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ヴァルキリーズ・シティ~混成都市ができるまで、あるいは盗賊連合の滅亡記  作者: 氷山坊主
閑話~混成都市の渦+シグルスの模擬戦闘
399/422

399.~炎熱による開拓:フラミアの魔竜鬼

 私が『悪魔像ガーゴイル』を知ったのは、某ファンタジー島のアニメ1話でした。

 石像に化け、不意をつき、限られた空間を自在に飛翔する。それでいて魔術・飛び道具は使わず、攻撃力は微妙な感じ。


 そのバランスはさすがとしか、言いようがない。お見事なモンスターだと愚考します。


 一方の『ガルグイユ』の頭部から産まれた、オリジナルな『ガーゴイル』ですけれど。こちらはさっぱり魅力が無い。そこに私個人の好み・”狭量な色眼鏡”があるのは、否定しません。


 しかし西洋芸術を見る限り、『建物を水難から守る悪魔像ガーゴイル』が、どれほどいるでしょうか?


 さすがにフランス近辺に行けば、『ガーゴイル』を『大きな教会』の壁などに、散見しますが。

 『絵画』に描かれず、美術品として展示されず、高額で流通しない。映画に登場せず、観光資源になっているか怪しいところ。


 これらのことから。私などよりも、西洋の芸術家たちの方が、『ガーゴイル』に魅力を感じていないようであり。

 『ガルグイユの頭から、ガーゴイルが産まれた』という伝承は、『メドゥーサのギリシャ神話』に遠く及ばないと愚考します。

 世の中を回すにあたって、『必要ニーズ』は重要だ。

 魔王の脅威に対抗するため、英雄が必要であり。逆に平和な世において、勇者・覇王は必要とされない。


 そんなニーズ(必要)の歴史から学んで、冒険者ギルドは活動すべきであり。

 〔右から左に、依頼を動かすだけ〕などと、言われる冒険者ギルドは、これから通用しなくなるだろう。


 


 「『依頼料の分割払い』を、ノーグ村にはしっかり、行ってもらおう」


 「わかっている!だが荒らされた畑を、再建しなければならない。それに領主様に臨時徴税を課されて、蓄えが枯渇寸前なんだ。

  もう少し待ってくれ・・・」


 「ほう…モンスター退治もできない、領主のほうが。命がけで戦う冒険者ギルドよりも、怖いと言うのだな?」


 「・・っ違う!わかってくれ…」


 こんな感じのやり取りをするも。ユングウィルもノーグ村の厳しい、ふところは理解しており。立場の弱い村長を責めたところで、依頼料は支払われない。

 支払われたとしても、数人の人生を台無しにする”身売り”が行われて、依頼料が工面される。


 それでは今までと変わらず。苦労して『依頼料の分割払い』を行った、メリットが少ない。


 「ふむ…どうやら『依頼料』を支払う気はあるようだ。

  ・・・ならば『依頼料の支払い』を待つ替わりに、ギルドからの『依頼』を受ける気はあるか?」


 「そちらからの依頼ですか?」


 「ああ…こちらの恥をさらすが、冒険者の中には浅学の者が多い。それで読み書き計算ぐらいは、教えたいんだが、生活苦でそれもままならない。

  そこで農村で『大事なこと』を学んでもらおうと思ってな。


  ついては開拓してもよい土地と、人手を貸してもらいたい」


 「はあ・・・」



 生活していくのが、やっとの冒険者たち。彼らに最優先で、学んで欲しいのは実のところ『読み書き計算』ではない。

 『冒険の準備』と『計画の立案』であり。


 『軍勢』に置き換えれば、『補給の準備・重要性』と言える。


 『補給』を断たれたり怠った、軍勢は敗北必至となり。そして冒険者の場合、基本的に補給部隊はおらず。軍勢のように現地で調達(略奪)というのもままならない。

 ある意味、軍隊よりも冒険者活動の『準備』を、アドベンチャラーは行う必要がある。


 ところが、この必須知識を冒険者は、なかなか学ばない。

 〔冒険を重ねるうちに学ぶ〕と、いう者は少なくないが。たった一度の冒険失敗で、命を失ったり。あるいは”やらかし”て、取り返しのつかないことになった後での、再起は困難であり。


