405.閑話~炎熱の村+フクロウの観察:ヘスティアバイザー&ドリーム
今回も頭髪ネタです。不快な思いをする方は、読まないでください。
歴史映画・コミックや絵画などでは、描写されませんが。
『権力者たちの頭髪が、全員フサフサしてる』などというのは、ねつ造レベルのファンタジーだと愚考します。
加齢以外にも、高熱・服毒に『頭部への衝撃』など。
毛髪がなくなる理由は、いくらでもあり。戦争もふくめ、血みどろの争いをしていた古代世界において。全員の『頭部が無事』などということが、果たしてありうるでしょうか?
とはいえ、その事実を突きつけるとシャレにならない。無礼打ちですまない、争いになりかねず。神官様が『祝福』したり、絵で記録を残す人は『忖度』したと愚考します。
その『証拠』と言うには、アレですが。
ある地域・時代に描かれた『下位の悪魔・天使』を見比べると。『禿げ頭な悪魔』が圧倒的に、多いのは明白であり。
ロクでもない邪推をせざるえません。
もっとも治療と称して、全ての歯を抜いたり、水銀を飲ませるような時代です。深く追求するのは不毛どころか、有害であり。
歴史上の人物たちが、『豊かな頭髪』を生やしているのは、適切な処置だと推測します。
ノーグ村に住む若者カイト。
彼にとって『冒険者ギルドの職員たち』と、いうのは初めて目の当たりにする、不思議な存在だった。
男一人を女性5人が囲んでいる。
行商人より立派な服を着たユングウィル様に、様々な『都の装い』に身を包んだ美女が付き従っている。
「ありゃあ、いったいどういうことだ…」「依頼料の取り立てに来たらしいぞ」
「取り立てにしては、装いが立派すぎるが・・・」
「あれだけ女をはべらして、借金のかたに娘を連れて行くのか?」
こんな風に様々な憶測が流れ。カイトたちにとって、ユングウィル様は不気味な存在だったが。言動・態度に『身だしなみ』に至るまで綺麗であり。
〔身分の高い貴族様が、お忍びで来られた〕と、いう意見が村の大勢を占めた。
そもそも金持ち商人のボンボンだろうと、村人の命を左右できる権力者であり。役人より上かもしれない存在に、無礼を働く自殺志願者などいない。
そのためカイトも含め、村人全員がユングウィル様たちを警戒し。
そんな来訪者に対応してくれる、村長への信頼も上がっていったのだが。
「●⁉・・誰だっ、ここでいったい何をしている!!」
「冒険者ギルドに務めている、ユングウィルという者だ。
依頼料の支払いを待つ代わり、ちょっと実験・・試験?・・試しをさせてもらいたくてな。
もちろん、ロイク村長の許可はもらっている」
「・・・●ー●…・」
それは奇異な光景だった。
昨日まで立派な服を着て、村長の家でもてなされていたお偉いさんが、シャツとズボンだけの姿になり。鍬をもって、荒れ地にそれを振り下ろしている。
そして、それぞれ剣と盾を構えた女性2人が、お偉いさんをはさんで立ち。周囲に、にらみをきかせていた。
そんな三人を、困ったように見つめるメイドさんが一人。魔術師?の杖を持ち、何を考えているかわからない女が一人
さらに地面に円を書いて、その上に土をこねて『釜戸』を作り始めるメイドさんがいる。
〔偉い人の考えることは、よくわからん〕
そんなことを考えつつ、カイトたちは距離を取り。
「村長!あの人たちは、いったい何者なんだっ!!」
「あの人たちは冒険者ギルドのお偉いさんで…」
「そんなことを聞いているんじゃねぇー―ー」
滞在3日目にしてノーグ村の住民は、ユングウィル様たちから目を離せなくなっていた。
『消火の水を打つ、熱気の炎 小さな清浄にして、欲望の室
糧をもたらす釜戸の焔は、灰に眠り、煙に映り
虹焔の命脈と共に日々を数える ヘスティアゲーム!!』
「「「「「おおぉーー・ー:⁉」」」」」×5
『土で作った臨時の釜戸』・・・そう表現するには立派すぎる、『釜戸』が五つも並び。
それぞれに火が点けられ、煙を噴き出し。美味しそうな匂いが、村中へと漂っていく。
「フリス・・いったい何を作っているんだ?」
