表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヴァルキリーズ・シティ~混成都市ができるまで、あるいは盗賊連合の滅亡記  作者: 氷山坊主
閑話~混成都市の渦+シグルスの模擬戦闘
386/422

386.閑話~アルケミックソルト::

 幻想生物・幻獣の中に『一角獣ユニコーン』というのがいます。


 額に一本の角を持つ『馬』であり、純血の乙女を好む。

 その『角』には癒しの魔力があり、高値で取引されるとか。


 こういう夢のある幻想物語だけでなく。


 『イッカク』という海獣の一本角を、『ユニコーンの角』と偽ったり。

 『ユニコーンの角=男根』と、中傷する。”ユニコーンは色欲の悪魔だ!”と、ユニコーンの紋章を持つ一族を貶めた、話しも聞きます。


 そんな『ユニコーン』は、かつては人気のある幻獣?聖獣だったと思います。

 もっとも一本角だけではワンパターンになりかねず。童話・寓話などに登場したユニコーンの原型をとどめていない。


 『突進せず、癒さない。角が飾りと化したユニコーン』が増えていると、愚考します。

 黒霊騎士団に加え、シャドウ一族の幹部アヤメが滞在するシグルスの街。


 そこにある高級酒場で、冒険者ギルドスタッフのユングウィルは、シャドウの四凶刃(幹部)タクマさんから『干し肉の作り方』を教えられていた。


 「従来の『干し肉』だと、肉の下処理がロクにされていない。状態の良くない肉を塩漬けにしただけ。

  そして『塩』自体の品質もよくなかったり。大量に『干し肉』を作ることを優先して、雑な製造法を続けてきた」


 これで、美味しい『干し肉』が作れるはずなく。


 『風術』で血抜きをして、肉の下処理を行う。『錬金』系統の術で、良質な『塩』を精製する。

 そうやって、『味』を優先して『肉』と『塩』を使えば。美味しい『干し肉』を作れるのは、当然の流れであり。


 「魚貝の『干物』を戻せば、高級珍味になるように。

  手間をかけた『干し肉』を、適切に戻せば、ちょっとした御馳走になる。


  まあ、食べてみろ」


 「これはっ…⁉」


 「上質な『肉』『塩』を使っただけでは。

  普通の『肉料理』に『調味料』をかけた物と、同程度になるのがせいぜいだ。

 

  だから『錬金光術アルケミックライト』を自在に使う、シャドウ(サヘル)は考えた。

 〔『干し肉』の基礎を徹底的に追及しよう〕と、な」


 干し肉の基礎:『塩の殺菌作用によって、肉を保存する』ことであり。やたらに『塩』をつけて、固くマズイ肉片を作ることではない。


 「そもそも『塩』だって、タダじゃないからな。

  

