401.閑話~婚約に伴う戦い+炎熱の布石:ヘスティアチャーム&リドル
現代人にとって『髪が蛇になっているメドゥーサ』は怪物ですが。
古代文明において、『蛇』を神聖なもの、再生の象徴としていた。戦争・傷病に飢えなどで、命が軽い時代・地域に、『蛇』の生命力は尊ばれており。
それら『蛇が髪になっていたメドゥーサ』は、信仰されていた女神だったかもしれません。
そんな『メドゥーサ』のルーツは何でしょう?たまに蛇の代わりに、触手状の髪を生やした『メドゥーサ』を見ますが。
私は『イソギンチャク』『サンゴ礁』が怪しいと、愚考します。
世の中には令嬢・悪役令嬢たちの伝承がある。
それはC.V.イリスのような、”凶悪戦姫”でも憧れる物語なのだが。戦争種族としては、物語を楽しんでばかりもいられない。
ましてや善良な男性たちをハーレムという戦場に送り込み。女性を不機嫌にして、嫉妬させて、殺気を放出させる。
そんな過酷すぎる婚姻外交?を、家臣たちに強制している主君としては、最大限の便宜を図らねばならず。
『魔力⇔名声を操る魔導』を使い、テイマーなど敵対勢力を破滅させた。イリスと言えど、安易に解決できる問題ではなく。
ハーレムを形成・維持するうえで、『戦力の適宜投入』は必須事項と言える。
「アヤメーー‐-ー!今日こそ、キサマを打ちのめすっ・・」
「やれるものなら、やってみなさいっ!!」
「・・・-・…・」
そもそもイリスは『婚姻外交』を戦と認識している。
長年にわたって備え、布石を打ち、適度な緊張感を持ちつつ。平和を作る綱渡りを行い、情報収集を継続しつつ、利権を提示する。
けっして『婚約』などという、『手形・風習』に依存しない。
それらの権威は、一定の強制力があり、『有用な手札』の一つだけど。あくまで数ある『手札』の一つにすぎず。水上・平地などと同じ、舞台の一つだ。
感情・色欲・打算に趣味など、対応すべき戦場は無数にあり。
それら『無数の戦場』を指揮して、勝ち続けるのは”ザコのボス猿”を始末するよりも、けた外れに難易度が高く。
「・・・>>~>」
「<‐/‐ / ・・・」
アヤメの右腕が渦に呑み込まれ、ねじ折れ曲がり。
同時にユリネの右腕が切りとばされる。
それぞれ気体・液体の分身部位とはいえ、そろそろ『模擬戦闘』の範疇を越える予兆が現れており。
〔混成都市に闘技場を建設しなくてよかった。こんな『試し合い?』を普通の戦士に見せたら、トラウマになってしまうよ〕
自らのことを棚に上げて、そんなことを考えつつ。イリスは速度に秀でた『魔術能力』を、容赦なく発動し。
『アルゴスアイズ!!』
「・‐ー・・ッ」「ッ!*?」
どこかの試合みたいに、ギリギリで必殺の閃手を止めるのは、危険すぎる。
そう判断したイリスは、物騒な空気を察した時点で、『魔術能力』を発動し。
速やかに、上級シャドウの2人に『長剣』をふるう。
それを迎撃してきたので、それぞれにもう一回ずつ『光術の長剣』をふるい。
イリスは二人をたたきのめした。
〔決闘で勝った方の主張が通る〕
暴力・武術の住人たちにとって、わかりやすい解決手段の一つと言える。
他人事・書物上の事なら、楽しいことだし。C.V.のイリスも、何度か決闘を行い、勝者の権利を獲得してきた。
「それで?そろそろ二人とも、落ち着いてくれたかな?」
「「もちろでございます」」
ただし!何時でも、どこでも、誰にでも使える『解決手段』ではなく。
アヤメとユリネの2人に行わせた『手合わせ』は、魔力を消耗させるために行った、小細工でしかない。
苦難を乗り越える、強い意志で物事を成し遂げる。
嵐のような激情で、はるか格上の脅威に対抗した。非常時では準英雄で、平時には巧みに精兵に『擬態』している。
アヤメたちのような人物に決闘させると、リスク・デメリットばかり多くなり。
混成都市の勢力を束ねる、トップとしては組織運営に差し支えが出る。
〔自分たちも利害調整より、決闘で物事を決めよう〕
〔あんな風に強くなれるわけないから、武人としての道は断念する〕