 冒険者には農作業を手伝い。同時に『準備』の重要性を学んで、依頼の成功率をあげてもらいたいところだ。

 





 「・・・・・という理由で村長は説得した。あとは計画通りに頼む」


 「かしこまりました、御主人様!」×5


 ユングウィルの通達に、フレイシアをはじめとする炎熱C.V.5人が唱和する。

 その瞳には希望が宿って、士気は高く。火属性C.V.の未来を背負っているかのようだ。


 〔そんなに気負わなくてもいいと思うんだが…〕


 ユングウィルが彼女たちに提案したこと。

 端的に言えば、『火属性術式』で開拓・農作業の手伝いを行うことだ。


1)『攻撃力アップの術式』で腕力を増し、地面を効率よく耕す。

2)雑草を焼いて、灰を『肥料』にする。

3)『術式の火種』を付与して、各家にある『釜戸』の性能を上げる。

4)『火術』で水を沸かして、お湯を提供する。


 これらを農繁期に行うことで、農作業をサポートしつつ、作物を増産する。農作物を増産することで、冒険者の食糧事情を改善する。

 同時に次男以下の男どもが、自分の土地を得られるよう、開拓を支援するのだ。



 「開拓を支援するというのは『焼き畑農業』を行うのでしょうか?」

 「地面を耕すのなら。地中に『火球』を潜らせてから爆発させ、地面を吹き飛ばすというのは、いかがでしょう?」


 〔そんなことをしたら、『魔術』を恐れる村人がドン引きしてしまう!〕


 ユングウィルは胸中に浮かんだツッコミを呑み込み。炎熱C.V.たちを説き伏せにかかる。


 「南方では森を焼き、その灰を肥料にして作物を育てる『焼き畑農業』と、いう農法があるそうだが。

  しかしここら辺は乾燥していて、それを行うと火災になりかねない。行えたとしても、防火対策でコスト高になってしまう。


  それに俺たちの試み(火術による農業)は試験段階だ。まずは成功の確率が高いものから、順に行って実績を積み上げる。そうして信用を得なければ即日、とん挫するだろう」


 「・・・ご主人の仰る通りかと。

  それに私たちがいない時に、『焼き畑農業』の真似事をして、火事が起きたりすれば。”賊”に流用・悪用されて、”放火”が引き起こされれば。


  せっかく築き上げた信頼が失われ、計画が遅延してしまう。C.V.文明の農業を教えるには、数年越しの『準備』が必要でしょう」


 チームリーダー(フレイシア)の発した『不審・警戒』を促す意見で、方針が決まり。それから各自が意見を出し合い、計画を補強していく。



 ユングウィルの目的は炎熱C.V.5人の信頼回復(への点数稼ぎ)だが。

 

 『地属性魔術』が圧倒的に有用な、開拓・農業事業(莫大な利権)に『火属性の術士(C.V.)』が関与したい。この世界における(物理法則が厳しい)戦闘では、いまいちな『火属性』を発展させるべく。


 今回の農業支援で、一歩を踏み出したいのだろう。


 当然、真剣さの度合いも違っており。貴重な意見によって、次々と計画は補強されていき。


 〔あくまで『試験運用』を行うだけなんだが。いつの間にか『計画』に成るのは、先走り過ぎだろう〕


 そんなユングウィルの本音は、墓まで持っていくことが確定した。






 こうしてユングウィルの思惑を超えて、炎熱C.V.たちによる『開墾の支援』が行われることになり。


 即座に『火属性魔術』が乱射されることになった。


 

 「ほらほら、どうしたのっ?私を口説きたいなら、強さを見せて?」


 「「「「ひぃーー」」」」「や、やめてぇ…」

 「うわぁぁぁ」×10


 『ファイアビーンズ(火豆弾)


 「「「「「ギャあァァァーー」」」」」 


 

