


 まあ”クズ貴族”ならば、平気で踏み倒しにかかるだろうが。


 誇り高いC.V.様、ハーレムの中心にいる旦那様たちが、そんなことをするはずもなく。


 タイミングを見計らって、防具の裏に仕込んだ『見積書・工程表』などを、光文字で『投影』すれば。普通に頭の回るC.V.様ならば、正気に返る(夫への迷惑を考える)わけで。

  


 「この通り私は打ちのめされて、もはや上司シャドウからいただいた『切り札』に、すがるしかありません。

  ここはどうか別の場所で、【穏便】に競い合っていただけないでしょうか」


 「ぐっ…やむをえまい」


 「私たちの負けよ。その顔は覚えておく」



 こうして今日もC.V.様たちの人外バトルは収められたわけだが。いつも、うまくいくわけではない。


 今のにしても、最初から『切り札』を見せて、〔おとなしくしろ!〕と、居丈高に振る舞えば。C.V.様たちは容赦なく、バルムを挟撃してくるし。

 そうなれば『見積書・工程表』の写しを、『光文字』にして仕込んだ上司たちは、迷わず衛兵たちを見捨てるだろう。


 所詮、バルムたちは盗賊ギルドを裏切った、信用ならない『駒』であり。

 〔”虐殺”をすると抵抗が激しくなる〕と、いう『打算』で生かされた存在だ。

 

 よって過酷な衛兵の仕事をこなせなければ、辺境で魔物の『囮』に使い潰され。C.V.様の勢力に不快・不利益をもたらせば、見せしめの”裁判(処刑)”が開幕する。


 混成都市での”厄介な争い”を、何割かの確率でとどめているから、生かされていることを自覚して…・



 『アイシクルトルネード!!』


 「「「・・・-・~・」」」


 先程、衛兵の隊長が向かった方向から、『青白い柱』が出現する。同時に空気が冷えて、小粒の氷が降り注ぎ・・・


 「どうやら隊長の向かったところで、不測の事態(魔術バトル)が発生したようだ」


 「バルムさんっ>?!<」「ちょっと待ちましょう」「そうだっ、ここでの後片付けをしないと…」


 部下たちは〔心底から、関わりたくない〕と、わかりやすく伝えているが。

 盗賊ギルドに飼われていた時に比べれば、今はマシな状況だとバルムは思っており。


 「その心配はないわ」「ええ、誓って騒乱はおこさない」


 「‥・C.V.様たちも、こう言ってくださる。さあ、行くぞ!」


 「「「∼;・+-…;」」」


 ”ブラックジョーク”のような状況だが、これが混成都市の平常であり。

 嫌がる部下たちをなだめすかして、バルムたちは塔のような青白い光へと向かっていった。












 悪徳の都を築き上げ、大陸中の裏社会を支配していた盗賊ギルド。

 その存在は”魔女C.V.”の襲来によって、存亡の危機に瀕していた。


 面子を潰され、情報網を断ち切られ、財貨に至っては”貧者・寄生虫”の烙印を押される。武力(暴力)では遠く及ばず、『魔術』という卑怯な手段を使い圧倒してくる。


 その結果、少なくないシーフたちが逃散・逃走してしまったが。ザノムから言わせれば、愚かな行為としか言いようがない。

 裏社会は一度、足を踏み入れたら逃れられるものではなく。シーフとして盗み、奪い、暴力を開放した時の快感は、決して忘れられない。


 そもそもどんな英雄だろうと隙があるもので。そこ(弱点)を突けば、たちまち破滅するのは、伝承が証明している。

 いかに強者だろうとC.V.は刺せば死ぬオンナにすぎず。そもそも英雄ですらないのだから。



 そんなことを考えながらザノムはアジトに戻り、袋に詰め込んだ『モノ』をとり出し、仲間たちに見せつける。


 「コレが獲物か・・・」

 「「「「・・・・・‐・」」」」


 それは村のガキだった。

 少しばかり身なりのいい。だが一人だけでは、この場にいる盗賊たちの食事代にしかならない、奴隷の候補にすぎず。ヘマをしたり手順を誤れば、即座にシャドウやら冒険者どもが殺到してくる。