  それで適量の『塩』を、まんべんなく『肉』に塗り込むため、こういうことをする。


  『浄化の白にして、美味の透明


   愚かなオレらに、白明の輝きを持ちいて、導きを示せ


   勇士の歩みに、糧と驚愕を   錬金塩粒アルケミックソルト!』」


  タクマさんの『アルケミックソルト』によって、皿に盛られた塩の粒に『光』が灯る。それらをスプーンですくい、肉へと均等にふりかけ。

 ところどころキラキラ光る、妙な肉料理が現れた。


 「・・・~-?」


 「派手好きな貴族には、こういうのが好きな者もいるが…


  実際には素人でも『塩』が認識できるよう、『光付与』で可視化する。

  さらに光付与の『魔力』で、塩の粒を覆い。適量をまぶして、肉にもみこむまで、塩を保護する。


  『塩粒』のみ限定で、錬金モドキを行うのが『アルケミックソルト』だ」


 そう告げてタクマさんが指を鳴らすと、肉の表面で光る粒が消え失せる。


 「何というか…地味な『術式』ですね」


 「料理メイドなC.V.様の『釜戸女神の魔導(ヘスティアゲーム)』と一緒にするなよ。


  ゼロから『塩』は作れないし、海水から『塩』を抽出することもできない。

  あくまで『塩』と認識した『物』を光らせて、魔力付与で保護するだけ。

 『干し肉』などの旨い塩漬けを、作りやすくする術式にすぎない」


 それでも美味しく、少量の塩で作れる『干し肉』が製造できるなら。


 食糧事情が改善するかもしれない。お祝い・決戦前に特別な御馳走(美味しい干し肉)を食べられるなら、士気も上がるし。雇用につながる・・・かは微妙だろうが。


 「それでタクマさんは、この『干し肉』の作り方を教えて、どんな取引がしたいんですか?」


 「…話が早くて助かる。なに、大したことじゃない。

  獣を狩って、『風術』で血抜きをした肉を提供する。その作業は、俺たちシャドウが専門に行う。


  お前ら冒険者やギルドには、肉への塩もみをしてもらいたい。干し肉の製造をメインに、共同で販売業を行う。

  そういう取引をしたいんだが」


 「・・・冒険者ギルドにとって、魅力的な提案ですね。

  とはいえ、初めての案件ですから、持ち帰って考えさせてください」


 ユングウィルの返事に、タクマさんは目を細める。一瞬、獲物を狙う、狩人の視線になるも。


 「まあギルドに持ち帰って。相談するといい。

  ただし時間制限があるから、早めに結論を出してくれ」


 「承知しました」


 そんなやり取りを交わしてから、ユングウィルは豪華な食事を楽しんだ。


 




 豪華な食事をユングウィルは楽しみ。


 ほろ酔い気分でキルドの寮に帰ってから。ユングウィルは、即座に酔い覚ましの『ポーション』を飲み干す。  


 そうして炎熱C.V.の一人を呼び出した。


 「フリス(料理メイド)、お前の意見を聞きたい。

  

  この『干し肉の製造法』と『アルケミックソルト』について、どう思う?」


 「〔仲良く分業して、干し肉を作ろう〕と、いう可能性はございません」



 ユングウィルの問いに、フリスは即答する。


 『神秘の魔術』を編み出すより、難易度は低いとはいえ。『神秘ではない魔術(術式)』を開発するのも、人間にとって充分に難しいことだ。

 そんな術式の一つ(アルケミックソルト)を、出会って間もないギルドスタッフ(ユングウィル)に教える。


 どう考えても不自然であり。

 盗賊ギルドを圧倒するシャドウの力をもってすれば、分業する人手を集めるくらい、造作もないだろう。大金で人を集め、暴力で従えたとしても。


 権勢をふるうシャドウ一族に、文句を言える者などいないだろうし。

 よほど悪辣なことをしないかぎり、『干し肉作り』で不平など出るはずもない。



 「とはいえ炎熱C.V.(私たち)の『術式』で、シャドウ様の意向を探るなど不可能でございます。できることと言えば、『ヘスティアゲーム』で美味しい肉料理を考案する。


  それと『干し肉』から塩抜きをする、方法を考えることぐらいです」


 「・・・塩抜きか」


 「はい。火属性C.V.()の『料理を作る魔導(ヘスティアゲーム)』では、不得意な調理工程ですけれど。


  それでも『シチュー』など、料理の一部に『干し肉』を使い、塩辛さを軽減する。あるいは一味ひとあじ欲しい野菜の味付けに、『干し肉』を刻んだものをふりかける。

  そんな風に、他の料理に流用することを念頭に、『干し肉』を加工することを提案いたします」



 『干し肉』が不味い最大の理由は、『保存』を優先しているから。

 本来、『味』『栄養価』『分量ボリューム』などを考えて作られる食事に、『保存性』という要素が加わる。そのため『保存性』は、食事における他の要素を押しのけてしまい、不味い干し肉ができてしまう。


 『だったら保存性を削って、味を良くする。保存できる時間を削ったり、他の料理に流用する調理を考える』



 これが料理担当フリスの考えであり。

 ユングウィル、他の炎熱C.V.班も同意する提案だったのだが。


 




 『妖精騎士の疾走(デュラハンホイール)!!』


 「・・・+:;」


 現在、ユングウィルは爆走する黒霊騎士(副団長)C.V.ナイキスにかかえられ、タクマさんのところへ急行していた。



 〔『干し肉』作りに協力するから、『塩』を用意したい。他にも人員・作業場など必要なんだが、心当たりはないか?〕


 多重婚を行ううえで、『干し肉作り』の情報は共有すべきと考え。

 黒霊騎士団No2のナイキスに、礼儀として話しかけ。


 その半ばで『アルケミックソルト』のことも話したら、その瞬間にナイキスの顔色が変わってしまい。


 「ユングウィル様!この件は誰に話しました・・?:?」


 「『干し肉作り』のことだからフリスには話した…」


 「・・~:∼・フウ…」


 ユングウィルの返答を聞き、ナイキスは〔首の皮一枚つながった〕と、いう表情を浮かべる。

 そうして無理に平静を装い、何が起こっているかユングウィルに告げた。


 