 『火属性魔術』と言っても、メイガスメイド(明るいフルル)が放つ『ファイアビーンズ』の威力は、かなり低く。落ち着いて盾をかまえるなりすれば、防ぐことは難しくない。


 もっとも『魔術』を初めて見る、村人にとって『ファイアビーンズ』は恐怖でしかなく。

 ナンパ男の心を折るという、意図で()フルルは『ファイアビーンズ』を放っているのだ。

 せいぜい怖がってもらわねば、もっと威力のある『火術』を撃つことになる。


 

 「そこまでにしてもらおう!!」


 「あらぁ?ユングウィル様(ご主人)、私に何か用ですか?」


 「村を荒らす、狼藉の数々…これ以上、オマエを見逃すわけにはいかない!」


 そんなフルルの前に、ハーレムの主(ユングウィル)が現れた。


 「狼藉ですか?ワタシは降りかかった火の粉をはらっているだけ。

  ナンパはともかく、夜這いはお断りですし。


  まして、この『開墾』がどういうものか、理解していない方が多いですから。

  理解できるように、『軽く火術(ファイアビーンズ)を撃ちました(射出5秒前)


 

 今回、炎熱C.V.たちが『開墾』を補助するのは半分以上、彼女たちの利益のためであり。もう半分の理由が、冒険者ギルドで『依頼料の分割払い』を、スムーズに行うためだ。


 フルルたちは『火属性の魔術でも、農作業を行える』と、いう実績を作りたい。その『術式』を試験運用するため、村に来訪しており。

 ユングウィル様はフルルたちのご機嫌取りのため・・・・・ではなく。


 『農作業を支援』することで、村人の信用を得る。契約を守って『依頼料の分割払い』をした方が、『農作業の支援』というメリットを村にもたらす。

 〔分割した依頼料を、しっかり払おう〕と、村人たちの思考を誘導することが、冒険者ギルドスタッフとしての目的であり。


 それら『外交』のために、フルルたちはノーグ村を訪れたのだ。


 一回こっきり依頼をしただけ(・・)の関係ではなく。

 〔これからも冒険者ギルドに依頼しよう〕と、思わせる『営業』のため。


 同時に〔依頼料の分割払いを、踏み倒せば痛い目にあう〕と、『威圧』する軍事行動をしているとも言う。


 〔だから”男尊女卑”な、村のルールに従うわけにはいかない。かと言って、貴族の身分を”詐称”するのは重罪だから…〕


 創魔導士フラミアの『インフェルノボール』は威力が高すぎる。実戦用(誇り)の『バルカン』『バーンスライダー』は威圧などに使いたくない。

 成長株ルーキーのフィニーに、三文芝居な示威行動などさせたくないし。

 メイガスメイドの相方な、フリスは『釜戸女神の魔導(ヘスティアゲーム)』で、やることがある。


 こうして消去法により、フルルが威嚇を行う、悪役に選ばれたのだが。



 〔少なくない村人たちが、開拓した農地を自分の物にしようとしている〕と、いうことをユングウィル様が察し。

 フルルは『威嚇する術式(ファイアビーンズ)』を放つことになった。


 〔モンスターに農地を荒らされ、新しい農地が欲しい〕

 〔弟などよりも。自分の息子に、農地を分け与えたい〕


 〔村を興す開墾は、飢えに苦しんで命がけだった。『身体強化』の術を受けて、一月ばかりの開拓で農地を得るなど、不公平で間違っている〕


 こういう潜在的な不満を抑えるため。炎熱C.V.班(フルルたち)は恐れられることが、より重要になり。フルルはムチ打つ指導役から、危ない魔術士に役柄を変えたわけだが。



 「ぬぅおおおおーーー~、やらせはしないっ!

  こんな程度の『攻撃魔術』、たいしたことはないっ・!!+!」


 「ご・シュ・ジ・ん~・・・?何だか、とぉっても楽しそうですねぇ?」


 「・・…!⁺*!!」


 何故だろう?


