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ヴァルキリーズ・シティ~混成都市ができるまで、あるいは盗賊連合の滅亡記  作者: 氷山坊主
閑話~混成都市の渦+シグルスの模擬戦闘
391/422

391。閑話~C.V.の裁定+横暴な二人:カーマインタスク:ブラックセンス

 『”忠臣蔵”を見て、庶民は不満のガス抜きをした』と、いうことですが。

 パワハラ防止の効果より、切れて刃を振り回す浅野内匠頭のような人を増やす。

 忠誠心を育むより、”忠誠のため(大義名分がある)なら何してもOK”と、いう悪影響のほうが多いと愚考します。


 殺し殺されの戦国時代ならば。フィクションの創作時代劇なら、別にいいのですが。

 『この話はフィクションです』と、いう表示をせず。『平和な江戸時代の正確な史実です』と、いう看板を事実上ぶら下げていれば。


 ”だったら俺も忠臣蔵と同じことをしよう”と、考える”通り魔”が現れないでしょうか?


 そんな”忠臣蔵”の歴史研究ですが、玉石混交のようであり。

 最近は”ワイロを渡さなかったから、吉良が嫌がらせをした”ではなく。”物価高に対応せず、昔と同じ額の『お礼』を贈った”と、いう歴史研究があるそうです。


 これだと”浅野家はちょっとミスしただけ。吉良はけち臭い”と、いう印象を与えますが。


 現代だと”物価高に伴う下請け中小企業の値上げを、大企業が一切認めることなく。公正取引委員会に取り締まられている”と、いうのと同じ状況であり。

 ”取り締まる公正取引委員会がいないから、教師役な吉良へのお礼を物価に合わせる必要などない”と、いう類の話であり。


 普通に礼節を疑っていい、行いです。

 カオスヴァルキリー・・通称C.V.という戦()種族がいる。

 彼女たちは『武術・魔術』の両方を巧みに操り。経済・文化に恋愛など、様々な分野で勝利を求め。

 同時に『契約』を重視しすぎて、格下に敗れることも少なくない。


 そんなC.V.たちは、都合のよい正義の味方ではなく。さらに運命に翻弄されて、悲惨な最期を迎える『英雄』とも違う。

 忌み嫌われる『魔女』よりも、残酷であり。破壊・殺戮衝動や征服欲を持っている、凶暴な女傑たちだ。


 とはいえ次代を育むため、伴侶を求めてC.V.たちは混成都市ウァーテルに来訪している。


 そんな時に〔ハーレムを考えると、凶暴な猛獣(ハイエナ・ピラニア)の群れに襲われるのを、連想してしまう〕と、いう残念な男性が増殖する。

 あるいは〔前述の表現は、かなり穏便・遠回し(ほとんどウソに)に申し上げた(近いんですが)〕と、心の底からのたまう”野郎”が現れるのは好ましくない。

 

 よって容姿を磨き、広報戦という戦場でハーレムの好印象を、C.V.はアピールし続け。



 ”厄介な衝動(ドン引きする気性)”を抑えるため、『裁定の暗示』をC.V.たちはかけている。


 その術理は『たくさんのネズミを虐殺しないよう、ドブネズミだけ(・・)を殺す』と、いう感じの『自己催眠』であり。


 〔強盗・物取りの活動をサポートしたあげく。犯罪件数を増やす”故買屋”は、『怪火の硬貨(フォービィーコイン)』で破滅させる〕

 〔人の命を糧とする”暗殺者”は、闇討ちあるのみ(チャクラムで狩る)


 〔ペテンをかける”詐欺師”は、全てを愚弄ぐろうしている。


  ”奴”らがだまし取った財貨は、都市経営の激務を行っている。我々(C.V.)が、税金で得るべき資産であり。

  一家心中を誘引し、身売りをさせる。薬代・食糧費を奪う”詐欺師”は確実に、大量の殺人を行っているに等しい。

  さらに”詐欺師”に努力・人生を踏みにじられた者は、無念から道を踏み外してしまう確率が高く。


  よって”詐欺師”は軽犯罪などではなく。重罪人として厳しく詮議して、踏みにじり、破滅させる〕



 こんな風に”特定の罪人”を標的にして、狙った”賊”を殺す。それによりC.V.様が、疑似的な戦勝の喜び(達成感)を得る。その代わり他の人間・犯罪者には、冷静に対処するようになり。

