373.閑話~弓兵シャドウの戦歴:旋風閃弓:双邪鐘
さて長々と書きましたが。そろそろギリシャ神話の『スフィンクス』について、整理します。
1)人を喰い殺していたとはいえ。道の一つをふさぎ、『謎かけ』をしていた。
到底、積極的に人を襲っていたとは言えない『スフィンクス』。
2)『予言』に抗い、王に推される実力を持つ。自らが犯した罪を知ると、自裁し王位を退く。
英雄は大勢いますが、自裁できる『オイディプス』のような人物は少ない。
3)人として『死の予言』に怯えるのは、仕方ないですが。その対策・行動に穴があり過ぎで、うかつなテーバイ王の『ラーイオス』。
4)古代ギリシャで5人もの子供を産み。そのうち4人は高齢出産だった。
そもそも『娘さん・王女』ならともかく。
当時のギリシャ文化圏では『高齢の未亡人』だったのに、オイディプスと再婚した(させられた?)『イオカステー』
これだけ不可解な4人がそろって。単なる『運命に翻弄された悲劇』と、いうのも不自然な話だと愚考します。
混成都市ウァーテルができる、数年前のこと。
広大な草原と高山が連なる、領域フビチスで戦いがあった。
「お下がりくださいエルメリア様!もはや、この地は…」
「バカなことを言うなっ・・まだ(民草の)避難すら済んでいない。
ここは命をかけてでも死守する!!」
「ですがっ!」
人間を圧倒する魔術文明と、あらゆる分野で勝利を得ようとする戦争種族C.V.。
その戦法は『魔術能力』を行使して、少数精鋭による戦いが主流であり。
拠点には非戦闘員のC.V.もいるし、けっして無敵というわけではなかった。
端的に言って消耗戦は不得手であり。
人間はともかく、モンスターの『自爆・特攻』は、C.V.たちの心身を容赦なくすり減らしていく。
『狼牙は矢に 竜翼は弓に宿り 風雷の撃にて、敵を穿て!!』×10
「「「ギャ、ga//**ー―ーー」」」「「ギ+;*:…!!」」
「「「「「アビスブラッド^^^:・・・」」」」」
「「「「「…:*`・;」」」」」「「「「「ーーー:*+;…」」」」」
無論、戦争種族C.V.として、エルメリアたちも『アビスリザード』への対抗策を編み出してきたが。慣れない急造の戦法で、アビスリザードの『迎撃鮮血』に対抗するのは負担が大きく。
数の少ないC.V.たちは、防衛線を維持できなくなる、敗北の予兆を感じていた。
『旋・風・閃・弓』
「・・・ッ⁉」
そんな遊牧騎馬のC.V.たちのもとへ、魔弓聖タクマ様が援軍に来られる。
「ここは、どこだっ⁉ク…魔導師団長サマは人を一体何だと思ってる!!」
その言葉と同時に暗雲を割り開いて、『水色の大光輪』が出現し。
「・・・-・と、いうのは冗談でございます。
もちろんこの領域の危機を打倒するため、不肖タクマは全力を尽くす所存でございますとも!!」
「「「「「「「「グゥRオオーーーー・ー!!」」」」」」」」
『旋風閃弓ッ』
道化のセリフを発するタクマ様に、アビスリザードの群れが殺到する。
一頭が矮小な人間に襲いかかり。三頭が疾走する戦士を狩ろうと囲み。
五頭が十頭に増えるころには、毒蛇竜の眷属たち全体が、魔弓聖様の跳躍に翻弄されていた。
「やはり鳥を狩れる身体構造ではない…・・というか『毒気』で獲物を弱体化させて、捕食する『邪獣』の類のようだが。
相性が悪かったなっ!」
オオトカゲの頭が届く、すれすれを魔弓の影が舞うように跳び。
弓聖様の視線がエルメリアたちに弓射を促す。
〔自分にかまわず矢を放て!!〕と、いう指示に従えるはずもなく。
「勝負どころだ・・半数は曲射で頭を狙い、残りは外周から足を射抜け!!」
「了解っ‼」×50「かしこまりました!」×50
エルメリアの命で、配下のC.V.たちが一斉に弓射を始める。
支援・予備兵も含めた全軍が、『矢』の尽きるまで弓を引き続け。弓士C.V.は曲射を行い、乱戦から離れているアビスリザードを狙い。
「こいつはツいてる・・『乱心の竜は、唸らず惑え 旋矢群!!!』」
「「「ギャ*・*;」」」「「「「「ギぃgーー;-*」」」」」
「「「「パ;/*…*」」」」
外れた『矢』が向きを変え。鱗にはじかれるはずの『矢』が、アビスリザードの眼球に刺さり、傷口をえぐっていく。
「これはっ⁉・・・・・・・総員、曲射を行え!
