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ヴァルキリーズ・シティ~混成都市ができるまで、あるいは盗賊連合の滅亡記  作者: 氷山坊主
閑話~混成都市の渦+シグルスの模擬戦闘
397/422

397.閑話~キラーゲーム2::+金輝の侵略

 『ガルグイユ』という水竜の伝承がフランスにあります。


 某宇宙帝国の水中メカの名称で初めて知りましたが。『ガーゴイル』の原型となったドラゴンであり。

 検索すると退治され、リンチされたあげく、焼き殺され。

 その亡骸がさらし首になって、『ガーゴイル』の原型になったとのこのこと。


 西欧では『ドラゴン=悪魔』のイメージがあり。『ガルグイユ』の首が『悪魔像ガーゴイル』になるのは自然なこと・・・・・ではない(・・)と愚考します。


 北欧神話の世界と化した『始原の巨人(ユミル)』。

 無数の毒蛇怪蟲を産み出す『アジ・ダハーカ』。

 『女神カーリー』と激突した、出血から分身を産み出す『魔神アスラ』の一柱。


 これら世界の存亡を左右する、神格ならば『遺骸からモンスターが産まれる』でしょうけど。

 聖人に捕らわれ、大衆に私刑リンチで殺される。その程度の『ガルグイユ』を、魔神以上の神秘と同列に扱うことはできず。


 頭が『ガーゴイル』と化した、『ガルグイユ』は稀少な水竜だと愚考します。

 冒険者という稼業がある。

 『何でも屋』あつかい、されることもあるが。厳しい社会で、そんな便利な職業はなく。


 肉食獣に様々な種類がいるように、冒険者も得手不得手があり。

 モンスターを討伐するにしても、野外で大物狙う勇者もいれば。害獣を間引く、狩人のような冒険者もおり。

 一般人がイメージするように、旅から旅を重ねるアドベンチャラーもいれば。

 動物が『縄張り』を守るように、一か所の拠点に執心する者もいる。


 当然、冒険者の活動スタンスによって、パーティーの編成も変わり。

 受ける依頼・狙うモンスターも、ある程度傾向がある。


 一見、万能無敵な勇者でも。高すぎる戦闘力ゆえに、市街地で探し物をするのは苦手だ・・・と、いう話しは珍しくない。




 「・・それで?」


 「こんなバケモノを相手にできるかぁーーーッ」


 「Sイギュr∼ーーーー;ー*」×10


 

 『野犬退治』ということで、オルフェイたちが受けた討伐依頼。

 それは四脚が異様に長く、口が大きく裂けた”犬型?魔獣”を退治する・・・・・と、いう怪物退治ですらなく。


 『ン⁺nん∼~ー』『オボっ;ッ⁉;』『ヒh:ひーーー』


 「来るなっ、こっちに来るんじゃねーー」「いやっ!?」

 「くらえやぁーー!」「;…+・・」


 体表に生きた?人間を、貼り付け?縫い付け?生やしたような?

 『犬型怪物モンスター』が美しいと錯覚する、”おぞましい妖獣”が群れとなり。奇声をあげて、疾走してくる。


 ”アンデット”と”妖獣”を混ぜた?思考が理解することを拒む、”悪趣味(渾沌獣)”と対面することだった。



 「こんな”バケモノ”と戦うなんて、聞いてないぞ!!」


 「サイショは野犬だったんだ…それがいつの間にか、変わってしまった。

  依頼にウソはない!!」


 〔信じられるかーーーー!〕と、怒鳴りたいのは山々だが。

 依頼人に情報収集を、期待するのは難しく。冒険者ギルドの『偵察』を待っていては、かかった時間の分だけ、犠牲者が増えるリスクがある。


 討伐依頼で『モンスター』の正確な情報を、得るのは困難であり。


 『Kコ;こ*~^∼』


 「死ねぇーー」


 『/ゴっ/gごぉ*ー』


 「なぁっ⁉傷が…・」


 ”妖獣”に負わせた傷がミミズのように這って、貼り付けられた?人身へと移る。

 それによって苦鳴・”体液”と悪臭が、人型の口から吐き出され。


 オルフェイたちの士気を、容赦なく削っていく。


 「ひるむなっ‼敵モンスターは傷を負ったぞ。

  このまま、どんどん攻撃しろっ!」


 「・・・冗談じゃねえ」


 苦鳴に呪われ、”体液(吐しゃ物)”で病気になるのか?