〔決闘に勝ちさえすれば、情念の戦場に関する問題も、簡単に解決できる〕
こういう組織にとって、よろしくない風潮が広がったり。
〔シャルミナ様との模擬戦ですって⁉駄目に決まってます!〕
〔”被害”の修復に、いくらかかると、お考えなのです?〕
〔偽装代金だけで、大赤字ですっ…〕
〔君たち、ボクを何だと思ってるのかな?〕
〔〔〔・・・-・:ー・ー:~^~〕〕〕
〔なりません聖賢様-‐ーー、どうか正気を取り戻してください!〕
〔イタいメイドになってもかまいません!お付き合いいたします…;*;〕
〔・・・・・-・〕
イリスが『ちょっと』魔導な模擬戦を、楽しもうとしても。
普段は忠実な家臣たちが、手際よく必死の形相で止めにかかる。
少し前までいがみ合っていた部下たちが〔聖賢の御方様が、自ら剣をふるうなど言語道断〕と、ばかり手を組んで。あらゆる手段で妨害し、止めにかかる。
イリスの自由な『模擬戦闘』のためにも、部下たちの『決闘裁判』は調整していく必要があり。
タクマのハーレム問題さえ、関わっていなければ。アヤメとユリネのバトルは、イリスが『自由に決闘』する布石になるのだけど。
今回は『外交』を成功させることに、注力するしかない。それほど魔弓聖・自称弓兵の『婚姻外交』は一大事だった。
『決闘』で解決するなら、イリスは手段を選ばず、勝利をもぎ取り。
決闘の事情を考えて、現実逃避したくなるほど、厄介だった。
そんなことを考えながら、イリスは慎重に口を開き。
「それじゃあタクマ君の『お妾』が、二ケタになってる事について話そうか」
「・・・・~・」
「・-・っ⁉」
既に聞いている侍女頭は、顔をしかめ。妹さんのユリネは心身を硬直させる。
そんな二人が落ち着く前に、イリスは情報提示を済ませるべく、口を動かし。
「まずボクの剣に誓って、宣言するけど。
タクマ君が”色欲を暴走させた、誘惑に負けた”と、いうことは一切ないから」
「「・・・・・-」」
「加えて、扶養の義務はないし。
〔ノックの音で扉を開けたら、赤ん坊を抱えた女性が立っている〕と、いうような事態もないから」
「「・・・○:/・・」」
信用が失せた、白い目を向けられるが。
獣人系C.V.の生態・風習的には〔ない!〕と、この場では言うしかない。
ネコ・ヒョウなどと同様に、ネコ系獣人のC.V.は子育てを女性だけで行う、風習を持ち。加えて条件がそろうと、複数人を出産する『血統』のため、大家族になることも珍しくなく。
「〔男性がネコ獣人C.V.100人へ、手当たり次第に同衾した〕と、いうことはないから、安心してね^:^
子供の数と比較して、母親の数は少なく。『女戦士の伝説』みたいに、『精』をしぼり取られることもないから」
「ソレハ、ヨウゴザイマシタ」
「それで、愚兄は実際のところ、いったい何をしたのでしょう?」
「・・・・^:^・」
そろそろ引き延ばすのも限界であり。援軍が来ないことは、確定している。
〔こんなことならリアベルから『病毒を運ぶ、ネズミ対策の術式』を、もらうんじゃなかった〕などと、後悔しても後の祭り。
結局のところイリスは〔師匠の圧力に屈し。失言で隙をみせ。タクマの実力を、大きく見誤った〕と、いう失策を積み上げた。
その報いを、観念して受けるしかないのが、今の状況であり。
とにかく事実だけを、端的に述べることにする。
「四つの『領域』をまたにかけて、多数のC.V.拠点を救った。
その際、淫術への『レジスト』に伴う副作用で、色欲が大きく低下していた。C.V.患者たちを、手当たり次第にマッサージして回復させ。
厄介事を避けるため、正体を隠したのが裏目に出て。少し強めなC.V.パーティーが、捜索に乗り出し。
それらに対処するため、リアベルさんとの婚姻は、もう避けられないかなぁ~と、いう状況になっているんだけど…」
「・・・・…:」
「スゥ――-、ハァ~ーーっ、・・・-・」
既に事情を聴いてる、姉貴分のアヤメは平静になり。
ユリネは深呼吸を繰り返して、平静になろうとしている。
〔この流れなら、”アレ”と”ソレ”は墓まで持ってける!!
