376.閑話~弓兵シャドウと模擬戦闘
時代劇なら、チンピラ役でも『刀を鞘に納める』という『納刀』はできます。
しかし人間はミスをする生き物であり。リアル武家社会の『真剣』で、一度でも『納刀』を失敗すれば、最悪そこで人生終了になると愚考します。
そして他の武具・飛び道具にも、素人の知らないリスクがあり。それらは安易に暴きだすべきではない。慮るだけに、とどめるべきだと愚考します。
それではギリシャ神話の『スフィンクス』について。あるいは『オイディプス』の神話に戻ります。
悲劇・残酷物語において、自殺者が出ることはあります。とはいえ一つの物語で、二回2人も自殺者が出るのは、しつこくないでしょうか?
『ロミオとジュリエット』のように恋人二人という『つながり』があるならともかく。
『スフィンクス』と『イオカステー(オイディプスの母親)』二人が、両者ともに自害してしまう。
物語のセンスがないと思いませんか?
カオスヴァルキリー、通称C.V.という戦争種族がいる。
『魔術』をメインに、様々な文化・術理 を融合させた文明を持ち。
魔王ハーミュルズ様をはじめとした、層の厚い傑物が属する。
人としては最強に近い種族だ。
ただし無敵ではない。
〔ヒトの貴族に比べれば、はるかに高レベルな身分制・連合体だ!〕
一人のC.V.として、そう断言できる。
しかし幹部としては、他者を見下して優位に酔うわけにはいかず。黒霊騎士団の副団長として、この優位を維持して、磨き続けなければならない。
『魔術能力を隠す、研ぎ澄ませる』などと、いうことはシャルミナ団長のレベルに達してから行うことであり。
ナイキスたちのレベルでは、ある程度の情報開示を行い。『軍事交流』に伴う、利益を獲得することが重要だ。
『ファイアディザスター!!』
そんな雑念をいだきつつ、ナイキスの『火属性魔術』が闘技場で発動する。
広域を焼き、『耐火術式』を削る。
『風水光地』の『複合火炎』が、侍女頭のアヤメ殿が立つ、空間を覆いつくし。
『その程度・・・甘いっ!!』
『風の魔力』がゆらぎ、『熱雲』にまでほころびができる。その間隙をアヤメ殿は瞬時に駆けて、間合いを詰め。
『…ーー・-』
ナイキスの体幹を崩すべく、『強化の術式』が静かに牙を突き立ててくる。
都合よく身体を強化しつつ、要のバランスを崩す『付与の術式』を流し込む。
シャドウ一族が独自に編み出した『術式』に、ナイキスは目を細め。
『フッ!!ー.!』
目を見開き、『眼光』で『付与術式』を拒絶する。
それと同時に両の足で『術式陣』を描き。
『トルネードシンフォニー!!』
術者自身をも巻き込む、『秘境の暴威』を劣化コピーした竜巻を具現化する。
威力はそれほどでもないが、速さを優先した『風の柱』が、アヤメ殿の設置した『感知の布石』を破壊していき。
「さずがにこの程度でダメージを期待するのは、あつかましいか。
それなりに身を削った、『危ない魔術』なのだけど…?」
「いえいえ、めっそうもない。
貴重な『身代わり護符』を使って、難を逃れたにすぎません」
「いいでしょう。もう少し『魔術合戦』を楽しみましょう」
こうしてナイキスにとって、有意義な時間が始まった。
物理法則?とやらを、『魔術』が無視できない世界ケイジアスにおいて。
ちょっとした『笑い話』をしよう。
この世界において、『鑑定』の術式・才能を持つ者は、様々な制限を課せられている。
その理由は『女性のスリーサイズを勝手に覗き見したら、張り倒されるから』と、いうジョークがあるが。
真実は『妊娠』の有無、『胎児の性別』を覗き見したあげく。
”秩序のため、お家のため”と、いう大義名分をふりかざして、嫉妬による凶行を正当化しようとした。あげくにソレを”いつもの権力争い”と、認識したあげく。
某勢力が”偽装・正当化”しようとして、問題をこじらせた。
〔権力争いアルアルだよねぇ~〕
〔皆殺しだ…〕
