391。閑話~C.V.の裁定+横暴な二人:カーマインタスク:ブラックセンス
『”忠臣蔵”を見て、庶民は不満のガス抜きをした』と、いうことですが。
パワハラ防止の効果より、切れて刃を振り回す浅野内匠頭のような人を増やす。
忠誠心を育むより、”忠誠のためなら何してもOK”と、いう悪影響のほうが多いと愚考します。
殺し殺されの戦国時代ならば。フィクションの創作時代劇なら、別にいいのですが。
『この話はフィクションです』と、いう表示をせず。『平和な江戸時代の正確な史実です』と、いう看板を事実上ぶら下げていれば。
”だったら俺も忠臣蔵と同じことをしよう”と、考える”通り魔”が現れないでしょうか?
そんな”忠臣蔵”の歴史研究ですが、玉石混交のようであり。
最近は”ワイロを渡さなかったから、吉良が嫌がらせをした”ではなく。”物価高に対応せず、昔と同じ額の『お礼』を贈った”と、いう歴史研究があるそうです。
これだと”浅野家はちょっとミスしただけ。吉良はけち臭い”と、いう印象を与えますが。
現代だと”物価高に伴う下請け中小企業の値上げを、大企業が一切認めることなく。公正取引委員会に取り締まられている”と、いうのと同じ状況であり。
”取り締まる公正取引委員会がいないから、教師役な吉良へのお礼を物価に合わせる必要などない”と、いう類の話であり。
普通に礼節を疑っていい、行いです。
カオスヴァルキリー・・通称C.V.という戦争種族がいる。
彼女たちは『武術・魔術』の両方を巧みに操り。経済・文化に恋愛など、様々な分野で勝利を求め。
同時に『契約』を重視しすぎて、格下に敗れることも少なくない。
そんなC.V.たちは、都合のよい正義の味方ではなく。さらに運命に翻弄されて、悲惨な最期を迎える『英雄』とも違う。
忌み嫌われる『魔女』よりも、残酷であり。破壊・殺戮衝動や征服欲を持っている、凶暴な女傑たちだ。
とはいえ次代を育むため、伴侶を求めてC.V.たちは混成都市に来訪している。
そんな時に〔ハーレムを考えると、凶暴な猛獣の群れに襲われるのを、連想してしまう〕と、いう残念な男性が増殖する。
あるいは〔前述の表現は、かなり穏便・遠回しに申し上げた〕と、心の底からのたまう”野郎”が現れるのは好ましくない。
よって容姿を磨き、広報戦という戦場でハーレムの好印象を、C.V.はアピールし続け。
”厄介な衝動”を抑えるため、『裁定の暗示』をC.V.たちはかけている。
その術理は『たくさんのネズミを虐殺しないよう、ドブネズミだけを殺す』と、いう感じの『自己催眠』であり。
〔強盗・物取りの活動をサポートしたあげく。犯罪件数を増やす”故買屋”は、『怪火の硬貨』で破滅させる〕
〔人の命を糧とする”暗殺者”は、闇討ちあるのみ〕
〔ペテンをかける”詐欺師”は、全てを愚弄している。
”奴”らがだまし取った財貨は、都市経営の激務を行っている。我々が、税金で得るべき資産であり。
一家心中を誘引し、身売りをさせる。薬代・食糧費を奪う”詐欺師”は確実に、大量の殺人を行っているに等しい。
さらに”詐欺師”に努力・人生を踏みにじられた者は、無念から道を踏み外してしまう確率が高く。
よって”詐欺師”は軽犯罪などではなく。重罪人として厳しく詮議して、踏みにじり、破滅させる〕
こんな風に”特定の罪人”を標的にして、狙った”賊”を殺す。それによりC.V.様が、疑似的な戦勝の喜びを得る。その代わり他の人間・犯罪者には、冷静に対処するようになり。
戦争が終われば”村で乱暴狼藉を働いた敵兵”だろうと、普通の外国人としてあつかう。執念深く追いかけて、居住地を破壊して、所属勢力を滅ぼすようなことはしなくなる(かもしれない)。
『富』が流通して、周辺国に『豊かさ』をもたらす。同時に様々な『情報』が行き交い、”盗賊ギルド”と敵対している。
そんな混成都市ウァーテルにおいて、『裁定の暗示』はC.V.様への手綱であり、『魔剣の鞘』も同然だ。
「総員、傾聴せよっ!」
「‥ッ!!」×50
「只今より、副団長ガルド・ログナー殿より、お言葉をいただく…全員、気をつけぇ!!!」
〔ただし『裁定の暗示』で、行動を縛れるのは、兵士・術士C.V.まで〕と、言われている。
資産が多いC.V.は、犯罪者に賞金をかけて、容赦なく狩り続け。外交に長けているC.V.は、交渉して対標的の『包囲網』を形成する。
そして〔両方できる宰相C.V.様は、広報戦を仕掛け、配下に標的を襲わせる〕と、言われている。
しかし、それは誤りだ。
「先日、御用商人のルドマン殿が”詐欺師”によって、騙されそうになった」
「ッ⁉」×20「…・:」×30
「幸い、シャドウ一族の見回りによって、被害は免れたものの。
彼奴らは団長閣下の資産に手を出し、お時間を浪費させ。あまつさえ、御威光に泥を塗った!