・・・ううん、『魔力ゴリ押し』で記憶を破壊して…〕
一瞬、そんなことを考えたイリスに、アヤメは表情筋だけの笑みを浮かべ。
「それで、本命の厄介事は、何ですか?」
「・・・○…●ー・」
この日、イリスは主君としての『権威』を、大きく下げ。
事態を先延ばしにする、急用・緊急事態は一切一件も発生しなかった。
シグルスの街に、食糧を供給する山村の一つノーグ村。
ユングウィル様と炎熱C.V.班5名が訪れた。その村に住む人々は突然、増えた重労働に忙殺されていた。
「オーエスッ、オーエスッ、オーエスッ…」×10
その理由は、攻撃力アップの『術式』によって、急速に『開墾』が行われ。
〔それら増えた土地に、作付けするのが忙しいから〕と、いうのに加え。
どこかの誰かが、山の中に『肥料』を捨てていき。それを回収して、『肥えた土』を造って、畑にまく。
今回の『作付け』では無理だとしても。次回の種まきを行う前に、畑の土を肥えさせる。
そのために村人と炎熱C.V.たちは、肥料を袋に詰めこんで運ぶ、重労働をするはめになり。
「いったい誰が、山の中に『肥料』を捨てていったんだ!」
「余所の勢力のことなど、知~らないっ!
だけど山に『肥料』を捨てて置いたら、植物系モンスターを呼び寄せるかもしれないし。
〔いらない〕と、言うなら。新しく開墾した畑で、全部もらっちゃうわよ?」
〔実際のところ、黒霊騎士団とは『契約』して、『肥料』を運んでもらったんだがな〕
「「「「「・・・…・-」」」」」
汗まみれになって、袋に『肥料』を入れて運ぶ男衆に、フルルが軽口を返す。
護衛役の炎熱C.V.フレイシア、フィニーは、隊列の前後を固め。フルルが隊列の中に入って、不測の事態に備える。
いつもの武装・メイド服をぬいで、動きやすい服に着替えた姿は、新鮮であり。
汗だくで一番小さい袋を運ぶ、ユングウィル以外の村人たちが鼻の下をのばしているのは、気のせいではないだろう。
そうして休憩を入れつつ、今日運ぶ分の『肥料』を、ノーグ村に持ち帰り。
不平を言いながらも、輸送隊の真似事をした、村人たちは腰を下ろて休む一方。
ユングウィルは面倒な『外交』に取り掛かった。
「それじゃあ、『肥料』もたまってきたし。そろそろ『錬成』を行うとするか」
「お任せください、ご主人様」
「待てぇい・・それは、しっかり『分配』を決めてからじゃ!!」
創魔導士に頼んで、『肥料』を『肥えた土』に錬成する。栄養過多な『肥料』で、畑の土・作物を焼かないように、『肥えた土』へと調整する。
そのための『火属性の錬金術』を、一番魔力が高いフラミアが行おうとしたことろで、村長がしかめっ面を割り込ませる。
〔冒険者ギルドに好き勝手を、させるわけにはいかない〕と、いう村長の権威を示すため。錬成した『肥えた土』の分配は、村長の采配によって決める。
一家の人数、畑の広さ、作物の収穫量など。様々な事情を考えて、村人たちに『肥えた土』を分配していく。
その際にもめないよう、村長の指導力が必要なのは事実であり。
さらに突然、新たな土地を得た次男坊たちに向けられる、”嫉妬心”を少しでも和らげるため。
今回、新しく畑を得た住人には、労役が課されており。
山の中にある『肥料』を、村に運び込むのもその一つだ。
〔モンスターに荒らされた畑を、整備しなおす。他に村の仕事を手伝うだけでは、駄目なんですか?〕
