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ヴァルキリーズ・シティ~混成都市ができるまで、あるいは盗賊連合の滅亡記  作者: 氷山坊主
閑話~混成都市の渦+シグルスの模擬戦闘
383/422

383.閑話~『分割払い』の資金

 昨今、なろうの貴族物語に『怨恨を抱えた両家』と、いうのが登場します。


 そして封建時代の『諸藩・領主』制度というのは、まさにそういう世界であり。

 『太平の世を作るため、転封・普請(財政負担)を命じ。問題のある藩は取り潰す』と、いうことを徳川家は200年以上も行ってきました。


 『貧困=餓死・病死』という時代に、浪人が用心棒をやってられるのは、『時代劇フィクション』の話であり。

 徳川家、それに連なる『松平家』にも怨みが蓄積するのが、当然というもの。

 少なくとも〔会津藩だけ(・・)が、悲惨な被害者だ〕と、いう『主張』は通らない。『江戸幕府が散々、やってきたことが。負けた幕府勢力のほうに回ってきた』と、愚考します。


 

 私は”時の流れで、○○国家が滅んだ”と、いうのは思考停止に等しい。

 〔分析を怠っている言葉だ〕と、考え嫌っています。

 だから〔太平の世を守るため、江戸時代に諸藩が取り潰された〕と、言うなら。


 『諸外国(侵略帝国)に対抗する新政府を作るため、奥羽列藩同盟が邪魔だから。

  会津松平家の尊敬する先祖(家光・綱吉)がやらかしたことより、だいぶマシに、会津藩は滅ぼされた』と、いう風に考えています。 

 シグルスの街にある冒険者ギルド。

 その最奥にあるギルマスの部屋で、交渉役ユングウィル理不尽シャドウ副長(アヤメ様)は、会談の席を設けていた。


 「ユングウィル殿の手腕は、耳にしています。なかなか巧みに外交を行うとか。

  さすがは黒霊騎士C.V.(ナイキス)様をも、ハーレムに加えた殿方だけあります」


 「ハッ、ハッ、ハッ、お恥ずかしいかぎりですー;~」


 そしてアヤメ様は、いきなり滅多打ちにしてきた。



 ”女ったらし””女の敵””ヒモ男”


 そんなモノを視る怜悧な視線が、ユングウィルを射抜いてくる。

 それに対し、ユングウィルは〔やましいことは一切してません。C.V.(オンナ)たちが勝手に求愛してきて…〕と、無罪を主張したいところだが。

 

 貴族の思惑をつぶし、冒険者ギルドマスターをしめ出して、交渉を行っている。敵が多いユングウィルにとって、C.V.ハーレムは盾であり命綱に等しい。


 ”陰口”など論外だし。多重婚ハーレムの成立を女性たちのせいにするのも、禁止事項だ。


 もちろん、たいていの女性陣にとって、そんなユングウィルは”ナンパ男”にしか見えないだろうが。



 「・・・まあ、口撃はこのぐらいにして…お互い忙しいし、本題に入るわ。

  ギルドマスターはともかく、護衛の火属性C.V.(メイガスメイド)まで追い出し。私と何の話をしたいのかしら?」


 「でしたら単刀直入に・・・『依頼料の分割払い』に関する事業ですが。なかなかに苦労なさっている、ご様子。

  よろしければ、冒険者ギルドと協力いたしませんか?」


 「…ほう。何故、苦労していると思った(・・・)のかしら」


 無論、ユングウィルは『依頼料の分割払い』について、詳しく調べ知って(・・・)いるわけではない。下手に探りを入れれば、ギルド(ここ)ではなく『昏い路地裏で尋問』されていただろう。


 「単純にシャドウ一族の皆さんが、誠実の住人だからです!

