423.~通行証の活かし方+弓兵シャドウの防衛網:旋矢群
『ゴルイニシチェ』というドラゴンがいます。
ウクライナ・ロシアの伝承に登場する三つ首の邪竜であり。大勢の人を誘拐し、強大な力を持つのですが。
勇士ドブルイニャに1度返り討ちにあって、命乞いを行い。証文まで書いたのに、その約定を破ってキエフの姫君を誘拐した。
その結果、本拠地に乗り込んできた勇士ドブルイニャに、三つ首をはねられて『ゴルイニシチェ』は退治された。
世界中のドラゴン伝承を探しても、特に”卑劣なドラゴン”であり。
策を弄しても、勇士ドブルイニャに全くかなわない、情けないドラゴンの代表格でしょう。
荷物チェックを受けずに、行列に並ぶこと無く。貴族たちと同様に、自由に街へ出入りできる『通行証』を、イセリナは何枚も発行させたが。
それらは提示されることなく。『通行証』を貸与された商人たちは、普通に行列に並び、荷物チェックを受け。少しばかり”詐欺師”を罠にはめることに使われた。
しかし、その狙いは小者貴族に圧力をかけるためであり。
〔小者貴族のせいで、使用を控えていた通行証の『特権』を使うことになった。平民の商人が通行自由の『貴族特権』を使う、”原因”になったと言われたくなくば、おとなしくしなさい〕
こんな『伏せカード』をちらつかせれば、保身と面子が大事な貴族は引き下がるしかなく。寄親の大貴族と既に『契約』を結んでいた、C.V.イセリナは寄子の小身貴族から、さらに譲歩を引き出し。
「この度はありがとうございました。貴女様はヴルザス領の恩人です!」
「頭をあげてください、ヨーセン男爵。私は『契約』に対し、正当な対価を払ったにすぎません」
イセリナは友好的な貴族と会談の場を設け、今後について話し合っていた。
カオスヴァルキリーは、色々と突飛なことをやらかすが。財務官から現在の地位に就いたイセリナは、『秩序』にも相応の敬意を払っており。
既存の貴族たちを、滅ぼしたいわけでもない。
〔C.V.勢力の武力を使い、短期間で”盗賊ギルド”を滅ぼせば、『経済』の混乱も避けられません〕と、ウァーテル侵攻の作戦会議で主張を行い。
準備を行い、根回しを進めつつ、段階を踏んで”賊”を滅ぼしていく。そんな混成都市の『作戦立案』は、イセリナの提案が原型となっている。
そのためリメラ男爵のような愚か者はともかく。
ヨーセン男爵のようにまっとうな貴族ならば、普通に取引を行うし、危難に対して援助もする。
その一例として不作な今年は、ヴルザス領に援助を行った。価格高騰をしていない、平年に近い価格で小麦・食糧を大量に売りさばき。
その代償として、翌年からはヴルザス領の運営に口出しする。
軽い経営アドバイスも行うが。イセリナの農業商談に巻き込んで、育てる作物を指定したり、試作の植物を育てさせたり。
〔別の領地が何らかの危機に陥った時は、ヴルザス領から食糧を送ってもらう〕と、いうウワサを流して”賊”の情報網を混乱させた。
ある面から見れば、『借金』をするよりもヨーセン男爵は、こき使われていると言える。
そんなことをイセリナ考えているとも知らず、ヨーセン男爵からの謝辞は続き。
「作物を安く売っていただいた、ばかりでなく。
当家の顔をたてて、『外交交渉』で作物を入手したことにしてくださるとは…;・:」
「作物を各家庭に行き渡るよう、適切にくばる。そのためには昔から領地を治めてきた、ヨーセン男爵の手腕が必須だった。
その功績を、『外交の手柄』へと転換したにすぎません」
「そのうえ大勢の冒険者を雇って、狩猟・採取を行わせ。
食糧事情を改善したり、”不埒者”に目を光らせたとか・・・」