 戦争が終われば”村で乱暴狼藉を働いた敵兵”だろうと、普通の外国人としてあつかう。執念深く追いかけて、居住地を破壊して、所属勢力(大国)を滅ぼすようなことはしなくなる(かもしれない)。


 『富』が流通して、周辺国に『豊かさ』をもたらす。同時に様々な『情報』が行き交い、”盗賊ギルド”と敵対している。

 そんな混成都市ウァーテルにおいて、『裁定の暗示』はC.V.様への手綱であり、『魔剣のさや』も同然だ。 




 「総員、傾聴けいちょうせよっ!」


 「‥ッ!!」×50


 「只今より、副団長ガルド・ログナー殿より、お言葉をいただく…全員、気をつけぇ!!!」



 〔ただし『裁定の暗示』で、行動を縛れるのは、兵士・術士C.V.まで〕と、言われている。

 資産が多いC.V.は、犯罪者(標的)に賞金をかけて、容赦なく狩り続け(・・)。外交に長けているC.V.は、交渉して対標的の『包囲網』を形成する。


 そして〔両方できる宰相C.V.(イセリナ)様は、広報戦を仕掛け、配下に標的(犯罪者)を襲わせる〕と、言われている。


 しかし、それは誤りだ。



 「先日、御用商人のルドマン殿が”詐欺師”によって、騙されそうになった」


 「ッ⁉」×20「…・:」×30


 「幸い、シャドウ一族の見回りによって、被害は免れたものの。

  彼奴らは団長閣下(イセリナ様)の資産に手を出し、お時間を浪費させ。あまつさえ、御威光に泥を塗った!


  許されざる大罪である!!」


 「許すまじ…」×10「害悪、討つべし!!」×20「・・*・!・!」×20

 


 ”詐欺師”どもからすれば、陸戦師団のトップに”ペテン”を仕掛けたつもりなど無いだろう。そして今回・・は窃盗と同レベルな軽犯罪だ。


 しかしイセリナ様を崇拝し、忠誠を誓っている重騎士たちにとって〔”詐欺師”を殲滅せよ!〕と、いう主君の意向が最優先であり。

 他人をだまし、操ったあげく。『薬』を作らせて飲ませ、その悪行をなすりつけ、水源に毒を放り込む。そういう”外道な連鎖”を行った連中には、恐怖を与える必要があり。


 〔他者を操り、罪人つみびとに堕とす”詐欺師”は、確かに厄介だね~〕


 〔それでは…?〕


 〔どうせ怪物のように湧き続けるだろうし。

  いいよ、イセリナの思うとおりにやっちゃってー・ー〕


 〔ありがとうございます〕


 かくして混成都市(及びC.V.たち)のルールによって、”詐欺師”と”その発生源・・・”は陸戦師団によって、制裁されることとなった。


 


 それから数日が過ぎ…混成都市の波打ち際で、複数の巨体が激突していた。


 「どうしたっ!貧弱貴族は打ちのめせても、私には通用しない!!」


 「ぐくっ⁉」「囲め…かk*g」「「「「ガァアーー!」」」」


 正確には異形の鎧をまとった一人を、重騎士たちが取り囲み。打撃を与えつつ、取り押さえようして返り討ちにあっていた。


 「勝利の美酒で酔いつぶれたのか?それとも格下を蹂躙して、刃を錆びつかせたのか…」


 「ウォオオオーーー!!」×2


 侮辱の言葉に対し、重騎士2人が体当たりの挟撃を仕掛ける。

 だが、先ほどの怪力とは打って変わり。油を帯びたように、滑らかな動きを異形の鎧は行い。


 「踏み込みが足りない…同時攻撃は『舞い』ではないぞ!