方向さえ、あってればいい‥勇士様の『旋矢群』が矢を導いてくださる」
「「「・・・ッ!」」」「「「「「オオッ!!」」」」」「「かしこまり~」」
「「「「「「「「「「えーーぃ!:!」」」」」」」」」」
「・:・ちょッ…えーい、ままよっ!『旋矢群衝!!』」
降り注ぐ矢はさらに勢いを増していき。
あれほど硬かったアビスリザードの鱗が、廃墟の壁板も同然に貫かれ、穿たれていく。
そうして数頭のみ生き残った、アビスリザードどもが逃走を始め。
「我等の勝ちだ!勝どきを・」
「「「「ギャpピ*;!/*」」」」
『役立たずどもが・・・馳走の間引きすらできぬ、眷属など不要!』
唐突に理不尽に、『死』が襲来する。
アビスリザードの群れを迎撃するだけでも、大きく消耗してしまったエルメリアたちに、『毒蛇竜ファーク』が容赦なく来襲し。
「おいおい、オマエは『首魁』なんだろう?
もったいぶって、配下が壊滅してから、空の玉座でふんぞり返る。
そういう”様式美”ってものが足りないんじゃーないかぁ?」
笑みを浮かべたタクマ様は、間断なく迎撃を始められた。
『毒邪竜ファーク』:領域の境界を隔てる、『迷宮』の奥深くで眠り。
定期的に生け贄を貪りつつ、主の指示で『生命』を間引き、頭数を調整する。
この世界の管理者であり、偉大な主の手足となる忠実な下僕だ。
そんな『毒邪竜』には楽しみがあり。
高慢で気の強い風属性C.V.を狩って、その魔力ごと血肉をすする。たまには抵抗する活きのいい獲物を食べて、滋養にするのが最高の娯楽だ。
『迷宮・地脈』から魔力を吸収していれば、永遠に生きられる『毒邪竜』といえど、たまには刺激がほしいものであり。
『領域』の境界に施された『封印』を破り、『使い捨ての分身』をばらまけば、C.V.どもは”虫”のように集まってくる。
そんなC.V.どもを圧倒し蹂躙するのは、ファークにとって最高の楽しみであり。その『血』をすすることに勝る美酒を、知らなかった。
〔なのにっ…何者だ、何様だキサマaーーー-〕
『矢』を射ることなく、飛矢を放つだけなら『珍しい射手』で済むが。
ツインスピアのように、弦が張られてない『長弓』をふるう。それで風をうならせ、移動の補助にしている・・・はず。
だが、その機動は変幻自在でファークが知らないモノであり。
羽虫のように姑息な飛びかたをしたら、鷹のように高速の飛翔をする。塵芥も同然に転がりつつ、霊馬の疾走を行うという。
〔まるで移動に特化した『道化』かっ⁉
『ドウ化』・・この言霊はいっTァIiL・~・〕
捕食者の頂点にいるファークの頭蓋に、かきむしる爪の音が響く。
その不快感を消すためにも、毒邪竜は全力で怪しい男を仕留めにかかった。
〔・・・と、まあ考えているのは、こんなところかな~〕
『ガgゴォオオオーーーーーn!!!』
『業火のブレス』が吐かれ、前足の爪が地を削る。体表からは『毒煙』が漂い、それを切り裂く『魔術の雷』が放たれ。
体高こそ『地竜』と変わらぬものの、その殲滅能力は上位竜にすら匹敵する。
この領域に住むC.V.たちを、長年にわたって苦しめてきた。
まさに『毒邪竜ファーク』の名に恥じない、暴虐の竜が暴れ狂う。
「まあ、俺の『旋風閃弓』とは相性がいい、巨獣で助かったが」
『ギgイーーーーーi!:!』
狭所・石壁の迷宮では激突のリスクが高く。
『旋風閃弓』は開けた地形でないと、全く使えない『身体強化』と言えるが。
『風術』の力場を発し、足場を設置することで、縦横無尽の機動を可能とする。
空を舞う虫・鳥ですら『地面を下方』と認識する、法則の世界で。
タクマは暗い樹上・洞窟など、上下の感覚が希薄となる世界の機動を行う。
頭上の『力場』を蹴り、下方の『足場』を全身で蛇のように滑る。これに長弓・双槍を兼ねる『魔杖』で、さらに機動の補助を行い。