  

  山賊の『宝』を可能な限り、持ち主に返却なさる。

  そういう誠実な方が、『依頼料の分割払い』という業務をすれば。大変な苦労をなさることでしょう」


 実際のところ、どこかでC.V.様の『デザイン(魔術能力)』によるサポートを受けている。『魔術』による探査で、人探しをしたり。『契約』で行動を縛るぐらいは、しているはず・・・・・と、ユングウィルは親しい(ハーレムの)C.V.から教えられている。


 しかし『依頼料の分割払い』という、一種の『借金回収』を行うには、絶対に『マンパワー(人の力)』が必要だろう。

 混成都市ウァーテル及び、その周辺都市五つぐらいなら。ユングウィルの知らない『妖術』で、分割した依頼料の回収・・をできたとしても。


 『依頼料の分割払い』ほど手間のかかることを、ウァーテルが結ぶあらゆる都市で行うには、『人の力(人数)』が必要なはずだが・・・・・

 

 









 『冒険者ギルドに依頼する、報酬を分割払いにする』

 略して『依頼料を分割払いにする』と、いうのは手間コストのかかることだ。


 最低でも『依頼人に金を貸して、借金取りの真似事』をしなければならず。

 さらに冒険者たちには一括払いで、報酬を払わねばならない。


 そのため『分割払いの事業』が軌道に乗るまで、その支払いを代行する『大量の資金』も必要になる。

 さらに”悪辣”に高利貸しをするならともかく。単なる借金回収をす(依頼料を分割払いさせ)るのは、慈善事業に近い。


 普通は『人件費』だけで赤字になる。


 それに一括払いで冒険の報酬(大金)を持ち運ぶよりマシ(・・)とはいえ。

 やはり『分割した支払金』を持ち運ぶのは、”賊”の標的になる。シャドウ一族が”盗賊ギルド”を攻撃し続け(・・)ていることを考えれば、そのリスクは高まるだろう。


 命の軽い、この世界において。

 疫病・魔物の襲来など、他にも現金輸送に伴うリスクは、いくらでもあり。支払いがとどこおれば、なめられないよう本当に借金取りの真似事をしなければならず。


 冒険者ギルドが『依頼料の分割払い』を、今まで行わなかったのは、当然のことだろう。『依頼の仲介業』だけで精一杯な、冒険者ギルドが『分割払い』に携わるなど分不相応と言える。


 ロクな補給・支援無しで、使い潰される冒険者たち。その被害者、及び家族たちは、異なる意見をも(ふざけるなと思)っているでしょうけど。




 「冒険者たちに支払う報酬に関しては、”山賊・盗賊”から奪った『資金』を使えばよろしいのでは?」


 シャドウを束ねる姫長、扇奈様の問いに聖賢の御方(イリス)様は首を横に振る。


 「それはダメだよ。

  ”山賊”も含め、”盗賊ギルド”から取り戻した(・・・・・)『資産・財宝』は、被害者に返却する。それも不幸を呼ぶことなく、被害者の皆さんには【絶対に幸せ】になってもらう。


  この『大義名分』があるから、ボクたちC.V.勢力が悪徳の都(旧ウァーテル)を落としたことを正当化できる。内心では『魔術能力デザイン』に怯えている、人間たちに様子見をさせる。


  そのため”山賊の財宝”を、わざわざ持ち主に返却してるんだから」


 身も蓋もないことを言えば、『買収』している。C.V.のイメージアップを、『金』で買い取る『広報戦』をしているとも言う。

 しかしカオスヴァルキリーは正義の味方どころか、『戦闘種族』ですらない。


 あらゆる分野・文化で勝利する『戦()種族』なのだ。


 だから少なくない財宝を、生きている(・・・・・)持ち主・縁者たちに返却し。

 C.V.勢力の支持者・協力者・・・にして取り込み、様々な計画を推し進めている。彼らが学習し組織化され、使いものになれば。


 ”盗賊ギルド”など問題にならない、巨大組織ができあがり。冒険者への報酬を、支払い代行するなど造作もなくなるだろう。


 しかし、その仕組みはいまだ完成しておらず。

 『依頼料の分割払い』を成すために必要な、原資(資金)すらない有り様なのだが。


 「う~ん、困った、コマった、どうしようー:~」


 「「「「・・・~・ー」」」」


 「扇奈っ!イセリナ‼アヤメ…ガルド!

