383.閑話~『分割払い』の資金
昨今、なろうの貴族物語に『怨恨を抱えた両家』と、いうのが登場します。
そして封建時代の『諸藩・領主』制度というのは、まさにそういう世界であり。
『太平の世を作るため、転封・普請を命じ。問題のある藩は取り潰す』と、いうことを徳川家は200年以上も行ってきました。
『貧困=餓死・病死』という時代に、浪人が用心棒をやってられるのは、『時代劇』の話であり。
徳川家、それに連なる『松平家』にも怨みが蓄積するのが、当然というもの。
少なくとも〔会津藩だけが、悲惨な被害者だ〕と、いう『主張』は通らない。『江戸幕府が散々、やってきたことが。負けた幕府勢力のほうに回ってきた』と、愚考します。
私は”時の流れで、○○国家が滅んだ”と、いうのは思考停止に等しい。
〔分析を怠っている言葉だ〕と、考え嫌っています。
だから〔太平の世を守るため、江戸時代に諸藩が取り潰された〕と、言うなら。
『諸外国に対抗する新政府を作るため、奥羽列藩同盟が邪魔だから。
会津松平家の尊敬する先祖がやらかしたことより、だいぶマシに、会津藩は滅ぼされた』と、いう風に考えています。
シグルスの街にある冒険者ギルド。
その最奥にあるギルマスの部屋で、交渉役と理不尽な副長は、会談の席を設けていた。
「ユングウィル殿の手腕は、耳にしています。なかなか巧みに外交を行うとか。
さすがは黒霊騎士C.V.様をも、ハーレムに加えた殿方だけあります」
「ハッ、ハッ、ハッ、お恥ずかしいかぎりですー;~」
そしてアヤメ様は、いきなり滅多打ちにしてきた。
”女ったらし””女の敵””ヒモ男”
そんなモノを視る怜悧な視線が、ユングウィルを射抜いてくる。
それに対し、ユングウィルは〔やましいことは一切してません。C.V.たちが勝手に求愛してきて…〕と、無罪を主張したいところだが。
貴族の思惑をつぶし、冒険者ギルドマスターをしめ出して、交渉を行っている。敵が多いユングウィルにとって、C.V.ハーレムは盾であり命綱に等しい。
”陰口”など論外だし。多重婚の成立を女性たちのせいにするのも、禁止事項だ。
もちろん、たいていの女性陣にとって、そんなユングウィルは”ナンパ男”にしか見えないだろうが。
「・・・まあ、口撃はこのぐらいにして…お互い忙しいし、本題に入るわ。
ギルドマスターはともかく、護衛の火属性C.V.まで追い出し。私と何の話をしたいのかしら?」
「でしたら単刀直入に・・・『依頼料の分割払い』に関する事業ですが。なかなかに苦労なさっている、ご様子。
よろしければ、冒険者ギルドと協力いたしませんか?」
「…ほう。何故、苦労していると思ったのかしら」
無論、ユングウィルは『依頼料の分割払い』について、詳しく調べ知っているわけではない。下手に探りを入れれば、ギルドではなく『昏い路地裏で尋問』されていただろう。
「単純にシャドウ一族の皆さんが、誠実の住人だからです!
山賊の『宝』を可能な限り、持ち主に返却なさる。
そういう誠実な方が、『依頼料の分割払い』という業務をすれば。大変な苦労をなさることでしょう」
実際のところ、どこかでC.V.様の『デザイン』によるサポートを受けている。『魔術』による探査で、人探しをしたり。『契約』で行動を縛るぐらいは、しているはず・・・・・と、ユングウィルは親しいC.V.から教えられている。
しかし『依頼料の分割払い』という、一種の『借金回収』を行うには、絶対に『マンパワー』が必要だろう。
混成都市ウァーテル及び、その周辺都市五つぐらいなら。ユングウィルの知らない『妖術』で、分割した依頼料の回収をできたとしても。
『依頼料の分割払い』ほど手間のかかることを、ウァーテルが結ぶあらゆる都市で行うには、『人の力』が必要なはずだが・・・・・
『冒険者ギルドに依頼する、報酬を分割払いにする』