許されざる大罪である!!」
「許すまじ…」×10「害悪、討つべし!!」×20「・・*・!・!」×20
”詐欺師”どもからすれば、陸戦師団のトップに”ペテン”を仕掛けたつもりなど無いだろう。そして今回は窃盗と同レベルな軽犯罪だ。
しかしイセリナ様を崇拝し、忠誠を誓っている重騎士たちにとって〔”詐欺師”を殲滅せよ!〕と、いう主君の意向が最優先であり。
他人をだまし、操ったあげく。『魔薬』を作らせて飲ませ、その悪行をなすりつけ、水源に毒を放り込む。そういう”外道な連鎖”を行った連中には、恐怖を与える必要があり。
〔他者を操り、罪人に堕とす”詐欺師”は、確かに厄介だね~〕
〔それでは…?〕
〔どうせ怪物のように湧き続けるだろうし。
いいよ、イセリナの思うとおりにやっちゃってー・ー〕
〔ありがとうございます〕
かくして混成都市(及びC.V.たち)のルールによって、”詐欺師”と”その発生源”は陸戦師団によって、制裁されることとなった。
それから数日が過ぎ…混成都市の波打ち際で、複数の巨体が激突していた。
「どうしたっ!貧弱貴族は打ちのめせても、私には通用しない!!」
「ぐくっ⁉」「囲め…かk*g」「「「「ガァアーー!」」」」
正確には異形の鎧をまとった一人を、重騎士たちが取り囲み。打撃を与えつつ、取り押さえようして返り討ちにあっていた。
「勝利の美酒で酔いつぶれたのか?それとも格下を蹂躙して、刃を錆びつかせたのか…」
「ウォオオオーーー!!」×2
侮辱の言葉に対し、重騎士2人が体当たりの挟撃を仕掛ける。
だが、先ほどの怪力とは打って変わり。油を帯びたように、滑らかな動きを異形の鎧は行い。
「踏み込みが足りない…同時攻撃は『舞い』ではないぞ!
挟撃をイメージして、くらいつけっ!!」
「チィ‥*∼*」「まD+*…*」
『カーマインタスク!!』
「「「「「Gギャアアアア*ーーー」」」」」
異形の両腕から、真紅の大牙が生える。
それはムカデの顎のようであり、巨大な犬歯から製作された、『邪剣』のようでもあり。
それぞれ片腕で振るわれているのに、重騎士たちの鎧を砕き、陣形を切り裂いていく。赤黒い飛沫がはね、赤潮の腐臭が周囲に広がっていき。
「フフッ、まだまだ未熟だな」
「アりがとうGぁいまz…」×36「*:*…・~」×14
短いやり取りを交わして、戦闘が終了する。
そうして異形の鎧をまとったC.V.カティアは、歪んだ手指の力だけで、自らの兜をはぎ取った。
「ッ;*!!・…・」
「どうなされた、ビパス子爵。私の陸戦師団が訓練しているのを、観覧するのは退屈ですか?」
「-∼ー:ッ、イヤ、なかなかのもので…」
「しっかりと、ご覧になってください。決闘裁判の相手は、彼らと彼女のうち、どちらかになるのですから」
「・・・ー:*・」
混成都市で事実上の宰相を務める、C.V.イセリナ・ルベイリー。
彼女は現在、外交を行っていた。
その相手はビパス子爵という。
重騎士たちによって、息子を捕らわれた父親であり。”詐欺師”となったボンクラの身柄を、交渉材料に利用する貴族でもある。
『”詐欺師”を憎み、重罪人としてあつかう』そんなC.V.ルールを持つイセリナにとって、ビパス子爵は軽蔑の対象にすぎず。
教育を受けた貴族の子弟を、”盗賊ギルド”に売り飛ばし。身の丈に合わない野望をいだいた、色々と利用価値のある獲物でもある。
そんなビパス子爵は顔を青くしながらも、イセリナに話しかけ。
「本当に…本当に決闘に勝てば、なかったことにしてくれるのだな…」
「・・・…”だな”?子爵ふぜいが、口のきき方を知らないようね」
「なっ・・*!!」
彼女がふるう言の刃によって、切り捨てられる。
だがイセリナは、既にビパス子爵の首根っこを押さえており。殺すも生かすも、思いのままだ。
否、〔どんな風に凄惨な最期を迎えさせてやるか?〕と、いう思案が既に完了しており。”クズ権力者”の外交もできることを、周辺勢力に宣伝している。
今、イセリナが行っているのは、その程度の”圧力外交”でしかない。
「貴族の子弟を平民に変装させ、取り締まった衛兵及び上司を糾弾する。
そういう”迷惑な手段”が通用すると、勘違いされては厄介だから、見せしめにする。はてさて何匹、地獄に送ればリスクが大きいと理解するのかしら」