「必要な場所に、必要な兵力を送るのは、『戦術の基礎』です。
そして補給物資は『蔵』から湧いて出るモノではなく。収穫物を集積することで、用立てるものですから」
だからイセリナは一部の冒険者たちを、『アグリソルジャー』にした。
畑を荒らす獣を狩って、森を切りひらき、農作業の手伝いを冒険者に行わせ。
不作で苦しむ農村に労働力を投入して、活性化を図る。『冒険者の世話をする』という臨時雇用をもたらしつつ、代金の代わりに『補給物資』の一部を、村に提供する。
無論、冒険者は慎重に選定して、金で得られない報酬を用意したが…
「一地域だけで活動する、名ばかり冒険者たちの『脚力・移動手段』も改善してきました。その者たちに便宜を図る代わり、短期間の農村支援を行わせる。
荒事しか知らない冒険者には、良い経験になるでしょう。リーダーとなる者にはメンバーを統制する訓練になりますし。『補給』の重要性を知る機会になれば、幸いです。
それと一部の冒険者には、リメラ男爵領でも活動させていますから。ギルドにたまっている『冒険の依頼』をこなして、双方の領地に利益をもたらします」
「隣領への配慮までしてくださるとは…;」
イセリナの言葉に感動している、お人好しなヨーセン男爵には悪いけれど。
〔リメラ男爵の領地に冒険者を送ったのは、連中の足並みを乱すため〕と、いう謀略が主目的であり。
リメラ男爵領に滞在する冒険者が増員され、それに誰もが満足すればよし。
リメラ男爵が『配慮』に満足せず。それ以上を望んで、『配慮』に感謝している者と反発したり。派遣した冒険者たちに、余計なちょっかいをかけるようならば、イセリナは容赦をやめる。
さすがに”侵略”はしないが、リメラ男爵家の『当主の首』をすげかえる。
そのくらいの権力をイセリナは持っているし。それぐらいしてけん制しないと、”暗愚貴族”とはつきあいきれない。
そんな本音をおくびにも出さず、イセリナはヨーセン男爵との会談を続け。
「何より冒険者の一部には〔引退してから畑を耕して暮らしたい。農村の知識を蓄えたい〕と、申す者たちもいます。彼らの中から人材をスカウトするのもいいでしょう」
「それは‥来訪した冒険者を当家の兵士に召し抱えても…?」
「露骨な戦力増強は、大身貴族に睨まれかねません。
とはいえ引退した冒険者で、教師・教官役を務められる者を雇い入れるぐらいなら、かまわないのでは?」
「ありがたい‥互いに『良い取引』なるよう、交渉させてもらいます!」
こうして会談の時間は穏やかにすぎていった。
『冒険者』:その存在は名ばかりの場合が多い。
野獣が縄張りも持ち、特定の地域でのみ暮らすように。
一か所の拠点で日銭を稼ぎ、同じモンスターを狩っている、冒険者は少なくない。
実際のところ、そういう冒険者は必要であり。地域ごとのモンスターを狩るだけで、領地・居住環境に多大な貢献をしている。
〔命がけで戦う冒険者を称え、感謝すべき〕と、いうのが『正論』なのだが。
残念ながら、世の中は『正論』だけで回っているわけではなく。ニーズに対応してない商売・経済活動は破綻する確率が高い。
さすがに〔全ての冒険者は、未踏の危険地帯に征け!〕と、いう”暴論”は言わないが。
定型作業なクエストばかりこなしても、突発的な事態に対応できない、中の下な荒くれ者しか育たず。
最悪、目先の利益に飛びつき、自らを賢いと勘違いする。半端に実力・名声のある、極めてタチの悪い”悪党候補”が発生しかねない。
そいつらの”やらかし”によって、冒険者の評判どころか、『功績』までもが台無しになってしまい。
聖賢の御方様によって駆逐されている、”盗賊ギルド”の”使い魔”に堕ちてしまわないか?