 勇者役のユングウィルを見ているとイラッとする。あるいは化けの皮を焼いて、はがしたら、とってもフルルは気持ちよくなる予感がした。

 冒険者ギルドのスタッフが来たと知って、侮る村人たちの態度も、腹に据えかねたし。『データ収集のため』という名分を振りかざせば、少しはっちゃけてもいい気がする。


 「ちy:o‘・`」


 「ワタシも楽しくさせてください。

  それと少し威力が高めな、『術式』を発動しますから。跡継ぎの長男さんは(ここからは命がけ)お家の畑を耕しに(どうなっても)帰ってくださいね(知りませんよ)


 「全員、散れっ!退避だーーー」


 「・:・;-₋ー」×20


 『ヒートステップ(身体強化)・・・ファイアビーンズ!』


 

 『身体強化』した脚力で、跳躍を繰り返しつつ。フルルは高所から、『ファイアビーンズ』を男たちにあびせる。身構える暇もなく、身体を打つ『術式の熱(ファイアビーンズ)』は、ユングウィル様にとってもきつく。


 〔開墾を成功させて、土地を得ないと行き場がない〕と、いう。

 必死になっている、次男以下の者たちだけを、速やかに選別した。











 戦場において、『戦力』の査定は重要事項であり。敵勢力の『戦術・兵器』を、学習して対策を練るのは、必須事項だ。


 そう考えれば混成都市ウァーテルの攻略をあきらめ。シグルスの街に余計なちょっかいをかけず。

 農村にすぎないノーグ村に、過剰な戦力をぶつけるのは、用兵として正しい判断と言える。


 農夫ばかりで、兵士はいないに等しく。防御施設もない村を守ることは、下位C.V.班にとって不可能に近く。

 ましてフラミアたち(炎熱C.V.班)が『火属性』であることは、知れ渡っており。


 ”山賊”が小雨(水属性)の日を狙うのは、『戦術的』に正しい判断と言えるだろう。


 「ヒぃッー^∼」「やめろっ、来るなぁ‥クルNぁ;*:*」

 「「「「ギャあァァァーーー!ー」」」」


 ただし『魔術能力デザイン』を知らない、”山賊”どもの『作戦計画』など”下手な考え”にすぎず。

 せいぜい苦しんで、地獄に落ちるのが、連中にふさわしい。


 「とはいえ断末魔の声が響いては、騒々しくて村の住人に迷惑というもの。

  今なら格別の慈悲で、自害を許しますが…」


 「・・・;・-」×30


 「戦うと言うなら、仕方ありません。

  『私の新たな魔竜鬼(マンダート)』に怯えなさい」


 『・・●:●・・』


 「くっ…グォオオーーー」「なめるなぁっ!」

 「たかが一匹・・」「大きさも、たいしたことない;・!」


 小雨が降り続ける森に、”山賊”どもの怒号が響く。勇気を振り絞り、暴力の日々を反芻はんすうし、”盗賊ギルド”の制裁(恐怖)を思い出し。

 男のプライドを振り絞って、一斉に襲いかかってくる。


 数日前の創魔導士フラミアならば、苦戦する連中でしたけど。


 『鎌首を持ち上げ、恐怖の連環を業火で燃やせ!』


 「ヒッ!・;」×15「アッ、ああ…」×10

 「ぎぃ、yアアアーーー」


 『火炎を帯びた、(フラミアの操る)魔力の大蛇(魔竜鬼)』が”賊”の精神に干渉して、『恐怖』をもたらす。

 『恐怖』は脚をすくませ、手指を硬直させ、歯の根をふるわせ。暴力の住人たちを、子供以下の無力な存在に堕とし。


 そんな連中を捕らえようと思えば、可能でしょうけど。


 『私のドゥーガ(マンダート)よ…その渇きが望むままに、罪人を呑み干せ!』


 「・!;⁺!!ッ」×30


 フラミアの衝動・制約による高魔力が、”モンスタートレイン”に関わった連中に襲いかかる。


 そうしてしばらくの間、かすれた悲鳴が響き続け。やがて森に不自然な静寂が、もたらされた。





 『魔力』の分身であり、守護獣であり、使い魔であり、クリーチャーでもある。

 C.V.術者の個性が現れる『魔竜鬼ドゥーガ』を、フラミアが創ったのはノーグ村での農業支援を行うことになってから。


 正確にはノーグ村から出された討伐依頼の情報を、詳しく調べたからだ。


 〔ゴブリンが村の畑に侵入してきたそうですけど〕


 〔ああ…奴らは畑を荒らして・・・〕


 〔その割には、被害が少ないようですね?〕


 暴行亜人ゴブリンたちは欲深いが、同時に狡猾だ。村を偵察しつつ、村の外に出た少数を襲ったり。自分たちの腹を満たす、『大量の(・・・)食糧ニク』を一気に強奪する。


 貧しい農村の人々にとって、畑を荒らされるのは大損害で、迷惑でしょうけど。ゴブリンの被害が”畑を荒らす”、程度で済むのは不自然であり。

 