〔『魔法』で土地を得た、幸運に比べると。そういう通常の作業だけでは、新たな畑を得られた、代価には足りんじゃろう〕
そんなやり取りをユングウィルは村長と交わし。『肥料から、肥えた土へと錬成する』と、いう労役によって、村に渦巻く”妬心”を誤魔化した。
無論、『幸運にも開墾地を得る』などという、特大な幸運への不満をなくすには時間が必要であり。ノーグ村全体へ、何らかの幸福・利益を得られるのが、好ましいが。
〔まあ、そう簡単に利権のばらまきなんて、できるわけないし。新しく畑を得た人たちは、労役で苦労してもらうしかないよな~〕
そんなことを考えながら、ユングウィルは村長と交渉を行う。
実際のところ『冒険者ギルドへの依頼料を分割払いにする』と、いう目的の達成を考えれば。村長が権力をふるって、村の資金を集め。
そこからスムーズに『依頼料を分割払い』してもらう。
その方がユングウィルにとって、都合がよいのが事実であり。
多少の裏取引・自作自演は、大目に見てほしい。村が混乱するデメリットに比べれば、小細工の二つもするのは、やむを得ないだろう。
『火属性』は、『開拓・農作業』に向いていない。
『開拓・農業』で有用なのは『地属性』であり、次が『水属性』となる。天候を予見して、情報を開拓事業に活かせるなら、『風属性』も使い道はあるけれど。
『火属性の魔術』が、農業で有用なのは時期・環境など複数の条件が、そろっている必要があり。火災関連のリスクを考え、〔『火属性C.V.』は農業に関わるべきではない〕と、まで言う者もいる。
しかし、それでは平時に”無用の長物”になってしまう。”略奪・脅迫”を行う戦力と認識され。”危ない火種”として、肩身の狭い思いをする。
メイガスメイドであり、『釜戸女神の魔導』を行使する、火属性C.V.のフリスとしては。そんな現状は到底、看過できるものではなく。
「とはいえ、ノーグ村の人々は『魔力』が低く、『魔術』も使えない。
維持・整備に『魔術知識』が必要なものを提供しても、事故を起こせば台無しになるわね」
「・・・…・」
「とにかくまず『安全』が、最優先よ。それから持続性・・・可能ならば、刺激や楽しみをもたらして…」
「・・・…・」×7「・・・…?」×3
「メイガスもメイドも、先人の知識が力の源…新しい『こと』を考えるのは、難しいですね」
「・・・…・:ー:」×20
「ちょっと、アンタ…ギルドのメイドさん?だったかい」
無詠唱の『ヘスティアゲーム』を発動しつつ。村人たちに『珍しい魔術』を警戒されないよう、独り言をつぶやきながら、メイガスメイドは『大鍋』をかき回していく。
その『大鍋』から、暴力的なまでに食欲をそそる匂いが、発せられ。
ユングウィル様が村に滞在するため、借りている家屋へと、昼食のない村人たちを誘い込む。
「はい。冒険者ギルドに属する、ユングウィル様にお仕えしている。
メイドの一人、フリスと申します」
「・・・そうかい。あたしゃ、バネッサというものだ。
お偉いさんには、色々とあるんだろうが。食事の支度をするのは、夕方にしてくれないかい」
農家の皆さんにとって、忙しくて大事な、春先の時期。
あえて、そんな時期にユングゥイル様がノーグ村を訪れた、理由は複数あり。
一つは新たに開拓した土地に、種まき作付けを行うため。
農繁期で忙しい村人たちへ、借りを作るなどして。開拓した土地の扱いを、ユングウィル様が主動して行うため。
そして最大の理由が、村人たちの『必要』につけ込むためだ。
