417.閑話~宝石の騒乱+ブラックドッグの乙女:ヘビーシュラウド
全ての髪が蛇と化している、『メドゥーサの頭部』
それを絵・像として、製作するのは難しく。掃除・維持管理するコストが高く。事実上の皆殺しを行っている『神話』のため、『魔除け』をイメージするのも、かなり難しい。
そんな『メドゥーサの首』を、『鬼瓦』と同様に建物・屋根の上に設置する・・・〔無理がある!〕と、申し上げたい。
とはいえ『鬼=地獄の鬼』とイメージする人。『鬼』を悪党・外来の脅威と考える文化にとって、『鬼の面』も『メドゥーサの首』も似たようなものでしょう。
そうなると〔『鬼瓦』が魔除けになっているんだから、『メドゥーサの首』も同じように・・・〕と、考える人もいるのでしょうけど。
大陸中の国で、『宝石の輝き』が失われる事件が続発し。
その『灰色の宝石』を所有する権力者たちは、様々な行動に出た。
『宝石』に元の輝きを取り戻そうと、賢者を招き、魔術師に頼る者がいれば。
”穢れた宝石”を所持して、失墜した権威を取り戻そうと、暴挙に出る者が現れ。
そして様々な事情から、精神的に追い詰められ。
”詐欺師”に騙されて、”盗賊ギルド”に依頼を出し。評判のいい貴族が所有する、『輝き続ける宝石』を奪おうとする者たちが活動し始め。
下級シャドウのギンヤは、宰相のC.V.イセリナ様から命じられた、任務に取りかかり。
「『旋風閃・・・』…『重鎌!!』」
「ぐッ∼ゥ・・!/ー*/」×20
「おおっ!」「助かった‥;」「ギンヤ殿っ!!」
悪徳の都を落とした・・・訂正:悪徳の都をイリス様、姫長様の御2人が一夜で陥落させ。最下級シャドウたちが路地裏で”盗賊”狩りをしてた頃に比べ、ギンヤも腕前も上がった。
そうして”山賊”狩りを行い。”山賊・盗賊”の宝を回収し、持ち主に返却していれば、相応にトラブルも発生するが。同時にコネもできるわけであり。
ギンヤは、その時の経験・コネを活かし、今回の任務を遂行する。
〔コネを作った、まっとうな領主貴族を悪党どもから護衛する〕と、いう任務に取り掛かり。
他人様の住居に不法侵入する者は、『旋風閃』の脚力で蹴り飛ばし。
”詐欺”を仕掛けようとする者は、不幸な事故にあわせてから、穏やかに尋問を行い続け。
そうして集団で”強盗”を行おうとした連中は、標的となる屋敷の私兵に防備を固めさせ。連中が襲撃を仕掛けるタイミングで、ギンヤは背後から強襲を仕掛けてやった。
「おのれぇ~‐ー、魔Jぉ*;/*」「ギャp*;—*」「/*/‥*;・」
「発言には気をつけるがいい。
確実に即死するならいいが、運悪く生き残ると”悲惨”なことになる」
「「「「「・・・;-・…」」」」」
ギンヤの忠告に、襲撃者たちは硬直する。
どうしようもない死の予感に震え。既に戦闘の主導権を握られている、戦況に顔を引きつらせる。
実際、『目印』に向かって飛ぶ『風の刃』、『重鎌』の発動条件が整った時点で、”強盗”どもは詰んでおり。
『目印』となる傷・ダメージを『旋風閃』でつけられた、連中はもちろんだが。『目印』にめがけて飛ぶ、『風の刃』の進路に立っている連中も、『ダメージ+目印』の両方を負うこと必至であり。
「待たせたなっ!」
「こっちは片付いた‥残りにも引導をくれてやる!」
「「「「「:・!‘・`-…・」」」」」
そうしている間に、シャドウの班がそろい、『術式』の連携が始まった。
『『夜露をしのぐ、家屋に踊る旋風の舞
水が流れ陽に照らされる、大地を翔ける風の息吹
双頭の竜がふるう、爪より鋭き斬閃となれ 双竜爪!!』』
「「「「「ギャa*ーーーーー!;!」」」」」
「「「「「「「「グッ-/-/*;―」」」」」」」」
そこからは一方的な殲滅だった。
一人が牽制を仕掛け、一人がその反応を見て、敵の実力を解析し。その情報を活かし、ギンヤが敵集団を『旋風閃』の高速機動で、切り裂いていく。
それにより”強盗”たちが防御を固めても、命がけの特攻を仕掛けてこようと。
『双竜爪』にとって、ちょうどよい的であり。
大地にそって飛び、建物・家屋を破壊しない『風の刃』は、”賊”どもの脚を切り裂き。転倒した連中の全身を切り裂く。