 オルフェイたちは自らを犠牲にして、知りたくない。


 それにこの”妖獣”どもは、悪趣味極まりない”人畜の融合体”ではあるものの。『血の臭い』がせず、パーティーメンバーも傷すら負ってない・・・・・となればオルフェイが出すべき指示は一つしかなく。


 「撤退だっ!回収できるなら(こんな依頼で)体液を持ち帰るぞ(ケガなぞしてられるか)


 「おおっ!」×5


 「待ちやがれっ!依頼を投げ出すなど、それでも冒険者ガ/*/ー∼*ッ:」


 「っ⁉」×6


 しかし、その判断は遅すぎた。

 突然、依頼人の代理を名乗る男が血しぶきを上げる・・・にもかかわらず、その身体は倒れることなく、不気味な痙攣けいれんを繰り返し。


 「少し見回りをし(ドラゴンクロウ)いたら、面白い(クロウアラクネ)モノがいるわね。もし(アラクネビースト)も正体を知っているなら、私に情報を教えてくれないかしらぁ」


 「‼*+-…!」×6


 正真正銘のバケモノが出現した。


 気持ち悪いだけの”妖獣”とは、ヤバさが違う。ヒトの天敵であり、獲物を逃がさない捕食者であり、敗者をもてあそぶ蹂躙者を兼ねる。

 オンナの形をした脅威の出現に、オルフェイは”妖獣”を無視して、速やかに臨戦態勢を取り。


 『八妖輪陣はちようりんじん


 「-…-ー:ー」×6「kコgグ…:!」×12


 最重要の『選択』で、間違えてしまったことを、オルフェイは思い知る。

 厄介だと思っていた(・・)”妖獣”も含め、バケモノ以外の全てが硬直させられ。


 「・・・貴方たち冒(アラクネビースト)険者は無詠唱とやらが(ビーストレギオン)好きだから、模倣した(レギオンアラクネ)のだけど。


  気に入ってもらえたかしらぁ?」


 「た、頼む…オレはぁ・:-ー~いいカラ、仲間Dけハ…*」


 「ヒトをいったいナンだと思っているのかしらぁ?・・・って、これじゃあまっとうな冒険者には、『妖術師』にしか見えないわね」


 「「「「「「・・・::ー・(ヨウジュツシ?)」」」」」」


 誰一人、一匹?として、彼女を『妖術師』ごときと誤認する者など、この場にいない。

 だがその真実はオルフェイたちに、不幸のみをもたらすわけで。


 「…ごめんなさいねぇ。ちょっぴり(・・・・・)妖気を感じたから、また”賊”が何か外法を使ったと思ったのだけど。

  なんてことはない、私たちと同じ…・・」


 彼女のつぶやきを、オルフェイの耳はとらえることができず。

 だが強い妖気(凶悪な邪気)がおさまった空気に、安堵の息をもらし。

 

 「一応、前後の事情を教えてもらおうかしら。

  とはいえ依頼内容をペラペラしゃべるようでは、冒険者失格でしょうし。


  そうねぇ…〔おバカな依頼人(盗賊)の命が惜しければ、情報を吐いてね~〕と、でも言えば教えてくれるぅ?」


 「なっ・・」


 「ガあぁあ‐ー*~*…*:っーー」


 オルフェイが一言を述べる間すらなく、訳ありな依頼人の口から、絶叫が吐き出される。


 それに対し万能ではなく、耐拷問の訓練を受けていない。普通の冒険者が対抗策を打てるはずもなく。知ってるかぎりを、洗いざらい吐くしかなかった。


 

 



 冒険者ギルドに闘技場が建てられ、黒霊騎士団が駐留するシグルスの街。

 そこでは様々な思惑が飛びかい、諜報戦が行われ。闘技場を兼ねる訓練場では、経験を積もうと冒険者たちが集まっている。


 しかしその裏で進行している、真の厄介事(しょ~もない事)を知っている者は少数だった。



 「…お手数をかけますシャドウ様。

  そしてシグルスの街に、よくいらっしゃいました…」


 「貴女が、『コレ』を産み出したの?