略して『依頼料を分割払いにする』と、いうのは手間のかかることだ。
最低でも『依頼人に金を貸して、借金取りの真似事』をしなければならず。
さらに冒険者たちには一括払いで、報酬を払わねばならない。
そのため『分割払いの事業』が軌道に乗るまで、その支払いを代行する『大量の資金』も必要になる。
さらに”悪辣”に高利貸しをするならともかく。単なる借金回収をするのは、慈善事業に近い。
普通は『人件費』だけで赤字になる。
それに一括払いで冒険の報酬を持ち運ぶよりマシとはいえ。
やはり『分割した支払金』を持ち運ぶのは、”賊”の標的になる。シャドウ一族が”盗賊ギルド”を攻撃し続けていることを考えれば、そのリスクは高まるだろう。
命の軽い、この世界において。
疫病・魔物の襲来など、他にも現金輸送に伴うリスクは、いくらでもあり。支払いが滞れば、なめられないよう本当に借金取りの真似事をしなければならず。
冒険者ギルドが『依頼料の分割払い』を、今まで行わなかったのは、当然のことだろう。『依頼の仲介業』だけで精一杯な、冒険者ギルドが『分割払い』に携わるなど分不相応と言える。
ロクな補給・支援無しで、使い潰される冒険者たち。その被害者、及び家族たちは、異なる意見をもっているでしょうけど。
「冒険者たちに支払う報酬に関しては、”山賊・盗賊”から奪った『資金』を使えばよろしいのでは?」
シャドウを束ねる姫長、扇奈様の問いに聖賢の御方様は首を横に振る。
「それはダメだよ。
”山賊”も含め、”盗賊ギルド”から取り戻した『資産・財宝』は、被害者に返却する。それも不幸を呼ぶことなく、被害者の皆さんには【絶対に幸せ】になってもらう。
この『大義名分』があるから、ボクたちC.V.勢力が悪徳の都を落としたことを正当化できる。内心では『魔術能力』に怯えている、人間たちに様子見をさせる。
そのため”山賊の財宝”を、わざわざ持ち主に返却してるんだから」
身も蓋もないことを言えば、『買収』している。C.V.のイメージアップを、『金』で買い取る『広報戦』をしているとも言う。
しかしカオスヴァルキリーは正義の味方どころか、『戦闘種族』ですらない。
あらゆる分野・文化で勝利する『戦争種族』なのだ。
だから少なくない財宝を、生きている持ち主・縁者たちに返却し。
C.V.勢力の支持者・協力者にして取り込み、様々な計画を推し進めている。彼らが学習し組織化され、使いものになれば。
”盗賊ギルド”など問題にならない、巨大組織ができあがり。冒険者への報酬を、支払い代行するなど造作もなくなるだろう。
しかし、その仕組みはいまだ完成しておらず。
『依頼料の分割払い』を成すために必要な、原資すらない有り様なのだが。
「う~ん、困った、コマった、どうしようー:~」
「「「「・・・~・ー」」」」
「扇奈っ!イセリナ‼アヤメ…ガルド!
その〔あっ、また悪だくみしているw〕と、いう目で見ないでくれるかなっ⁉」
「「滅相もございません…」」「マスターに対して、そのような・・」
「姉上…我々も、それぞれ忙しい身ですから、お戯れは程々に・・・」
主従にあるまじき、親しく朗らかなやり取りが交わされる。
しかし、それは『絶望の剣』と恐れられる、イリス様の魔手が”盗賊ギルド”に伸びた。魔手による蹂躙が開始された、瞬間であった。
「一大事でございますっ!!」
「何事だ、騒々しい・・報告は簡潔に…」
「”魔女C.V.”どもに奪われた『財宝』が担保にされ、借入が行われるとのことです・・!!」
「なァァァっ…⁉」
各街の裏社会を牛耳る・・・だいぶ”魔女C.V.”によって、荒らされたが。それでも厳然たる力をもつ、盗賊ギルドの各支部に激震が走る。
「『担保』とは、どういうことだっ!」
「それは借りた金を返せなければ、担保にしていた品・土地を没収すると・・」
「そんなことは、わかっている!