 昨今では、あつかうのに慎重にならざるを得ない、人身という『モノ』だった。

 それを胡乱な目で見る部下たちに、ザノムは檄を飛ばす。


 「いいかっ!”奴等(シャドウ)”どもは”偽善者”でハンターだ。英雄様でも、貴族でもねぇ…実力があるから、えばっていられる」


 「「「「「・・・-・」」」」」


 「だったら有象無象どもに、実力を疑わせてやればいい。ヘマをさせて、大言を黙らせて、面子をつぶす!


  そうして勇士の化けの皮をはがして、やろうじゃねぇかっ」



 ザノムたちが村から子供をさらったのは、そのためだ。


 今頃、村では〔子供がいなくなった〕と、大騒ぎしているだろう。そしてガキの救出を役人か冒険者に頼むだろうが。

 この子供が助け出されることは、絶対・・にない。それによって子供を愛する親は、悲嘆にくれ。そのうちの何人かは、夢から醒めて気付くだろう。


 〔この世にヒーローなどいない〕と、いう事実を知り。無念を訴え叫んで、その声が”奴等シャドウ”を責める声に変わるまで、時間はかからない。

 そういう風に誘導するための『酒毒・タバコ』は、皮肉なことに”奴等”のもたらした平和で、増産されており。


 心の隙間を埋める(侵す)、手練手管を持つ業師・策士は活躍の場を求めている。



 「”奴等”が立っているのは所詮、砂上の楼閣にすぎん。

  一つのしくじりで、”魔女”から見捨てられれば、あとは破滅するのみだ。


  そうしたら再び、悪徳の都は復活する!!」


 「「おおっ!」」「そうしたら…」「「・・・^~^」」


 人は一度得られた富を、失うことに耐えられない。耐えたとしても、すさまじい屈辱を感じる。

 『悪徳の都』で財貨を得て、勝手気ままにふるまった時のことを、シーフたちは忘れられない。そんな連中にとって、かつての栄華を取り戻すのは、既に宿願と化しており。


 ザノムは、そのことに全てを賭けるつもりだ。



 『ミミックラヴァ』


 「っ!!‐?」


 しかし、その執念に『赤い色』が降り注ぐ。


 「「「「「ギャ∼ァァァアアアアアアア」」」」」


 部下たちの絶叫が耳朶をうつのに、逃げられない。跳びあがれず、脚が動かず、走れない。


 「ァァァァ*aaa;アアアアアアアア」


 醜い悲鳴が響き渡る。その叫びが、自分の発したモノだと理解した時、ザノムの視界に『赤い塊』が見えて。

 さらって気絶させた子供だと思っていた『モノ』が、鍛冶場の炉の中のごとく、赤熱の光を発しはじめ。


 〔このっ!バケモノがぁ‥〕


 心で叫ぶものの、身体は『本能』を優先する。

 未知に恐怖して、全身から脂汗を流し、生き延びるべく逃走を試み。


 「ひぃ;・」


 ザノムたちの脚が靴・ブーツごと赤熱して、床に『接合』されている。『粘液で接着』などという、生やさしいものではない。

 『地獄の業火』が、ザノムの下半身を炙り、脚を床を『接合』し。それから恐怖をあおるように、アジトの床を赤色に染めていって・・・否、順番なぞ正確なところわからない。

 