  挟撃をイメージして、くらいつけっ!!」


 「チィ‥*∼*」「まD+*…*」


 『カーマインタスク!!』


 「「「「「Gギャアアアア*ーーー」」」」」


 異形の両腕から、真紅の大牙おおきばが生える。

 それはムカデのあごのようであり、巨大な犬歯から製作された、『邪剣』のようでもあり。


 それぞれ片腕で振るわれているのに、重騎士たちの鎧を砕き、陣形を切り裂いていく。赤黒い飛沫しぶきがはね、赤潮の腐臭が周囲に広がっていき。


 「フフッ、まだまだ未熟だな」


 「アりがとうGぁいまz…」×36「*:*…・~」×14


 短いやり取りを交わして、戦闘が終了する。

 そうして異形の鎧をまとったC.V.カティアは、歪んだ手指の力だけで、自らのかぶとをはぎ取った。

 





 「ッ;*!!・…・」


 「どうなされた、ビパス子爵。イセリナの陸戦師団が訓練しているのを、観覧するのは退屈ですか?」


 「-∼ー:ッ、イヤ、なかなかのもので…」


 「しっかりと、ご覧になってください。決闘裁判の相手は、彼ら(重騎士)彼女カティアのうち、どちらかになるのですから」


 「・・・ー:*・」



 混成都市ウァーテル事実上の宰相(陸戦師団の団長)を務める、C.V.イセリナ・ルベイリー。

 彼女は現在、外交を行っていた。


 その相手はビパス子爵という。

 重騎士たちによって、息子を捕らわれた父親であり。”詐欺師”となったボンクラの身柄を、交渉材料に利用する貴族でもある。


 『”詐欺師”を憎み、重罪人としてあつかう』そんなC.V.ルールを持つイセリナにとって、ビパス子爵は軽蔑の対象にすぎず。

 教育を受けた貴族の子弟を、”盗賊ギルド”に売り飛ばし。身の丈に合わない野望をいだいた、色々と利用価値のある獲物でもある。



 そんなビパス子爵は顔を青くしながらも、イセリナに話しかけ。


 「本当に…本当に決闘に勝てば、なかったことにしてくれるのだな…」


 「・・・…”だな”?子爵ふぜいが、口のきき方を知らないようね」


 「なっ・・*!!」


 彼女がふるう言のによって、切り捨てられる。


 だがイセリナは、既にビパス子爵の首根っこを押さえており。殺すも生かすも、思いのままだ。

 否、〔どんな風に凄惨な最期を迎えさせてやるか?〕と、いう思案が既に完了しており。”クズ権力者”の外交(威圧)()できることを、周辺勢力に宣伝している。


 今、イセリナが行っているのは、その程度の”圧力外交”でしかない。


 「貴族の子弟を平民(詐欺師)に変装させ、取り締まった衛兵及び上司を糾弾する。

  そういう”迷惑な手段”が通用すると、勘違いされては厄介だから、見せしめにする。はてさて何匹、地獄に送ればリスクが大きいと理解するのかしら」


 「;・*…お願いですっ!決闘に勝ったら、愚息の詐欺行為はなかったことにしてください!!」


 ”貴族の子弟に狼藉を働いた、陸戦師団(平民衛士)の首をよこせ!”と、数日前に怒鳴りこんできた。子爵にあるまじき、哀願が発せられる。

 しかしイセリナからすれば〔”詐欺”の被害者は、その哀願すらできずに、破滅させられる〕と、いう認識であり。ビパス子爵の悲鳴は、さらし首の腐臭以下でしかない。


 「そこまで情けなく哀願するなら、チャンスをあげましょう。

  決闘で万が一にも、私の騎士たちが敗れたならば、ビパス子爵を存続させてあげます」


 「おおっ・・^」


 もっとも目の前の男と息子たちは、強制隠居となり。親族の誰かがビパス子爵家を継ぐだろうが。

 


 シャドウ一族が山賊から奪った財宝を、イセリナは買い取り。それらを被害者に返却し続け(・・)ている。

 その行為を『山賊の宝は、討伐した者が所有者になれる』と、いうルールを改正されるのではないか?・・・と不安視する者もいれば。”唾棄すべき偽善”と、ののしる”頭がお花畑な愚か者”も多い。


 しかしイセリナからすれば、『財宝の返却』という大義名分で、人々を公然と買収しているにすぎず。そのうえ『誠実です』という宣伝効果もあり。〔財宝の持ち主を探す〕と、いう建前で堂々と『情報収集』まで行っている。

