表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヴァルキリーズ・シティ~混成都市ができるまで、あるいは盗賊連合の滅亡記  作者: 氷山坊主
閑話~混成都市の渦+シグルスの模擬戦闘
405/429

405.閑話~炎熱の村+フクロウの観察:ヘスティアバイザー&ドリーム

 今回も頭髪ネタです。不快な思いをする方は、読まないでください。



 歴史映画・コミックや絵画などでは、描写されませんが。

 『権力者たちの頭髪が、全員フサフサしてる』などというのは、ねつ造レベルのファンタジーだと愚考します。


 加齢以外にも、高熱・服毒に『頭部への衝撃』など。

 毛髪がなくなる理由は、いくらでもあり。戦争もふくめ、血みどろの争いをしていた古代世界において。全員の『頭部が無事』などということが、果たしてありうるでしょうか?


 とはいえ、その事実を突きつけるとシャレにならない。無礼打ちですまない、争いになりかねず。神官様が『祝福』したり、絵で記録を残す人は『忖度』したと愚考します。


 その『証拠』と言うには、アレですが。

 ある地域・時代に描かれた『下位の悪魔・天使』を見比べると。『禿げ頭な悪魔』が圧倒的に、多いのは明白であり。

 ロクでもない邪推(反面教師にする)をせざるえません(、一択でしょう)


 もっとも治療と称して、全ての歯を抜いたり、水銀(猛毒)を飲ませるような時代です。深く追求するのは不毛どころか、有害であり。


 歴史上の人物たちが、『豊かな頭髪』を生やしているのは、適切な処置だと推測します。

 ノーグ村に住む若者カイト。


 彼にとって『冒険者ギルド(ユングウィルと)の職員たち(赤髪の乙女5人)』と、いうのは初めて目の当たりにする、不思議な存在だった。


 男一人を女性5人が囲んでいる。

 行商人より立派な服を着たユングウィル様に、様々な『都の装い』に身を包んだ美女が付き従っている。


 「ありゃあ、いったいどういうことだ…」「依頼料の取り立てに来たらしいぞ」

 「取り立てにしては、装いが立派すぎるが・・・」

 「あれだけ女をはべらして、借金のかたに娘を連れて行くのか?」


 こんな風に様々な憶測が流れ。カイトたちにとって、ユングウィル様は不気味な存在だったが。言動・態度に『身だしなみ』に至るまで綺麗であり。


 〔身分の高い貴族様が、お忍びで来られた〕と、いう意見が村の大勢を占めた。

 そもそも金持ち商人のボンボンだろうと、村人の命を左右できる権力者であり。役人より上かもしれない(・・・・・・)存在に、無礼を働く自殺志願者などいない。


 そのためカイトも含め、村人全員がユングウィル様たちを警戒し。

 そんな来訪者に対応してくれる、村長への信頼も上がっていったのだが。



 「●⁉・・誰だっ、ここでいったい何をしている!!」


 「冒険者ギルドに務めている、ユングウィルという者だ。

  依頼料の支払いを待つ(を分割払いにする)代わり、ちょっと実験・・試験?・・試しをさせてもらいたくてな。


  もちろん、ロイク村長の許可はもらっている」


 「・・・●ー●…・」


 

 それは奇異な光景だった。

 昨日まで立派な服を着て、村長の家でもてなされていたお偉いさん(ユングウィル)が、シャツとズボンだけの姿になり。くわをもって、荒れ地にそれを振り下ろしている。


 そして、それぞれ剣と盾を構(フレイシア)えた女性2人(とフィニー)が、お偉いさんをはさんで立ち。周囲に、にらみをきかせていた。

 そんな三人を、困ったように見つめるメイドさん(フルル)が一人。魔術師?の杖を持ち、何を考えているかわからないフラミアが一人


 さらに地面に円(魔術陣)を書いて、その上に土をこねて『釜戸』を作り始めるメイド(フリス)さんがいる。

 