 「『アルケミックソルト』は『干し肉作り』の術式などではありません」


 「それは・・・『アルケミックライト』の下位互換ということか?」


 風呂の汚れに『光付与』を行う。酒の余計な不純物に『光付与』を発動する。

 そうして『光付与』に伴う、加重で汚れを沈め、成分調整を行う。


 清潔な風呂・澄んだ美酒と良性カビをもたらす。そんな『錬金光術アルケミックライト』のウワサは、遠くシグルスの街にも流れており。

 初耳な『錬金塩分アルケミックソルト』は、塩作りのできない。精製された塩粒に『魔力付与』を行う『調理の術式』と、ユングウィルは思っていたが。


 「私たちC.V.の『魔力抵抗』は、『治癒術への抵抗(拒否)』もしてしまいます。そして腕のいい『治癒術士』ならば、その『魔力抵抗』を突破できるのですが・・・

  基本的に、人間の世界にC.V.の『ヒーラー』は降りてこない、ことになっています」


 そのため黒霊騎士C.V.だろうと、治療には『医術』が必須であり。

 過多な使用は『副作用』を伴うものの、しっかり成分調整された『適量の塩水』は、命をつなぐ(失った血の)効果をもたらす(代用になり)


 「たまに『万能薬』『魔力(万能)血液』と勘違いされ、乱用すると危険ですが・・・」


 血管に『霊薬』を流し込む、『聖具・術式』は魔王軍で共有されている。

 そのため『魔術薬・医療設備』の整っていない、人間の世界において。清潔で、成分調整も可能な『塩水を作る錬金術(アルケミックソルト)』は大きな意味を持ち。


 「『干し肉作り』や『錬金薬』の素材として、『塩水』が作られる。それに伴い『アルケミックソルト』が使用されるのは、黒霊騎士団(魔王軍のC.V.)として大いに歓迎します」


 「・・・-・」


 〔『干し肉』を使った、料理レシピを考えている場合ではない〕とも言う。


 「だけど、それなら爆走して目立つのはまずくないか?」


 「・・・+*:…・」


 よほどナイキスは動揺していたのだろう。

 

 その後、〔一定レベルの『身体強化』をできず、『医術』も未熟な人間は『塩水』を使うべきではない〕と教えられ。

 タクマさんの所に訪れ、交渉するのは〔準備をして、先触れを出してから後日にしよう〕と、いうことになった。


 









 混成都市ウァーテル。C.V.勢力が支配し、シャドウが飛び、重騎士が闊歩かっぽする。


 ”盗賊ギルド”が一掃された、そこは各地をつなぐ交通の要衝となり。

 莫大な商品・財貨の取引が日々行われ、多様な文化が華開く。

 古代の書物に記載される、『自由都市』と呼ぶ者も少なくない、都市となった。



 しかし、それは誤りであり。

 事実上、光属性C.V.のイリス・レーベロアとイセリナ・ルベイリーたち二人が、権力を一手に握る。


 混成都市では〔他人を食い物にする、”賊”にくれてやる富はない〕〔富を奪い、傷病の死亡率をあげる、”詐欺師”の類は極刑に処する〕と、いう『C.V.ルール』が暴威をふるっており。

 