 そして奪われた財貨を返された者は、大半がイセリナの商売相手になってくれて。一石二鳥どころか、石を投げれば、投げただけ鳥が獲れる有り様だ。


 そして”山賊”どもや”連中を利用していた者”に、復讐心をいだいた者たちは、イセリナの『手札』になることを望み。彼ら、彼女たちは優秀な情報提供者となり。将来的には”標的”を破産させる、悪辣な商人になるだろう。


 そして正式な持ち主の元へ、イセリナが財貨を返しても。

 ”山賊”どもが皆殺しにした、被害者たちの財貨は、イセリナが預かっており。

 それらの一部を運用するだけで、貧乏貴族(ビパス子爵)の財政を傾かせるのは、混成都市ウァーテルの宰相にとって造作もないことだった。











 シグルスという辺境の街がある。

 国境は未開の『山』が連なって、壁と化しており。C.V.様の黒霊騎士団が来るまで、さびれていたが。同じ条件の他領と比べ、不思議なにぎわいがシグルスの街にある。


 その謎を探るべく、来訪した四凶刃の一人(弓兵シャドウ)タクマは、命の危機に瀕していた。



 「それで‥何か、言い残すことはあるか?」


 「ガkカっ・・・(まず、土下座を)/:・*・・(させてください)


 上司で、事実上の師匠で、絶対の姉貴分である、アヤメの姐御。

 彼女の右手一本で喉笛をつかまれ、高々と持ち上げられている、死に体がタクマの現状であり。この状態では物理・心理的の両面で、弁明ができない。


 アヤメの姐御とタクマには、それほどの隔絶があった。


 「・・・:…/」


 「グくッ*…・・まず『人間』の女性には、聖賢の御方様(イリス様)に誓って、手を出していません」


 その状態から地面にたたきつけられ、タクマは即座に平身低頭の姿勢をとる。

 続けてタクマは事態打開の言葉を放った。


 〔私は何かヘマをしたのでしょうか?〕などと、のんきに問いかけてる場合ではない。とはいえ弁明の機会(ノドをつかみ)を与えた(たたきつけた)とうことは、一縷いちるの望みはある。


 一族の名誉を傷つける有罪行為やらかしをしていたら、とっくにタクマの命はなかっただろう。


 そんなタクマにアヤメの姐御は通告してくる。

 

 「私が知りたいのは、C.V.様との逢瀬についてだ。貴様が…っ!」



 「ようやくお逢いできました、我が背の君(タクマ様)。リアベルが只今、参ります」


 「「‥⁉」」


 情熱と怜悧の二つを帯びた、言の刃がシャドウ二人に投じられ。タクマとアヤメは、それぞれの理由で臨戦態勢をとる。

 しかし糾弾の最中に、普段の備えはなく。当然のことながら、妖しのC.V.に先手を取られてしまい。


 「くっ・/ー/」


 「ー/…同時に求愛の『模擬戦闘』を望みます。

  それによって、資格を示せたなら、私を(タクマ様の)ハーレムの末席に加えてくださいませ…」


 妖気を帯びたリアベル様の、間合いを詰める動作に対し、アヤメの姐御が手刀を閃かせる。それはわずかながら、リアベル様の柔肌を切り裂き。

 リアベル様からの『模擬戦闘』申し込みを断れない、状況を作る。それを拒絶すれば、『模擬戦闘』以外の『戦闘行為』となり。未知のC.V.大勢力ともめごとになる、リスクが発生しかねない。


 『暗夜の爪は、風と地にうなり  飢えて渇いた牙は、水と火でうるお


  されど胸腔きょうくうの灰色は染まらず、満たされず


  金の瞳は影に隠れ、月夜に輝く    ブラックセンス!!!』


 「これはっ⁉下がれタクマっ‥『旋風閃影せんぷうせんえい!!』」


 「・・・・;⁺:」



 アヤメの姐御とC.V.リアベル様。

 タクマにとって頭の上がらない、それぞれ大恩のある女性が『模擬戦闘』をはじめる。


 その状況に心の底から胃が痛くなるものの。既にタクマが何かできる、段階ではなくなった。







 