 〔偉い人の考えることは、よくわからん〕


 そんなことを考えつつ、カイトたちは距離を取り。




 「村長!あの人たちは、いったい何者なんだっ!!」


 「あの人たちは冒険者ギルドのお偉いさんで…」


 「そんなことを聞いているんじゃねぇー―ー」


 滞在3日目にしてノーグ村の住民は、ユングウィル様(ギルドスタッフ?)たちから目を離せなくなっていた。



 『消火の水を打つ、熱気の炎  小さな清浄にして、欲望のむろ


  かてをもたらす釜戸のほむらは、灰に眠り、煙に映り


  虹焔こうえんの命脈と共に日々を数える  ヘスティアゲーム!!』


 「「「「「おおぉーー・ー:⁉」」」」」×5


 『土で作った臨時の釜戸』・・・そう表現するには立派すぎる、『釜戸』が五つも並び。

 それぞれに火が点けられ、煙を噴き出し。美味しそうな匂いが、村中へと漂っていく。


 「フリス・・いったい何を作っているんだ?」

 

 「せっかくノーグ村に来たのですから。料理メイドとしては、村に伝わる伝統料理を教えていただきたいですけれど。


  安易に金銭を払っては失礼ですし(争いにならないよう)。ささやかながら私も料理を作り、料理レシピを、交換させていただこうと考えました」


 〔〔〔〔〔ささやか(・・・・)・・?〕〕〕〕〕


 カイトたちが見たことも無い『五つの釜戸』から、想像できない勢いで『煙』が噴き出す。

 だが、それらはけっして不穏なモノではなく。村人の注目を集め、期待(食欲)の熱気を高めていき。


 「ふむ、そういうことな⁺


 「ああっ⁉ですが、皆さんは農繁期で、お忙しいはず。

  急に〔『伝統料理』を教えてください〕と、言われてもご迷惑でしょう」


 「「「「・・・-‘・`」」」」


 ロイク村長の言葉を聞いてないかのように、フリスさんが棒読みで話し出す。

 それに対し、お仲間が何か言いたそうだったが。事態は彼女フリスを中心にして進行していき。

 

 「そうだなぁ、そういうことなら俺より『くわ』を上手にふるえる人・・・長男や家長(父親)は忙しいだろうから、次男・三男たちを集めて『競技』に参加してもらい。


  『競争』で優秀な成績をあげる、『家』を選ぶとしようか」


 「「「「「・~・…・ッ」」」」」


 「火属性のC.V.として、『競技』を見て、競技者を讃えるのは望むところ。

  それはよい提案でございます、ユングウィル様。」


 こうしてノーグ村で、初めての運動?競争が始まった。





 「まずは一勝!俺の勝ちだな」


 「「「ぐくっ…」」」「そんなっ、街暮らしのボンボンなんかに・・」

 「ご馳走、食べられないの…」「もう一度っ、もう一勝負だ!!」


 街で暮らし、農作業などしてない肉付きの若旦那ユングウィルが、勝利を宣言する。

 その結果に、ノーグ村の住民たちは誰もが悔しがり。子供たちは涙をため、負けたカイトたちをにらむ者すらいた。


 そんなカイトたちに聞かせるよう、リーダー各らしき盾持ちの女性フレイシアが、よく通る声で語りかける。

 

 「やっぱり『ヒートマッシブ(攻撃力アップ)』の術式をかけたら、常人ではかないませんか・・・武術の訓練で、ユングウィル様はくわ振りの練習(動作)はしていましたし。


  今の競争はノーカウントにすべきでは?」


 「「「「「「「・-:`・ー・!」」」」」」」


 そんな救いの手を差し伸べるフレイシア様に、村人たちは心の中ですがりつき。誰もが大きくうなずいたが。


 「フレイシア…そんなこと、できるはずがないだろう」


 若旦那は容赦なく、提案を拒絶する。


 「勝負・賭けは一回、一回が真剣勝負だ。

  結果が気に入らないからと言って、やり直しを認めたら。それは勝負ではなく、ガキが駄々をこねているに等しい。


  たとえ『ルール』の詳細を聞かず、俺の状態を確認せず。『初めてのゲーム』を調べるため、練習試合を要求するなど、ゲーム戦略すら知らない。

  