そうして脚を斬られた”賊”は逃げられず。身体の重心も崩れて、攻撃することもままならず。
「今だっ!皆で一気にとどめを刺せ‼」
「オオォーーー!!」×30
半ば無力化した”強盗”どもを、ギンヤは警備兵たちに攻撃させる。
そうして領主貴族たちに花を持たせられるほど、ギンヤたちは余裕があった。
貴族にとって『伝統』は極めて重要なことです。
平民にはない『歴史』で圧倒し。『伝統を守ってきた』と、いう『歴史』を学び、貴族は『知識』を蓄える。
『伝統を守る』ことによって、先祖の知識を活かし。『伝統』の通り行動することで、自信をもって迅速に動ける。
だから小さな田舎貴族であるメイハート家でも、これまで『伝統』を大事にしてきました。
しかし、そんなメイハート家に変化が訪れます。
〔”悪徳の都”から逃げた””盗賊ギルド”どもが、”山賊”と化して領内を荒らしています。
どうか山賊討伐に、ご助力ください〕
そんなことを告げる使者によって、メイハート家は変化を余儀なくされました。
「山賊の宝は、討伐した者が所有権を得る。ギンヤ殿たちは、宝を自分のものにしないのか?」
「報酬ならば主君から、充分にいただいています。
それに山賊の宝で、富を築いても”賊”の標的にされるだけですから」
「ふむ…道理だな。
しかしメイハート家は伝統を守って、山賊の宝を所有させてもらう」
「助力をいただいている、シャドウとしては異論ございません。
貴家の伝統を尊重いたします」
「とはいえ〔悪銭身に付かず〕とも言う。
だから兵士への恩賞、諸々の経費を差し引いて、残った分は混成都市の大商会に預けたい」
「賢明な判断に、敬意を表します」
父上とギンヤ殿とで、短いやり取りを行い。
それを境にメイハート家は、混成都市とよしみを通じ。
”盗賊ギルド”の隠し財産を、持ち主の貴族に返すことに、協力したり。
多様な人材交流を重ね、大都市に集まる『最新情報』を、預けた資産の『利子』代わりに伝えられ。
そうして今回も〔宝石の輝きを保つには、『契約』に誠実であらねばならない〕〔輝きを保つ『宝石』を狙って、”刺客集団”が襲来する〕と、いう情報が伝令によってもたらされ。
宝石を狙う”強盗集団”を待ち伏せして、多大な戦果をあげ。
ギンヤ様たちのC.V.勢力に、完全に所属してると認定されるようになり。
メイハート家は伝統を破る、必要に迫られた。
「さあ、ギンヤ殿。好きなだけ、召し上がってください」
「グラスが空いていますわ。お注ぎいたしますね」
「…どうも」
『輝きを失わない宝石』を狙って、押し寄せた”強盗団”を撃退し。
領主であるメイハート家の屋敷で開かれた、戦勝会は少し異様な雰囲気に包まれていた。
「あの~私の連れは、どこに行ったのでしょう?」
「お二人なら、婚約者が既にいるとのことで・・同じような立場の者と、別室で酒宴を楽しんでいますわ」
猛獣を捕らえるような、挑戦者の気概を発し。同時に外交相手への礼節を失わないよう、慎重に言葉を選んでいる。
そんな異様な雰囲気の部屋で、メイハート男爵家が出せる、精一杯の豪華な晩餐がふるまわれ。
〔味がわからねぇ‥いったい何を企んでる?〕
「いかがでしょう。ギンヤ様の仰る通りに、ズゥサ子爵に『財宝』を渡してきました。
これは、そのささやかな成果です」
「・⁺・ああ、いい味わいだと思う。
これから、もっと『取引』が盛んになればいいな」
「ありがとうございます!私も、もっと頑張りますね!!」
”山賊”から取り返した『財宝』を、メイハート男爵家を通じて、各地の貴族に返却する。
言うだけなら容易だが、前例のない、伝統が通じない『外交』の連続であり。
〔もっと、財宝をよこせ!〕〔混成都市に内通する気かっ⁉〕
〔余計なことをせずとも、山賊討伐くらい我らで行えた!〕
感謝どころか、罵声を浴びせられることも、珍しくなく。
派閥のしがらみから、なかなか礼を言えない、貴族ならマシだと言えた。
もっとも、それも最初のうちだけであり。
〔『宝石の輝き』を取り戻したいなら、○□△をすればいい〕
〔無理に『宝石』を磨かないで、『+<◆な香油』を塗れば、輝きを補える〕