 〔昔、似たような(許せない、)ことがあった(許さない、)のですけど(許すものか)。あの時は何もできなかったから。

  今度こそは、自分の力で(私の業火で)迎撃したいのよ(、必ず後悔させる)


 〔…わかった。シャドウ一族に調査を依頼しよう〕


 ユングウィル様としては、シャドウ一族に借りを作りたくない。恩を売るならともかく、関わりたくないでしょうけど。

 フラミアの意思をくんで、非常時に連絡する『使い魔』で、調査を依頼してくださり。


 〔炎熱C.V.(フラミア)殿が懸念した通り。ゴブリンどもは人為的にノーグ村へ、けしかけられたようです〕と、いう情報がもたらされた。



 冒険者の弱点をついて、冒険者ギルドの面子をつぶすため。


 まず村にゴブリンをけしかけ、『討伐依頼』を出させ。ゴブリンを冒険者が退治して、討伐依頼を完了させる(・・・)

 そうして冒険者が引き上げ。〔厄介事が片付いた〕と、安堵している村の住人を本格的に襲撃する。


 〔依頼した冒険者が、ゴブリンの巣・残党がいないか調べたのだから。少なくともしばらくは、ノーグ村が襲撃されることはないだろう(ませんように)


 そんな願望が心の隙になり、襲撃されたノーグ村の被害を大きくする・・・だけにとどまらず。

 悪意をもって、”盗賊ギルド"が二度目の襲撃(波状攻撃)を成功させれば。やり場のない村人の怒りは、冒険者たちやギルドに向かう。


 〔”盗賊ギルド”と”C.V.勢力”との争いに、ノーグ村は理不尽に巻き込まれた〕と、いう事実・・を流せば。


 〔冒険者がゴブリンの殲滅を怠った〕と、いうような。そんな”悪評ウワサ”がねつ造され、C.V.勢力の信用低下につながる。さぞかし”盗賊ギルド(ゴロツキ)”の溜飲も下がることでしょう。


 〔本来なら、確実に成功する策なのですが…〕


 炎熱C.V.たちがノーグ村に来訪した。ユングウィル様が『火属性術式』による、農業を企画していた。『ニンゲン大の山崩し』と、いうロクでもない遊戯が中止された。


 奇異なめぐりあわせが、ノーグ村に救いをもたらし、現状に至る。



 〔もっとも”盗賊ギルド”の破滅は、確定していますけど〕


 ノーグ村を壊滅させるには、過剰すぎる戦力を集めたそうですけど。フラミアたちに情報を伝えてくださった、女性シャドウは濃密な殺気を、隠そうともせず。


 〔こちらは助言に対する(怪物誘導を企てた)、ささやかなお礼です(、本隊は私が始末する)

 