  そんな村人の弱みにつけこんだ、”卑怯卑劣”の恥ずかしい勝利だろうと。

  勝ちは、勝ちだ」


 「「「「「・・・-?・:」」」」」


 「とはいえ、そんな勝利では、俺もわりと恥ずかしい。


  そこでだ・・・今日の一勝は一勝として、後日に数回の勝負を行う。その勝負に真剣に取り組み、俺に総合的に勝ったのなら。

  今日の食事代はサービスしてやろう」


 「それは、つまり…」


 「今夜は、ささやかだが『宴』を開こう。

  ただし酒はノーグ村のほうで、用意してもらうからな」


 若旦那ユングウィルの言葉を聞いて、村中から歓声が上がる。

 同時に準備していたかのように、エプロン姿に着替えた姉さん(C.V,)たちが、それぞれ『釜戸』に向かい合い。


 「初手はフリスが・・『山菜とキノコの(胃腸に優しい)スープ』を召し上がれ」


 「二番手はフルルかなっ?・・あぶり肉を、刻んだ根菜とドレッシングでからめた『前菜』をどうぞ」


 「三番目はフラミアが・・・『スープ』のおかわりをよそい」

 「料理メイドとして、フリスが蒸し料理を仕上げます・・・(ヘスティアバイザー)蒸し(水を使う)料理は不得意なので術式を使い)

  葉物で肉をくるみ蒸した、こちらは薄いタレをかけて『朝食』にどうぞ…」


 「実際は三番手だけど、フィニーが『肉串』を焼くわ!・・・火の妙技に(炎熱チートで)、感嘆するといいわ;(とにかく美味しい物を)


 「締めはフレイシアが・・・とにかく適温を保って煮崩れしない『肉入り麦粥むぎがゆ』で満腹になりなさい」

 

 「ガツガツっ」×??「ハグハグ」×??

 「うまい、ウメェ、美味しい」×10


 ノーグ村で食べたことのない。行商人からも聞いたことのない、大御馳走がふるまわれる。

 それはモンスターの脅威にさらされ、生活苦に陥ったカイトたち村人に活力をもたらし。



 心に大きな隙を作った。



 〔申し訳ありませんが…ぜいたくな味は、粗食に不満をいだかせ。『肉』を求めて、無謀な狩りをされては困ります。


  ずるい手段(ヘスティアゲーム)を使って、申し訳ございませんが。今夜の宴は、夢幻の中に忘却してください〕


 〔自分だけ悲劇のヒロインのつもりかしら。魔女役ならわたくしの担当よ〕


 〔ハーレムを作るのだから、『料理の可能性』は私にとって重要ではない…

  この村も含めて、意地でも幸せになってもらうために・・燃料は私の…〕


 赤い髪の姉さんたちが、何かを話し合っている。

 悲しげで、微笑み、照れくさそうな『声』が聞こえ。熱気を感じて、カイトの意識は眠りに誘われ。


 『重い油脂ゆしは、朝食に不興ふきょうを奏で  大過たいかの熱は、昼食の後に眠りを誘う


  ならば夕闇の釜戸はまぼろしとなり  夜の宴は酒精の夢にて、幕をおろす


  ヘスティアドリーム!!!』


 何かの呪文を聞いて、気持ちよく眠りについた。




 美味しいものをたくさん食べる、よい夢を見た次の日から。

 カイトたちは『耕し・鍬振りの競争』をかたった、土地の『開墾』に駆り出されていた。


 「依頼料の分割払いに、『利子』をつけられたくなくば!

  土地を開墾して『農地』を獲得して見せろ!!」


 昨日は何ともなかった、冒険者ギルド職員の声がうるさく聞こえ、反発したくなる。

 それでもカイトたち次男以下の男たちは、権力者ユングウィルの指示に従い。


 「こちらは疲労をやわらげる糧食になります。どうか昼食代わりに召し上がってください」


 水も用意したメイドさんの笑顔が、何故だか泣いているように見えた。











 ノーグ村から少し離れた深い森の中に、2人分の影がたたずみ。

 夜のとばりが下りた樹上で、彼女たちは『観察』の結果を議論していた。


 「何というか・・・涙ぐましい光景ね、志乃美しのみ…」


 「まあ、村人に多大な迷惑をかけるよりマシでしょう、木乃美このみ姉さん」


 〔〔ゲームの運営・センスは低いと思うけど〕〕


 

 胸中での意見を一致させた2人の名を、木乃美このみ志乃美しのみと言う。

 双子の姉妹であり、侍女シャドウであり。それぞれ『ふくろう』と『コノハズク』の『使い魔』を操り、夜間戦闘を得意とする。


 『中級シャドウの中でも上澄み』と、言っていい。

 『感知による戦闘(アヤメ様に指導)』を行う(された)シャドウたちだ。


 そして”怪物誘導モンスタートレイン”に関する、『人材・知識』を処分する猟兵でもある。

 