 〔もしかしてさらったガキが、『呪われアイテム』だったのか?〕


 そんな推論を今さらしても、この地獄が変わることはなく。『呪われアイテム』は武器・鎧や宝石の類で、ヒトの形をとっているはずなく


 「このっ/-/**イ、イダぁ;」「「;+・・*・*」」

 「ど、ドコだっ!妖術師が姿をaアアア*;+」

 「ヤメろォ~~∼~*∼;」


 〔何故だっ、これほどヤバい『モノ』があるなら、ウワサの一つも、一ツモ、ヒヒっイ;*-〕


 ザノムの冷静な思考が、痛みの狂気によって、侵蝕されていく。あまりの苦しみに両脚をナイフで切り落とそうとする奴がいるが、そんなことをしても無駄だろう。


 その思考を最期に、ザノムの視界は全て真っ赤に、染まっていった。













 異種族と交流するにあたって、『認識・度量衡どりょうこう』は極めて重要な情報だ。


 一例をあげると。


 人間にとっては大魔法でも、C.V.様からすれば『狼煙』みたいなものだったり。

 並みの魔術士にとって『100』は全魔力だが、1000万の魔力を持つC.V.様にとっては『爪の先』を放出したにすぎず。

 そもそも攻撃魔術をほぼ無効化するC.V.様にとって、『アイシクルトルネード』を攻撃だと認識すらしていない。


 C.V.様のいさかいをとどめる衛兵は、まずこういう理不尽に見舞われ。

 彼女たちの『暴威ケンカ』が止まるかは、運試しの要素が強い。




 「やあ~、ごめんねー

  (こっちの)人間の世界のことは、よくわからなくて。


  これは、ほんのお詫び。みんなで楽しく飲んで、忘れてくれると嬉しいかな」


 「・・・-—・」


 しかし諍いを止められたからと言って、平穏が訪れるかは別問題であり。

 バルムたちは歓楽街で、何故か接待を受けていた。



 〔いったい、どうしてこんなことになったんだろう?〕


 バルムは胸中で首をひねるも、答える者はおらず。

 彼の周りでは、同僚・ケンカをした連中や巻き込まれた者たちが、楽しく酒色におぼれていた。


 仕方なくバルムは、この騒ぎを起こしたC.V.様に問いかける。



 「あの~、ウィルニス様。

  どうして我々を歓楽街に連れてきて、酒をおごってくださるのでしょう?」


 「ウィルニスでいいよ、バルム(衛兵)さん。

  私なんて、どこにでもいる勇者()で世間知らずの『メロウ(半人魚)』にすぎない。


  街中で危険な術式(アイシクルトルネード)を『呼び鈴』代わりに使ったんだから。いっそ投獄してくれれば、よかったのに魔王君ハーミュルズの『外交関係』で無罪放免になってしまう」


 「はあ…」


 〔・・;‐—>*<(ブンブン、フルフル)⁺・:ー・・・(ノォーーーー)


 

 とても殊勝なことを仰るC.V.様ではある。

 だがバルムとしては〔いっそ貴族のように傲慢にふるまってくれれば、イロイロと助かる階層の存在だろう〕と、思っており。


 背後で百面相と(顔をひきつらせ)ジェスチャーをする、シャドウ様の存在が確信をいだかせる。



 「役人である衛兵が、民草ワタシから『お礼』を受け取るのは、”賄賂”になる。

  それは立派な考えだけど、迷惑をかけた勇者役としては〔はい、さようなら〕と、いうわけにはいかない。


  だから偶然、盛り場でパーティーを開いて、たまたま歩いている人に()奢る。そうすれば”悪徳商人”みたいに、お金で"ずる"をしたことにならない。

  私は、みんなの記憶が『お酒』でトんでくれれば、ラッキーという感じかな」


 「そうですかぁ…」


 〔。!>;<ー:・-!^!〕

 

 〔…・:+#-・+*`・‘ー〕



 かつては退廃的な雰囲気が漂い、華やかながら闇が深かった。

 そんな歓楽の街は、シャドウ様が元締めになって生まれ変わり、笑いさざめく『夢の区画』と化した。


 とはいえ夢を見る『料金』まで、お安く変わることはなく。

 ウィルニス様が、どれほどの『金』をばらまいたか、バルムは絶対に聞きたくなかった。


 聞いてるシャドウ様に元締めの情婦(マリーデ様)が加わり、相当ヤバいことになってるのは、確実だろうけど。



 だから話題をそらすべく、バルムはうっかり尋ねてしまう。


 「ところで、ウィルニスさんの『勇者()』というのは、どんなお役目ですか?」



 神に誓って言うが、バルムは考えなしに問いかけたわけではない。ウィルニス様が、ご自身で自らを『勇者役』と既に名乗っている。 

 〔ならば『役者』や『道化』に近いものだろう〕と、バルムは分析して推測していた。〔『勇者役』というのは秘匿すべき情報ではない(・・)〕・・・と


 そんなバルムに、ウィルニス様は朗らかに答えてくださり。


 