冒険者ギルドも臨時冒険者も、とっても不安になってしまう、今日この頃だ。
「・・・と、”馬鹿正直”に言ったら、マズイから~
オマエら、ちょっとヨーセン男爵領に行って、働くぞォオオオ‼」
「「「「「‥ふざけんなっ!!」」」」」
「「「・・:*+-・」」」「「「「なめるんじゃねぇ!!」」」」
混成都市ウァーテルの周辺にある、都市の一つイゼルに建つ冒険者ギルドで罵声が響く。冒険者の苦労を知らない、なめきったセリフを吐いた下級シャドウ富久也に対して、荒くれ者たちが制裁を行い。
埃まみれになった不届き者は、ギルドの建物からたたき出された。
「まあ、そんな怒るなよ兄弟っ!落ち着いて話し合おうじゃないか」
「ッ⁺!¿ー!」×12
そして富久也は瞬時に、再び冒険者ギルドへ入ってきた。
あれだけ殴られてもぴんぴんしている。そんな富久也の体力に誰もが驚きつつも、警戒心を高めて注目し。
そんな聴衆を前にして、富久也はおもむろに語り出す。
「このたび、この街には少なくない新人冒険者たちが登録してくる。しかも冒険者としては新人でも、『術者』としては腕ききの女傑だ。
このままだと不毛な『依頼書』の奪い合いが始まりかねない」
「「「「「「「「「「「・~・~ー‐―ッ」」」」」」」」」」」
富久也の話に、大半の冒険者が顔をしかめ。残りの冒険者たちも内心でうなって、動揺を隠す。
何故なら、富久也の言うことが本当ならば、始まるのは『依頼書の奪い合い』などではなく。新人とは名ばかりの『実力者』が押し寄せ、今いる冒険者たちの仕事を奪ってしまう。
〔この場にいる自分たちの『飯のタネ』を奪われ、路頭に迷う〕と、いうことであり。
「無論、新人冒険者がやって来ることで、新たな『依頼』も出されるだろう」
「・:…:・」×8「・・・-・」
「ほう…・」
冒険者ギルドにいる者たちが、話に耳を傾ける中で、富久也はおもむろに口上を述べる。
「誰にでも簡単にできる仕事。
すなわちハーレムを望むC.V.に協力したり、ハーレムで起こる諍いを鎮めたり。マンネリ化する夜の営みを‘・`・:」
「・ー・○・○・」×10
富久也に対して、冒険者たちから真っ白い『視線』が投げかけられる。
その顔には〔聞くんじゃなかった〕と、書かれており。富久也もかつてはそちら側で、気持ちをすごく理解できるのだが。
「ふぅ…・『アクアスケイル』」
「:ッー∼・⁉」
ギルドの扉をぶち抜く勢いで『水属性の術式』が発動し、伸びてくる。
それは問答無用で富久也の首根っこをつかみ、無力化したシャドウを術者の方へたぐり寄せ。
「捕まえました【旦那様】。どうして私のところから逃げ出したのですか?」
「逃げない、逃げ出していないっ!!逃げていないぞエウルア‥俺はただ任務を請け負って・:*;―」
「私が、こんなにも貴方様をオモっていますのに・・・冒険者の皆さんに助けを求めるのですか?」
首根っこを掴む『水の怪腕』の力とは裏腹に、引き寄せた富久也をエウルアは優しく抱擁する。
それなのに抱擁してくる、優しい両の細腕の方からオモい圧力を感じ。
『アクアスケイル』が軽く感じるのは、富久也の気のせいだろうか?
「・・・皆さんは、旦那様から、どんな話しを聞いておられます?」
「⁺、!‐そのっ、新しい『狩り場』があるから、みんなで遠征しないかと…」
「‘:・:`ー・・・」×9
エウルア以外の全員が息を止めて、彼女の反応をうかがう。逃走を試みたものもいたが、冷たい『魔力』の波動に凍り付き。受付嬢と一緒になって、震える者がいる中で『審判』が下され。
「なあ富久也の旦那‥・小細工をしないで、素直にボーナス依頼を出すんじゃ、駄目だったのか?」
「人数分の『報酬』を即金では出せない。狩猟・農作業の手伝いをしつつ、修練を行って、臨時の冒険者ギルドで依頼を受けてもらう。
そんな未知の初依頼で、適正な『報酬額』なんぞわからないからな・・・」
「そうか…そうかもな・・;」
こうしてイゼルの街から、少なくない冒険者たちが旅立ち。
その一部はヨーセン男爵領へと向かっていった・・・・・くたびれたシャドウを案内役にして…
〔哀れな男に、これ以上の負担をかけよう〕と、いう命知らずも、薄情な冒険者もいなかったとも言う。