「せっかくノーグ村に来たのですから。料理メイドとしては、村に伝わる伝統料理を教えていただきたいですけれど。
安易に金銭を払っては失礼ですし。ささやかながら私も料理を作り、料理レシピを、交換させていただこうと考えました」
〔〔〔〔〔ささやか・・?〕〕〕〕〕
カイトたちが見たことも無い『五つの釜戸』から、想像できない勢いで『煙』が噴き出す。
だが、それらはけっして不穏なモノではなく。村人の注目を集め、期待の熱気を高めていき。
「ふむ、そういうことな⁺
「ああっ⁉ですが、皆さんは農繁期で、お忙しいはず。
急に〔『伝統料理』を教えてください〕と、言われてもご迷惑でしょう」
「「「「・・・-‘・`」」」」
ロイク村長の言葉を聞いてないかのように、フリスさんが棒読みで話し出す。
それに対し、お仲間が何か言いたそうだったが。事態は彼女を中心にして進行していき。
「そうだなぁ、そういうことなら俺より『鍬』を上手にふるえる人・・・長男や家長は忙しいだろうから、次男・三男たちを集めて『競技』に参加してもらい。
『競争』で優秀な成績をあげる、『家』を選ぶとしようか」
「「「「「・~・…・ッ」」」」」
「火属性のC.V.として、『競技』を見て、競技者を讃えるのは望むところ。
それはよい提案でございます、ユングウィル様。」
こうしてノーグ村で、初めての運動?競争が始まった。
「まずは一勝!俺の勝ちだな」
「「「ぐくっ…」」」「そんなっ、街暮らしのボンボンなんかに・・」
「ご馳走、食べられないの…」「もう一度っ、もう一勝負だ!!」
街で暮らし、農作業などしてない肉付きの若旦那が、勝利を宣言する。
その結果に、ノーグ村の住民たちは誰もが悔しがり。子供たちは涙をため、負けたカイトたちをにらむ者すらいた。
そんなカイトたちに聞かせるよう、リーダー各らしき盾持ちの女性が、よく通る声で語りかける。
「やっぱり『ヒートマッシブ』の術式をかけたら、常人ではかないませんか・・・武術の訓練で、ユングウィル様は鍬振りの練習はしていましたし。
今の競争はノーカウントにすべきでは?」
「「「「「「「・-:`・ー・!」」」」」」」
そんな救いの手を差し伸べるフレイシア様に、村人たちは心の中ですがりつき。誰もが大きくうなずいたが。
「フレイシア…そんなこと、できるはずがないだろう」
若旦那は容赦なく、提案を拒絶する。
「勝負・賭けは一回、一回が真剣勝負だ。
結果が気に入らないからと言って、やり直しを認めたら。それは勝負ではなく、ガキが駄々をこねているに等しい。
たとえ『ルール』の詳細を聞かず、俺の状態を確認せず。『初めてのゲーム』を調べるため、練習試合を要求するなど、ゲーム戦略すら知らない。
そんな村人の弱みにつけこんだ、”卑怯卑劣”の恥ずかしい勝利だろうと。
勝ちは、勝ちだ」
「「「「「・・・-?・:」」」」」
「とはいえ、そんな勝利では、俺もわりと恥ずかしい。
そこでだ・・・今日の一勝は一勝として、後日に数回の勝負を行う。その勝負に真剣に取り組み、俺に総合的に勝ったのなら。
今日の食事代はサービスしてやろう」
「それは、つまり…」
「今夜は、ささやかだが『宴』を開こう。
ただし酒はノーグ村のほうで、用意してもらうからな」
若旦那の言葉を聞いて、村中から歓声が上がる。
同時に準備していたかのように、エプロン姿に着替えた姉さんたちが、それぞれ『釜戸』に向かい合い。
「初手は私が・・『山菜とキノコのスープ』を召し上がれ」
「二番手は私かなっ?・・炙り肉を、刻んだ根菜とドレッシングでからめた『前菜』をどうぞ」
「三番目は私が・・・『スープ』のおかわりをよそい」
「料理メイドとして、私が蒸し料理を仕上げます・・・(蒸し料理は不得意なので術式を使い)
葉物で肉をくるみ蒸した、こちらは薄いタレをかけて『朝食』にどうぞ…」
「実際は三番手だけど、私が『肉串』を焼くわ!・・・火の妙技に、感嘆するといいわ;」
「締めは私が・・・とにかく適温を保って煮崩れしない『肉入り麦粥』で満腹になりなさい」
「ガツガツっ」×??「ハグハグ」×??
