399.~炎熱による開拓:フラミアの魔竜鬼
私が『悪魔像』を知ったのは、某ファンタジー島のアニメ1話でした。
石像に化け、不意をつき、限られた空間を自在に飛翔する。それでいて魔術・飛び道具は使わず、攻撃力は微妙な感じ。
そのバランスはさすがとしか、言いようがない。お見事なモンスターだと愚考します。
一方の『ガルグイユ』の頭部から産まれた、オリジナルな『ガーゴイル』ですけれど。こちらはさっぱり魅力が無い。そこに私個人の好み・”狭量な色眼鏡”があるのは、否定しません。
しかし西洋芸術を見る限り、『建物を水難から守る悪魔像』が、どれほどいるでしょうか?
さすがにフランス近辺に行けば、『ガーゴイル像』を『大きな教会』の壁などに、散見しますが。
『絵画』に描かれず、美術品として展示されず、高額で流通しない。映画に登場せず、観光資源になっているか怪しいところ。
これらのことから。私などよりも、西洋の芸術家たちの方が、『ガーゴイル』に魅力を感じていないようであり。
『ガルグイユの頭から、ガーゴイルが産まれた』という伝承は、『メドゥーサのギリシャ神話』に遠く及ばないと愚考します。
世の中を回すにあたって、『必要』は重要だ。
魔王の脅威に対抗するため、英雄が必要であり。逆に平和な世において、勇者・覇王は必要とされない。
そんなニーズの歴史から学んで、冒険者ギルドは活動すべきであり。
〔右から左に、依頼を動かすだけ〕などと、言われる冒険者ギルドは、これから通用しなくなるだろう。
「『依頼料の分割払い』を、ノーグ村にはしっかり、行ってもらおう」
「わかっている!だが荒らされた畑を、再建しなければならない。それに領主様に臨時徴税を課されて、蓄えが枯渇寸前なんだ。
もう少し待ってくれ・・・」
「ほう…モンスター退治もできない、領主のほうが。命がけで戦う冒険者ギルドよりも、怖いと言うのだな?」
「・・っ違う!わかってくれ…」
こんな感じのやり取りをするも。ユングウィルもノーグ村の厳しい、ふところは理解しており。立場の弱い村長を責めたところで、依頼料は支払われない。
支払われたとしても、数人の人生を台無しにする”身売り”が行われて、依頼料が工面される。
それでは今までと変わらず。苦労して『依頼料の分割払い』を行った、メリットが少ない。
「ふむ…どうやら『依頼料』を支払う気はあるようだ。
・・・ならば『依頼料の支払い』を待つ替わりに、ギルドからの『依頼』を受ける気はあるか?」
「そちらからの依頼ですか?」
「ああ…こちらの恥をさらすが、冒険者の中には浅学の者が多い。それで読み書き計算ぐらいは、教えたいんだが、生活苦でそれもままならない。
そこで農村で『大事なこと』を学んでもらおうと思ってな。
ついては開拓してもよい土地と、人手を貸してもらいたい」
「はあ・・・」
生活していくのが、やっとの冒険者たち。彼らに最優先で、学んで欲しいのは実のところ『読み書き計算』ではない。
『冒険の準備』と『計画の立案』であり。
『軍勢』に置き換えれば、『補給の準備・重要性』と言える。
『補給』を断たれたり怠った、軍勢は敗北必至となり。そして冒険者の場合、基本的に補給部隊はおらず。軍勢のように現地で調達というのもままならない。
ある意味、軍隊よりも冒険者活動の『準備』を、アドベンチャラーは行う必要がある。
ところが、この必須知識を冒険者は、なかなか学ばない。
〔冒険を重ねるうちに学ぶ〕と、いう者は少なくないが。たった一度の冒険失敗で、命を失ったり。あるいは”やらかし”て、取り返しのつかないことになった後での、再起は困難であり。
冒険者には農作業を手伝い。同時に『準備』の重要性を学んで、依頼の成功率をあげてもらいたいところだ。
「・・・・・という理由で村長は説得した。あとは計画通りに頼む」
「かしこまりました、御主人様!」×5
ユングウィルの通達に、フレイシアをはじめとする炎熱C.V.5人が唱和する。
その瞳には希望が宿って、士気は高く。火属性C.V.の未来を背負っているかのようだ。
〔そんなに気負わなくてもいいと思うんだが…〕
ユングウィルが彼女たちに提案したこと。
端的に言えば、『火属性術式』で開拓・農作業の手伝いを行うことだ。