  どういうことか納得のいく、説明をしてくれるかしらぁ」

 

 「もちろんでございます」


 礼節をもって対応するC.V.リアベルに対し。女シャドウは、嫌悪を隠そうともせず問いかける。

 それはC.V.を貴人として扱う、シャドウ一族としては珍しいことであり。


 同時に只人が目撃したら、迷わず逃走するであろう、戦闘の始まりだった。


 「まず『コレ』は、いったい何かしら?」


 「『占い』に使う道具であり…”誘拐魔ども”の成れの果てになります」



 『魔力』によって造られた”妖獣”に、半死半生の”誘拐魔”が半ば融合させられている。

 悪趣味な”ソレ”は、リアベルが『ジュデッカシャドー』によって、急造した使い魔であり。どの勢力に”ソレ”が討伐されたかによって、リアベルが今後どのように動くか決定する(占う)


 だいぶ無茶な方針を、リアベルの一族に認めさせる建前として、”妖獣を放った(占いを行った)”のだが。



 「『占い』で未来を決めるなら。コインの裏表を当てる方法で、決めて欲しいのだけれど?」


 「その占術では、私の願望通りの結果が出ますから…」


 「・・言い方が悪かったわねぇ。シャドウが狩りをする場所に、”穢れた獣”を放つなと言ってるの」


 聖賢イリス様に仕えるシャドウ一族からすれば。『魔術』・C.V.様の悪評は、そのまま主君の悪評につながる。


 〔C.V.とはいえ、”妖獣”を放ったのは別勢力です。我々は、そんな”邪法”を使いません〕と、弁解しても。

 『魔術』に怯え、連敗している者たちは、誰もそんな主張を受け入れないだろう。間違いなく逆襲のチャンスと考え、騒ぎ立てる。



 しかし、そんなことは不可能だ。


 「シャドウの主張は、いちいちごもっともでございます。

  5級(・・)()天属性のC.V.リアベル・ヴィダーシュの名にかけて、今後は一切このようなことは起こさないと、誓います…」


 「ふうん?ならば『アラクネ使い』の…」


 「それはダメです」


 「・・っ!」


 偽りの名乗りを始めようとする、女シャドウを押しとどめ。

 リアベルは彼女に『作法』を説く。


 「私は本当・・の等級・属性を名乗りました。ならば貴女も、同様に(名乗りを)返すべきです」


 〔不毛な争いを望む。大事なものを傷つけられ、どうしても戦いたいというなら、別ですけど〕


 『最期のキラーゲーム(ジュデッカシャドー)』で造った”融合妖獣(塵芥)”は、民草どころか”窃盗犯シーフ”を殺すことも禁じている。邪魔者を押しのけるため、甘噛あまがみぐらいは許しているが。

 『”奴”らが血をすすれるのは、”誘拐魔”だけ(・・)』と、リアベルは行動制限をかけており。善良な冒険者にご迷惑を、おかけしたものの。何一つなせず、リアベルのところに戻らされた(・・・)ことは、既に把握している。



 「私はしがない、掃除屋(山賊狩り)なのだけど?」


 「そうなのですか?だとしたら、シャドウ一族の見識を疑いますが…」


 「ッ…中級シャドウ、八妖の霧葉・セプテール。リアベル様の『誓い』を、確かに承りました」


 「私の『誓い』を受け入れてくださり、ありがとうございます。

  無論、”妖獣の素材(誘拐魔の体)”は、いかようになさろうとご自由です。


  とはいえ、それでは手数をかけて、”妖獣”を運ばれた霧葉様の労に釣り合わないというもの。

  

  もう少しばかり、私の『魔術能力デザイン』を披露いたしましょう…」


 「…・⁉‐」


 リアベルの申し出に、霧葉殿は迷わず警戒態勢をとる。『魔力』を高め、『お遊戯(アラクネ)』を土に戻し、速やかに後退した。

 

 それを見やってから、リアベルは心身の奥にある魔力を、目覚めさせるべく。

 全身を行使しての『詠唱』に取り掛かり。


 『獣の王にして、血塗れの爪  狩猟の群影にして、砂塵の闇に凍える牙


  幾千の夜を見つめ 再生の蛇と競い   飢えをもたらす鼠を狩れ!


