407.閑話~炎熱の村暮らし:炎熱C.V.の下位術式
メドゥーサ・鬼瓦に関する、よもやま話は今回、お休みします。
『忍者』が使う『忍術』は、虚実様々であり。後年の創作忍術も多々あります。
そんな中で、今回取り上げるのは『兵糧丸』について。
各種、栄養素が含まれた、保存食であり。戦場で食べる、丸形の兵糧です。
さて文明において『食糧を保存できる』と、いうのは革命に等しい案件であり。『瓶詰』から『缶詰』へと発展した『食糧保存技術は、戦場・航海を変えた』と、言っても過言ではありません。
そのため『一粒で一食になる兵糧丸』があれば、〔戦場の兵士たちもずいぶん助かった〕と、思うのですが。
明治時代はともかく、江戸時代後期の歴史を読んでみると。
私は『兵糧丸』の効能は、疑ってかかるべきだと愚考します。
シグルスの街に住まう、ザリウス子爵家が治めているノーグ村。
その村の村長であるロイクは、ユングウィル様の一行に屋敷を明け渡し。
ユングウィル様が滞在している期間だけとはいえ。ロイクは家族を引き連れて、村の空き家に引っ越しを行った。
「…なあ、親父。なんで、俺たちが屋敷を出て行かなくちゃならねぇんだ?」
それは村の最高権力者の地位から、失墜したかのようであり。引っ越しの手間もかかる、物心両面で惨めな大仕事と言えた。
それに対し、ロイクが言うべきことは一つ。
「愚息よ・・お前は『算術』をできないのか?」
「はあっ⁉計算だって・・?」
「そうだ・・単純な『計算』だ…」
どう見ても冒険者パーティーより、高い装備をまとい。使用する『魔術』は洗練され、領軍などより強力な戦姫たちを引きつれている。
ならば領主貴族をもてなすように、村をあげて歓待すべきだが。
それをすれば、村が破産する。
〔ならば屋敷を明け渡すしかない〕と、いう単純な計算をロイクは行ったにすぎない。
そもそもノーグ村にとって『冒険者に依頼する』『冒険者ギルドに、依頼料を払う』と、いうのは大きな負担であり。『依頼料を分割して払う』と、いうのは負担を軽減する、大きなチャンスと言える。
「もっと正確に言えば、『依頼料を分割払い』するにあたって、”暴利”がかからないか。
ギルドスタッフが”横領”をやらかす、悪党でないのか?
村長一族として見定めねばならん」
「それはっ・・」
「そのために屋敷を明け渡し、金のかかる『接待』を仕掛ける。
少しでも貸しを作り、意表をつきつつも、ギルドとの交渉を有利にすすめるのだ!」
権力の世界は綺麗事ではすまない。それはノーグ村の村長一族も同様であり。
村人を支配するため、村長は『ボスネズミ』であることが望ましい。
村長は『読み書き計算』を学ぶことで、情報面で有利に立ち。日々の暮らしに、やっとな村人をコントロールする。
けっして村人が、捕食者にならないよう。
村人の成長を阻害して、住人の数を制限し。村の秩序を乱しそうな者は、幾ばくかの金を握らせ、旅立たせた。
山賊・モンスターに対抗する資金を稼ぐため、人に言えない”金策”も行った。
そんな後ろ暗いことを抱えている、ロイク村長にとってユングウィル様たちは、村の秩序を乱す存在でしかなく。
かと言って財力・人脈に武力で勝る、彼らに一介の村長が逆らえるはずもない。
「だから屋敷を貸して、少しでも借りを作る。ギルドと取引をするのは、村長の役目だと村中にアピールする。
そして広い屋敷でケダモノのごとく『励んで』もらい、村への干渉など忘れてもらえば儲けものだ」