 「ん~『勇者役』というのはね。


  自称魔王とか魔王モドキが悪さをする前に、連中を✖✖に沈めたり。魔王()やハーレムにちょっかいをかける、若者魔王に『拳骨』(ゴッツン)をしたり。

  あとは魔王君が、ちょ~っとだけやり過ぎた時にストップをかける。


  ちっとも聖剣をふるわない、勇者モドキを『勇者役』というんだよ」


 「「・‐・-・―・⁺‥」」


 「へ、へぇ~、そうなんですかぁ」


 まともそうな返事をした、バルムを褒めてほしい。

 聞き耳を立てている、シャドウとマリーデ様は卒倒しそうになっており。眼前で『凶悪邪竜』が酒を飲んでいるに等しい、この状況にバルムも現実逃避をしたくなったが。

  


 「そういう御方を、世間では勇者モドキとは言わないでしょう」


 〔〔〔サヘル様っ;!!!〕〕〕


 そんな状況に対し、歓楽街の主であり面倒見のよい(英傑に等しい)元締め(サヘル)様が、応対にあたる。


 「貴女様が善良なことを疑ったりしませんが。この場は『席』を変えていただけませんか?」


 「仕方ないか…それなら君が。この都市で平穏にすごすため、私に必要なことを教えてくれる?」


 「微力を尽くしましょう」


 ウィルニス様の対応に当たられる、その背中は大きくも輝いて見え。その背中を追いかけて行く、マリーデ様は女主人の威を取り戻し。




 ようやく衛兵の長い業務が終了するのを、バルムは心身で感じ取った。

  


 





 



 ネタバレ説明:『怪奇箱の溶岩(ミミックラヴァ)』について


 火の四凶刃である藤次が使う『怪奇箱の魔導(ミミックゲーム)』に含まれる『複合術式』です。

 

1)刺客・誘拐魔に対抗するため、呪力をこめた『影武者の人形(ミミックドール)』を作り。


2)『ミミックドール』が破壊される。結界を準備した部屋に、『ミミックドール』が運ばれる。他に設定した『発動条件』を満たす。


3)発動した部屋の出口をふさぐように、『炎熱の結界箱』が展開される。床が高温を発したり、『火球』がふりそそいだり、バウンドする。トラップハウスから処刑部屋など、様々な『炎熱の結界箱』が展開される。


4)捕らえた相手を始末する時は、『溶岩ラヴァ』が流れるなど、火山地帯のようになり。〔怨念を利用して呪っている〕と、装ったホラーハウスを併用する時もある。



 完全にホラーな『呪術式』であり。

 ”誘拐魔”を狩ることに特化した、C.V.リアベルの『キラーゲーム』が、善良に感じてしまう。それほど凶悪に、戦果をあげている『呪術式』です。


 

 ちなみに今回のアレンジは『ミミックドール』を通して、周囲の”誘拐魔”たちを把握し。『高熱化の付与術式』で床と賊の履物を、接着して逃げられないようにして。

 『ミミックドール』を分解して、『禍々しい溶岩』を賊たちに見せて、怖がらせて注意をひき。改めて靴・ブーツに『高熱化』を付与して、脚→下半身と焼いていきました。


 その際、藤次は”誘拐魔”たちが標的にした、村に潜んでおり。村を守るため、アジトから距離があったため、こういう『複合術式』を使いました。



 ”盗賊ギルド”が権力を握るにあたって、”誘拐による脅迫”は強力な手札であり。物理的にイリスが悪徳の都を滅ぼそうと。”誘拐”によって人質を取れば、情にもろい善人()動かして、混成都市を包囲することが可能なはずでした。