  その後、小さき身を街に招き  自由の心を、屋根と炉端に彼はいざな


  狂猛な獅子は、仮面と共に去り  命と歓喜を、私は鳴らす


  バステトサバイヴ!!!!』


 『全身での詠唱』が完成して、リアベルの心身が変成していく。

 

 『さらわれた家族を取り返す』という建前で、”誘拐魔”への憎しみに可能性タマシイを売って編み出した。『(誘拐魔を)殲滅する魔導(キラーゲーム)』の制約が解け、『呪力』が排出されていく。


 それは今まで得た戦闘経験(少なくない記憶)・高めた魔力を失うという、デメリットをリアベルにもたらし。

 同時にあるじと家族が守った、『宝物』をリアベルに再びもたらす。無論、物理法則にうるさい世界で、そんなことは不可能なのだが。


 リアベルのイメージと、C.V.(同族)との『契約』に伴う、大魔力が『キラーゲーム』を強制的に分解していき。


 「心音が血を…呼吸が息を届ける(細胞)を…心電(体内電流)がハラワタの連動を…」


 「・・・…:+」


 リアベルの心身を、『バステトサバイヴ』が変身させていく。

 それは強固な鎧甲・自在の妖毛すら無い。次代を育み、旦那タクマ様を閨に誘うための華奢な身体であり。


 「「「「「「ン――ッ:n;フ――-⁉」」」」」」


 「あら…ナニを怯えているのかしら」


 常人には猛毒に等しい『魔力』を、操れる心身()リアベルは構築していく。

 しかし都市を護り、”脅威”を滅殺するためには、必要最小限の強度にすぎず。


 領主(5級)C.V.リアベルの主君である、ルイリナ様(超上級C.V.)がご覧になったら苦笑するレベルでしかない。


 そんなことを考えながら、リアベルは猫のような笑みを浮かべ。


 「ああ、こういう時にヒトは〔見たなぁ~~‼〕と、恫喝するのでしたね…」


 「・・・・・」


 「「「「「「…・…・――—」」」」」」




 その後、シグルスの街中に”醜い悲鳴”が響き渡った。



 








 カオスヴァルキリーは戦争・・種族だ。

 『魔術』を修め、『知識』を蓄え、まともな文化に敬意をはらう。


 そうして、あらゆる分野で勝利をつかみ取る、多角的な戦闘民族と言えなくもない。


 はっきり言って、たいていの『人類文明』を圧倒する戦力を有しており。それは悪徳都市を一夜で落とした、その後を見れば明らかでしょう。


 〔だけど占領とか、”皇帝ごっこ”とか面倒くさいんだよね^~^〕


 権力に執心する者たち、不様に悪徳都市から逃げ出した”賊”どもが、耳にしたならば。激怒すること必定な本音により、人類の各勢力は保たれている。

 そして中の下C.V.なイセリナの胸中も、主君で姉上なイリスと似たようなものであり。”選民思想”のラリッた頭で、血塗れた財貨を得るなど、おぞましい行為でしかない。


 まして次世代を育むのに、恋慕・セッ▽✖を重視するC.V.たちにとって。愛想を振りまき、心が死んだ”奴隷”と夫婦になるなど、論外であり。


 『経済戦争』という戦場に立つイセリナにとって、正気を疑う”理屈”・『術理』が飛びかい。混成都市ウァーテルの文官トップとしては〔とっとと貴族と婚約でもすれば?〕と、思いつつも『外交』に赴く日々をすごしている。



 「貴様ぁ…我が領に戦争wお仕掛けるつもりかっ、ただで済むと思ってtいるのnか!;」


 「そんなくだらない(・・・・・)ことをする気はございません」


 「だったら、ナンでっ⁉なんでポロス男爵家を責めるのnだ!?」


 〔キサマを見せしめにするため。”賊”の甘言に乗って嫌がらせ(合法な攻撃?)をする、領主が目ざわりだから消えてもらうため〕




 戦士・権力者にとって侮られることは、多大な不利益をもたらし。感情的にも認められない。


 そしてイセリナはわりと寛容で、陰口くらいは(負け犬の遠吠え)大目に見る(だと考える)が。”ヒトどうしで共食いをする連中”の尊厳を守ってやるほど、お優しい性格ではなく。容赦なく破産させて、利益に変える。