1)『攻撃力アップの術式』で腕力を増し、地面を効率よく耕す。
2)雑草を焼いて、灰を『肥料』にする。
3)『術式の火種』を付与して、各家にある『釜戸』の性能を上げる。
4)『火術』で水を沸かして、お湯を提供する。
これらを農繁期に行うことで、農作業をサポートしつつ、作物を増産する。農作物を増産することで、冒険者の食糧事情を改善する。
同時に次男以下の男どもが、自分の土地を得られるよう、開拓を支援するのだ。
「開拓を支援するというのは『焼き畑農業』を行うのでしょうか?」
「地面を耕すのなら。地中に『火球』を潜らせてから爆発させ、地面を吹き飛ばすというのは、いかがでしょう?」
〔そんなことをしたら、『魔術』を恐れる村人がドン引きしてしまう!〕
ユングウィルは胸中に浮かんだツッコミを呑み込み。炎熱C.V.たちを説き伏せにかかる。
「南方では森を焼き、その灰を肥料にして作物を育てる『焼き畑農業』と、いう農法があるそうだが。
しかしここら辺は乾燥していて、それを行うと火災になりかねない。行えたとしても、防火対策でコスト高になってしまう。
それに俺たちの試みは試験段階だ。まずは成功の確率が高いものから、順に行って実績を積み上げる。そうして信用を得なければ即日、とん挫するだろう」
「・・・ご主人の仰る通りかと。
それに私たちがいない時に、『焼き畑農業』の真似事をして、火事が起きたりすれば。”賊”に流用・悪用されて、”放火”が引き起こされれば。
せっかく築き上げた信頼が失われ、計画が遅延してしまう。C.V.文明の農業を教えるには、数年越しの『準備』が必要でしょう」
チームリーダーの発した『不審・警戒』を促す意見で、方針が決まり。それから各自が意見を出し合い、計画を補強していく。
ユングウィルの目的は炎熱C.V.5人の信頼回復だが。
『地属性魔術』が圧倒的に有用な、開拓・農業事業に『火属性の術士』が関与したい。この世界における戦闘では、いまいちな『火属性』を発展させるべく。
今回の農業支援で、一歩を踏み出したいのだろう。
当然、真剣さの度合いも違っており。貴重な意見によって、次々と計画は補強されていき。
〔あくまで『試験運用』を行うだけなんだが。いつの間にか『計画』に成るのは、先走り過ぎだろう〕
そんなユングウィルの本音は、墓まで持っていくことが確定した。
こうしてユングウィルの思惑を超えて、炎熱C.V.たちによる『開墾の支援』が行われることになり。
即座に『火属性魔術』が乱射されることになった。
「ほらほら、どうしたのっ?私を口説きたいなら、強さを見せて?」
「「「「ひぃーー」」」」「や、やめてぇ…」
「うわぁぁぁ」×10
『ファイアビーンズ』
「「「「「ギャあァァァーー」」」」」
『火属性魔術』と言っても、メイガスメイドが放つ『ファイアビーンズ』の威力は、かなり低く。落ち着いて盾をかまえるなりすれば、防ぐことは難しくない。
もっとも『魔術』を初めて見る、村人にとって『ファイアビーンズ』は恐怖でしかなく。
ナンパ男の心を折るという、意図でもフルルは『ファイアビーンズ』を放っているのだ。
せいぜい怖がってもらわねば、もっと威力のある『火術』を撃つことになる。
「そこまでにしてもらおう!!」
「あらぁ?ユングウィル様、私に何か用ですか?」
「村を荒らす、狼藉の数々…これ以上、オマエを見逃すわけにはいかない!」
そんなフルルの前に、ハーレムの主が現れた。
「狼藉ですか?ワタシは降りかかった火の粉をはらっているだけ。
ナンパはともかく、夜這いはお断りですし。
まして、この『開墾』がどういうものか、理解していない方が多いですから。
理解できるように、『軽く火術』を撃ちました〕
今回、炎熱C.V.たちが『開墾』を補助するのは半分以上、彼女たちの利益のためであり。もう半分の理由が、冒険者ギルドで『依頼料の分割払い』を、スムーズに行うためだ。
フルルたちは『火属性の魔術でも、農作業を行える』と、いう実績を作りたい。その『術式』を試験運用するため、村に来訪しており。
ユングウィル様はフルルたちのご機嫌取りのため・・・・・ではなく。
『農作業を支援』することで、村人の信用を得る。契約を守って『依頼料の分割払い』をした方が、『農作業の支援』というメリットを村にもたらす。