〔人間がいつもの権力争いをするなら・・C.V.も族殺・見せしめに、ガス抜きの報復をしても文句はないな?〕
こうして貴族家どころか、人間の王国が(激怒したC.V.によって)消滅する事態に至り。
『鑑定・透視』などで、他人の身体を調べるのは、厳しい制限が課されることになった。(事実上、禁止されている)
とまあ、この話に笑える要素など欠片もない。
『感知能力』に秀でた、ぽっと出の術者を戒める逸話なのだが。
〔それで『鑑定』を使用禁止にしたのなら。上位C.V.様の『攻撃能力』を、どうやって計測したらいいのだろう?〕
〔それはっ…〕
地を割き山を砕く、天魔導師の『超魔法』をC.V.様は行使できない。
しかし城壁を砕き、城門をこじ開ける。破軍の『魔導能力』を駆使して、戦場で常勝する実力を持つ。そんな中~上位C.V.様の実力を、シャドウ一族の幹部は把握する必要があり。
多重婚の旦那役を、男性シャドウが務めるのは、かろうじて『政略』だと考えられても。
女王C.V.様一人に、複数の男性が侍る。女性主体のハーレムに、多数の男性シャドウが連れていかれ、女シャドウたちが蔑ろにされてしまう。
〔そんなことになったらC.V.様と戦争になるのか。
殿方を刺すことになるのかしら?〕
〔〔〔〔〔・・・-;…*〕〕〕〕〕
以上の理由?により、男女のシャドウはC.V.様たちの実力を調べ。
男性優位のハーレムを推奨する、C.V.勢力が優勢になるよう『外交・(暗躍)』を行う必要がある。
身も蓋もないことを言えば、愛情の深い、女性陣がブチ切れないよう。
ご機嫌をうかがう『優先順位』をつけねばならず。C.V.様の『魔力・戦闘力』に関する情報は、ソレを決める重要な要素なのだが。
〔皆さんの中で、一番強いのはダレなのでしょう?・・と尋ねるのは…〕
〔却下〕〔殺す気か…〕〔破滅するなら一人でやれ〕
真剣勝負になったり、魔力の余波が怖い。単なる『模擬戦』を行うのは自殺行為であり。
〔だったら『連合』の条件にしたら、どうだろう?〕
〔『連合』だと?〕
組合・貴族家や国など、様々な勢力は『連合』を結ぶ。
ただし『同盟』と異なり、『連合=軍事同盟』であり。単独勢力では対抗できない脅威に対し、各勢力の『戦力』を集めて、生き残りをはかる。
それが『連合』の意義であり。間違っても手柄・”略奪”争いをしたり、雁首揃えて滅ぼされるためではない。
〔そして『連合』を強固にするため、交換を行う。その交換を行う条件として、『契約』で縛った『模擬戦』を行うというのはどうでしょう〕
〔『模擬戦』を行うのと、どう違う?〕
〔何等かの『大きな交換』は頻繁にできることではなく。だけどゼロではないから、『模擬戦を全て禁じる』よりもガス抜きになる。
そして何より重要なのが『連合』を強化できること。
『鑑定』や書類の報告で、『戦力・魔術』を知るよりも。『連合』の重要性を、確実に心身へと刻み込める。
そのための『契約を伴う模擬戦』です〕
〔〔〔・・・-・⁇〕〕〕
こうして四凶刃たちの密談は続いていき。
『連合』は強固なモノになっていく。
同時に様々な大事なモノも失われていった。
「・・‐・-ッ」「「・・-:―」」「まだっ…こんNァ!*;」
『鉤鎌・・重ね鎌!』
アヤメの姐御とナイキス副団長様。二人の規格外な実力者が『模擬戦』という、外交の場で激突する。
シャドウ一族と黒霊騎士団という、二つの組織を代表して誇りをぶつけあい。『連合』の重要性を、両方の兵たちに刻み込んでいく。
だがそれは『結界障壁』を削り、えぐり、貫いて、透過する。
理不尽の暴威が乱舞する、魔界の狂宴でもあった。
『大剣の盾!!』『地よ鎮まれ・・サイレントベース』
「キャgッ!:!?このぉーー『ハウリングセイV/ */:*…ー―;
魔力の大剣をかざした『大盾』で、攻撃を受け止め。
地面に刺した刃で『結界・束縛の術』が集積されるのを妨げ。
そして攻撃魔術の『余波』を、大剣の斬撃で迎撃する。
