393.閑話~戦姫たちの会談+微風の動作::
アイドルではありませんが、『魔獣・幻獣』の類も排泄物は出さないもの。
それなのに『灼熱の汚物』を出す、『タラスク』はかなり迷惑な竜魔獣でしょう。
『タラスク』が誕生した時代、『毒気を吐く竜』が主流だった。
そんな時にわざわざ『灼熱の糞』を出す『タラスク』は、火に関連する『油分』を排出する。石油ではないにしろ、悪臭がして引火したり川を汚す。
そんな『油分の泥=灼熱の糞』を出す、沼の地形が『タラスク』の原型だと愚考します。
まあ実際のところ、大昔のフランスの地形を調べて、『油分』の『ゆ・あ』の字も出てこなければ。単なる戯言になりますけど。
とはいえ『タラスクの【伝承】』を検索して、『灼熱の✖』が出てこない。それは”表記しない自由”を、乱用していると愚考します。
創作・祭りなら、全く問題ないアレンジですけど。資料・検索サイトとしては、アウトでしょう。
混成都市ウァーテルという、巨大都市がある。
C.V.イリス・レーベロアによって、一夜で破壊された悪徳の都から、建造された商業都市であり。”盗賊ギルド”や周辺勢力と、表裏で争うことを想定して運営されている。
一例として、スラム街を解体するため、多岐にわたる施策を行いつつ。
犯罪者を”盗賊ギルド”につながる者として、容赦のない取り締まりを、執行し続け。周辺都市に利権を提供して、流れてくる民の動きを抑制したり、別の場所での働き口を紹介する。
”小娘たちに都市経営など、できるはずがない”
”すぐにギルドが都市ウァーテルを奪還する”
そんな連中の顔色が悪くなるのに、時間はかからず。その後、C.V.勢力に利用されていた道化であることが知れ渡り、連中は無惨な最期を遂げたとか。
そんな混成都市を支配する戦姫たちは、傑物と言ってよく。凡人にとって、雲の上の人物と言えるだろう。
ただし万能の聖人には遠く。失敗も派手に行うとか・・・
「残念だったわね、イセリナ」
「くっ…シャドウの教育がなってないからでしょう!」
「っ‼…だったら重騎士が代わりに、『お役目』に就いたら?」
ウァーテルの心臓部にして、頭脳を兼ねる。政庁の隠し部屋において、首脳陣の不毛な争いが、珍しく行われていた。
都市の太守であり、戦争の女王と言える、光属性のC.V.イリスをトップに仰ぎ。
表の軍勢である陸戦師団を指揮して、文官たちを束ねるイリスの親族?である、C.V.のイセリナが腹心を務め。
そして少数でも多大な戦果をあげられる、シャドウ一族の姫長である扇奈が実働部隊を束ねる。
彼女たち3人は、先ほどの失態について反省会を行い。同時に日頃のうっ憤を晴らすべく、不毛な会話を交わしていた。
「…-・あいにくだが、重騎士たちは汚れ役には、就かないと決まっている」
「外交の担当は、重騎士たち文武官でしょう」
「婚姻外交はともかく。『制約』によって、ハーレムに関わるのは禁止事項よ」
「ふん、腰抜けが…」
「だったら『制約』を破って、”求婚者”を解き放ってみる?」
普段は災厄に対抗するため、強固な同盟を組んでいる。立場・心情の両面で政敵なのに、暴走しがちな主君を抑えるため、普段から協力しあっている。
そんなイセリナと扇奈の二人が、珍しく争っているのは、ある役職に関してだ。
その役職とは、多重婚の『調整役』であり。
国家の中心にある後宮ならば、慣習・法規や権力争いなどで、一応の『秩序』が成立する。妃たちは、後ろ盾となる実家の意向を無視して、争うことは許されない。
しかし功績・魔力や戦闘力など、状況によって変わるもので、多重婚の『秩序』が左右される。情愛の求めるまま、旦那様との逢瀬を求めるC.V.が現れれば。
ハーレムの『秩序』が、崩壊すること必至であり。
そんなハーレムを結婚した男女だけで運営するのは、狂気の沙汰に近い。
最低限、形になるまでサポートが必須というもの。『封印の結界』を維持・管理するように、時おり見回りも必要だ。
「だけど一騎当千のシャドウですら、〔そんな役目はやだぁーー・⁺;〕と、恥も外聞もなく逃げ出してしまう。
感覚が鋭く、危機意識が高いのも困ったものだね~」