何故、奴らは奪った『金』を直接、使わん・・・財宝を売却すれば、大金を得られるだろうがぁ!!」
「・・・-;・わかりませんっ…」
怪しく、”悪辣な大妖術”によって、盗賊ギルドが大打撃を受け。弱ったところを”シャドウ”に襲われ、少なくない盗賊ギルドのアジトが壊滅させられ。
当然、金庫の中身も強奪された。
それなのに”C.V.勢力”は、その戦利品を一切使おうとせず。
おかげで莫大な量の『金貨』が出回ることなく。経済が混乱することもなかったのだが。
〔盗賊ギルドの財産が、”C.V.勢力”によって使われれば。
市場に大量の金貨が流出し。現在使われている金の含有量が少ない、『金貨』の価値が下がる。そうなれば「”愚かな魔女”どもが、経済を混乱させた」と、やり玉にあげることもできたのだが…〕
そんな思惑を見透かすように、”魔女C.V.”どもは”負け犬”に金をばらまいた。
〔奪われた財産を、元の持ち主に返す〕などと、善人ぶって大っぴらに『買収』を行う。
その『金』を受け取った”負け犬”たちから、もう一度『財貨』を奪ってやろう・・・・・そんなことを考えたシーフたちは、『待ち伏せ』にあい。
軒並み『処刑台』に登らされた。
〔『奪われた財産』を返すために、その持ち主に関する情報を調べないとね~〕
〔それにどんな風に、盗まれ奪われたか。”賊”の『手口』についても、詳しく教えてくれたわ〕
〔”盗み”が一度成功したら、二度目を狙う。ボクたちの面子も潰せて、金庫の中身も取り戻せる。成功したら一石二鳥以上になる、”盗み”をしたくなるのは予想できていたよ〕
こうして”考えなし”の烙印を押されたシーフたちは、衛士たちによって次々と捕縛され。”魔女C.V.”に与した衛兵たちに鼻薬はきかず、容赦なく『刑』が執行されていき。
こんなことが、あったばかりで〔質草を入れて、借金するなど情けない〕と、考えられるアホなどいない。情報を集めて・・・その時点で命がけだが、何としても詳細を調べ。
”魔女C.V.”の思惑を探る必要がある。
”盗賊ギルド”の幹部たちは、誰もがそう考え、慎重な情報収集を行い。
今回は命・財貨を奪われることなく、驚愕することができた。
「はぁー~い、みっなさん、ご注目―--!!」
「「「なんだ、何だ?」」」「いったい、何が始まる?」
「「「「「「「「「「・・-・…・」」」」」」」」」」
処刑台での”残酷ショー”が、混成都市から消えて数か月がすぎ。
新たに広場に造られた、処刑台モドキで『茶番劇』が開幕した。
「ボクの名前は・・ん~リアンヌ・ルベイリーにしとこうか。
ええと、太守代理様は、罪人が苦しむ”処刑ショー”が怖く。処刑は牢獄の中で行うことにしました。
だけど、それでは”処刑ショー”を娯楽にしていた・・楽しみにしていたヒトがつまらないでしょう。そこで新しい催しを考えました^!^」
「「「「・・:◎:・」」」」
「「・・・-・」」「「「・・・・・」」」
「おい、あれって…」「しっ!気付かないフリをしろ!」「「「ERIS様~」」」
混成都市の幹部4人が平静を装う中で、聴衆たちのほとんどが『新しい催し』を気にすることなく。
一応『仮面』をつけた大根役者・自称リアンヌ・ルベイリー様に、誰もが注目している。そんな聴衆に対し、リアンヌは拙速にイベント内容を告げた。
「人間の処刑は死臭・汚物など、様々なモノを垂れ流す。
それはイヤなので別のショーを企画しました。
名付けて『倉庫のゴミを破壊しまショー』!!」
「「「「「「「「「「・・・・:」」」」」」」」」」
〔マスター…〕〔姉上w〕〔フゥー‐ー〕〔くっ、こうなれば俺が代わっ//*〕
聴衆の沈黙・忠臣?たちの困惑をものともせず。
衛士装備を改造してまとうリアンヌは、ひるむことなく話し続け。
「みんなも知ってのとおり。”山賊”の宝を回収したら、ボクたちは持ち主に返却するよう、努力している。
だけど少なくない被害者が殺害され、残された妻子に富を渡すのも難しい。
特に呪われた装備・宝飾を、安易に返却したら大変なことになってしまう!」
「「「「「「「「「「「・・・-・」」」」」」」」」」
「そこで呪われた道具を、倉庫に半ば『封印』してるんだけど。
『封印』するのに使う消耗品をはじめ、場所・人員を確保するには『コスト』がかかる。
さすがに増税は絶対にしないけど。
倉庫が狭くなれば、増改築をする必要がある。
そして増改築を行った分だけ、『お祭り』で食べる獣の頭数が減ったり。
『お祝い』にふるまう酒・お菓子の量が減ってしまう。
それはとっても、残念なことだよ」
「「・ッ!!」」「「何と・・・」」「「「太守様の言うとおりだ…」」」
「呪われたアイテムなんぞいらねぇーー」「「クソ、山賊がぁ・・・」」
イリスがいかにヘボ変装でも。
只今、言ってることに関しては、ほとんどが事実であり。その訴えは、聞いてる大衆の情動に働きかけた。
まあ実際のところ『祭り・祝い』を盛り上げる、『予算』は確保してるし。
港など只人が近づける『倉庫』に、危険物を『封印』などしてないのだが。
その詳細を知らない人々は、『呪われたアイテム』への嫌悪をあらわにして。
「よってこれから『呪われたアイテム』を破壊する演武を行う!