「おい、オヤジ…いくらなんでも、そんな都合のいいこと、あるわけないぞ」
「当たり前だ・・〔儲けもの〕と、言っただろう。
だがユングウィル殿たちは善良で、村に探りを入れている(不向きな仕事をしている)状態だ。
大きな屋敷を貸されて、その管理をするだけでも、大変だろう」
「それは、まあ…確かにな・・・」
ある意味、これはチャンスかもしれない。お人好しな冒険者ギルドの使者をあしらい、村長一族の力を高める。
そういう貴重な体験を、跡継ぎのイスローにさせ。成長を促す、良い機会になるかもしれない。
そんなロイクの思惑は、大半が外れることになる。
村長の屋敷を借りる、明け渡される。
それはユングウィルにとって、外交上の敗北に等しく。
〔強制的に屋敷を徴収する”権力者”〕〔夜に騒がしくした”非常識”〕
こんな風に、他者から後ろ指をさされないよう。村人たちに最大限の配慮をして、威圧しつつも利益をばらまく、駆け引きをする必要に迫られた。
そんな思案にくれる、ユングウィルの聴覚は聞きなれない『響き』をとらえる。
『壺の酒をすすりし、堕ちた火竜 玉座より転落せし、愚かな毒蛇
水を呑みつつ、酒杯に舌を伸ばし かがり火の影で、魔杖に絡め
出でよマンダート!!』
一言か無詠唱で『魔術』をふるう、創魔導士が呪文を唱える。
その力ある言葉によって、『火炎を帯びた大蛇』が屋敷の中に出現し。
「「「「t/y:u*-ーーッ」」」」
小動物の悲鳴と足音が、屋敷のそこかしこで響く。
そんな中で炎熱C.V.たちが、容赦なく『火術』を発動して、生物のいない静寂をもたらし。
〔借りた屋敷の中で『火炎』を放てば、”火事”になるぞ〕と、言う暇すらなく。
ユングウィルたち以外の生きものは、屋敷から焼滅させられ。
「まずは大掃除をしましょう」
「先に調理場に『付与』をかけなくていいの?」
「掃除は私たちでするから、フリスは『ヘスティアゲーム』をかけるといい」
「屋敷に『防犯術式』も、かけておきたいですわ」
「・・・・・借りた屋敷を勝手に『改築』する気か?」
炎熱C.V.たちの勢いに押されつつも。ユングウィルはダメもとで、〔制止〕するセリフを吐き出す。
凡人なギルドスタッフにとって、『報連相』は最重要事項であり。せめて鎌首をもたげている、『火炎大蛇なマンダート』をどう使うかは、早急に知りたいところなのだが。
「家屋に『魔力付与』を行うだけですから。屋敷を去るときは、焦げ目一つなく元通りになります」
「さすがに他人様の屋敷に、初めての作業はいたしませんし。
『フレイムレジスト』の術式を薄くかけてから、『炎熱付与』を重ね掛けして、私たちの臨時拠点を作る。
その技術は、既に完成されています」
「わかった。そこまで言うなら任せる」
「お任せください、ご主人(様)!」×5
こうして村長の屋敷は、彼女たちの情熱によって、『臨時拠点』へと魔改造されていき。
ユングウィルは炎熱C.V.たちへの理解を深めていった。
例えば『火属性C.V.は感知能力に劣る』と、いう情報があるが。
それは鋭敏な感覚を持つ、偵察兵なC.V.と比較してのこと。
『ファイアレンズ!』
「T*y;u∼-ー/-」
『生物の熱量』を視認できる、フルルは壁越しだろうと、獣を見逃すことなく。
『フレイムレジスト』をかけまくった屋敷は、『ファイア』系統の術式では延焼しない。それは彼女たちが遠慮することなく、『攻撃魔術』を撃てるということであり。
その結果、ネズミどころか羽虫一匹すら、屋敷に侵入すれば『炭化』する。