混成都市ウァーテルは交通の要衝であり、複数の街道を中継しています。
それら街道は一つでも巨万の富をもたらし。それらが連なるとなれば、混成都市には、大陸中の財貨が集まると言っても、過言ではないでしょう。
それでも、あえて重要街道を上げるとするなら。
アムラト河ぞいに建設された、ミトラの街をはじめとする、複数の都市を結んでいるネバード街道であり。
続いてフィーシアス諸島から、別の大陸につながるマンデア海の海路。
そして海岸線と並行に作られ。『海難』を避けたり、沿岸都市に食糧輸送を行うメイザルド街道。
これら三つの道が、都市ウァーテルにとって最重要の動脈であり。大陸経済にとって、生命線と言えるのですが。
その中で、大きな山林もなく、魔物の数も少ない。メイザルド街道につながっているキアーネの街周辺に、突如としてモンスターの群れが湧き出していた。
「『スライム』『ファットナー』『植物系』に『スポーン』まで発生させるなんて・・いったい何を考えているのかしら」
「いよいよ、追い詰められてなりふり構わなくなった・:・」
「何でもいい‥アタイ達にかかれば、敵じゃねえぜ!」
「バカな真似は、おやめなさい…」
「「「「「「姫様っ!」」」」」」
そして、それらモンスターの群れを『獲物』と認識している、C.V.6名が戦支度をはじめるも。
影からにじみ出るように現れた、黒天属性のC.V.リアベルが、猛獣のC.V.たちを押しとどめる。
「このたびは、ご成婚おめでとうございます!!」
「「「「「おめでとうございます、姫様っ!」」」」」
「ありがとう、みんな…これで一族をつなぎ、故郷を再建できる」
そしてC.V.パーティーの仲間とひとしきり再会を喜び合い。『成果』を知って、さらに喜色を浮かべる。
虎・ライオンにジャガーなど、大型猛獣の気配を発するC.V.だけでなく。怜悧な表情を浮かべる、豹・山猫に怪猫など、『妖気』を隠すC.V.まで瞳を輝かせ。
「そういうことでしたら、迅速に”トレイン”の脅威を、打ち払いましょう!
所詮、急造された”邪法の残滓”・・・私たちの『爪牙』をもってすれば、造作もなく・・」
「だから待ちなさいと言ってるでしょう…
私たちがすべきは待機よ・・”邪鬼の類”は旦那様が成敗なさる。
ミトラの街での『迎撃』は終わったから、貴女たちを迎えにきたけど。戦力を求めて、貴女たちと合流したわけではないわ…」
「「はあ…・」」「・・よろしいのですか?」
「混成都市での立場を強化するため‥」「姫様には、お考えがある」
リアベルの言葉に、パーティーメンバーたちは首をかしげるも。もとより彼女たちに逆らう気など、あるはずもなく。
「まあ、ゆっくり旦那様の勇姿を観賞していなさい。
それと『四凶』の意味を知らぬ、”愚か者”たちの末路もね…」
「「「「「「かしこまりました、姫様!」」」」」」
こうして『(誘拐魔への)キラーゲーム』を、かつて使っていたC.V.リアベルは、配下で仲間のC.V.たちと身を隠した。
世の中には一長一短というものがあり。それは魔術の奥義である、『無詠唱』も例外ではない。
術・物事にかけられる『コスト』は有限であって、無限ではなく。
『短縮詠唱・静音詠唱・無詠唱』は速さに特化しており。その分、他の面で劣化・減衰しており。特に『溜め』がないため、威力で劣ることが多い。(聖賢様からすると、『術式干渉』への防御もザル同然だとのこと)
精緻・壮麗にして、広域にまで威力のある『魔術』を無詠唱で放つなど。秀才の目から見ても、『超絶の天才』な存在ぐらいであり。
タクマのごとき凡百の四凶刃では、望むべくもない奇跡の術だ。
「さすがにシャドウの監視を誤魔化すことはできんか‥‐・」
そんなタクマの前方で、厄介なモンスターの群れが『邪導師』に率いられ、進軍を開始しようとしていた。
『スライム』『肉怪鬼』『妖樹・怪花』に『堕とし子』などは、攻撃の軽い下級シャドウたちにとって、相性が悪い。
生命力が強く。中途半端に傷をつけると、『体液』が噴出して病毒の元になりかねない。
そんな厄介な『魔造生物』が群れをなして、大量に出現し。
『弓矢』を主武装とする、タクマにとっても面倒な”連中”が奇声をあげ。
「怪物の群れに蹂躙されるか、『病毒の呪い』によって生き地獄を味わうのか?