『魔力で壊れない』と、誤認されてるけど。この世に不滅の物などない!
みんなの『想い』を込めれば、必ず不良在庫は砕かれるだろう。
そして同時に『呪いの宝珠』にも粉々になってもらう!
最近、寝ていると”税金を増やせ~、贅沢をしろーーー”とささやく『宝石の声』が聞こえてくる。
そんな騒音を防ぐために、みんなの力を貸してほしい!!」
「「「「ウォオオオーーーーー!」」」」
「「「砕けっ、砕けっ、砕けー+!!」」」
「「「何としてもぶち壊すぞーーー」」」
こうしてイリスの茶番劇が開幕し。
『二つの火打ち石をぶつけるみたいに、同格の道具をぶつけよう。
はいコン、ゴン、ゴーー*!んっ…と』
『『ッ⁉、Gッ!!、ギぃーー;!*!』』
『おっとこの邪剣は、握った者から勝手に魔力を吸い取るのか・・・
やぁー、ボクからソレをする度胸があるなんて、感心だねw』
「「「「・-!…・:っ」」」」
生き血をすする『呪われた武具』が、怪光を発しつつ砕け散っていく。それらは破片・邪気をばらまいて、周囲を道連れにすることすらできず。
『『‥-―/・-』』『ウw…ーーー』『YぁMェ~w-』
通常のライトにしか見えない、『アルゴスゴールド』に覆われ封じられ。
『呪いの装備』はその活動を、永久に終了させられていき。
「次は『穢れた石』に逝ってもらおうかな~
ピカピカ光っているけど、善良な商人を破滅させ、金持ちにはアコギな商売をさせる。
平和な家庭を崩壊させる『石』なんて、”ゴミ”だよね^~^」
侮辱の『言霊』を並べられ、大皿に山と盛られた『輝石』が、一瞬だけ輝きを変える。それは反抗の意思か、呪いの輝きなのか?
しかし一瞬しか妖光を発せない、『輝石』の価値を認める者は、この場に誰一人としておらず。
「さあ、終わりの時だよ!
『影を照らすものにして、闇よりいZ
『-//―//ー!』
「「「「「「「「「「・・・…・ッ」」」」」」」」」」
「・・・それで、どうなったのでございましょう?」
「謎の女衛士様が破壊するはずだった『呪われた宝石』を、私が勝手に砕いた。『宝石』の邪気にフルえて怯え、『破壊しまショー』とやらを妨げた。
そのため私はシグルスの街に左遷され。
混成都市に戻りたければ、大きな功績をあげる必要がある。世間一般の島流しされた役人と、『同じ状態』というわけよ」
〔”同じ状態”…じゃねぇーーー‐―!!〕
ユングウィルは表情を変えることなく、胸中で叫ぶ。
冒険者を『闘士』にして、『魔術・クリーチャー』に対人戦の訓練を行う。
あくまで冒険者・ギルドの利益を追求するため、『闘技場の賭博』は最小限に抑える予定であり。黒霊騎士団がバックについて、『興行』を行う計画だった。
〔だけど、こんな大嵐が来たら、最小限にできるのか…⁇〕
侍女頭様が何をしにシグルスの街やって来たか?
詳細は不明だが、はっきりしていることが一つ。
”『呪われた宝石』を砕ける、暴威が襲来した”と、いうこと。
〔本来なら『中央から左遷された』ですむ・・・ハズなんだが〕
滅びた古代世界では『穢れた資金を浄化する』と、いう儀式があったとか。
ユングウィルは今、それを何故か連想していた。
山賊・海賊?にシーフたちから奪った『財宝』は、本来なら賊を討伐した者が所有できるのだが。
『盗賊ギルド』は、あまりにも強大であり。その『財宝』には、正当な手段で得た財貨も少なくない。
〔例えば商人からとる『みかじめ料』などは、盗賊ギルドの認識では『税金』だろうし。
『色街』『賭博場』の借金は、盗賊ギルドにとって商売で得た資産だ〕
そして、それらがC.V.勢力の暴力によって、不当に奪われた・・・・二重基準で盗賊の”悪行”を〔棚に上げている〕と、ユングウィルは言いたいが。
裏社会のルール的には、それが正義であり。
〔C.V.勢力に尻尾をふって、裏切った商人から罰金・制裁金を徴収する。諸事情によりツケを回収する。恨むなら無法を働いた、C.V.勢力を恨め〕と、いう感じに盗賊ギルドの『集金』が始まるはずなのだが。
『奪った所有者不明の財宝を担保にして、正式にお金を借ります。もちろん借りた金を返せなければ、担保の財宝を持って行ってけっこうです』
〔同時に使えない、保管のコストばかりかかる、『呪われた道具』を処分しましょう。
上記の『借入』に時間がかかれば、かかるほど。『呪われた道具』は破壊され、財宝の量は確実に減っていきます〕
素人の考えだと、『呪われた道具』など危ないだけの”金食い虫”にすぎないが。盗賊ギルドにとっては、なんらかの利用価値があり、愛用する戦士でもいる?