 直接的にはモンスターの群れによって、都市に住む(・・・・・)人々を襲わせ。その進路上にある集落・農村の住人や旅商人キャラバンたちの”惨殺”は、ノーカウントにしている。


 (実際のところ、怪物の群れを完全に殲滅するのは不可能に近く。撤退・離散した魔物一匹でも、集落・旅人にとって脅威であり。それらに対応できない(先達の兵士・冒険者の)シャドウ一族も(皆様を、不快にさせて)、大きな顔は(ごめんなさい。)できないですが(申し訳ありません)


 間接的には『食糧生産・流通網』の破壊によって、食料不足・物価高に陥らせて”飢餓”をもたらす。

 それら悪夢な連鎖によって最悪、戦争・紛争を引き起こし。屍体の種類(モンスター)によっては、疫病をばらまくこともあり得るとか。




 〔そういうわけで木乃美ちゃん、志乃美ちゃんの2人には、”怪物誘導”および『怪物暴走』を警戒する。危険極まりない、監視要員の任務を命じる。人員・設備に関しては、これから増員するけど。


  予算はボクのお小遣いから・・・〕


 〔・・いけません、姉上!!〕


 〔・・・とりあえず支度金を渡しておくけど。


  何もなければ(ボクに都合のよい)|閑職になってしまうから《状勢を維持するため》。狩人・山村の住人や冒険者と『連携』することは、オイオイやって(決定事項)いくから(だから)


 〔〔かしこまりました、聖賢の御方(イリス)様!!〕〕 


 

 こうして木乃美と志乃美たちは”怪物誘導モンスタートレイン”に対応・・・を単独で行う実力はないですが。

 上級シャドウ(アヤメ様たち)がモンスターを殲滅するところを観察し、記録を取り。

 周辺の村に影響がないか、『遠見』で観察したり。夜間に村へ忍び込んで、異常がないか調べる日々を過ごし。



 

 山の向こうからでも『火属性の魔力』を感知できた、ノーグ村を偵察すべく。

 普段は使用を禁じられた『遠見』の術式を使って、木乃美は農村のプライベートをのぞいたが。


 「旧態の(炎熱)C.V.様が、冒険者ギルドと協力するのは、うまくいってるようね」


 「”旧態”などと言っては、失礼よ志乃美。火属性のみの編成で、私たちの『視線(遠見)』にも気付けない。


  (C.V.様にも)何らかの『外交・権力争い』があるのでしょうけど。

  そんな編成で”賊”の闊歩する、この地に来訪した。彼女たちに()、それなりの敬意を表すべきよ」



 未知なる魔境へ赴く冒険者パーティーは、様々な職種の者たちが集まって、編成される。


 様々な事態に対応できて、脅威との『相性』の悪さで壊滅しないよう。最低でも『未知』に慌てふためき、詰んでしまわないよう。他の職業(未知の職種)と交流して知見を広められる、多様性を重視したメンバーで編成されるのが必須であり。