「うまい、ウメェ、美味しい」×10
ノーグ村で食べたことのない。行商人からも聞いたことのない、大御馳走がふるまわれる。
それはモンスターの脅威にさらされ、生活苦に陥ったカイトたち村人に活力をもたらし。
心に大きな隙を作った。
〔申し訳ありませんが…ぜいたくな味は、粗食に不満をいだかせ。『肉』を求めて、無謀な狩りをされては困ります。
ずるい手段を使って、申し訳ございませんが。今夜の宴は、夢幻の中に忘却してください〕
〔自分だけ悲劇のヒロインのつもりかしら。魔女役なら私の担当よ〕
〔ハーレムを作るのだから、『料理の可能性』は私にとって重要ではない…
この村も含めて、意地でも幸せになってもらうために・・燃料は私の…〕
赤い髪の姉さんたちが、何かを話し合っている。
悲しげで、微笑み、照れくさそうな『声』が聞こえ。熱気を感じて、カイトの意識は眠りに誘われ。
『重い油脂は、朝食に不興を奏で 大過の熱は、昼食の後に眠りを誘う
ならば夕闇の釜戸は幻となり 夜の宴は酒精の夢にて、幕をおろす
ヘスティアドリーム!!!』
何かの呪文を聞いて、気持ちよく眠りについた。
美味しいものをたくさん食べる、よい夢を見た次の日から。
カイトたちは『耕し・鍬振りの競争』を騙った、土地の『開墾』に駆り出されていた。
「依頼料の分割払いに、『利子』をつけられたくなくば!
土地を開墾して『農地』を獲得して見せろ!!」
昨日は何ともなかった、冒険者ギルド職員の声がうるさく聞こえ、反発したくなる。
それでもカイトたち次男以下の男たちは、権力者の指示に従い。
「こちらは疲労をやわらげる糧食になります。どうか昼食代わりに召し上がってください」
水も用意したメイドさんの笑顔が、何故だか泣いているように見えた。
ノーグ村から少し離れた深い森の中に、2人分の影がたたずみ。
夜のとばりが下りた樹上で、彼女たちは『観察』の結果を議論していた。
「何というか・・・涙ぐましい光景ね、志乃美…」
「まあ、村人に多大な迷惑をかけるよりマシでしょう、木乃美姉さん」
〔〔ゲームの運営・センスは低いと思うけど〕〕
胸中での意見を一致させた2人の名を、木乃美と志乃美と言う。
双子の姉妹であり、侍女シャドウであり。それぞれ『梟』と『コノハズク』の『使い魔』を操り、夜間戦闘を得意とする。
『中級シャドウの中でも上澄み』と、言っていい。
『感知による戦闘』を行うシャドウたちだ。
そして”怪物誘導”に関する、『人材・知識』を処分する猟兵でもある。
直接的にはモンスターの群れによって、都市に住む人々を襲わせ。その進路上にある集落・農村の住人や旅商人たちの”惨殺”は、ノーカウントにしている。
(実際のところ、怪物の群れを完全に殲滅するのは不可能に近く。撤退・離散した魔物一匹でも、集落・旅人にとって脅威であり。それらに対応できないシャドウ一族も、大きな顔はできないですが)
間接的には『食糧生産・流通網』の破壊によって、食料不足・物価高に陥らせて”飢餓”をもたらす。
それら悪夢な連鎖によって最悪、戦争・紛争を引き起こし。屍体の種類によっては、疫病をばらまくこともあり得るとか。
〔そういうわけで木乃美ちゃん、志乃美ちゃんの2人には、”怪物誘導”および『怪物暴走』を警戒する。危険極まりない、監視要員の任務を命じる。人員・設備に関しては、これから増員するけど。
予算はボクのお小遣いから・・・〕
〔・・いけません、姉上!!〕
〔・・・とりあえず支度金を渡しておくけど。
何もなければ|閑職になってしまうから《状勢を維持するため》。狩人・山村の住人や冒険者と『連携』することは、オイオイやっていくから〕
〔〔かしこまりました、聖賢の御方様!!〕〕
こうして木乃美と志乃美たちは”怪物誘導”に対応・・・を単独で行う実力はないですが。
上級シャドウがモンスターを殲滅するところを観察し、記録を取り。
周辺の村に影響がないか、『遠見』で観察したり。夜間に村へ忍び込んで、異常がないか調べる日々を過ごし。
山の向こうからでも『火属性の魔力』を感知できた、ノーグ村を偵察すべく。
普段は使用を禁じられた『遠見』の術式を使って、木乃美は農村のプライベートをのぞいたが。
「旧態のC.V.様が、冒険者ギルドと協力するのは、うまくいってるようね」