少なくとも破壊されるのを、座視・放置していいモノではないだろう。
そして実際のところ〔『交渉カード』は、これだけです〕と、いうことはなく。他にも混成都市のC.V.勢力が、盗賊ギルドを圧倒するネタはあるのだろうけど。
「それで、ユングウィル殿の願いは三つ。
1)冒険者の報酬を増額する。
2)美酒を飲みたい
3)冒険者が結婚できるようにしたい
これら三つですか・・・私のような、武術師範には難しい内容ですから。
そういうのが得意なシャドウに任せるしかないですけど…」
「・・・・-・」
「そうね…ここはやはり冒険者ギルドらしく、仲介役を務めてもらう。
”山賊・シーフ”を殲滅し続ける。C.V.様に仕えているシャドウ一族と”シーフ”が直接、取引をする。『奪った財宝』を担保に、金を出させる『借入』を突然、行うのは反発も大きいですから。
ユングウィル殿には”盗賊ギルド”との仲介を務める、第三者になってもらえませんか?」
〔そんな危険な役目はイヤだっ!取引材料は別にあって…〕
そういう本音を、弱者が叫べる状況では、既になかった。
これだけ混成都市の計画を話された以上、ユングウィルに拒否権などなく。
盗賊ギルドが何らかの裏切りをして・・・・目の前の侍女頭?を怒らせた時点で、ユングウィルは巻き添えで殺されかねない。
仮にもハーレムの夫役なのに、何故こんなことになったのだろう。
〔冒険者たちを扇動して、その勢いを利用して、交渉を仕掛けた。
アポ無し・礼儀違反の強訴を行ったからだろうなー・~〕
こうしてユングウィルは”盗賊ギルド”との仲介役を務めることになった。
とはいえ・・”難癖”をつけて、諸藩を取り潰しまくった。
”先祖の将軍ども”の罪を、幕末の会津藩に償えというのは、無理があるでしょう。
先祖を尊び、その血筋・権威の恩恵を受けている。
『武士道』を叫んでいる、大名の松平家なのだから、メリットと同時にデメリットも負うべきだと愚考しますけど。
生き残りのかかった会津戦争で、”先祖の罪まで背負え”などとすれば、泥沼の戦争になってしまう。それは、さすがに非道というもの。
だから幕末、当時の上越~東北の状況についてだけ考えましょう。
『奥羽列藩同盟』が結成された理由は、いくつかありますが。その中で有力なのは、会津藩の殿様・松平容保公の『助命を交渉』するため…と、いうのがあります。
『武士道精神』で主君の命を守る。とても立派なことでしょう。
ただし歴史は『時代劇の舞台』ではなく。人々の生死がかかっている、『戦争』なのですから。
当然、勝率を考え、外交努力を行い、コスト計算を行うべきであり。
殿様一人を助命『交渉』するため、どれほど犠牲が出て、どのくらいリスクがあったのか?
美談もけっこうですが、『考察』をお願いしたい。
右手で握手しても、左手で武装している者と、まともに和平交渉などできない。そのぐらい物騒なのが、幕末という”暗殺・闇討ち”が横行した時代であり。
半端な外交をしていた東北諸藩に、攻め込んだ新政府軍を”非道”と責めるのは、いかがなものでしょう。繰り返しますが『江戸城』を含め、関東以南の諸藩を無血開城させている、実績が新政府軍にはある。
そのことを無視して”殿が殺される!忠義のために戦うべき!”と、会津藩士が騒いでいたら。
新政府軍からすれば”凶悪軍団という不名誉なレッテルをはられた”と、いう侮辱されたに等しく。
〔そんな侮辱をする、会津藩とまともに外交などできない!〕と、いう結論に至ってしまい。会津戦争になったと愚考します。
そして何よりも松平容保公の助命交渉のために、家臣・領民に多大な犠牲者が出て。奥羽列藩同盟を結成した、諸藩まで戦火に包まれる【リスク】を考えれば。
国益・人道の両面から〔奥羽列藩同盟を作った者は、責任を取れ!会津藩の殿様の命が最優先で、他藩の犠牲・被害を考えていたのか?〕と、思うのです。