 それに対し〔誘拐事件が起きるたびに、対処するのは大変だ〕と、いうまっとうな意見が出され。〔それなら偽人形・影武者を使って、”刺客・誘拐魔”を罠にはめよう〕と、いうところまでは『暗闘』と言えなくもなかったのですが。



 藤次が『旋風閃』とは異なる身体強化で、刺客となる暗殺者ギルドの拠点を次々と滅ぼし。


 〔”誘拐”は未遂だろうと、被害者の評判を貶める。(上下を問わず、ウワサすずめどもが騒ぐから)そして”誘拐犯”に捕らわれれば、無傷だろうと傷物あつかいされる〕と、いうまっとうそうな(・・・)意見を言ってから。


 狂気の所業で、”誘拐団”のメンバーを次々と捕らえ。連中から『呪力』(阿鼻叫喚の)をしぼり取って(地獄を味あわせて)呪われた偽人形(ミミックドール)の『怪談・イメージ』を作り。

 それから芋づる式で、”誘拐”をやらかす連中を炎熱地獄に落とし、”盗賊ギルド”に大打撃を与えたのですが。


 真相は、イリスが使う『名誉を愚弄する魔導(グローリーゲーム)』の効果に便乗して、裏社会での名声(悪名)をなかったことにしてしまい。

 それによって誘拐された人々の『名誉』も、若干?ながら回復させ。


 ”誘拐魔”たちは、連中を憎む被害者がドン引きするレベルで、今も生き地獄を味わっているとか。男女平等に等しく、色町の最底辺に売られたり。裏切り者として、”盗賊ギルド”をおびき寄せる『囮』となって、使い潰されたり。


 『訓練』で、誘拐団の役を演じている者は口をつぐみ。


 『ダミードール』の材料として、生きたまま焼かれて、魂がこの世をさまよっているとか。


 

 『ホラーなウワサ(グローリーゲーム)が流され(の効果)ることで(によって)、”誘拐団”の不安があおられ。あげく、いまだに真実は明らかになっておらず。

 ”盗賊ギルド”も人手不足で、”誘拐”の難易度が上がり、コストが高すぎる・・・というイメージが各国の隅々にまで広まってしまい。


 そうなると”誘拐団”も悪目立ちして、物理的にも次々と殲滅されていく。普通に尻尾切りでイケニエにされ、見捨てられる。



 C.V.のリアベルが来訪した時には、ほとんどの”誘拐魔”が再起不能にされ。四凶刃のダレかは道化を演じて、地下でしょーもない酒場経営を『計画』していたとか。




 以上、『ミミックラヴァ』のネタバレ説明でした。

 そのため『毒矢で効率よく獲物を狩る。集団(人間)の脅威となる、害獣を毒矢で倒す』のは必須事項だった。”毒矢は卑怯”などと言うのは”仲間を犠牲にして、人間を生贄にするに等しい行為だ”と、考えます。


 とはいえ歴史を振り返れば、『毒矢』が悪役・敵国の武装であるのも事実であり。

 『毒矢』を放つ英雄は、『ギリシャ神話』の大英雄ヘラクレスぐらい。芸術・娯楽メディアでヒーローな『ヘラクレス』は、『毒矢』を射ることはありません。


 そして、この事実を無視して〔毒矢はスバラシイ〕などと、私は言う気なく。

 毒矢には”おぞましい歴史”もあると、愚考します。


 古代世界において、『毒矢』は狩りの効率・成功率をあげ。大英雄のように害獣を退治しましたが。

 同時にヘラクレスの悲惨な最期と同じように、『誤用』で破滅をもたらした。


 そもそも『薬』も、まっとうに作れない古代世界で、『毒』の製造・管理がまともにできるはずもなく。”迷信”で”生贄の儀式”をやらかしていた時代に、『毒・毒矢』を製造するのは”残酷劇場”だったと推測します。

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