三人一組による黒霊騎士たちの連携は、厳しい訓練の賜物であり。C.V.様の軍事技術の結実でもあった。
騎士の装備・陣形は、まさに鋼の防壁であり。予備兵が不測の事態に備えつつ、『獣』の柔軟性をも秘めている。
その技量は下級シャドウたちのそれを、完全に上回っており。
タクマの中にある、わずかな武人の残滓は称賛の声をあげていた。
『ミスティックフォレスト』
「ノエリアっ⁉」「限界よっ・・私が代わりに・^・Zzz…・」
「ちょっと‐ー;~!」
もっとも『天属性』の正体を現した。ナイキス様が放つ『攻撃魔術』に伴う『余波』の前では、等しく無力であり。倒れ伏して、救護所に連れていかれれば、等しく負傷兵にすぎない。
『闘技場で魔術戦を行う』
『武術・魔術』の秘匿性にケンカを売っている暴挙ではある。
だが闘技場の『興行』における、華の一つであり。魔術師・下位C.V.たちが、実力をアピールする場になれば幸いだ。
しかしタクマのこの望みは、本当の実力者・上位C.V.様たちには、絶対に適用されない。
大猪を転倒させて狩っていたのも、今では昔のことになり。
高レベル魔獣の討伐・それらを蹂躙するC.V.様との決闘において、『障壁破壊?対抗?』の技法は『ほぼ通常攻撃』であり。
『秘奥義:鎧甲貫通の魔弓一S*/y/A;‐*―-』
〔遅い、(貯めが)長い、挙動の起こりが見え見えで、警戒もおろそかよ〕
タクマのように『必殺技で障壁を破るぞ』と、いう戦法は上位陣の戦いにおいて、絶対に通用しない。
無論、姐さんたちとて、最初からそのレベルを全兵士に求めない。
ヒトが心血をそそいで編み出した、『術式』を初見で完全にダメ出しするような、暴挙はめったにしないが。
〔『連合』を強固にするという、目的がある『模擬戦』では本気を出さないと〕
〔亜竜・雑兵集団を圧倒した程度で、増長してもらっては困るわね〕
(それに団長を抑えて苦労している、私たちもたまには技をふるいたい)
姐さんたちの深い思惑により、勢力の連合を強固にする『模擬戦』は過激・苛烈の一途をたどり。
そうして『副長による模擬戦』の場となる、闘技場の建物は確実に削られ、えぐられ、破砕されていき。
同時に精鋭の黒霊騎士たちも、次々と消耗し倒れ伏していく。
「こうなれば、私がっ・・」
「よせっ!炎熱C.V.班の実力では…(この理不尽に抗うのは早い!)」
『焔天属性』に通ずる、稀少な『虹珠の魔力』を操る、炎熱C.V.たちはいつか『旋天属性』のレベルに到達するかもしれない。
だが目の前で行われている『模擬戦闘』は、まっとうな理合いが通じる世界ではなく。
「この争いを鎮める(可能性がある)ユングウィル殿と負傷者を守っていてくれ…
兵数・突撃戦法でどうにかなる、レベルの『魔術能力』ではないんだ」
「…わかりました」「気を付けてください」「「「ご武運を…」」」
「ああーー+~よろしくお願いします、タクマさん」
こうしてタクマは『結界障壁』の代わりに、闘技場を壊す『暴虐』を迎え撃つという、大役へと送り出され。
『モノクロームガーデン』
「もはや初見殺しなど通じないっ・・『重鎌』×8」
「・・・・-・;・…」
生き残ったら、絶対にカヤノ様に『報告』する。
そう固く誓って、胸中で泣いた。
しかし『ロミオとジュリエット』の恋人関係ように、何らかの関連がある。
両者ともに不可解な『スフィンクス』と『イオカステー』に、つながりがあれば話は別です。
そもそもギリシャ神話の『スフィンクス』は絵画を観るかぎり、美しい女性の面があり。さらに『オイディプス』と距離が近すぎる。
〔まじめに戦う気あるのか!!:?〕と、問い詰めたい密着ぶりです。
一方の『イオカステー』は、血縁を知らなかったとはいえ『オイディプス』との間に二男二女を設けている。年齢差は明らかなのに、熱愛ぶりがすごく。
これらのことから考えると。
『スフィンクス』も『オイディプス』に恋慕していたと妄想します。