 ”盗賊ギルド”に上納金を払っていれば、たいていの犯罪が認められる。

 そんな”悪徳都市”のルールで動いていた者にとって、地獄の門が口を開いた。



 「お願いです、神官様!」「貴方様だけが、頼りなのです!!」

 「どうかっ、どうか、お願いします・・」


 「「「この”呪い”を解いてください!;!」」」


 「ええい、鎮まれっ…当然、お布施は持ってきたのだろうな!」


 都市ウァーテルにそびえ立つ光神の神殿に、大店の主人たちが人目を忍んで、来訪し。

 そうして怯えた表情を隠すことなく、神官サディルフに救いを求めた。


 「無論でございます」「「どうぞこれを・・」」


 「・・・ふむ」


 そうして出された『解呪』へのお布施10万Bl(ブル)は、サディルフにとって満足のいく額だった。いつもケチな商人どもが、迷わず適正な浄財を差し出す。

 そのことに顔がにやけそうになるも、サディルフは平静を装って『呪い』の症状を尋ね。


 「何ぃ!?」


 「「「・・・…・」」」


 やはり商人どもは強欲だと、サディルフは改めて思い知った。


 商人どもは”忌まわしき魔女”にして”背教の女魔将”、イリスのもとを訪れ。

 そうして”アルゴス”の邪法をかけられ、『目』が不自由になったとのこと。


 このことを糾弾すれば、”魔女イリス”の信用も失墜する・・・とはいかない。

 光神殿の本山をも落とした、”魔女”の権威は絶大であり。”最大の篤神(本山への襲撃)”をやらかしたのに、”魔女”を糾弾する非難の声は小さく。

 都市ウァーテルを牛耳る”魔女”の権勢は、それほどに強大であった。


 そんな中で豪商の老人たちが『目が不自由になった』と、今さら訴えても。”魔女の悪行”を責める、『証拠』として成立するはずもなく。

 大金を積まれたくらいで、”魔女の勢力”と敵対するのは、神殿にとってあまりにもリスクが大きすぎた。


 『コ・ン・ニッチワーー(フォトンフラッシュ)


 「「「「・・*:-・‼?」」」」


 しかし実際の状勢は、サディルフの想像をはるかに超えて最悪だった。

 









 『透視の魔術』は壁を透過する。『攻撃魔術』は術者を巻き込まぬよう、手指から離れた空間を『起点』に発動する。


 これらの術理を流用すれば、神殿の一室に『派手な光術式(フォトンフラッシュ)』を展開するなど造作もない。


 「「「ヒ〇ィ*+ー―-ー」」」「グ;わwアアー‐∼ー!!」


 そして神殿の祈祷所きとうじょに、絶叫が響いた。


 「・・・あれっ⁉『フォトンフラッシュ』に火力はないんだけど」


 「太守閣下(イリス様)・・・この者たちには、『暗視を付与(可視光を増幅)』なされていたのでは、ございませんか?」


 「アハハッ、やだなぁ~ガルド将軍。


  この前、集めた商人たちに『不幸を祓うおまじない(アルゴスセイバー)』をかけたけど。ちょっぴり副作用に苦しむ(まぶしくなる)だけで、苦情を言われるだけだった。

  こんな風になるのは、『ボクの術式(フォトンフラッシュ)』だけが原因じゃないよ~^・^」


 「・・・*:・-・」



 軽口を叩きながら、神殿の一室に押し入り。当たり屋(チンピラ)と同じ表情で被害者を嘲笑する、イリスを陸戦師団副長(ガルド・ログナー)はため息交じりに見ている。

 まっとうな武人の彼からすれば、弱者をいたぶるイリスの言動は、眉をひそめるものだろう。周囲には護衛の重騎士たちもいるし、トップにふさわしい言動を、お願いしたいのだろうが。


 「悪いけど、(この外道ども)そろそろ権力(の命を助け)を移譲して(るんだから)名声も下げ(少しは苦し)たいんだよね~(んでもらわないと)


 「・・・承知しました」


 言の葉と『光術信号フォトンワード』の二つで、イリスはガルド将軍に意思を伝える。その内容に、忠臣は頬を引きつらせながらも平静を装い。

 護衛の重騎士たちに、神官と豪商たちを囲むように命じた。


 そんな部下たちの配置が完了するのを待ち、イリスはおもむろに口を開く。


 

 「そろそろ、この前の返事を聞きたいと、思ってね~

  

  ついでに”刺客が持ち込んだ呪い”に巻き込まれた、商会主の皆さんには『大変な迷惑(アルゴスセイバー)』をかけたから。お詫びに『商売のネタ(利権)』を持って来たんだけど…・・


  光神殿と仲良くしている商会主には、必要ないよねっ」


 「「「・・・:・⁉」」」


 イリスの言葉に、『術式』の衝撃から回復してない、豪商たちの表情が歪む。


 〔『商売のネタ』が欲しい!〕〔いったい、どういう状況なのだ⁉〕〔自分たちだけ『利権』を得られないのは不公平がすぎる!!〕


 そんな思考が胸中で渦巻いているのだろうが。老獪ろうかいなだけあって、身の危険も感じており、言葉を選んでいるのだろう。


 「おォのれえー―――‼!:・:”この神殿まで破壊する気かっ⁉」


 あるいは神官の失言を待っているのか?”魔女”の二文字を呑み込んだ狂信者を、冷ややかに見ながら、イリスは選択を迫る。


 「まあ、お互い不幸な行き違いがあるようだし。


  ボクの質問に誠実にコタえたら、この件は『なし』にしてもいいよー」


 『”盗賊ギルド”に殺された、大勢の人々はどこに消えるのか』


 〔その質問にとっとと答えろ〕と、いうイリスの通告に商会主たちは慎重に口を開き。


 「無論、イリス様の御威光で・・・」

 「世界の法則が、死者たちを冥界に・・・」

 「弱者は強者の糧となるよう<*/…・」


 言ってはいけない内容を、イリスに発してしまう。


 「なんだか最低限の善政をしくと、甘ちゃんとか陰口たたかれるし。

  ちょっと”暴君”ごっこで(になって)もしてみようか(処刑でもしようか)


 「おやめください、イリス様!