 そしてイセリナたちの『光術』を防ぐとウワサされた(デマが流れた)、『ダークグラス(詐欺アイテム)』を購入してしまい。それに伴う損失・信用低下に苦しむ貴族たちに、露骨で”不公平”すぎる経済攻撃を仕掛けた。

 

 『離間策』を仕掛け、初見の『経済攻撃』を行い。シャドウに依頼して『使者』から手紙を奪ったり、行き来を妨げ。”盗賊ギルドの傀儡”という悪評(事実)を、同盟者たちにばらまいた。


 〔他国・他領が軍備を増強したら、対抗策を立てるのは当然よ。だから『ダークグラス』を購入するのはかまわない。

  とはいえ今回の件で学び、もう少し貴族たちには賢くなってもらわないと〕


 ちなみに『ダークグラス』を使って、『目つぶし閃光(フラッシュ)』の対策を企てた、貴族たちには警告を行ったり。低金利の貸し付けを行っている。

 さすがに直接、警告をしても無駄なので。話の通る寄親・豪商を通し、『偏光によって闇を作れば、ダークグラスは目隠しと化す』と、伝えている。



 それにしても、長年にわたる”盗賊ギルド”の悪影響があるとはいえ。C.V.の次代を育むお相手として、今の貴族たちは愚かすぎる。

 歴史に学ばず、コスト計算もできないバカは、一夜の相手にすら使えない。




 そんな胸中を明かすことなく、イセリナはポロス男爵を追い詰めていく。


 「”冒険者の依頼に詐欺ワナを仕掛ける””依頼料の分割払いを行う村に、臨時重税(・・)をかける””盗賊ギルドに情報を流す”


  これらは混成都市への敵対行動であり。同程度の報復を、私は行ったにすぎません」


 「そんなっ…冒険者ごときを何故、気にかける?臨時収入を得た村人が、領主に献上を行うのは当然のことだっ!!それに”盗賊ギルド”が勝手に調べただけで、ワシは知らん…」


 「そうだったのですか?

  あいにくポロス男爵の”不勉強”さは想定してなくて・・・ウァーテルで同じことをしたら、”知りません”で済まないですから」


 「キッkサマァーー!‐」



 依頼料の分割払いに伴い、冒険者及びギルドに多大な投資を、イセリナは行っており。その投資先を攻撃するなど、イセリナにケンカを売っているに等しい。

 取引先の依頼人()に、重税をかけるのも同様だ。


 そもそもイセリナは”詐欺師の悪行”による、”破滅の連鎖”を幻視してしまう。


 一家心中・治安悪化から”詐欺師の増殖”まで、多大な損害を認識しており。それに事実上、協力している貴族も同罪と決めている。

 『極刑』なら温情をかけすぎで、『(拷問死からの)さらし首』が標準だ。

 そして身分によって、量刑を判断することなく。貴族が好む”合法的な手段”で、地位・財貨を奪ってから『刑』を執行する。標準の『刑』が執行できる、状勢を作る(ように賊をつぶす)と決めている。



 そんな益体もないことを考えながら。剣をぬこうとするポロス男爵を、イセリナは冷ややかに見つめ。


 「そこまでだ!!このいさかいは我が預かる!」


 「⁉…・・」


 ノックもなしに押し入ってくる、闖入者を迎え入れた。









 ネタバレ説明:『キラーゲーム』について


 ”誘拐魔”を探し、追い詰め、殺すために編み出された。

 特攻・攻撃力アップをメインにする、『○○キラー』と異なり。


 ”誘拐魔”を探し出す、『感知能力』に特化しており。他にも”誘拐魔”を惑わす『術式』を集合させた『魔導能力』。

 それがC.V.リアベルのふるう『キラーゲーム』です。



 それを聞いた、C.V.イリスはこんなことを仰いました。

 〔そんな甘っちょろい、能力なわけないんじゃない?〕・・・と。


 ちなみにリアベルには既に感知に特化した『ブラック(シーカー)ゲーム』という、『魔導能力』を構築しており。単に”誘拐犯”を探すだけなら、それだけで事足りる。


 加えて彼女の主君は超上位C.V.であり。『魔眼の逆探知』を教えた、イリスの師匠です。


 『普段は他人のプライバシーを尊重し、そのアピールをなさい。そして他人の秘密を暴き、平和に”寄生”する者が仕掛けてきたら。一切、容赦することなく、敵のプライバシーを蹂躙しなさい』