「「・・・-・…・」」
イリスの言葉に対し、家臣としての扇奈、イセリナは不器用に視線をそらす。
逃げ出せた者はマシで、『魔術能力』の余波を受けて、重傷を負った者も少なくない。性欲が減衰したり、トラウマになったり、その被害は計り知れず。
悪趣味なギャグのようだが、実際に物理法則に厳しい世界で、発生している案件であり。
そして、その原因は一つずつ確実に、対処する必要があった。
「魔導師団長クララ・レイシアード様がいらっしゃいました」
「ご苦労、カヤノ。これから極めて重要な話しを行う。
けっして誰も、この部屋に入れないように」
「かしこまりました」
そうして隠し部屋の扉は閉じられた。
『身分に関係なく、意見を出し合う』という会議を開くため『円卓』というものがある。
しかし『酒宴の無礼講』と同様に、権力の世界に『公平』の二文字はなく。
それは混成都市の隠し部屋でも同様だった。
『メルトクリスタル』
強大な『魔力』を込められた呪文が、閉ざされた隠し部屋の壁を溶かして、出入り口を作る。
一見、『魔力量によるゴリ押し』と思われる、その行為は『特権の行使』であり。
「ようこそおいでくださいました、クララ様」×3
都市の最高権力者であるイリスも含め、戦姫3人が立ち上がって、来訪者に敬意を示す。そんな光景は、この隠し部屋以外では決して見られない、奇異なものだ。
「・・・お互い暇ではない。(先ほどのフォルカとのやり取りは『透視』して把握している)要件だけを簡潔に話しましょう」
「承知しました」
かつて”盗賊ギルド”に支配されていた、ウァーテルの建造物は『抜け穴・隠し部屋』の宝庫であり。それらを塞ぐ以前に、探すのも困難だった。
そのため混成都市に滞在するC.V.の中で、最大量の『魔力』を持つクララが、『魔導能力』で対策を行い。
その過程で、この隠し部屋のようにクララが掌握している、『魔水晶の部屋』がいくつも作られ。その中でのやり取りは、彼女に筒抜けだ。
先ほどの口論も、その前にフォルカを詰問した件も、クララは既に知っている。
その前提で、混成都市の支配者たちは、話を始め。
「いかがですか、クララ様?」
「あれが常人の反応というものです」
「・・・ー・」
戦姫3人は、魔導師団長の地位にある、クララ一人を包囲した。
「あの者はマスターのお力を下賜され、多少なりとも腕に自信がございます。
加えて洒脱な性格で、遊び歩いている」
「そんなフォルカ殿ですが、ご覧になったとおり『貴族家の乗っ取り』任務を希望しました。
答えにくい質問を行い、心理的な圧迫をかけた後に。最後に好条件を提示して、それを呑ませる。そんな心理誘導を仕掛けても、『ハーレムの調整役』を受けませんでした」
土地の販売で、心理を利用することがある。
『悪い物件→さらに最悪な物件→普通の建物』と、いう風に土地を見せると。
最後に案内された『普通の建物』を、土地の素人である客は『素晴らしい物件』だと誤認してしまう。
それを真似して、イリスたちもフォルカに心理誘導を仕掛けた。
『女性の好みを尋ね』→『女シャドウの尊厳を問い』と、いう”ストレス”をかけていき。
最期にイセリナが救いの手を差し伸べるように、『任務の選択』を行った。
それによりフォルカは異動を受け入れ・・・・・る確率を高め。
仕組みが確立してない『C.V.ハーレムの維持・管理』と、いう『危険な任務』を自ら選択するよう誘導し。
結局、フォルカは『貴族家乗っ取り』任務を選択して、『調整役』への誘導は失敗してしまう。
もっとも本気で『ハーレムの調整役』を都合したいなら、扇奈かイリスが直接、フォルカに命じればいいだけのこと。
少なくとも任務を『選択』する自由など、役人を束ねるイセリナは与えない。
戦姫3人の本命は別にあった。
「このように多少、腕が立つくらいでは『多重婚』を負担に感じてしまう。
自分より強かったり、『魔力』の高いC.V.に囲まれると、人間は夫婦生活が成り立たなくなる。
その証拠が下級シャドウ、フォルカによる事実上の任務拒否であり。高額報酬を提示しても〔(他人の)ハーレムに近づきたくない〕と、いう意思表示です」