  その〔あっ、また悪だくみしているw〕と、いう目で見ないでくれるかなっ⁉」


 「「滅相もございません…」」「マスターに対して、そのような・・」

 「姉上…我々も、それぞれ忙しい身ですから、おたわむれは程々に・・・」


 主従にあるまじき、親しく朗らかなやり取りが交わされる。


 しかし、それは『絶望の剣』と恐れられる、イリス様の魔手が”盗賊ギルド”に伸びた。魔手による蹂躙が開始された、瞬間であった。










 「一大事でございますっ!!」


 「何事だ、騒々しい・・報告は簡潔に…」


 「”魔女C.V.”どもに奪われた『財宝』が担保たんぽにされ、借入かりいれが行われるとのことです・・!!」


 「なァァァっ…⁉」


 各街の裏社会を牛耳る・・・だいぶ”魔女C.V.”によって、荒らされたが。それでも厳然たる力をもつ、盗賊ギルドの各支部に激震が走る。


 「『担保』とは、どういうことだっ!」


 「それは借りた金を返せなければ、担保にしていた品・土地を没収すると・・」


 「そんなことは、わかっている!

  何故、奴らは奪った『金』を直接、使わん・・・財宝を売却すれば、大金を得られるだろうがぁ!!」


 「・・・-;(間違いなく)・わかりませんっ…(我々への攻撃かと)



 怪しく、”悪辣な大妖術(ソロモンゴールド)”によって、盗賊ギルドが大打撃を受け。弱ったところを”シャドウ”に襲われ、少なくない盗賊ギルドのアジトが壊滅させられ。

 当然、金庫の中身も強奪された。


 それなのに”C.V.勢力”は、その戦利品を一切使おうとせず。

 おかげで莫大な量の『金貨』が出回ることなく(・・)。経済が混乱することもなかったのだが。


 〔盗賊ギルドの財産が、”C.V.勢力”によって使われれば。

  市場に大量の金貨が流出し。現在使われている金の含有量が少ない、『金貨』の価値が下がる。そうなれば「”愚かな魔女”どもが、経済を混乱させた」と、やり玉にあげることもできたのだが…〕


 そんな思惑を見透かすように、”魔女C.V.”どもは”負け犬(被害者)”に金をばらまいた。

 〔奪われた財産を、元の持ち主に返す〕などと、善人ぶって大っぴらに『買収』を行う。


 その『金』を受け取った”負け犬”たちから、もう一度『財貨』を奪ってやろう・・・・・そんなことを考えたシーフたちは、『待ち伏せ』にあい。

 軒並み『処刑台』に登らされた。


 〔『奪われた財産』を返すために、その持ち主に関する情報を調べないとね~〕

 〔それにどんな風に、盗まれ奪われたか。”賊”の『手口』についても、詳しく教えてくれたわ〕


 〔”盗み”が一度成功したら、二度目を狙う。ボクたちの面子も潰せて、金庫の中身も取り戻せる。成功・・したら一石二鳥以上になる、”盗み”をしたくなるのは予想できていたよ〕


 こうして”考えなし”の烙印を押されたシーフたちは、衛士・・たちによって次々と捕縛され。”魔女C.V.”に与した衛兵たちに鼻薬ワイロはきかず、容赦なく『刑』が執行されていき。