「夕方ですか?確か村のルールでは、食事の支度を何時行うか、特に決まっていなかったはず。何か不都合がありましたか?」
「あんたの言う通り。何時、食事を作ろうが勝手なんだがね。
今は農作業が忙しく、子供たちまで働かせている時期だ。そんな時期に真昼間から、いい匂いが漂っていると、気が散ってしょうがない」
「まあ!それは気付きませんでした。私の不徳を、お許しください」
その言葉とは裏腹に、フリスは『釜戸女神の魔導』によって、匂い成分に『付与魔術』までかけ。食欲をそそる匂いが霧散するのを妨ぎつつ、それを村中に広げていく。
『無詠唱の魔術』を神技あつかいする者は多いが、フリスたちの意見は異なっており。毒・隠し武器が暗闘で使われ、”暴力”を隠蔽するように。『無詠唱』の術理も、『魔術』の使用を隠す『手段』の一つでしかない。
そしてフリスが『無詠唱のヘスティアゲーム』を行使しているのは、卑怯な手段を使ってでも、村人たちの注目を集め。話を聞いてもらい。
『ヘスティアゲーム』によって、彼らの風習に干渉するためであり。
『意地でも、ノーグ村の人々に幸せになってもらう』と、いう『制約』をかけているためだ。多少の詐術は、成果によって大目に見てもらいたい。
そんな決意をいだきつつ、フリスは『大鍋』からシチューをよそい。
「しかし、このシチューを作るのに高価な食材を、既に使ってしまいました。今、調理をやめれば、その食材が無駄になってしまいます。
『どうか、この料理を完成させることを、お許しください』」
「それぐらいなら…まあ・・」
『認めてくださり、ありがとうございます。
感謝のしるしと言ってはなんですが。こちらのシチューを、味見していただけませんか?』
「そうかい?悪いねぇ」
「ああっ…俺も、オレも!」「ずるいっ・・私だって」「あたいも、味見してあげる!」
本来なら、時間をかけて信用を得る。寝食をともにし、村の行事に参加しつつ、信頼を勝ち取るべきなのですが。
炎熱CV.たちは出張で、ノーグ村に来ており。シグルスの街を離れていられる、期間は春先の約二か月だけ。
そのため少し高価な食材を使って、シチューを作り。
『ヘスティアゲーム』による”ずる”をして。フリスたちを警戒している、村人たちにシチューを食べてもらった。
『味・栄養』に関しては、C.V.文明の調理技術を使い。村人の味の好みは、村長たちの人脈を使って、調べ上げ。
『美味しいけど、特別な御馳走にはならない』『料理勝負をしたら、おそらく負けてしまう』と、いう微妙な料理をフリスは作り。
本当の『作戦目標』を達成すべく、布石を打っていった。
ネタバレ説明:『ヘスティアゲームの術式』について
食器・調理器具や台所設備に、『結界・魔術付与』をかけて。C.V.文明による、高度な調理を可能にする。あるいはそれ以上の大御馳走を作る。
別名『飯テロ魔導』とも呼ばれる、『術式群』が『ヘスティアゲーム』です。
火属性のフリスが使う場合、『火工・熱処理』を得意とするのですが。
今回、ノーグ村の住民たちに、料理外交を仕掛けるため。新たに二つの『術式』を編み出しており。
『釜戸女神の魅了』
食欲を高めたり。食事・調理への『興味』を増大させる、催眠系の術式です。
『料理を食べた時点で、解除される』と、いう制約をかけ。調理した食事の『最初の一口』を、食べさせることを目的としている。
『まずい料理を食べさせ続けたり』、『満腹になっても暴食を強制する』と、いう類の”危険な催眠”ではありません。