〔当家は、これからゴメス男爵の領地に向かいます。『財宝』の対価というわけではありませんが。貴家の特産品を販売する、許可をいただけないでしょうか〕
『財宝』とともに、『輝きのかげった宝石』に関する秘密情報を渡し。
さらに仲の悪い貴族家に対して〔財宝のお礼替わりに、商売の制限を撤廃してください〕と持ち掛ければ。
「ほとんどの貴族が、取引に応じてくださいました。
『宝石の輝きが喪失した』件に対処するため、どこも物入りになりますから」
「それはよかった。
互いが喜ぶ、『取引・契約』が盛んになることこそ、聖賢の御方様の望み。
配下として、メイハート男爵家の助力に感謝する」
一夜にして『宝石の輝きが失われた・陰った』という異常事態は、その『宝石』を所有する貴族の『面子・資産』にまで、多大な影響を及ぼし。
その対策を練るため、貴族家のトップが直接、話し合いを行うとなれば。旅行費だけでも、支出を増大させるわけで。
対策の内容によっては、湯水のごとく財産を浪費することになりかねない。この状況で、まっとうな商取引は、どこの領地も歓迎して当然だった。
「そんな水くさいですわ。
ですが、ギンヤ様がお礼を告げてくださるなら、【お願い】を聞いていただけます?」
「『お願い』かぁ~∼‥あまり無理な内容は困るんだが」
〔いよいよ、来たか!〕と、警戒するギンヤ様に対し、メイハート家の令嬢であるリアニスは、にこやかな笑顔を見せ。
「実は最近、『一目惚れ』をしたお友達ができましたの。
ギンヤ様に、ぜひ相談に乗って欲しくて…お友達を紹介させてください」
「えっ…」
その言葉が終わる前に、扉が開けられ。黒髪の野生的な美女が、ドレスをまとって入室してくる。
「面と向かって、御会いするのは初めてになる。
我が名はフェリミア・ウルバー。6級闇属性のC.V.にして、魔王軍・黒霊騎士団に所属する、黒犬の騎士C.V.だ」
〔いったい、何が起こっている?オレの身分なら、まず婚約者を決めて‥いや、お見合いからか?:*〕
そんな風に動揺をあらわにしている、ギンヤ様に内心で謝罪しつつも。
令嬢リアニスはにこやかな『笑顔』を浮かべ、胸中で恨み言を告げる。
〔今さら商業・軍事の『外交条約』だけで、メイハート家と交流を続けられるなどと、思わないでください。
貴方様には、絶対に私とも婚約してもらいます。それが私の誘いを断り続けた、貴方様への意趣返しです〕
こうしてメイハート家の伝統的な婚姻パターンは、一時的にお蔵入りした。
カオスヴァルキリーという種族がいる。
通称C.V.と言われるカオスヴァルキリーは、『魔力』を知覚でき、『魔術文明』を持ち。他種族の文明が持つ長所を、自らの『魔術文明』に取り込む連合種族であり、戦争種族でもある。
そんなC.V.にとって、最も使用者の多い『魔術』は『身体強化』だ。
身体スペックをシンプルに強化できるのに加え。
『五感』を強化して、敵性存在の奇襲に反応できる。魔境の過酷な環境を、とりあえずでも乗り切り。何より様々な『魔術の反動・負荷』にも耐えられる。
単純に戦闘力を上げられ、種類の多い脅威に対抗できる。そんな『身体強化』の『魔術・魔術能力』はC.V.種族に重宝され。
C.V.種族が『次代を育む』ことに、影を落としている。
『完璧な生物』の中には、生殖能力が失われるタイプもいるが。
そこまでいかずとも、身体能力を高めることに注力しすぎて、『色欲』が低下してしまう。ゾウ・サイやムササビなどのように、身体スペックが極めて高い代わり、『繁殖能力』が低下した獣のごとく。
『身体強化』を追求しすぎて、心身両面から『次代を育む』ための能力が低下したり。
〔それなら問題解決に努力すればいい!〕と、安易な素人考えで『色欲』をこじらせる、大問題が発生している。
一例をあげると。
一目惚れは、ただでさえトラブルのもとなのに、『嗅覚』で2キロ先から殿方を分析し。『関係』を迫りたくなってしまう。
今まで〔恋愛なぞ興味ありません〕と、いう態度だった騎士C.V.が、半ば暴走してしまう事件が発生し。
〔私は大丈夫で、冷静だ。黒霊騎士として礼節を守り、まっとう貴族殿に仲介を頼み。がっついていない女騎士として、挨拶もできた。私は安全な淑女だ〕