 こんなことが、あったばかりで〔質草を入れて、借金するなど情けない〕と、考えられるアホなどいない。情報を集めて・・・その時点で命がけだが、何としても詳細を調べ。

 ”魔女C.V.”の思惑を探る必要がある。


 ”盗賊ギルド”の幹部たちは、誰もがそう考え、慎重な情報収集を行い。


 今回・・は命・財貨を奪われることなく、驚愕することができた。





 「はぁー~い、みっなさん、ご注目―--!!」


 「「「なんだ、何だ?」」」「いったい、何が始まる?」

 「「「「「「「「「「・・-・…・」」」」」」」」」」


 処刑台での”残酷ショー”が、混成都市ウァーテルから消えて数か月がすぎ。

 新たに広場に造られた、処刑台モドキで『茶番劇』が開幕した。


 「ボクの名前は・・ん~リアンヌ・ルベイリーにしとこうか。

  ええと、太守代理イリス様は、罪人が苦しむ”処刑ショー”が怖く。処刑は牢獄の中で行うことにしました。


  だけど、それでは”処刑ショー”を娯楽にしていた・・楽しみにしていたヒトがつまらないでしょう。そこで新しい催しを考えました^!^」


 「「「「・・:◎:・」」」」

 「「・・・-・」」「「「・・・・・(ヒソヒソ)」」」

 「おい、あれって…」「しっ!気付かないフリをしろ!」「「「ERIS様~」」」


 混成都市の幹部4人が平静を装う(頭をかかえる)中で、聴衆たちのほとんどが『新しい催し』を気にすることなく。

 一応『仮面』をつけた大根役者・自称リアンヌ・ルベイリー様に、誰もが注目している。そんな聴衆に対し、リアンヌは拙速せっそくにイベント内容を告げた。


 「人間の処刑は死臭・汚物など、様々なモノを垂れ流す。

  それはイヤなので別のショーを企画しました。


  名付けて『倉庫のゴミを破壊しまショー』!!」


 「「「「「「「「「「・・・・:」」」」」」」」」」

 〔マスター…〕〔姉上w〕〔フゥー‐ー〕〔くっ、こうなれば俺が代わっ//*〕


 聴衆の沈黙・忠臣?たちの困惑をものともせず。

 衛士装備を改造してまとうリアンヌは、ひるむことなく話し続け。


 「みんなも知ってのとおり。”山賊”の宝を回収したら、ボクたちは持ち主に返却するよう、努力している。


  だけど少なくない被害者が殺害され、残された妻子に富を渡すのも難しい。

  特に呪われた装備・宝飾を、安易に返却したら大変なことになってしまう!」


 「「「「「「「「「「「・・・-・」」」」」」」」」」


 「そこで呪われた道具を、倉庫に半ば『封印』してるんだけど。

  『封印』するのに使う消耗品をはじめ、場所・人員を確保するには『コスト』がかかる。


  さすがに増税は絶対にしないけど。


  倉庫が狭くなれば、増改築をする必要がある。

  そして増改築を行った分だけ、『お祭り』で食べるけものの頭数が減ったり。

  『お祝い』にふるまう酒・お菓子の量が減ってしまう。


  それはとっても、残念なことだよ」


  「「・ッ!!」」「「何と・・・」」「「「太守様の言うとおりだ…」」」

  「呪われたアイテムなんぞいらねぇーー」「「クソ、山賊がぁ・・・」」


 イリスがいかにヘボ変装でも。

 只今、言ってることに関しては、ほとんどが事実であり。その訴え(扇動)は、聞いてる大衆の情動に働きかけた。


 まあ実際のところ『祭り・祝い』を盛り上げる、『予算』は確保してるし。

 港など只人が近づける『倉庫』に、危険物を『封印』などしてない(・・)のだが。


 その詳細(賊への罠)を知らない人々は、『呪われたアイテム』への嫌悪をあらわにして。

 

 「よってこれから『呪われたアイテム』を破壊する演武を行う!


  『魔力で壊れない』と、誤認されてるけど。この世に不滅の物などない!

  みんなの『想い』を込めれば、必ず不良在庫(呪いのアイテム)は砕かれるだろう。


  そして同時に『呪いの宝珠』にも粉々になってもらう!

  最近、寝ていると”税金を増やせ~、贅沢をしろーーー”とささやく『宝石の声(真っ赤なウソ)』が聞こえてくる。


  そんな騒音を防ぐために、みんなの力を貸してほしい!!」


 「「「「ウォオオオーーーーー!」」」」

 「「「砕けっ、砕けっ、砕けー+!!」」」

 「「「何としてもぶち壊すぞーーー」」」


 こうしてイリスの茶番劇が開幕し。


 『二つの火打ち石をぶつけるみたいに、同格の道具をぶつけよう。

  はいコン、ゴン、ゴーー*!んっ…と』

 

 『『ッ⁉、Gッ!!、ギぃーー;!*!』』



 『おっとこ(術式干渉)邪剣は、握った者(アルゴスゴールド)ら勝手に魔力を(カオスのカケラに)吸い取るのか(法と秩序を)・・・

  やぁー、(まやかし)ボクから(の平等と)レをする(乱高下する)度胸があるなん(善悪の天秤を)て、感心だね(もたらせ)w』


 「「「「・-!…・:っ」」」」

 

 生き血をすする『呪われた武具』が、怪光を発しつつ砕け散っていく。それらは破片・邪気をばらまいて、周囲を道連れにすることすらできず。


 『『‥-―/・-(カタカタカタ)』』『ウw…ーーー』『YぁMェ~w-』


 通常のライトにしか見えない、『アルゴスゴールド』に覆われ封じられ。

 『呪いの装備』はその活動を、永久に終了させられていき。


 「次は『穢れた石(呪われた宝石)』に逝ってもらおうかな~

  ピカピカ光っているけど、善良な商人を破滅させ、金持ちにはアコギな商売をさせる。


  平和な家庭を崩壊させる『石』なんて、”ゴミ”だよね^~^」


 侮辱の『言霊ことだま』を並べられ、大皿に山と盛られた『輝石』が、一瞬だけ輝きを変える。それは反抗の意思か、呪いの輝きなのか?