 人間(未知)の世界で、次代を育成するC.V.パーティーも、それは同様であり。


 そういうC.V.パーティーにおいて、単一のよりによって(攻撃特化な)『火属性』というのは〔編成を失敗した(雨天に壊滅しかねない)〕と、言っても過言ではなく。

 侍女シャドウとしては〔炎熱C.V.班が暴走もしくは壊滅したら、後始末をしなければ〕と、考えて備える。それとなく注視する、案件の一つですが。



 「村の気配は落ち着いているし。『魔力(火属性)』が駄々洩れとはいえ、不穏な感じはしない。しばらくは静観してよいと思うは、シ*ぉ*‐/」


 「木乃美姉さ‘*;//」


 言葉が途切れ、口腔から泡が漏れ出る。

 そして『使い魔フクロウ』と二つの人影は、樹上から落下していった。





 「やったか!!」「小娘どもがぁ…思い知れ!:!」

 「騒ぐな…喜ぶのはとどめを刺してからだ」「「「・・⁺●ー・」」」


 歓喜のざわめきを発しながら、黒衣の”賊”たちが殺到する。

 そろそろ長くなる混成都市(C.V.勢力)と”盗賊ギルド”の争いにおいて、やっと上級シャドウを討ち取れた。

 その歓喜を抑えることなく、”黒衣の賊”たちは倒れた塊に刃を突き立て。確実にとどめを刺しつつも、遺体を傷つけすぎないよう急所を切り裂き。


 「…⁉*!」×3


 『『魔梟鳴峰まきょうめいほう』』


 背後から投げられた刃によってほふられる。

 『風刃』・羽根を模した『ダーツ』が飛びかい。振り向いた”賊”どもの左右から、木乃美と志乃美が挟撃を仕掛け。


 無音のうちに、半数以上の”賊”を討ち果たす。


 「バカなっ‥確かに手ごたえはあった…*/B:p//g*~」

 「いかん、退避D`d*ャbbb~p」


 『シャぁアアアッ∼―~‐~ーー‼』


 ”賊”たちの疑問に答えるよう、刃で切り裂かれた二つの塊が液化して合わさり。

 半透明な蛇体(水蛇)と化して、2人の”賊”を瞬時に呑み込む。悲鳴はないものの突然、訪れた溺死の恐怖によって、その表情は絶望に歪み。


 『もう、(旋風閃)捕虜の数は充分かしら(フクロウよ瞬け)


 『いいえ、水蛇に(フクロウよ鳴いて)ヒトを(、見回し)食べさせるわけ(エモノをにらみ)にはいかないわ。(無音の羽ばたき)捕虜は別に(を持ちて)取るとしましょう(、静寂をもたらせ)


 舌で言の葉を発しつつ、木乃美たちの『視線』は別の術式を構築していく。

 『静音詠唱』と呼ばれる、口舌以外の身体部位で『信号・合図(暗号文)』を刻み、意思を示し。その意思を持って、『魔術』を発動させる。


 「ひるむな、殺せぇ/>/ー」「ギぃ!ー?」

 「来るなっ、クルNァ/+*/ー」×4「・・+;*-・」×6


 『魔梟鳴峰(魔導能力)』によって半ば混乱に陥り。同類を刺して狂乱する、”賊”どもを木乃美は静かに見つめる。


 黒衣の連中は(おそらく)暗殺者で、厳しい訓練をくぐり抜けたのでしょうけど。

 木乃美から言わせれば〔心を殺して”捨て駒(死兵)”になる訓練をしてきた〕と、いうだけにすぎない。


 『まっとうな人間(7の力を持つ常人)を殺す”捨て駒(10の力)”として、”組織の首魁(100の実力?)”に”賊”たちは消費されてきた(使い潰された)』と、いう程度の話しであり。


 1000か万の暴威・・を秘めた、聖賢の御方様に仕えて研ぎ澄まされている。

 上級シャドウが”賊”を圧倒するのは、当然の結果であり。実際にこれまでの戦績・数字は、如実にそれを示している。


 〔もちろん油断して、情報戦(感知の戦闘)でつまずけば、悲惨な敗北が待っているけど〕


 「うぉオオオォォーーー//-**」


 『感知能力』に自信をつけ始めた、中級シャドウを鍛えるのにも(の鼻っ柱を)使われる(へし折る)魔梟鳴峰まきょうめいほう』は有用ですけど。

 さすがに『夜目がきく』程度の刺客を『結界陣』に誘い込み、四つの感覚(目耳鼻に触覚)を惑わし、かく乱するのは過剰というものであり。


 「出てこい”魔女”っ!!姿を現せぇ∼;”卑怯な妖術”を使うな・・*」


 「そろそろ”死兵”を育てるのを、やめてくれないかしら。


  ”魔薬”よりマシだけど、少し『惑わし』をかけると同士討ちを始める。そういう連中を始末するのは、いいかげん面倒なのだけど」


 「Gぁアアア*e-;ーーーーー!!+**」


 『本当の事』を伝える木乃美に対し、黒衣の隊長らしき者がケダモノの(正気を失った)叫びをあげる。

 また(・・)何か”邪法”を使ったのでしょうけど。急造・突然変異した感覚器は、『過剰な情報(惑わし?)』を捕らえすぎて、『魔梟鳴峰』との相性が致命的なまでに悪く。


 〔こんな”無双モドキ”をしていたら、『感覚』が鈍ってしまうわね…〕


 「/-ー//・!~\-」 


 とはいえ”賊”を見逃すことで、食料供給をしてくれる村が滅びるのは論外であり。

 侍女シャドウの身分で、異動など望めるはずもなく。


 木乃美と志乃美は、再び警戒網をしきつつ(魔梟鳴峰を隠し)