相棒のシェリンは頭痛をこらえながらも、応援してくれるとのこと。
重要な『魔導能力』を持つ、ミスティル様は隠し城砦にこもってまで、フェリミアを後押ししてくれた。
〔まあシャルミナ団長も、魔王様とお過ごしになる夜は…(けっこう暴走気味というウワサが流れているし)〕
〔黒霊騎士の何人かは、(慕情?が)燃え上がるのを止めたほうが、トラブルが大きくなってしまうから・・・;+〕
こうしてフェリミアはギンヤ殿に求愛を行い。
〔主筋の聖賢様、シャドウ一族に話を通すべきだった〕と、気付いたのは色々と過ぎて、一夜が明けてからだった。
〔いかがでしょう、この蜂蜜酒を使えば、たいていの作物が美味しいオツマミになります。それによって・・・〕
〔そんなっ⁉食べ物で『流行』を作るというの!:?;〕
〔そんな気はないわ。蜂蜜酒で味付けをして、作物の『生産調整』を行う。不作・豊作の両方で苦しむ、農家に支援を行うだけよ〕
〔そういうのを『流行を作る』と言うんじゃないかしら〕
そんな風に楽しい夜をすごし。
人間社会も、夜の作法も、男性シャドウの事情も、ロクに知らない。
C.V.フェリミアにとって、非常な有意義な時間を、朝まですごし。
「何者だキサマはーーー!
我らを勇者テスモドの一行と知って、ここにいるのかぁ!!」
「せっかく、楽しい徹夜をしたのに、『掃除』をしなければならない。
戦の場に立つ者は、ままならないな」
メイハート家が治めるシギュンの街から、だいぶ離れた街道の山あい。
そこでフェリミアは招かれざる客を迎えていた。あるいは交わらない『言の葉』を垂れ流す、独り言をつぶやいていると言うべきか。
「この地を収めるメイハート男爵は、”魔女の都”に魂を売って、内通した。
身の潔白を主張するなら、おとなしく…」
自称勇者の”戯言”を聞き流しながら、フェリミアは獲物を観察する。
昨日、襲ってきた”強盗団”と比べ、だいぶ実力は上なようだ。
しかも何らかの”催眠”をかけられ、『瞳の色』が濁り。身体からは剣呑な魔力反応が『透視』できる。
”強盗”に続けて、”勇者モドキ”を送り込んだ指揮官は、なかなかに凶悪なのだろう。この連中がギンヤ様を討ち取れなくとも、街に侵入して破壊行為を行えば。
魔王様の元側室候補、黒霊騎士で結婚願望を持つ同僚、シャルミナ団長の喜ぶ時間など。諸々の『次代を育成する』ための努力が、後退しかねない。
無論、昨夜の【楽しい時間】など望むべくもないだろう。
〔おっと、今は目の前の敵に集中しないと〕
不毛な争いを止め。戦姫・術者のC.V.だけで、技量を競い。
『蜂蜜酒』を造ることも含め、農作物で料理を楽しむ。わりと気楽に弁当でも作り、難しい料理はリアニスの家人たちに任せ。
「黒犬の”魔女”よ!いかにキサマとはいえ、勇者パーティーにはかなうまい。
今なら慈悲をかけ…◎+*ー-―…ー●
「邪魔だな・・ー・『ヘビーシュラウド!!』」
「「「「「「◎⁺*ー-―…~:」」」」」」
「「「「グ◎*+!-‐—」」」」
フェリミアの身体に『魔力の加重』がかかる。鍛えられた体幹に加え、獣の身体能力まで併せ持たないと耐えられない。
人体を圧死させる『魔力の重圧』が、フェリミアを覆いつくし。
「おっと・・地面がへこんでは、街道の整備代がかかってしまう」
フェリミアは余裕をもって、街道の地面に『硬化の付与』を行う。それによって地面がきしむ『音』が止まり。
「+◎*ーッ」×15
実力のある勇者パーティーが、『着衣への加重付与』によって圧死する。
フェリミアのように、空気・装備に全身にいたるまで、『負荷』をかけていたわけではないが。
”賊の捨て駒”では、『鍛練用の術式』程度で致命傷になるようであり。
「旦那様を見つけて、『魔力』があがったとはいえ。まっとうな人間の前で、『魔術能力』を使うときは、気を付けないと」
もう少し『感知能力』を上げて、手加減しないと嫌われてしまう。内心で怯える正室とハーレムを形成しても楽しくない。
「とりあえず、この骸を街道からどかすとしよう
『ブラックドッグ! ガルム‼ ベアスレイヤー!!