 しかし一瞬・・しか妖光を発せない、『輝石』の価値を認める者は、この場に誰一人としておらず。


 「さあ、終わりの時だよ!

  『影を照らすものにして、闇よりいZ

              

                   『-//―//ー(旋風閃影)!』

 

 「「「「「「「「「「・・・…・ッ」」」」」」」」」」











 「・・・それで、どうなったのでございましょう?」


 「謎の女衛士(リアンヌ)様が破壊するはずだった『呪われた宝石』を、アヤメが勝手に砕いた。『宝石』の邪気にフルえて怯え、『破壊しまショー』とやらを妨げた。


  そのため私はシグルスの街に左遷され。

  混成都市ウァーテルに戻りたければ、大きな功績をあげる必要がある。世間一般の島流しされた役人と、『同じ状態』というわけよ」


 〔”同じ状態”…じゃねぇーーー‐―!!〕


 ユングウィルは表情を変えることなく、胸中で叫ぶ。


 冒険者を『闘士』にして、『魔術・クリーチャー』に対人戦の訓練を行う。

 あくまで冒険者・ギルドの利益を追求するため、『闘技場の賭博』は最小限に抑える予定であり。黒霊騎士団がバックについて、『興行』を行う計画だった。

 

 〔だけど、こんな大嵐バケモノが来たら、最小限にできるのか…⁇〕


 侍女頭アヤメ様が何をしにシグルスの街やって来たか?

 詳細は不明だが、はっきりしていることが一つ。


 ”『呪われた宝石』を砕ける、暴威が襲来した”と、いうこと。


 〔本来なら『中央ウァーテルから左遷された』ですむ・・・ハズなんだが〕



 

 滅びた古代世界では『穢れた資金を浄化する(マネーロンダリング)』と、いう儀式があったとか。

 ユングウィルは今、それを何故か連想していた。


 山賊・海賊?にシーフたちから奪った『財宝』は、本来なら賊を討伐した者が所有できるのだが。

 『盗賊ギルド』は、あまりにも強大であり。その『財宝』には、正当な手段で得た財貨も少なくない。


 〔例えば商人からとる『みかじめ料』などは、盗賊ギルドの認識では『税金』だろうし。

  『色街』『賭博場』の借金ツケは、盗賊ギルドにとって商売で得た資産モノだ〕


 そして、それらがC.V.勢力の暴力によって、不当に奪われた・・・・二重基準ダブルスタンダードで盗賊の”悪行”を〔棚に上げている〕と、ユングウィルは言いたいが。

 裏社会のルール的には、それが正義であり。


 〔C.V.勢力に尻尾をふって、裏切った商人から罰金・制裁金を徴収する。諸事情によりツケを回収する。恨むなら無法を働いた、C.V.勢力を恨め〕と、いう感じに盗賊ギルドの『集金』が始まるはずなのだが。



 『奪った所有者不明(盗賊ギルド)の財宝を担保にして、正式に(キレイナ)お金を借ります。もちろん借りた金を返せなければ、担保の財宝を持って行ってけっこうです』


 〔同時に使えない、保管のコストばかりかかる、『呪われた道具』を処分しましょう。

  

 上記の『借入かりいれ』に時間がかかれば、(タイムリミットを)かかるほど(設定する)。『呪われた道具』は破壊され、財宝の量は確実に減っていきます〕



 素人ユングウィルの考えだと、『呪われた道具』など危ないだけの”金食い虫”にすぎないが。盗賊ギルドにとっては、なんらかの利用価値があり、愛用する戦士でもいる?