 『水那殿の分身(水蛇の使い魔)』によって、『身代わり人形』を作る、試験運用を再開した。











 ネタバレ説明:『ヘスティアバイザー』について


 『ヘスティアゲーム(魔導能力)』の中で、限定的に『感知・透視』を行う魔術能力です。


 結界内ヘスティアゲームにある、鍋・蒸し器などの中を『感知・透視』して、調理に最適な瞬間タイミングを見透かす。

 食材の温度・変化を『感知』して、美味しい料理を作る情報を得る、『術式』であり。



 ただし食材・料理に『毒』が含まれ(盛られ)ていても。術者がよほど詳しく知っている『毒』でないと、『感知』することはできず。『毒見』には、ほぼ使えません。


 

 そんな『ヘスティアバイザー』ですが。

 火属性C.V.のフリスが使っても、水気・液体(水属性)の変化を『感知』したり。料理の『匂い』から、『味』を分析することが可能であり。


 料理に関してなら、『万能な属性』を感知できる。ささやかながらチート能力と、言えなくもないです。






 ネタバレ説明:『ヘスティアドリーム』について


 『精神干渉』の能力であり。

 本来はいくつかの条件を満たし。精神面から料理の味を、増幅する『魔術能力』です。


 『祭りの時』『特定の銘酒を飲む』『戦場で飢えている』など。

 『ヘスティアゲーム』を使うC.V.術者によって、設定される『発動条件』は様々ですが。


 普通は『宴』を盛り上げたり。

 食材が少ないなど、調理の不利を補うため『精神干渉』を行います。



 ただし今回、フリスが行ったのは『料理の味』を低下させること。


 食材・調味料に調理技術など。あらゆる面で劣るノーグ村の『食事事情』に配慮して、フリスたちの食事に万が一にも依存しないよう(中毒にならないよう)

 『精神干渉』を行ってでも、『料理の味』を忘れさせる。贅沢すぎる料理を、『半ば夢』だと誤認させて、普段の食事を喜んで食べられるよう。


 フリスは『非常手段ヘスティアドリーム』を行使しました。


 

 もちろん料理メイドとしては不本意、極まりない『精神干渉』ですが。


 〔ノーグ村を復興・発展させる料理を作る〕つもりが、贅沢を覚えて一攫千金を夢見る。街に行ったり、冒険の旅に若者が出て、美食を求められては計画に支障をきたす。


 そういう冒険者ギルドの事情を優先し、慌てて『ヘスティアドリーム』を行使しました。


 

 ちなみにフリスの『ヘスティアドリーム』は、『思い出の味』を再現する際に使われることが多く。完全に味の再現をするのは不可能(コストオーバー)なため。

 『精神干渉によって、足りない味成分を補てんする』と、いう目的で使用されてきましたが。


 今回は『弱った村人に活力をもたらし、開墾を行ってもらう』ために、けっこう高価な食材も使ってしまい。

 『ヘスティアリドル』の料理の感想を知る能力によって、〔村人たちが料理に大喜びした〕のを把握したものの。

 それが行き過ぎて、やむを得ず『ヘスティアドリーム』で誤魔化したのが、今回の事情です。

 『女神アテナに呪いをかけられた、メドゥーサの髪は蛇になってしまい。見た者は恐怖のあまり、石化する』


 この神話が成立するには、条件があり。その条件とは、『蛇と化した頭髪』が生きていること。

 『蛇が死んで、メドゥーサの髪が垂れ下がって』いては、恐怖が半減・・・するかは不明ですが。

 『垂れ下がった髪に隠れて、石化の(の長い生首だけ)邪眼が作用しない(では石化しない)』と、いうしまらないことになりかねず。


 かと言って『メドゥーサの髪(無数の蛇)』が、死ぬこと無く活動していると。

 『ペルセウスは、いったいどこをつかんで、メドゥーサの生首をかかげているのだろう?』と、首をかしげることになる。


 以上のことから『メドゥーサの首』は、あつかいの極めて難しい、『諸刃の剣』であり。

 それをあつかった『ペルセウス』も、相応に強力な英雄だったと考えます。


 少なくとも『ヒドラの毒血』で破滅した、大英雄ヘラクレスに比肩しうる。

 〔さすがはヘラクレスの祖先だ〕と、讃えてもいいと愚考します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