「・・・それで私にどうしろと?」
イリスの屁理屈混じりな口上に対し、クララ様は半眼になるも。とりあえず話しを聞く、姿勢を取る。
「…プリンセスガードであるクララ・フィム・レイシアード様は、ガルド将軍との夫婦生活に集中していただきたい。
上位C.V.として配下に殿方を紹介する、義務があるのは承知しています。
しかし最優先すべきはクララ様、ガルド殿たちが『次代を育む』ことであり。他のことは、全て後日に挽回できます」
〔今日できることは、今日の内に終わらせる〕と、いうモットーを持つイセリナが、主義を棚に上げてクララ様に訴える。
その理由は上位C.V.としても、強大すぎるクララ様の『魔力量』にあり。
”盗賊ギルド”と争って、水源・上流に”病毒の素”を流されていた、時期ならともかく。現在は混成都市が優勢になり、”病毒”をまく連中は、この世から永久に退場してもらっている。各種対策も並みのC.V.で、構築できるようになった。
こうなるとクララ様の『魔力』は、機嫌を損ねて暴走してしまう、”リスク”のほうが大きく。
せっかく重騎士たちを一夫一妻制にして。副団長のガルドとクララ様が円満に過ごせる、『風潮』まで作り。他にも様々な布石を打ってきたイセリナたちの努力が、徒労になる事態は何としても避けたい。
〔都市ウァーテルも安定してきたし。そろそろ旦那様にも、第二夫人を見繕いましょう〕
〔絶対にやめてください〕×3
こんな穏健なやり取りが、成立するはずがなく。もの凄く嫉妬深いくせに意地を張る、クララ様に一夫一妻を満喫して、平穏に生きてもらうため。
〔人間男性が必ずしもハーレムを好むとは限らない。C.V.としては多重婚が理想だけど、例外はあってしかるべき。ハーレム生活をサポートする、『調整役』も決まらなかったし。
お願いですからクララ様には、婦夫生活に集中して、満喫なさってください〕
この意見を通すため、戦姫3人は一致団決して事に当たり。
多大なコストをかけて、ようやく困難を打倒したのであった。
ギルド施設の改築によって、冒険者たちが集いつつあるシグルスの街。
そこには黒霊騎士団が駐屯し、シャドウ一族の幹部が来訪していた。その目的は混成都市の命運がかかっている、C.V.との外交をサポートすることであり。
クララ・フィム・レイシアードという、天災級の『魔導能力』をふるうC.V.を、ガルドとの一夫一妻制によって封印するため。
本来なら多重婚を推奨している、C.V.ルールを一時的に忘れ。ハーレムを築いているシャドウを出張させて、クララ様の目につかないようにしたり。
ハーレムを築くことなく、C.V.の乙女たちから逃げ出した弓兵を、シグルスの街に左遷させるなど。
混成都市の権力者たちは、団結し協力して、必死に『外交?』を行ったのだが。
『フゥー‥—ーー!!』
「・・/・ーーッ」
侍女頭のアヤメはリアベル様という上位C.V.・・・あるいは超上位C.V.様の眷属と『模擬戦闘』を行っていた。
旋風の拳と閃手の爪が、交錯しつつうなりを上げ。立ち位置を取り合い、互いの手札を読みあう。
そういう普通の手合わせは終わり。『感知の魔術能力』による、『情報』の奪い合いが、開始された。
「/-ハッ:!」
リアベル様の視線を遮るべく、足で地面を削り、『風術』で巻き上げる。
その砂風に対し、リアベル様も足刀で地面を削り、『魔力の影』が閃く。
「・ーー‼:ッ!」
『蠢く』でなく『閃く』影に対し、アヤメはさらなる砂風を吹きつけ。同時に大きく跳躍して、リアベルの『術式』から逃れる。
「⁉…ふうん、初見でコレに対応できるなんて、たいしたものね・…」
「・・・・・」
リアベル様の賛辞に対し、アヤメは冷静な表情を保つ。
一族に似たような『術式の連鎖・応用』を使う者がいたから、反応できただけ。
リアベル様の削った地面には『感知の呪力』が仕込まれており。それを踏みつけると『足に関する情報』など、高速戦闘を得意とする者の情報が、根こそぎ奪われかねない。
『泥玉』として『魔力の影』と共に、それをぶつけられればどうなるか?