 ネタバレ説明:『カーマインタスク』について


 異形の鎧をまとうC.V.カティア・エルバレートが、両腕にそれぞれ生やす。

 訓練用の腕甲剣アームソードが『カーマインタスク』です。


 普通の水棲生物がいなくなる『赤潮』が、常に発生している『魔海』に住まうC.V.一族が、カティアの出身であり。『魔海』に適応した彼女たちは、異形の(水棲生物の)鎧をまとっています。


 そして『赤潮』の水塊をイメージして、『カーマインタスク(模造刀)』を生成し。これで攻撃して一定以上の衝撃を与えると、腐臭のする赤い水をばらまく。

 そんな悪ふざけの道具(ガジェット)が『カーマインタスク』の正体であり。素人が遠目に見ると〔血みどろの争いをしている〕と、見間違えるかもしれません。



 以上、『カーマインタスク』のネタバレ説明でした。









 ネタバレ説明:『ブラックセンス』について


 黒猫C.V.リアベル・ヴィターシュが使う、妖しの『身体強化』です。

 ネコ科猛獣のように全身のバネを『強化』して、驚異的な身体能力を得るだけでも、脅威ですが。


 この魔術能力デザインの本命は、『感知の魔導能力(コアデザイン)』を併用できること。妖しい捕食者のような凶暴を装い、『偵察・解析』を仕掛けてくることです。


 どっかの盗賊のような、ズルい能力と思うかもしれませんが。


 リアベルが本来、所属しているC.V.勢力は、かなり厄介な脅威と戦っており。

 初見殺しに、道連れの『呪殺』がセットなのは当たり前のこと。”病魔・呪毒”がたちの悪い『制約』で増強されて、飛び交っている。


 『偵察・感知魔術』を仕掛ける時点で、凶悪・・な能力を求められる。そんなC.V.の組織に、リアベルは所属しており。

 偵察要員であるリアベルは、『ブラックセンス』を求められた。彼女の技量では前衛・遊撃を任せられなかった、過酷な領域のC.V.です。



 以上、『ブラックセンス』のネタバレ説明でした。

 ”忠臣蔵”において、都合よく忘却される存在。それは浅野内匠頭と共に、勅使饗応役を務めた伊予国伊達家です。


 浅野家がわずかなお礼・当時の物価高を無視した額しかお礼をしなかったのに対し。

 伊達家は莫大なお礼をした。一説には『家宝』の美術品まで進呈したとのこと。


 そうして切れた浅野家の尻ぬぐいをして、饗応役を務めたわけですが。存亡の危機に瀕した、浅野家からは感謝の言葉もない。

 ついでに言うと、〔伊達家を見習って、吉良家へのお礼を増やそう〕と、いう学習能力もなく。

 ”伊達家はワイロ外交をして、士道を失った”と、いう陰口をたたいているでしょう。


 もし、そんな考えなら”平和ボケ”もいいところ。〔江戸時代の外交を侮っている〕と、しか言いようがない。


 何故なら徳川綱吉は家光と並んで、大名取り潰しをやらかしまくった暴君将軍であり。

 さらに同時期に『綱吉の母親へ、朝廷から位をもらおう』と、いう工作をしていた、大事な時期でした。


 この状勢で『勅使への饗応役を失敗するのは、お家の一大事につながる』と、考える。

 それが危機意識のある、まともな藩の考え・外交であり。本当に『家宝』を吉良上野介公に進呈したなら、伊予国伊達家は〔ここが勝負どころ〕と考え、適切な投資をしたと言えるでしょう。


 浅野家が吉良家へのお礼を、100両ケチったか、鰹節を贈ったのか、物価高に対応しなかったのか?

 どれかは知りませんが、従来の出費すらしなかったわけであり。


 そういう外交センスが無いのを、”吉良は強欲だ”と中傷して、問題を責任転嫁した。

 色々と足りない浅野家の家臣たちが、病を患う浅野内匠頭を『饗応役』という激務を受けさせ、刃傷沙汰につながった。


 それが”忠臣蔵の元凶”だと考えます。

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