「;・*…お願いですっ!決闘に勝ったら、愚息の詐欺行為はなかったことにしてください!!」
”貴族の子弟に狼藉を働いた、陸戦師団の首をよこせ!”と、数日前に怒鳴りこんできた。子爵にあるまじき、哀願が発せられる。
しかしイセリナからすれば〔”詐欺”の被害者は、その哀願すらできずに、破滅させられる〕と、いう認識であり。ビパス子爵の悲鳴は、さらし首の腐臭以下でしかない。
「そこまで情けなく哀願するなら、チャンスをあげましょう。
決闘で万が一にも、私の騎士たちが敗れたならば、ビパス子爵を存続させてあげます」
「おおっ・・^」
もっとも目の前の男と息子たちは、強制隠居となり。親族の誰かがビパス子爵家を継ぐだろうが。
シャドウ一族が山賊から奪った財宝を、イセリナは買い取り。それらを被害者に返却し続けている。
その行為を『山賊の宝は、討伐した者が所有者になれる』と、いうルールを改正されるのではないか?・・・と不安視する者もいれば。”唾棄すべき偽善”と、ののしる”頭がお花畑な愚か者”も多い。
しかしイセリナからすれば、『財宝の返却』という大義名分で、人々を公然と買収しているにすぎず。そのうえ『誠実です』という宣伝効果もあり。〔財宝の持ち主を探す〕と、いう建前で堂々と『情報収集』まで行っている。
そして奪われた財貨を返された者は、大半がイセリナの商売相手になってくれて。一石二鳥どころか、石を投げれば、投げただけ鳥が獲れる有り様だ。
そして”山賊”どもや”連中を利用していた者”に、復讐心をいだいた者たちは、イセリナの『手札』になることを望み。彼ら、彼女たちは優秀な情報提供者となり。将来的には”標的”を破産させる、悪辣な商人になるだろう。
そして正式な持ち主の元へ、イセリナが財貨を返しても。
”山賊”どもが皆殺しにした、被害者たちの財貨は、イセリナが預かっており。
それらの一部を運用するだけで、貧乏貴族の財政を傾かせるのは、混成都市の宰相にとって造作もないことだった。
シグルスという辺境の街がある。
国境は未開の『山』が連なって、壁と化しており。C.V.様の黒霊騎士団が来るまで、さびれていたが。同じ条件の他領と比べ、不思議なにぎわいがシグルスの街にある。
その謎を探るべく、来訪した四凶刃の一人タクマは、命の危機に瀕していた。
「それで‥何か、言い残すことはあるか?」
「ガkカっ・・・/:・*・・」
上司で、事実上の師匠で、絶対の姉貴分である、アヤメの姐御。
彼女の右手一本で喉笛をつかまれ、高々と持ち上げられている、死に体がタクマの現状であり。この状態では物理・心理的の両面で、弁明ができない。
アヤメの姐御とタクマには、それほどの隔絶があった。
「・・・:…/」
「グくッ*…・・まず『人間』の女性には、聖賢の御方様に誓って、手を出していません」
その状態から地面にたたきつけられ、タクマは即座に平身低頭の姿勢をとる。
続けてタクマは事態打開の言葉を放った。
〔私は何かヘマをしたのでしょうか?〕などと、のんきに問いかけてる場合ではない。とはいえ弁明の機会を与えたとうことは、一縷の望みはある。
一族の名誉を傷つける有罪行為をしていたら、とっくにタクマの命はなかっただろう。
そんなタクマにアヤメの姐御は通告してくる。
「私が知りたいのは、C.V.様との逢瀬についてだ。貴様が…っ!」
「ようやくお逢いできました、我が背の君。リアベルが只今、参ります」
「「‥⁉」」
情熱と怜悧の二つを帯びた、言の刃がシャドウ二人に投じられ。タクマとアヤメは、それぞれの理由で臨戦態勢をとる。
しかし糾弾の最中に、普段の備えはなく。当然のことながら、妖しのC.V.に先手を取られてしまい。
「くっ・/ー/」
「ー/…同時に求愛の『模擬戦闘』を望みます。
それによって、資格を示せたなら、私を(タクマ様の)ハーレムの末席に加えてくださいませ…」
妖気を帯びたリアベル様の、間合いを詰める動作に対し、アヤメの姐御が手刀を閃かせる。それはわずかながら、リアベル様の柔肌を切り裂き。