アヤメは『模擬戦闘』だろうと、試す気は一切なく。
『/-/+双竜爪閃‼!』
地面・建物にそって這って翔ける、『小風刃の群れ』で『伏せられた呪力』の陰を切り裂く。ある程度を切ったら、『模擬戦闘』の場である闘技場に旋風を放ち、滞留する空気も祓わねばならず。
「さあ、次っ・・静寂の戦いをしましょう…」
「これは、無理ね…」
そうしてアヤメは一つのことを断念した。
風が疾駆し、陰が舞う。
四凶刃の弓兵タクマの眼前で、二人の女傑が『模擬戦闘』を繰り広げ。
哀れなシャドウは何もかも投げ捨てて、逃げ出したくなった。
〔いったい、どうしてこんなことになったのだろう?〕
何度も繰り返してきたタクマの問いに、答えてくれる者は今日もいない。
ちょっと格下の『邪竜』をタクサン始末しただけ。『妖鐘閃弓』の副次効果で、編み出した『術式』を下級C.V.様にばらまいたり。
『身体強化』の副作用で、『月のもの』が乱れたり、性欲が減衰したり、旦那と倦怠期になってしまった。
そんなC.V.様たちをマッサージ・メンタルケアで回復の可能性を示しただけ。
野郎どもはリフレッシュさせ、『夜の楽しみ』を示して、『ハッスル』させたにすぎず。
〔オレは悪くない…こんなことで『一夜妻にしてください』と、言われたら。
誰でも逃げ出すに決まってるだろうが!!〕
とはいえ、こんな主張をしたところで、潔癖な姐御たちが納得するはずもなく。兄としてはユリネ、水那の姉妹に合わせる顔がない。
だから『特権』を行使して、聖賢様に武者修行をなかったことにしてもらった、はずなのに⁉
そういう不毛な自問自答をしているタクマの前で、『模擬戦闘』の戦況に変化が現れる。
「~(…ー/・・~」
「…ー・っ」
リアベル様の爪が、姐御の装束を切り裂いていく。
だがタイミングがずらされ、『滑っている』と言うべきか。リアベル様から発刊し、血の匂いが濃くならず、漂いもしない。
一瞬、どこぞの『見切りの達人』みたいに、『皮一枚で回避してるのか?』とも思ったが。
『感知の魔導能力』を行使するリアベル様は、『見切り』の動作を解析することで、連続しての回避を許さない。
殺し合いならともかく、『模擬戦闘』でリアベル様の爪・魔力を見切れるほど、姐御と彼女に実力差はないはずだが。
「~^/・/∼~ー」
「酔っぱらってる…いえ違う、これは・・」
「:~-∼‥//+/ハッ!」
「*/*ー・…∼」
酔っ払いの動きを模した『酔拳』ではない。敵に『部位の身体強化』をかけて、バランスを崩させる姐御の得意技は、『魔力』を視れるC.V.様にはきかない。
そうしているうちに、リアベル様の身体が傾き。
「…無念だが、降参する。この『模擬戦闘』は貴女の勝ちよ」
「勝利を喜びつつ、降参を受け入れた貴女に敬意を払う・・・
実際、この『連動』を使わせた相手は、数えるほどしかいないわ」
激闘を繰り広げ、目と目で通じ合う。それは戦士たちの美しい光景だった。
一瞬だけの…
「光栄だけど、無念のほうが大きい。
『模擬戦闘』に敗れた私は、『ブラックテール』をあきらめるわ」
「「…・ハイ!?:?」」
リアベル様の言の葉によって、氷・ガラスや朝露のごとく、美しい光景は砕け消え去った。
ネタバレ説明:アヤメの『動作』について
物理法則のうるさい世界において、『飛行の魔術』は墜落の危機を伴う、諸刃の剣であり。
シャドウ一族の『魔力量』では『墜落するリスクの方が高い』と、イリスに判断されました。
そこで編み出されたのが、『低空飛行』による歩法であり。『従来の歩法』や跳躍などと、併せて使うことにより、”シーフ”を圧倒する機動力を、シャドウ一族は得られたのです。
しかしアヤメは、その成果に満足せず。かと言って、新たな術理を一から編み出す、時間もない。
そこで彼女が編み出したのは、『全身を使った低空飛行』であり。
『空気・風術の足場』を作って、『空中歩行・疾走』する術理を、参考にしています。
『足場』だけでなく、『縦横の棒』『樹木』『岩場』を、『術式』によって発生させ。