〔分割した依頼料を、しっかり払おう〕と、村人たちの思考を誘導することが、冒険者ギルドスタッフとしての目的であり。
それら『外交』のために、フルルたちはノーグ村を訪れたのだ。
一回こっきり依頼をしただけの関係ではなく。
〔これからも冒険者ギルドに依頼しよう〕と、思わせる『営業』のため。
同時に〔依頼料の分割払いを、踏み倒せば痛い目にあう〕と、『威圧』する軍事行動をしているとも言う。
〔だから”男尊女卑”な、村のルールに従うわけにはいかない。かと言って、貴族の身分を”詐称”するのは重罪だから…〕
創魔導士の『インフェルノボール』は威力が高すぎる。実戦用の『バルカン』『バーンスライダー』は威圧などに使いたくない。
成長株のフィニーに、三文芝居な示威行動などさせたくないし。
メイガスメイドの相方な、フリスは『釜戸女神の魔導』で、やることがある。
こうして消去法により、フルルが威嚇を行う、悪役に選ばれたのだが。
〔少なくない村人たちが、開拓した農地を自分の物にしようとしている〕と、いうことをユングウィル様が察し。
フルルは『威嚇する術式』を放つことになった。
〔モンスターに農地を荒らされ、新しい農地が欲しい〕
〔弟などよりも。自分の息子に、農地を分け与えたい〕
〔村を興す開墾は、飢えに苦しんで命がけだった。『身体強化』の術を受けて、一月ばかりの開拓で農地を得るなど、不公平で間違っている〕
こういう潜在的な不満を抑えるため。炎熱C.V.班は恐れられることが、より重要になり。フルルはムチ打つ指導役から、危ない魔術士に役柄を変えたわけだが。
「ぬぅおおおおーーー~、やらせはしないっ!
こんな程度の『攻撃魔術』、たいしたことはないっ・!!+!」
「ご・シュ・ジ・ん~・・・?何だか、とぉっても楽しそうですねぇ?」
「・・…!⁺*!!」
何故だろう?
勇者役のユングウィルを見ているとイラッとする。あるいは化けの皮を焼いて、はがしたら、とってもフルルは気持ちよくなる予感がした。
冒険者ギルドのスタッフが来たと知って、侮る村人たちの態度も、腹に据えかねたし。『データ収集のため』という名分を振りかざせば、少しはっちゃけてもいい気がする。
「ちy:o‘・`」
「ワタシも楽しくさせてください。
それと少し威力が高めな、『術式』を発動しますから。跡継ぎの長男さんは、お家の畑を耕しに帰ってくださいね」
「全員、散れっ!退避だーーー」
「・:・;-₋ー」×20
『ヒートステップ・・・ファイアビーンズ!』
『身体強化』した脚力で、跳躍を繰り返しつつ。フルルは高所から、『ファイアビーンズ』を男たちにあびせる。身構える暇もなく、身体を打つ『術式の熱』は、ユングウィル様にとってもきつく。
〔開墾を成功させて、土地を得ないと行き場がない〕と、いう。
必死になっている、次男以下の者たちだけを、速やかに選別した。
戦場において、『戦力』の査定は重要事項であり。敵勢力の『戦術・兵器』を、学習して対策を練るのは、必須事項だ。
そう考えれば混成都市ウァーテルの攻略をあきらめ。シグルスの街に余計なちょっかいをかけず。
農村にすぎないノーグ村に、過剰な戦力をぶつけるのは、用兵として正しい判断と言える。
農夫ばかりで、兵士はいないに等しく。防御施設もない村を守ることは、下位C.V.班にとって不可能に近く。
ましてフラミアたちが『火属性』であることは、知れ渡っており。
”山賊”が小雨の日を狙うのは、『戦術的』に正しい判断と言えるだろう。
「ヒぃッー^∼」「やめろっ、来るなぁ‥クルNぁ;*:*」
「「「「ギャあァァァーーー!ー」」」」
ただし『魔術能力』を知らない、”山賊”どもの『作戦計画』など”下手な考え”にすぎず。
せいぜい苦しんで、地獄に落ちるのが、連中にふさわしい。
「とはいえ断末魔の声が響いては、騒々しくて村の住人に迷惑というもの。
今なら格別の慈悲で、自害を許しますが…」
「・・・;・-」×30
「戦うと言うなら、仕方ありません。
『私の新たな魔竜鬼』に怯えなさい」
『・・●:●・・』
「くっ…グォオオーーー」「なめるなぁっ!」
「たかが一匹・・」「大きさも、たいしたことない;・!」