『消し炭』として掃き清められることになり。
ユングウィルはさらなる『事情』を知ることになる。
「私は『魔力量』で、いくつか無理を押し通せますし。
フリスとフルルは、互いに『魔力を還流』させることによって、他所からの『魔力』を効率よく取り込める。
食事・燃料から、充分に必要量の魔力を吸収できますわ」
「ほほう・・」
「ところが、フレイシアとフィニーの2人は、自力で魔力を吸収する『効率』が悪く。
生命維持・軽い戦闘ぐらいは問題ないのですが。身だしなみを整えることまで、手が回りません」
平民・清貧な貴族たちは、めったに入浴などできない。川で水浴びをしたり、濡れた布で身体をふく。
そしてフラミアたちにかぎらず、火属性C.V.は対抗属性の『水』が苦手であり。川の冷水に身をひたすなど、論外もいいところ。
濡れた布で身体を清めるのも、火属性C.V.にとって苦痛に近く。
「私の『火炎妖蛇』は、『耐水』をかけたり、『火勢』を増幅することはできますが…
やはり〔『フレア』によって、身を清めたい。屋敷ぐらい広さのある『臨時拠点』で、遠慮することなく『フレアパーティー』を浴びたい〕と、いうのが誰にとっても本音ですから」
「なるほどな…そういうことなら、今後の事も考えないと」
「よろしくお願いしますね、ユングウィル様」
フラミアは話しつつ、『熱い魔力』を指先からユングウィルに流し込む。それは血潮のごとく、彼の全身をかけめぐっていった。
ノーグ村において、支配階級は男たちだ。
村長は男、兵役・労役にとられるのも男性、農地を耕しているのも成人男性たちの腕力と言える。
そんなノーグ村において、女戦士たちの武力を背景に、開墾を行ったり。
村の集会で話し合うことなく、『畑』をごくつぶしに分配することなど許されない。
〔ああ、認めよう。俺は嫉妬している。女たちを侍らせ、村長一族よりも勝手ができる、ユングウィルという奴がねたましい〕
そんな自己分析ができても、イスローは止まれない。取り巻きの男たちを連れて、イスローは開墾を行っている場所に赴き。
『フレイムネイル‼』
『ファイアビート×10』
「・・・ー・」×10
品のよさそうな女戦士が、『赤く染まった鍬?』を地面にたたきつけ、大きくえぐり。
その光景を目の当たりにして、顔をひきつらせた連中が、羊のごとく従順に農地を広げていく。
体勢によって『赤い光』が見える身体は、あり得ない速さで開墾を行っていき。その先頭を『赤く染まった鍬』が上下に動くのは、まるで魔物が移動するかのようであった。
「おや?もしや『開墾』を手伝いに、来られたのですか?」
「いや、その…」
「フィニーの『魔力』は余っていますから・・休憩の後に『身体強化』をかけましょう」
〔違うっ!そんなことをしに来たんじゃねぇ‼〕と、イスローは怒鳴りたかったのだが。
『鍬』が赤く染まっているのは『血』のせいか、魔術なのか、灼熱で赤化しているためなのか?
詳細を尋ねる時点で、もう恐ろしく。えぐられ、ひっくり返された『大量の土』が、女戦士の強大さを明確に知らしめた。
「いや、『開墾』の様子をうかがいにきただけですから」
〔この場で勝ち目はない。後日に策を練って、圧力をかけよう〕と、イスローは瞬時に決断を行い。数ページだけ読んだ戦術書のとおり、戦略的撤退を決める。
「そうですか?確かに未知の事柄に対して、観察は大事ですからね…
それなら私も魔力に余裕がありますし、少し身体を動かすとしましょう」
「いいわね!