「”旧態”などと言っては、失礼よ志乃美。火属性のみの編成で、私たちの『視線』にも気付けない。
(C.V.様にも)何らかの『外交・権力争い』があるのでしょうけど。
そんな編成で”賊”の闊歩する、この地に来訪した。彼女たちには、それなりの敬意を表すべきよ」
未知なる魔境へ赴く冒険者パーティーは、様々な職種の者たちが集まって、編成される。
様々な事態に対応できて、脅威との『相性』の悪さで壊滅しないよう。最低でも『未知』に慌てふためき、詰んでしまわないよう。他の職業と交流して知見を広められる、多様性を重視したメンバーで編成されるのが必須であり。
人間の世界で、次代を育成するC.V.パーティーも、それは同様であり。
そういうC.V.パーティーにおいて、単一のよりによって『火属性』というのは〔編成を失敗した〕と、言っても過言ではなく。
侍女シャドウとしては〔炎熱C.V.班が暴走もしくは壊滅したら、後始末をしなければ〕と、考えて備える。それとなく注視する、案件の一つですが。
「村の気配は落ち着いているし。『魔力』が駄々洩れとはいえ、不穏な感じはしない。しばらくは静観してよいと思うは、シ*ぉ*‐/」
「木乃美姉さ‘*;//」
言葉が途切れ、口腔から泡が漏れ出る。
そして『使い魔フクロウ』と二つの人影は、樹上から落下していった。
「やったか!!」「小娘どもがぁ…思い知れ!:!」
「騒ぐな…喜ぶのはとどめを刺してからだ」「「「・・⁺●ー・」」」
歓喜のざわめきを発しながら、黒衣の”賊”たちが殺到する。
そろそろ長くなる混成都市と”盗賊ギルド”の争いにおいて、やっと上級シャドウを討ち取れた。
その歓喜を抑えることなく、”黒衣の賊”たちは倒れた塊に刃を突き立て。確実にとどめを刺しつつも、遺体を傷つけすぎないよう急所を切り裂き。
「…⁉*!」×3
『『魔梟鳴峰』』
背後から投げられた刃によって屠られる。
『風刃』・羽根を模した『ダーツ』が飛びかい。振り向いた”賊”どもの左右から、木乃美と志乃美が挟撃を仕掛け。
無音のうちに、半数以上の”賊”を討ち果たす。
「バカなっ‥確かに手ごたえはあった…*/B:p//g*~」
「いかん、退避D`d*ャbbb~p」
『シャぁアアアッ∼―~‐~ーー‼』
”賊”たちの疑問に答えるよう、刃で切り裂かれた二つの塊が液化して合わさり。
半透明な蛇体と化して、2人の”賊”を瞬時に呑み込む。悲鳴はないものの突然、訪れた溺死の恐怖によって、その表情は絶望に歪み。
『もう、捕虜の数は充分かしら』
『いいえ、水蛇にヒトを食べさせるわけにはいかないわ。捕虜は別に取るとしましょう』
舌で言の葉を発しつつ、木乃美たちの『視線』は別の術式を構築していく。
『静音詠唱』と呼ばれる、口舌以外の身体部位で『信号・合図』を刻み、意思を示し。その意思を持って、『魔術』を発動させる。
「ひるむな、殺せぇ/>/ー」「ギぃ!ー?」
「来るなっ、クルNァ/+*/ー」×4「・・+;*-・」×6
『魔梟鳴峰』によって半ば混乱に陥り。同類を刺して狂乱する、”賊”どもを木乃美は静かに見つめる。
黒衣の連中は(おそらく)暗殺者で、厳しい訓練をくぐり抜けたのでしょうけど。
木乃美から言わせれば〔心を殺して”捨て駒”になる訓練をしてきた〕と、いうだけにすぎない。
『まっとうな人間を殺す”捨て駒”として、”組織の首魁”に”賊”たちは消費されてきた』と、いう程度の話しであり。
1000か万の暴威を秘めた、聖賢の御方様に仕えて研ぎ澄まされている。
上級シャドウが”賊”を圧倒するのは、当然の結果であり。実際にこれまでの戦績・数字は、如実にそれを示している。
〔もちろん油断して、情報戦でつまずけば、悲惨な敗北が待っているけど〕
「うぉオオオォォーーー//-**」
『感知能力』に自信をつけ始めた、中級シャドウを鍛えるのにも使われる『魔梟鳴峰』は有用ですけど。
さすがに『夜目がきく』程度の刺客を『結界陣』に誘い込み、四つの感覚を惑わし、かく乱するのは過剰というものであり。
「出てこい”魔女”っ!!姿を現せぇ∼;”卑怯な妖術”を使うな・・*」
「そろそろ”死兵”を育てるのを、やめてくれないかしら。
”魔薬”よりマシだけど、少し『惑わし』をかけると同士討ちを始める。そういう連中を始末するのは、いいかげん面倒なのだけど」
「Gぁアアア*e-;ーーーーー!!+**」