『手足』も含め、あらゆる身体部位で『術式の力場』を使って、動作に活かす。
腕・肘・肩から、背中・腰の側面に膝・脛・足首など。
ボールを動かす・水泳で水をかく・ダンスで魅せる、身体部位の全てを『術式の力場』に触れさせ、『動作』に活かす。
『術式の力場』も棒・水塊・マット状など、多岐にわたり。『力場』に身体部位を引っかけ、制動をかける。『力場』を崩壊させることも念頭に、蛇のごとく『術式の力場』を這い進む。
敵からすれば空中で這ったり、泳いだり、体操の演舞をしたあげく、武術の歩法まで仕掛けてくる。トリッキーだけど、練り上げた武術の動作も行ってくるという、カオスな動作であり。
極めて厄介な動きを、アヤメは行ってきます。
ちなみにリアベルとの『模擬戦闘』では、自らに『双竜爪閃』の『小風刃』を当てて、加速・制動を行っていたのに加え。
『自作自演』で自らの服を切り裂き、〔私は爪の間合いを、見誤ったの…?〕と、いう不安をリアベルに抱かせ。彼女の『感知の魔導能力』をかく乱し、負荷をかけていました。
以上、『アヤメの動作』に関するネタバレ説明でした。
追記:アヤメは一族のため、この『術理』をそれなりに手間をかけて、編み出したのですが。
『術式の力場⁇を発生させて、それを感知して掌握するのは難しい』『力場に身体を引っかけて、裂傷ができました』『力場を使って動けるレベルまで、全身を鍛えて操作するとかムリ』『修練ならともかく、実戦では怖くて使えません』
〔〔〔〔要するに、難易度が高すぎるんですw〕〕〕〕と、いう意見でほとんどのシャドウは一致したとか。しかも『風属性』でないと、高速機動には使えない術式であり。
「飲めっ、飲んで忘れましょう!」
「『認識変動』を使えば、何人かは会得できる!」
「ちょっとニーズに合わないぐらいで、落ち込むなんて、貴女らしくありませんわよ」
・・・と、いうやり取りが交わされたとか。
さて個人的な『竜魔獣の原型』に関することは、これぐらいにして。
次は『タラスク』の幻想に関することについて。
ライオンの頭、3対6足の熊脚に『亀の甲羅』を背負っている『タラスク』。
西欧文化圏の『ドラゴン』どころか、世界中の『魔獣・妖獣』と比べても、奇抜な合成魔獣です。
とりあえず『ライオンの頭』『それをアレンジした恐ろしい頭』は、『タラスクの強さ・恐怖』を表している。
『亀の甲羅』は西方では珍しいですけど、『水魔竜』も甲羅を背負っていますし。東方の『玄武・亀幻獣』と同様に、水に関連すると考えていいと愚考します。
そんな『タラスク』の身体部位で、特に重要なのは『熊の6脚』ではないでしょうか?
『熊の足』という時点で、レア過ぎますし。それが『6脚3対』となれば、世界レベルで稀少です。
日本だと『山の神・使い』な熊ですけど。
嫌われている『タラスクの熊足』は、おそらく『熊の規格外』を表している。
そもそも『タラスク』の伝承が生まれた『時代』は、現代のフランス・スペインより『森』が広く。『ヒグマ』も多数、棲息しており。森での遭遇は、恐怖以外の何物でもなかったでしょう。時速50キロ前後で、山河を踏破する脚力に加え。力だけでなく、その爪は下手な罠を器用に外すとか。
そんな熊脚が6脚ある『タラスク』は、本物の『熊』・怪獣『ガメ〇』のように、二足で立つことはなかった。その代わり4脚に1対2脚が加算され、『熊』より走破性・水辺での活動が優っている・・・と、イメージされた。
近隣の『水魔竜』よりも、水陸両用の竜魔獣として、『タラスク』は恐れられたと愚考します。
もっとも熊の6脚を持つ『タラスク』だと、『熊』に風評被害をもたらす。
『亀の甲羅』『恐ろしい頭』とアンバランスすぎるので、怪獣・爬虫類?の脚に置き換えるアレンジが、様々な作品で行われており。
〔これも時代の流れかなぁ~〕と、考えます。
ぶっちゃけドラゴンなら、恐竜・爬虫類系の身体パーツで統一したほうが、かっこいいですし。