 こんな教えをイリスに与え。相棒ライバルC.V.と比べ、穏健派と言われて(を偽装して)いる、諜報担当のC.V.ルイリナです。



 そんなルイリナが関わる『魔導能力』が、どうなるかと言うと。


 ”誘拐チーム”だけでなく。”誘拐稼業”を成立させる、人身売買・汚職役人などを壊滅させる、『凶悪な魔導』が『キラーゲーム』の正体であり。


 ゾンビ・ヴァンパイアなどが、犠牲者を『下位眷属』にしてしまうのと同様に。


 リアベルの『キラーゲーム』は、爪で傷つけたヒトを、『下位獣人』に変えてしまう。”誘拐組織”を壊滅させるため、情報収集をさせる『使い魔(下位獣人)』に変えて、情報収集に運用する。


 これがリアベルの『キラーゲーム』の正体であり。同族C.V.にすら、知られたら”狂犬・禍つ猫”あつかいされる『魔導能力』です。

 

 当然、こんなやばい能力を所有して、人間と夫婦になるなど論外であり。タクマと婚約する前に、『キラーゲーム』を滅却する必要があった。

 そのためシグルスの街に引っ込んで、魔力を高めたり、儀式魔術の支度を行い。黒霊騎士団の持つ『呪力』をあびたりするなど、準備を整え。


 呪術で人を『使い魔(妖獣)』にぬいつけ、悪目立ちする『ジュデッカシャドー』を使うなど。本当に面倒くさい儀式を行い。


 『キラーゲーム』を素材・燃料(イケニエ)にして、『バステトサバイヴ』を編み出していました。




 ちなみに『キラーゲーム』によって『下位獣人』へと変えられた人間は、外見上ほとんど変化はなく。せいぜい体毛が増えるぐらいです。


 ただし鼓膜・眼底など、外から見えにくい『感覚器』及び神経に、『呪いの傷』を刻まれており。自分が『使い魔』に変えられたことを、一生知ることなく情報を蓄え続け。


 リアベルが『符丁』を発すると、その蓄えた情報をトランス状態になって伝達してしまう。


 『気付かないうちに、裏切り者を作っている』と、言っても過言ではなく。バレたら仲間のC.V.からも、白眼視される。人間なら魔女狩りが、確定するでしょう。

 正体を知られたら、絶対ダメな『魔導能力』であり。



 この情報を隠蔽するため、上位C.V.は”誘拐魔の属する勢力”を、徹底的に殲滅し。この件を解決するため、タクマもがっつり巻き込まれています。



 以上、『キラーゲーム』のネタバレ説明でした。

 まあ身も蓋もないことを言えば、神話ネタが伝わった。著作権など無かった時代で、当時はネタを流用しても、合法ですし。メジャーな『ギリシャ神話』が、『ガルグイユ』のお話に伝播した可能性もあると、愚考します。


 ちなみに『ガルグイユ』の能力に『水を吐き出して、水難・水害を起こす』と、いうのがありますけど。


 これは『権力者的』に、かなり有用な能力ではないでしょうか?


 『洪水が起こるのは、ガルグイユのせい。”重税をかけてる権力者”が、治水を失敗したせいではないし。まして天上の天使が、大雨の天罰を落としたせいでもない』と、いう”言い訳(責任転嫁)”に有用だと思います。


 当時の技術的に、水害対策を行うのは困難であり。そういう言い訳は、グレーゾーンだと思いますけど。

 悪政を行い、教義で『科学』を否定する連中が、べったり癒着している。

 そういう”権力者・宗教屋”にとって、ものすごく『ガルグイユ』は、重宝する悪者であり。きっと何度も復活して、水害を引き起こしたと推測します。

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