気付いて備えたところで、キサマらには二つの選Tぁ/-/・/!¿*…
突然、降りそそいだ矢の雨によって、千匹ほど抹殺される。
「迎撃開始だ…」
タクマは『無詠唱』という秘奥など、全く使えないし。自らが使うイメージすらできはしない。
しかし2人の妹たちは、水の浄化・調整で『無詠唱』に近い術理を、会得しており。
”盗賊ギルド”が水源を汚染する、”卑劣行為”をしなければ。
『聖女』の名など、柄ではないだろうが。今ごろ穏やかに、朗らかに人生を謳歌できたわけで…
〔”盗賊ギルド”の抹殺許可は出された…妹たちの幸せを、一時でも妨げた報いを受けてもらう〕
タクマが蓄え抑え続けていた、憎悪の感情から殺気が噴出する。
”盗賊ギルド”よりも、はるかに凶悪な”四凶”が鎌首をもたげ。自らの”不愉快”を理由に他者を殲滅する、邪悪な弓兵が狙いを定め。
「な*‐n;+/*:‼」
はるか上空に滞空させていた、『妖鐘弓閃』の矢じりが、万の矢と化して降りそそぐ。戦場を瞬時に無慈悲に、”地獄”に変え。
”病毒の災い”を、それ以上の理不尽で『矢じりの変色』に取り込んでいき。
「バ、BA、>ー;k+」
「さて、次の標的はどこにいるやら・・・」
〔コレは、誰に進呈するか・・・やっぱりリアベルの同胞あたりか?〕
殺し、踏みにじった命を顧みることなく。
人でなしのシャドウは殲滅の矢を降らせながら、『呪いの矢じり』の回収にとりかかった。
ネタバレ説明:『旋矢群』について
山なりの軌道で飛ぶ『矢』を、『風術』によって操り。
つむじ風の中を泳ぐように、『飛妖蛇』のように複雑な軌道を飛ぶ、『旋矢』の大量射出が『旋矢群』です。
タクマが下級シャドウのふりをしていた時は、『曲射の狙撃』を複数回にわたって行っていた。それなりに『妙技』でありましたが。
幹部の四凶刃に戻って、『魔術の矢・呪い矢じり』を操るようになってからは、凶悪極まりない『矢の雨』をふらせるようになり。
高空に滞空させている『呪い矢じり』を降下させて、『必殺の矢』と化す。
『戦場』を予想して定めることで、その高空に『無数の矢じり』を滞空させて、『備え』ることができる。
『呪い矢じり』にも危険な細工がされており。
人間男性である、タクマの魔力量ではありえない、『魔術の矢』を大量にふらしたり。地脈を利用した『魔術陣の感知』によって、中級モンスターならば狙いを外すこともない。
そもそも屋外の開けた地形ならば、『矢』にトリッキーな軌道を描かせる必要もなく。降下する落下距離が、そのまま『矢』の威力変換される『術式』を、矢羽に施しており。
本来、『矢』の攻撃が通用しにくい、モンスターの群れすら、数秒で壊滅させてしまう。
軍勢・群れにとっては、特効を持っているに等しい戦果をあげる。
『旋矢群』は極めて狂猛な『術式』です。
そんな『ゴルイニシチェ』ですが〔”某大国”にやる事為すこと、そっくりだ〕と、愚考します。
”人さらい”は、物騒な国々・地域で世界中のどこでも行われていますけど。
あそこまで清々しく”約束破り”を行い。キエフ公国?に被害をもたらす、強大な存在は”某大国”に重なると愚考します。
無論、国家間の戦争は『勇士のドラゴン退治』のごとく、勧善懲悪ではありませんし。スピーディーに民間人に被害を与えないで、さらわれた人々を救出することもできません。
とはいえキエフ公国の辺りに住んでる人々は〔”悪辣な邪竜”のように、侵略者が滅びればいい〕と、いう願望を持っており。
〔その願望で、竜退治の伝承を創作したのかな~〕と、推測します。