小雨が降り続ける森に、”山賊”どもの怒号が響く。勇気を振り絞り、暴力の日々を反芻し、”盗賊ギルド”の制裁を思い出し。
男のプライドを振り絞って、一斉に襲いかかってくる。
数日前の創魔導士ならば、苦戦する連中でしたけど。
『鎌首を持ち上げ、恐怖の連環を業火で燃やせ!』
「ヒッ!・;」×15「アッ、ああ…」×10
「ぎぃ、yアアアーーー」
『火炎を帯びた、魔力の大蛇』が”賊”の精神に干渉して、『恐怖』をもたらす。
『恐怖』は脚をすくませ、手指を硬直させ、歯の根をふるわせ。暴力の住人たちを、子供以下の無力な存在に堕とし。
そんな連中を捕らえようと思えば、可能でしょうけど。
『私のドゥーガよ…その渇きが望むままに、罪人を呑み干せ!』
「・!;⁺!!ッ」×30
フラミアの衝動・制約による高魔力が、”モンスタートレイン”に関わった連中に襲いかかる。
そうしてしばらくの間、かすれた悲鳴が響き続け。やがて森に不自然な静寂が、もたらされた。
『魔力』の分身であり、守護獣であり、使い魔であり、クリーチャーでもある。
C.V.術者の個性が現れる『魔竜鬼』を、フラミアが創ったのはノーグ村での農業支援を行うことになってから。
正確にはノーグ村から出された討伐依頼の情報を、詳しく調べたからだ。
〔ゴブリンが村の畑に侵入してきたそうですけど〕
〔ああ…奴らは畑を荒らして・・・〕
〔その割には、被害が少ないようですね?〕
暴行亜人たちは欲深いが、同時に狡猾だ。村を偵察しつつ、村の外に出た少数を襲ったり。自分たちの腹を満たす、『大量の食糧』を一気に強奪する。
貧しい農村の人々にとって、畑を荒らされるのは大損害で、迷惑でしょうけど。ゴブリンの被害が”畑を荒らす”、程度で済むのは不自然であり。
〔昔、似たようなことがあったのですけど。あの時は何もできなかったから。
今度こそは、自分の力で迎撃したいのよ〕
〔…わかった。シャドウ一族に調査を依頼しよう〕
ユングウィル様としては、シャドウ一族に借りを作りたくない。恩を売るならともかく、関わりたくないでしょうけど。
フラミアの意思をくんで、非常時に連絡する『使い魔』で、調査を依頼してくださり。
〔炎熱C.V.殿が懸念した通り。ゴブリンどもは人為的にノーグ村へ、けしかけられたようです〕と、いう情報がもたらされた。
冒険者の弱点をついて、冒険者ギルドの面子をつぶすため。
まず村にゴブリンをけしかけ、『討伐依頼』を出させ。ゴブリンを冒険者が退治して、討伐依頼を完了させる。
そうして冒険者が引き上げ。〔厄介事が片付いた〕と、安堵している村の住人を本格的に襲撃する。
〔依頼した冒険者が、ゴブリンの巣・残党がいないか調べたのだから。少なくともしばらくは、ノーグ村が襲撃されることはないだろう〕
そんな願望が心の隙になり、襲撃されたノーグ村の被害を大きくする・・・だけにとどまらず。
悪意をもって、”盗賊ギルド"が二度目の襲撃を成功させれば。やり場のない村人の怒りは、冒険者たちやギルドに向かう。
〔”盗賊ギルド”と”C.V.勢力”との争いに、ノーグ村は理不尽に巻き込まれた〕と、いう事実を流せば。
〔冒険者がゴブリンの殲滅を怠った〕と、いうような。そんな”悪評”がねつ造され、C.V.勢力の信用低下につながる。さぞかし”盗賊ギルド”の溜飲も下がることでしょう。
〔本来なら、確実に成功する策なのですが…〕
炎熱C.V.たちがノーグ村に来訪した。ユングウィル様が『火属性術式』による、農業を企画していた。『ニンゲン大の山崩し』と、いうロクでもない遊戯が中止された。
奇異なめぐりあわせが、ノーグ村に救いをもたらし、現状に至る。
〔もっとも”盗賊ギルド”の破滅は、確定していますけど〕
ノーグ村を壊滅させるには、過剰すぎる戦力を集めたそうですけど。フラミアたちに情報を伝えてくださった、女性シャドウは濃密な殺気を、隠そうともせず。
〔こちらは助言に対する、ささやかなお礼です〕
こう言われれば、炎熱C.V.班としてはユングウィル様の護衛こそ、最優先にすべきであり。次にノーグ村の防衛に、コストをかけるべきでしょう。
他にフラミアができることは、”賊の破滅”を願うくらいだった。