『食わず嫌い』など、『味』とは別の理由で食事をとらない人に、一口食べてもらう。味見をしてもらう。
そうして〔美味しいと感じた〕なら、そのまま料理を食べてもらおう。
こんな風に『食事に誘導』する催眠術であり。
武装している炎熱C.V.を警戒している。村の女子供たちに、料理の最初の一口を食べさせました。
『釜戸女神の謎かけ』
他人の『味の好み』を、数値化しステータスのように見る。
料理の正直な感想を、『読心』によって調べたり。「もっと○○なほうがいい」と、いう無意識な料理の好みを調べる。
『精神干渉』に分類される『魔術能力』であり。上記の『ヘスティアチャーム』より、格上の『デザイン』です。
出身地・生活環境による、細かい味の好み。旅行・幼い時に食べた、思い出の味を調べるなど。どっかのグルメ伝説みたいな、使い方ができる。
そんな誤解を、『ヘスティアリドル』はよくされますが。
口をつぐんだり、言葉の通じない人や”ウソの感想”を述べる人など。そういう人から料理の感想を聞き、その情報を調理に活用する。
それが『ヘスティアリドル』の主な使用方法です。
ただし調理をするのは、あくまで術者であり。食材・調理技術などが、そろっていないと、『得た情報』が活かせません。
下手に『味の感想』を知っても〔一味加えたら、前より味が落ちてしまう〕と、いうこともあり得る。
いわば『ヘスティアリドル』という能力から、『貴女は料理の感想を知り、その情報を次の調理に、どう活かすのですか?』と、問われ。『謎かけ』をされているような。
『魔術能力』に頼り過ぎると、得た情報に振り回されるという、落とし穴にはまってしまう。強力だけど、あくまで調理を『補助』する読心能力です。
とはいえ、『料理外交』をするにあたって。ノーグ村に住まう人々の味覚・味の傾向を、フリスは知っている必要があり。
村長一家や下働きの人たちに、半月ほど料理をふるまい。開拓をする次男以下に、差し入れをする際に『ヘスティアリドル』を使い。
村人たちの味の好みを調べ。本命の料理を成功させるため、情報収集をしていました。
『メドゥーサ』の神話に『海神ポセイドンとアテナ神殿で○○○した』と、いうのがあり。
さらに『ステンノ』『エウリュアレ』も含めた、『ゴルゴン三姉妹』が住んでいたのは『形のない島』だとのこと。
以上のことから『メドゥーサ』は、『海洋』とかかわりの深い幻想であり。身体に海洋関連の何かが、あってもいいと思うのですが、いかがでしょう。
それと『ゴルゴン三姉妹』は、『ヒュドラ』のように水源の沼地を抑えてすらいない。『島』で暮らして、功名欲しさの無頼戦士を返り討ちにしていただけ。
イソギンチャクのように『待つ』、暮らしをしていた。
そしてクレタ島に住む、海洋民族・国家も関わる『ギリシャ神話』において。『形のない島』などという、『島がわかりません。どこに島があるかわかりません』などと、いうのは神秘ではなく。
”恥ずかしいこと”だと思うのですが、いかがでしょう。
あいにく山国育ちの田舎者ですが。海に関わる船乗りの方は〔島がわからない〕と、安易に言えるでしょうか?
以上のことから。『メドゥーサの住む島』は、船乗り・海洋民族が〔わからない〕と、言っても『古代文明』ではやむを得ない。
海中・海底に生える『海草・イソギンチャク』に由来する、神格だと愚考しました。