 

 少なくとも破壊されるのを、座視・放置していいモノではないだろう。


 そして実際のところ〔『交渉カード』は、これだけです〕と、いうことはなく。他にも混成都市のC.V.勢力が、盗賊ギルドを圧倒するネタはあるのだろうけど。




 「それで、ユングウィル殿の願いは三つ。


  1)冒険者の報酬を増額する。

  2)美酒を飲みたい

  3)冒険者が結婚できるようにしたい


  これら三つですか・・・私のような、武術師範には難しい内容ですから。

  そういうのが得意なシャドウ(サヘル)に任せるしかないですけど…」


 「・・・・-・」


 「そうね…ここはやはり冒険者ギルドらしく、仲介役を務めてもらう。


  ”山賊・シーフ”を殲滅し続ける。C.V.様に仕えているシャドウ一族と”シーフ”が直接、取引をする。『奪った財宝』を担保に、金を出させる『借入』を突然、行うのは反発も大きいですから。


  ユングウィル殿には”盗賊ギルド”との仲介を務める、第三者になってもらえませんか?」


 〔そんな危険な役目はイヤだっ!取引材料は別にあって…〕


 そういう本音を、弱者ユングウィルが叫べる状況では、既になかった。


 これだけ混成都市(C.V.勢力)の計画を話された以上、ユングウィルに拒否権などなく。

 盗賊ギルドが何らかの裏切りをして・・・・目の前の侍女頭?(理不尽)を怒らせた時点で、ユングウィルは巻き添えで殺されかねない。


 仮にもハーレムの夫役なのに、何故こんなことになったのだろう。


 〔冒険者たちを扇動して、その勢いを利用して、交渉を仕掛けた。

  アポ無し・礼儀違反の強訴ごうそを行ったからだろうなー・~〕


 こうしてユングウィルは”盗賊ギルド”との仲介役を務めることになった。

 とはいえ・・”難癖”をつけて、諸藩を取り潰しまくった。

 ”先祖の将軍ども”の罪を、幕末の会津藩に償えというのは、無理があるでしょう。


 先祖を尊び、その血筋・権威の恩恵を受けている。

 『武士道』を叫んでいる、大名の松平家なのだから、メリットと同時にデメリットも負うべきだと愚考しますけど。


 生き残りのかかった会津戦争で、”先祖の罪まで背負え”などとすれば、泥沼の戦争になってしまう。それは、さすがに非道というもの。 

 

 だから幕末、当時の上越~東北の状況についてだけ(・・)考えましょう。


 『奥羽列藩同盟』が結成された理由は、いくつかありますが。その中で有力なのは、会津藩の殿様・松平容保(かたもり)公の『助命を交渉』するため…と、いうのがあります。


 『武士道精神』で主君の命を守る。とても立派なことでしょう。


 ただし歴史は『時代劇の舞台』ではなく。人々の生死がかかっている、『戦争』なのですから。

 当然、勝率を考え、外交努力を行い、コスト計算を行うべきであり。


 殿様一人を助命『交渉』するため、どれほど犠牲が出て、どのくらいリスクがあったのか?

 美談もけっこうですが、『考察』をお願いしたい。


 右手で握手しても、左手で武装している者と、まともに和平交渉などできない。そのぐらい物騒なのが、幕末という”暗殺・闇討ち”が横行した時代であり。

 半端な外交をしていた東北諸藩に、攻め込んだ新政府軍を”非道”と責めるのは、いかがなものでしょう。繰り返しますが『江戸城』を含め、関東以南の諸藩を無血開城させている、実績が新政府軍にはある。


 そのことを無視して”殿が殺される!忠義のために戦うべき!”と、会津藩士が騒いでいたら。

 新政府軍からすれば”凶悪軍団という不名誉なレッテルをはられた”と、いう侮辱されたに等しく。


 〔そんな侮辱をする、会津藩とまともに外交などできない!〕と、いう結論に至ってしまい。会津戦争になったと愚考します。


 そして何よりも松平容保公の助命交渉のために、家臣・領民に多大な犠牲者が出て。奥羽列藩同盟を結成した、諸藩まで戦火に包まれる【リスク】を考えれば。


 国益・人道の両面から〔奥羽列藩同盟を作った者は、責任を取れ!会津藩の殿様の命が最優先で、他藩の犠牲・被害を考えていたのか?〕と、思うのです。

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