交錯の時に爪を研ぎ、牙をあわせ・・血族に仇なす害悪を狩れ
トライアドタスク‼!』」
長年、フェリミアが蓄えていた『魔力の塊』が、『術式』によって分解されて、細胞レベルで身体を作り変える。
それは『結婚』の準備をするため、生命を育む人間女性に近い、身体に変性する『儀式』であり。
昨晩までのフェリミアが可愛く感じる、『暴虐の騎士』へと変成する。
一生に一度だけ使う、オモい『まじない』の発動だった。
ネタバレ説明:『ヘビーシュラウド』について
本来は着衣に『重さ』を付与して、トレーニングを行う。衣服に『荷重の付与』を行っても、体幹がぶれないよう、修練を行う際に使われる『術式』であり。
中の下レベルの者が『筋力トレーニング』に使ったり。『魔性の鎧』をまとう練習に、この『術式』を使っていました。
名称も『アーマープレリュード』『パワードビギナー』というのがあり。
この地を訪れた黒霊騎士たちなら、『昔使っていた初歩の修練を行う術式』にすぎないのですが。
『魔力量』が増大したフェリミアによって、事実上の”抹殺術式”になってしまい。
『ヘビーシュラウド』を回避・対抗できない。あるいは『ヘビーシュラウド』がもたらす加重を、ものともしない、『身体強化』が使えない。
そういう敵は『ヘビーシュラウド』の加重によって転倒し、呼吸もできなくなります。
一応、言い訳をさせてもらうと。
『特攻』を仕掛ける敵が、市街地に侵入すると被害が出るため。脚・移動力を封じて、敵を討つ必要があったため、『ヘビーシュラウド』を使用したのですが。
後述の『身体強化』を使うまでもなく、今までの『身体強化』で”偽勇者”を瞬殺できた。
8割がたフェリミアが『魔力チェック』を行うため、『ヘビーシュラウド』は使われました。
以上、『ヘビーシュラウド』のネタバレ説明でした。
『トライアドタスク』のネタバレ説明は、次回に行います。
しかし『昔話の恐ろしい鬼』と『鬼瓦・鬼の面』は、かなり異なる存在だと愚考します。
昔話に出てくる恐ろしい『鬼』。それは地獄という『死』のイメージであり。『死』をもたらす疫病・犯罪や戦乱の類です。
昔の人々は、それらに対抗する術がなかったため。『鬼退治の昔話』を作ることで、恐怖をまぎらわせた。
はっきり言えば、地方どころか『都』でもロクなことがなかった。貴族の時代は『昔話』にすら”✖肉喰い”があり。金・権力を持っている上位の貴族たちですら、『病の治療』は加持祈祷に頼っていた。
これで下級貴族たちが、まともな治療を受けられるはずがなく。その下は、推して知るべし。
さぞかし恐ろしい『鬼・魑魅魍魎』が跋扈したでしょう。
『石化能力』で殲滅を行い、『形のない島』に住まう。『メドゥーサ』に通ずるものがある、『鬼』と言えますが。
こんな危ない存在を、貴人が見上げる『屋根』に、設置できるはずもなく。
そんなことが可能なら、”鬼の首を切り落として、屋根の上に・・・”と、いう気持ち悪い昔話が、巷にあふれるでしょう。
『鬼瓦・鬼の面』の鬼は、昔話が無い『鬼』だと愚考します。あるいは『昔話』を作るわけにいかない、『祀られた鬼』と言うべきでしょうか。
あくまで『海外』と比較してですが、日本はわりと『異教』に寛容なほう。”異教徒皆殺し”は、そんなにしないほうだと愚考します。
そうして『土着の神々』が『鬼・妖怪』として扱われたり。あるいは”虐殺・騙し討ち”の類をやらかした勝者が、祟りを鎮めようと敗者を祀ることもある。
そういう『死・地獄』のイメージとは異なる『鬼』が、『鬼瓦・鬼の面』となっていき。歴史・昔話からは、ほぼ抹消された存在の残滓が、寺社の屋根でにらみをきかす。
それが『鬼瓦』であり。異なる勢力の間で、それなりに【和解】もあったと期待したい。
皆殺しの『メドゥーサの首』、無慈悲に殺していく『災厄な鬼』などと〔一緒にするな〕と、申し上げたい。
今回で、『鬼瓦』≠『メドゥーサの首』に関する、コラムは終了です。
お読みいただいた方、ありがとうございます。