 こう言われれば、炎熱C.V.班としてはユングウィル様の護衛こそ、最優先にすべきであり。次にノーグ村の防衛に、コストをかけるべきでしょう。


 他にフラミアができることは、”賊の破滅”を願うくらいだった。










 ネタバレ説明:『創魔導士フラミア魔竜鬼ドゥーガ』について


 火炎に包まれた、大蛇の外見を持つ。マンダート(サラマンダー+サーペント)と名付けられた、『造魔生物クリーチャー』の『ドゥーガ』です。


 術者であるフラミアの意思によって、三つの『能力』を発動しますが。


 外見・サイズはほとんど変わらない。水に三態(気体・液体・固体)があるように、外見・能力を大きく変化させる、新式の『ドゥーガ』と異なり。

 外見・サイズは、ほとんど変わらず。3種類の魔術を行使するのが、やっとなのに加え。『魔術』の並列使用はできない(・・)、旧タイプの『魔竜鬼』です。


 とはいえフラミアの職業『創魔導士』は、魔術研究を行うサポート職であり。

 実戦などで、チートな魔術創造を行うことは、全くできません。

 炎熱C.V.班の仲間と協力して、運用することが前提なため。このスペックで仲間から不満が出ることは、一切ないようです。


 能力は以下の三つ。


1)炎熱C.V.班が使う、『火属性の攻撃魔術』の増幅及びサポート

2)苦手な『水属性の攻撃魔術』への対抗・レジスト


3)『怪物誘導トレイン』をやらかす連中を抹殺するために、『恐怖』の精神攻撃を行う。



 1)2)は魔道具でも、代用できる『術式』ですが。使えれば、普通に便利です。


 メイン能力は3)であり。


 『人間は本能的に蛇を恐れる』『人は炎の殺傷力(恐ろしさ)を知っている』『フラミアより魔力の低い者は、彼女の魔術を警戒する』


  これら三つの思考を、精神干渉によって誘導し、増大させて『恐怖』に陥らせてしまう。心身を怯えさせて、戦闘不能にしてしまう。

 これが『魔竜鬼マンダート』のメイン能力であり。


 『トレインを行う者を、限定で抹殺する』という制約により。精神干渉の範囲・強制力を、大幅に強化しています。



 作中にあるとおり。この世界では『トレイン』を間接的に行うことで、犯人が逃げおおせたり。証拠を隠蔽するのも容易で、人間文化の捜査能力も未熟なため。

 感知系のC.V.がいたとしても、『怪物誘導トレイン』への対策が後手に回ってしまう。


 まして攻撃特化な『火属性』の炎熱C.V.班では、満足な対応ができず。

 その無念がフラミアに、『恐怖の火炎大蛇(マンダート)』を創らせました。


 

 ちなみに初期のマンダートでは、『トレインを行える、モンスターテイマーたちを、善悪にかかわらず抹殺する』と、いう自他ともに危ない、『ドゥーガ』だったため。

 ハーレムの中心である、ユングウィルが許可を出すことで、『恐怖をまき散らす能力が、使用可能になる』と、いう制限を課し。


 『トレインを計画し、行う者たちを。直接・間接のどちらで関わっても、破滅させる』という、やっぱり危険な能力になっています。

 『恐怖』で無力化しようが、容赦なく焼き殺す。『トレイン』を引き起こす可能性をつぶすためなら、多少?の被害が出てもかまわない。


 C.V.による『因縁のある犯罪を行う者を抹殺する』という、独自の制裁ルールを具現化したのが『マンダート』であり。


 『クリーチャー型』であるため、術者の魔力以外にも、外部から『魔力』を捕食・・します。ユングウィルが使用許可を出したら〔容赦ない殲滅が行われる〕と、言えますが。



 ”トレイン”の被害が、老若男女を問わない”殺戮”を引き起こすため。フラミアの苛烈さは〔必要悪だろう〕と、許容されています。

 そして『鬼瓦』『鬼の面』を祀ったり、迫力を感じている日本文化に対し。

  西洋文化の人々は『ガーゴイル』に、どれほど迫力を感じているのでしょう?

 

 『単なる悪魔像ではつまらないから、ガーゴイルの伝承で、付加価値をつけよう』

 『水竜ガルグイユを退治した、聖人伝承の付属品』


 昨今は伝承が調べられ、多少はマシになったとはいえ。『ガーゴイル』に迫力・魅力を感じているようには、とても見えない。

 『魔除け』『水除け』をガーゴイルに願うのは、けっこうですが。


 それに伴う『物語』『美術品』が、どれほどあるでしょう?観光キャラとして、探せばあるでしょうけれど。

 ネームバリューとしては、オリジナル『ガーゴイル』の価値が低い。

 昨今のゲームに登場する、モンスターとして有名になった。『ガルグイユを退治した聖人』のつながりで、ガーゴイルは登場したけど、市場・芸術的にはすべった感じがする。


 それが教会の壁にある『ガーゴイル像』へ向ける、私の感想です。

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