『本当の事』を伝える木乃美に対し、黒衣の隊長らしき者がケダモノの叫びをあげる。
また何か”邪法”を使ったのでしょうけど。急造・突然変異した感覚器は、『過剰な情報』を捕らえすぎて、『魔梟鳴峰』との相性が致命的なまでに悪く。
〔こんな”無双モドキ”をしていたら、『感覚』が鈍ってしまうわね…〕
「/-ー//・!~\-」
とはいえ”賊”を見逃すことで、食料供給をしてくれる村が滅びるのは論外であり。
侍女シャドウの身分で、異動など望めるはずもなく。
木乃美と志乃美は、再び警戒網をしきつつ。
『水那殿の分身』によって、『身代わり人形』を作る、試験運用を再開した。
ネタバレ説明:『ヘスティアバイザー』について
『ヘスティアゲーム』の中で、限定的に『感知・透視』を行う魔術能力です。
結界内にある、鍋・蒸し器などの中を『感知・透視』して、調理に最適な瞬間を見透かす。
食材の温度・変化を『感知』して、美味しい料理を作る情報を得る、『術式』であり。
ただし食材・料理に『毒』が含まれていても。術者がよほど詳しく知っている『毒』でないと、『感知』することはできず。『毒見』には、ほぼ使えません。
そんな『ヘスティアバイザー』ですが。
火属性C.V.のフリスが使っても、水気・液体の変化を『感知』したり。料理の『匂い』から、『味』を分析することが可能であり。
料理に関してなら、『万能な属性』を感知できる。ささやかながらチート能力と、言えなくもないです。
ネタバレ説明:『ヘスティアドリーム』について
『精神干渉』の能力であり。
本来はいくつかの条件を満たし。精神面から料理の味を、増幅する『魔術能力』です。
『祭りの時』『特定の銘酒を飲む』『戦場で飢えている』など。
『ヘスティアゲーム』を使うC.V.術者によって、設定される『発動条件』は様々ですが。
普通は『宴』を盛り上げたり。
食材が少ないなど、調理の不利を補うため『精神干渉』を行います。
ただし今回、フリスが行ったのは『料理の味』を低下させること。
食材・調味料に調理技術など。あらゆる面で劣るノーグ村の『食事事情』に配慮して、フリスたちの食事に万が一にも依存しないよう。
『精神干渉』を行ってでも、『料理の味』を忘れさせる。贅沢すぎる料理を、『半ば夢』だと誤認させて、普段の食事を喜んで食べられるよう。
フリスは『非常手段』を行使しました。
もちろん料理メイドとしては不本意、極まりない『精神干渉』ですが。
〔ノーグ村を復興・発展させる料理を作る〕つもりが、贅沢を覚えて一攫千金を夢見る。街に行ったり、冒険の旅に若者が出て、美食を求められては計画に支障をきたす。
そういう冒険者ギルドの事情を優先し、慌てて『ヘスティアドリーム』を行使しました。
ちなみにフリスの『ヘスティアドリーム』は、『思い出の味』を再現する際に使われることが多く。完全に味の再現をするのは不可能なため。
『精神干渉によって、足りない味成分を補てんする』と、いう目的で使用されてきましたが。
今回は『弱った村人に活力をもたらし、開墾を行ってもらう』ために、けっこう高価な食材も使ってしまい。
『ヘスティアリドル』の料理の感想を知る能力によって、〔村人たちが料理に大喜びした〕のを把握したものの。
それが行き過ぎて、やむを得ず『ヘスティアドリーム』で誤魔化したのが、今回の事情です。
『女神アテナに呪いをかけられた、メドゥーサの髪は蛇になってしまい。見た者は恐怖のあまり、石化する』
この神話が成立するには、条件があり。その条件とは、『蛇と化した頭髪』が生きていること。
『蛇が死んで、メドゥーサの髪が垂れ下がって』いては、恐怖が半減・・・するかは不明ですが。
『垂れ下がった髪に隠れて、石化の邪眼が作用しない』と、いうしまらないことになりかねず。
かと言って『メドゥーサの髪』が、死ぬこと無く活動していると。
『ペルセウスは、いったいどこをつかんで、メドゥーサの生首をかかげているのだろう?』と、首をかしげることになる。
以上のことから『メドゥーサの首』は、あつかいの極めて難しい、『諸刃の剣』であり。
それをあつかった『ペルセウス』も、相応に強力な英雄だったと考えます。
少なくとも『ヒドラの毒血』で破滅した、大英雄に比肩しうる。
〔さすがはヘラクレスの祖先だ〕と、讃えてもいいと愚考します。