  『例の術式(アルケミックソルト)』の件で、この者たちも生かすことになったのでは?」


 「そうだったねっ/‘/`…と」


 「「「・・・…⁺⁉」」」


 『身体強化』を行ったイリスの両肩を衝撃が、かすめる。



 そうして神殿の一部が、吹き飛ばされた。 


 

 


 


 

  



 ネタバレ説明:『錬金塩分アルケミックソルト』について


 『塩』と認識したものを、『魔力』で覆う術式です。

 それによって『塩』を可視化したり。塩を計量して、品質を解析する。肉・野菜や水に、溶けるのをコントロールする効果があります。


 海水から塩を作ったりは、できません(・・)し。溶液などから、既に溶けた『塩』を分離することもできません。

 もともとは、歓楽街で顔役を務めるサヘル(シャドウ)の使う。『錬金光術アルケミックライト』の下位互換にすぎません。


 精製塩を『魔力付与』によって覆い、あつかいやすくする『術式』です。



 そのため干し肉をはじめとした、保存食を作るのに使われ。

 保存食を作るのに、どの程度『塩』を使えば殺菌効果があるのか。獣肉の部位に、どのように塩を塗り込めば、美味・保存性を両立できるか。


 そのデータを取るため、『塩』を可視化して保護するため。

 『アルケミックソルト』は使われていました。



 しかし物理法則を『魔術』が無視できない、この世界において。


 C.V.の魔術への抵抗力は、『治癒術・ポーション』の治癒力にまで、抵抗してしまい。優れた医術があっても、『魔力を帯びた血液』を拒絶して、輸血できない有り様です。


 そのため魔術抵抗に対処して、『治癒術』を使えるC.V.ヒーラーは、尊敬されているのですが。当然、人数が少なくて、とても手が回らず。


 この状況に対処できる『生理食塩水』を、作れるかもしれないのが『アルケミックソルト』です。

 無論、『生理食塩水』の使用には副作用も伴い。使用には専門知識が必要なのですが。


 『錬金塩分』で作った、高品質?な『生理食塩水』を少量だけ用い。副作用を『身体強化』で乗り切る。そうして『疑似的な輸血』を行う、可能性があるのが『アルケミックソルト』であり。


 『輸血』が可能になれば、『様々な手術(帝王切開)』をしても、命をつなげられるかもしれない。

 

 ナイキスが礼儀を投げ捨てるほど、動揺しているのは、そのためです。

 そんなユニコーンのもととなった獣は『サイ』が有力だとのこと。古代世界の伝言ゲームで、サイが『ユニコーン』と伝えられ。”その角に薬効がある”と”デマ”が流れ、絶滅しかけているとのこと。


 ネットが広がる現代世界でも、似たような状況であり。〔昔のことですね~〕と、言えないのが残念です。


 ちなみに私はサイに続く、二番目の『ユニコーン』になった候補として。槍騎士・槍をふるう騎馬兵を推薦します。

 

 単純に『弓騎兵・遊牧民の騎馬兵=ケンタウロス』だったなら。『ユニコーン』も『恐ろしい突進をする槍騎馬兵だったのでは?』と考えており。

 騎士が戦場の華型だった時代でこそ、騎馬の武装は『槍の長柄武器』が当たり前になっていますが。


 ユニコーンが登場した古代世界において、馬具・馬術のどちらも未熟であり。満足に槍をふるう騎兵は、貴重で恐れられた。あぶみが発明されるまで、槍を馬上で操れる騎兵は、すさまじい脅威だった。

 

 それに加えて、戦場で手柄を立てられるよう、馬に『ユニコーンの攻撃・突進力』が宿ることを望んだ。


 こんな感じに『ユニコーン』は槍騎士・騎馬突撃に関わる、幻獣だと妄想します。

 さすがに資料ゼロで、この説を推すのは厳しいですから。あくまで私の妄想ですけど。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