この村に来て『魔力が強化』されたから、今の自分を知りたいと思っていたところよ」
「とはいえ休憩中に激しい模擬戦をしては、作業にさしさわる。
軽く『組手』だけしましょう」
「・・;+:…」×10「・・:・;+」×5
〔開墾を侮るな!〕〔どれだけ体力があるんだよ…〕
〔魔力か・・魔術で好き放題ができるのかっ⁉〕〔男のプライドがぁ・・;〕
女戦士二人のやり取りを聞くイスローたちの前で、『朱色の陽炎』がゆらめく。
後日、『その陽炎は、火属性の洗浄術式にすぎない』と、いう情報を得るも。
現時点では『恐ろしい闘気』にしか見えず。丸腰だろうと彼女たちが、イスローたちの戦力を上回っているのは、確定事項であり。
〔暗がりで、大人数で、丸腰のところを・・・〕などという、『姑息な戦法』でワカラセル気は失せていった。
『ファイアナックル!』
『ファイアフィスト‼』
「「「「「ーー--;・;・」」」」」「・-・⁺・*ー」×5
「「「「「*~;+…ーーーッ!」」」」」
『組み手』という表現が完全に”詐欺”な、暴力の嵐が吹き荒れる。
『火球』が飛び、『陽炎』がゆらぎ、『猛火』がうずまく。そんな『魔術戦闘』の中で、女戦士二人が拳を交錯させ、蹴りを放ち。
どちらが、どちらを焼いてるかわからない。”怪物の戯れ”がイスローたちの『心』を、容赦なくへし折りかかり。
「『魔力』は増えたけど、騎士団の『デュラハン』には、遠く及ばないわね」
「今はまだっ・・・だけどフレイムの『魔術能力』を高めていけば…」
〔・・;・*・もっと強い女戦士がいるんですか?〕
村長候補の教育で身につけた『読唇術』が、イスローに恐ろしい事実を知らせてくる。
〔『コレ』で丸腰、二人だけで”これ”、もっと強い存在がいる〕と、いう”ロクでもない情報”が、既に折れた心を、粉みじんの灰塵へと変えてしまい。
「見学だけでは、やっぱり退屈だ。休息が終わり次第、お前ら手伝うぞ!;!」
「「「「おうっ‼」」」」
イスローは冒険者ギルドの使者に媚びて、迎合し、従うことにする。
それしかノーグ村が存続できる。イスローたちが生き延びる、可能性をイメージできなかった。
カオスヴァルキリーという戦争種族がいる。そして同時に魔術文明をもつ、女系種族がいる。
『魔王』など、わずかな例外はあるものの。C.V.は、ほとんど女性しか産まれない種族であり。
そして大半の者が、自らの『魔術属性』に人生を左右される。
「私たち炎熱C.V.は、人間と結ばれるうえで、大きなハンデを抱えている。
料理メイドが使う『釜戸女神の魔導』によって、少しでもその不利を軽減してほしい」
「ええ、わかったわ」
『火属性の魔術』は、戦闘でこそ『火力』が有用ですが。
依存しすぎると、敵の『耐性術式』に対抗できず、詰んでしまう。
狭所で毒・可燃ガスをばらまかれると、味方まで巻き込みかねない。
さらに平時には、無駄飯ぐらいに近く。
『開墾』では”失火”を引き起こし、狩りでは『隠形・感知』が下手で獣に逃げられる。『鍛冶・調理』で火属性が活躍できたのは、昔の話であり。
今は『設備・燃料』で製造を行った方が、質・効率の両面から良い製品が造れる。
〔もっとも、これらに関しては戦闘で手柄を立てれば、払拭できるのだけど〕
”戦争狂い”の連中と同じことを言うのは、不本意ですが。
この世に争いがなくならないかぎり、『火属性C.V.』が活躍する場が消失することはなく。高い攻撃力で敵勢力を討ち取ることにより、平時の負債は返済できる。
そんな”お花畑な思考”ことを、フリスも考えたことがありましたが。
〔私の体温が高すぎるって…;・;〕
〔人間は、そんなに水が必要なの?〕
〔ウッ、ウッ、ウッ、・;・ー・シクシクシク〕
魔力が低く、身体の大半が『水分』で構成されている。人間の男性と火属性C.V.が、結ばれて次代を育むにあたって、『体質・文化』の差異はイロイロと隔絶しており。
寝床で急所が火傷しかけた時は、誇張でなく大惨事になりそうでした。
もちろん『霊薬・儀式』を使うなど、対策はありますが。コスト高なうえに、日々の熱情を鎮めるには、全く足りず。
〔火属性から成長して、『天属性』に昇華すればいい‼〕
〔・*・言い残したいことは、それだけですか?〕
〔スミマセン…〕