リアベル様からの『模擬戦闘』申し込みを断れない、状況を作る。それを拒絶すれば、『模擬戦闘』以外の『戦闘行為』となり。未知のC.V.大勢力ともめごとになる、リスクが発生しかねない。
『暗夜の爪は、風と地にうなり 飢えて渇いた牙は、水と火で潤う
されど胸腔の灰色は染まらず、満たされず
金の瞳は影に隠れ、月夜に輝く ブラックセンス!!!』
「これはっ⁉下がれタクマっ‥『旋風閃影!!』」
「・・・・;⁺:」
アヤメの姐御とC.V.リアベル様。
タクマにとって頭の上がらない、それぞれ大恩のある女性が『模擬戦闘』をはじめる。
その状況に心の底から胃が痛くなるものの。既にタクマが何かできる、段階ではなくなった。
ネタバレ説明:『カーマインタスク』について
異形の鎧をまとうC.V.カティア・エルバレートが、両腕にそれぞれ生やす。
訓練用の腕甲剣が『カーマインタスク』です。
普通の水棲生物がいなくなる『赤潮』が、常に発生している『魔海』に住まうC.V.一族が、カティアの出身であり。『魔海』に適応した彼女たちは、異形の(水棲生物の)鎧をまとっています。
そして『赤潮』の水塊をイメージして、『カーマインタスク』を生成し。これで攻撃して一定以上の衝撃を与えると、腐臭のする赤い水をばらまく。
そんな悪ふざけの道具が『カーマインタスク』の正体であり。素人が遠目に見ると〔血みどろの争いをしている〕と、見間違えるかもしれません。
以上、『カーマインタスク』のネタバレ説明でした。
ネタバレ説明:『ブラックセンス』について
黒猫C.V.リアベル・ヴィターシュが使う、妖しの『身体強化』です。
ネコ科猛獣のように全身のバネを『強化』して、驚異的な身体能力を得るだけでも、脅威ですが。
この魔術能力の本命は、『感知の魔導能力』を併用できること。妖しい捕食者のような凶暴を装い、『偵察・解析』を仕掛けてくることです。
どっかの盗賊のような、ズルい能力と思うかもしれませんが。
リアベルが本来、所属しているC.V.勢力は、かなり厄介な脅威と戦っており。
初見殺しに、道連れの『呪殺』がセットなのは当たり前のこと。”病魔・呪毒”が質の悪い『制約』で増強されて、飛び交っている。
『偵察・感知魔術』を仕掛ける時点で、凶悪な能力を求められる。そんなC.V.の組織に、リアベルは所属しており。
偵察要員であるリアベルは、『ブラックセンス』を求められた。彼女の技量では前衛・遊撃を任せられなかった、過酷な領域のC.V.です。
以上、『ブラックセンス』のネタバレ説明でした。
”忠臣蔵”において、都合よく忘却される存在。それは浅野内匠頭と共に、勅使饗応役を務めた伊予国伊達家です。
浅野家がわずかなお礼・当時の物価高を無視した額しかお礼をしなかったのに対し。
伊達家は莫大なお礼をした。一説には『家宝』の美術品まで進呈したとのこと。
そうして切れた浅野家の尻ぬぐいをして、饗応役を務めたわけですが。存亡の危機に瀕した、浅野家からは感謝の言葉もない。
ついでに言うと、〔伊達家を見習って、吉良家へのお礼を増やそう〕と、いう学習能力もなく。
”伊達家はワイロ外交をして、士道を失った”と、いう陰口をたたいているでしょう。
もし、そんな考えなら”平和ボケ”もいいところ。〔江戸時代の外交を侮っている〕と、しか言いようがない。
何故なら徳川綱吉は家光と並んで、大名取り潰しをやらかしまくった暴君将軍であり。
さらに同時期に『綱吉の母親へ、朝廷から位をもらおう』と、いう工作をしていた、大事な時期でした。
この状勢で『勅使への饗応役を失敗するのは、お家の一大事につながる』と、考える。
それが危機意識のある、まともな藩の考え・外交であり。本当に『家宝』を吉良上野介公に進呈したなら、伊予国伊達家は〔ここが勝負どころ〕と考え、適切な投資をしたと言えるでしょう。
浅野家が吉良家へのお礼を、100両ケチったか、鰹節を贈ったのか、物価高に対応しなかったのか?
どれかは知りませんが、従来の出費すらしなかったわけであり。
そういう外交センスが無いのを、”吉良は強欲だ”と中傷して、問題を責任転嫁した。
色々と足りない浅野家の家臣たちが、病を患う浅野内匠頭を『饗応役』という激務を受けさせ、刃傷沙汰につながった。
それが”忠臣蔵の元凶”だと考えます。