ネタバレ説明:『創魔導士の魔竜鬼』について
火炎に包まれた、大蛇の外見を持つ。マンダート(サラマンダー+サーペント)と名付けられた、『造魔生物』の『ドゥーガ』です。
術者であるフラミアの意思によって、三つの『能力』を発動しますが。
外見・サイズはほとんど変わらない。水に三態(気体・液体・固体)があるように、外見・能力を大きく変化させる、新式の『ドゥーガ』と異なり。
外見・サイズは、ほとんど変わらず。3種類の魔術を行使するのが、やっとなのに加え。『魔術』の並列使用はできない、旧タイプの『魔竜鬼』です。
とはいえフラミアの職業『創魔導士』は、魔術研究を行うサポート職であり。
実戦などで、チートな魔術創造を行うことは、全くできません。
炎熱C.V.班の仲間と協力して、運用することが前提なため。このスペックで仲間から不満が出ることは、一切ないようです。
能力は以下の三つ。
1)炎熱C.V.班が使う、『火属性の攻撃魔術』の増幅及びサポート
2)苦手な『水属性の攻撃魔術』への対抗・レジスト
3)『怪物誘導』をやらかす連中を抹殺するために、『恐怖』の精神攻撃を行う。
1)2)は魔道具でも、代用できる『術式』ですが。使えれば、普通に便利です。
メイン能力は3)であり。
『人間は本能的に蛇を恐れる』『人は炎の殺傷力を知っている』『フラミアより魔力の低い者は、彼女の魔術を警戒する』
これら三つの思考を、精神干渉によって誘導し、増大させて『恐怖』に陥らせてしまう。心身を怯えさせて、戦闘不能にしてしまう。
これが『魔竜鬼マンダート』のメイン能力であり。
『トレインを行う者を、限定で抹殺する』という制約により。精神干渉の範囲・強制力を、大幅に強化しています。
作中にあるとおり。この世界では『トレイン』を間接的に行うことで、犯人が逃げおおせたり。証拠を隠蔽するのも容易で、人間文化の捜査能力も未熟なため。
感知系のC.V.がいたとしても、『怪物誘導』への対策が後手に回ってしまう。
まして攻撃特化な『火属性』の炎熱C.V.班では、満足な対応ができず。
その無念がフラミアに、『恐怖の火炎大蛇』を創らせました。
ちなみに初期のマンダートでは、『トレインを行える、モンスターテイマーたちを、善悪にかかわらず抹殺する』と、いう自他ともに危ない、『ドゥーガ』だったため。
ハーレムの中心である、ユングウィルが許可を出すことで、『恐怖をまき散らす能力が、使用可能になる』と、いう制限を課し。
『トレインを計画し、行う者たちを。直接・間接のどちらで関わっても、破滅させる』という、やっぱり危険な能力になっています。
『恐怖』で無力化しようが、容赦なく焼き殺す。『トレイン』を引き起こす可能性をつぶすためなら、多少?の被害が出てもかまわない。
C.V.による『因縁のある犯罪を行う者を抹殺する』という、独自の制裁ルールを具現化したのが『マンダート』であり。
『クリーチャー型』であるため、術者の魔力以外にも、外部から『魔力』を捕食します。ユングウィルが使用許可を出したら〔容赦ない殲滅が行われる〕と、言えますが。
”トレイン”の被害が、老若男女を問わない”殺戮”を引き起こすため。フラミアの苛烈さは〔必要悪だろう〕と、許容されています。
そして『鬼瓦』『鬼の面』を祀ったり、迫力を感じている日本文化に対し。
西洋文化の人々は『ガーゴイル』に、どれほど迫力を感じているのでしょう?
『単なる悪魔像ではつまらないから、ガーゴイルの伝承で、付加価値をつけよう』
『水竜ガルグイユを退治した、聖人伝承の付属品』
昨今は伝承が調べられ、多少はマシになったとはいえ。『ガーゴイル』に迫力・魅力を感じているようには、とても見えない。
『魔除け』『水除け』をガーゴイルに願うのは、けっこうですが。
それに伴う『物語』『美術品』が、どれほどあるでしょう?観光キャラとして、探せばあるでしょうけれど。
ネームバリューとしては、オリジナル『ガーゴイル』の価値が低い。
昨今のゲームに登場する、モンスターとして有名になった。『ガルグイユを退治した聖人』のつながりで、ガーゴイルは登場したけど、市場・芸術的にはすべった感じがする。
それが教会の壁にある『ガーゴイル像』へ向ける、私の感想です。