軽口が言えないほど、炎熱C.V.たちの故郷は追い詰められた。
そんな時にシャドウ一族の藤次様が、いくつか解決策を提示くださり。危機的な状況を抜け出せて、文字通り狂喜した者も大勢いました。
「ノーグ村への干渉は絶対に成功させてみせる・・・」
ユングウィル様のハーレムで、確固たる地位をつかみ取りたい。
フリスは固く誓って、『ヘスティアゲーム』を発動させた。
ネタバレ説明:炎熱C.V.の『下位術式』について
実戦では使えない。平時も火事の原因になりかねない、微妙な『術式』であり。無詠唱で使えますが、黒霊騎士クラスのC.V.には全くダメージを与えられません。
せいぜい訓練・研究目的で使われる、『術式』なのですが。
『耐火の結界』をはった、屋敷内で使ったり。反発を抱いている村人を威圧するため、今回は使用されました。
内容は以下のとおり。
『ファイアレンズ』
視覚をとおして、『発火能力』モドキな術式をふるいます。
『赤外線の感知』と連動しており。壁を透過して、ネズミやGを焼き殺していました。
乱用すると視力が下がり、眼病にかかりやすくなる。
狙いを外すと、失火の原因になってしまい。『耐熱・耐火』の処理がされた場所でなければ、危なくて使えません。
『フレイムネイル』
『火炎のバックラー』をサイズ調整して、端を鋭く研ぐ。それを鍬・スコップに重ねて付与し、土を削る効率を上げます。
『火炎のバックラー』を付与した分、鍬・スコップが重くなり。『身体強化』で変な力をいれると、道具の『柄』が折れるリスクがあります。
『ファイアビート』
攻撃力アップの『身体強化』をかけて、開墾を効率よく行います。
ただし使用に制限があり、一定範囲の『結界内部』でしか使えない。今回だと、開墾するスペースでしか使えません。
さらに複数人にかける場合、身体能力が似通っている必要があり。前衛・後衛ぐらいステータス差がある場合、強化がパッとしないならマシ。
前衛と同じくらい身体を酷使させられた、後衛が疲労で倒れてしまう、リスクがあります。
『ファイアナックル』
一見すると格ゲーのように、拳に炎をまとっている。
さらに小さい『火球』を複数、発生させて操る優れた『術式』に見えますが。
実際はボクサーグローブをつけているように、拳を『火球』で包んでおり。
武器を持つどころか、他の火術も使えなくなる。『パンチドレーニングになら、使える?』という欠陥術式であり。
戦闘時に武装する炎熱C.V.たちにとって、完全にネタ術式です。
『ファイアフィスト』
ガントレット、レッグガードをつけるように、『火術式』を腕・ひざ下に付与します。
一応、防御力があり。上記『ファイアナックル』の『火球』を防ぎやすくなりますが、普通に防具を使えばいい話しであり。
身体中央の急所も覆えていない。根本的に防御力に難のある、低性能な術式と言えます。
組みついて、絞め技を使う時などに使用すれば、相手に『火炎ダメージ』を与えられますが。炎熱C.V.にかぎらず、C.V.全体でレスラーの数が少なく。
今のところ『火炎ダメージ』を、実戦で与えたことはありません。
以上、炎熱C.V.の『下位術式』に関するネタバレ説明でした。
『一粒で一食になる』と、いう素晴らしい効能が『兵糧丸』にあるならば。
明治時代の以降に、〔『兵糧丸』は『缶詰』と、戦場食の座を争っていた〕と、愚考します。
あるいは江戸時代の『飢饉』に対策するため、〔『兵糧丸』を製造・備蓄の一つもしていい。むしろ、してください〕と、考えます。
しかし、そのような話しは一切、聞いたことが無く。
幕末に渡米した『咸臨丸』の乗員は『味噌を持って行って腐らせた』と、いう面白エピソードがある有り様です。
そのため『兵糧丸』の保存性は疑わしい。
残念ながら、競合食品を駆逐するスペックは、期待できないと愚考します。
とはいえ飢えが身近にあった、戦国時代の兵士にとっては御馳走だった。あるいは過酷すぎる任務に就いた、忍者にとって貴重な栄養源だった。
そして現代科学にも『偽薬効果』と、いうものがあり。〔この薬は効果がある〕と、いう思い込みが薬の効能を上げる、心理があるわけで。
〔兵糧丸を食べれば、一食分の栄養になる〕と、いう思い込みが、『飢えという病』をいくらか癒した。私はそんな推測をしています。