『バbルLLLr-ーーーーー:!!』
「ナゼだァ、オレnoコウゲキがツウジナイ!」
「「「「「「了解ですっ!」」」」」「「「急げーーー!」」」
「「「「・・-ー・-ッ」」」」
言の葉とは裏腹に、タクマは余裕を持ってC.V.戦姫たちに指示を出しつつ。範囲攻撃の対応を思案する。
何故なら巨体はメリットばかりでなく。
この世界には気配・挙動を(発する本人よりも)速く察し、解析して『凶悪極まりない蹂躙』を行う、姐さんたちがいらっしゃる。
もちろん使い走りのタクマは、そんな域に達していないが。
まっとうな戦闘訓練を受けてない・受けられない荒くれ者ならともかく。
巨獣の『瞳孔・瞬き』を視れば、攻撃の範囲・タイミングは読み取れる。
体重移動・筋繊維のしなりは、巨体に比例して大きくなり。
何より『毒邪竜』として、『魔力で毒を生成』する行為は、タクマにとって血流・魔力を『披露』しているに等しく。
〔何で図体がでかくなっただけで、動きの起こりを察知できないんだろう?〕
そんな風に首をかしげるも、弟分たちは地面・空気の『震動』が怖いらしく。
〔殺されたら、『震動』に怖がっている場合じゃなくなるだろう〕と、いう正論を述べても”異常者”扱いされるだけというもの。
平穏のため下級シャドウに紛れるなら。タクマの『持論』は永久的に胸中にしまっておくべきだろう。
もっとも『邪獣』を狩るため通り過ぎる、この領域で気を使う必要はない。
効率よく、ただし急ぎ過ぎずに『毒邪竜』とやらを、討伐することだけ考えればいい。
そんなくだらないことを考えつつ、タクマは『毒邪竜』を仕留める準備を整え。
「足を止めないで撃てる、『遠距離攻撃』を放ってくれ!
そろそろコイツを退治するぞ!!」
「「「「「「「「「「承知しましたっ!!」」」」」」」」」」
巨獣に限らず、大ボスを討伐するうえで、重要なのは『情報』だとタクマは思っている。
体力の削り合いは『敵の土俵』なうえに、シャドウ一族の苦手分野だ。
何より瀕死の敵が特攻・自爆を仕掛けてきたら。タクマは逃げるが、周囲の被害が大きいのは後味が悪い。
だからタクマが仕掛けるのは、『妖鐘閃弓』の準備が整い。
より正確な『情報』を得られるようになってからだ。
『バbルLLL‘r-ーーーーーー!!!』
〔ほー、竜のくせに虚実を使うのか?〕
一見?一聞きすると、先程と同じ『業火のブレス』を吐くようだが。『毒邪竜』の体表に取り付いた、『妖鐘閃弓』に操られている『矢じり』が、タクマに差異を伝えてくる。
表皮の張り・神経の電流に、『内臓魔力』の練りこみなど。
あらゆる挙動の『情報』が、『業火のブレス』と異なる攻撃動作を示しており。
「さあ迎撃だ…一気に仕留める!」
英雄様のように、タクマは大技を受ける耐久力など無く。『初見の攻撃』で仲間が殺されたら、自分を抑えられる自信がない。
「だから少しだけ、本気を出す…」
『;g+*/b/・//-*!*ーー』
回避から一転して、タクマは『毒邪竜』の巨体に蹴撃をたたきこむ。
最も体重のかかった『脚部』の爪・関節に、蹴りで衝撃を透し。体勢を崩した巨体の『骨』を砕く一撃を放ち。
『ギャ*:!!~/b//;**ーー』
頭部・内臓へダメージを受けたわけでもない。それなのに『毒邪竜』が痛苦をあらわにする。
だが『毒邪竜』の切り札なら、『猛毒』関連と予想するのはたやすく。『新たな猛毒』を精製するとなれば、体内の代謝に過負荷がかかるのは当然のことであり。
「・・・で、そのタイミングに突けば、誰でも毒竜殺しができるっ‥と」
『ガァーーー/*/*/●:…+;!^』
おそらく不満の意思表示をしたかった『毒邪竜』の巨体に、C.V.様の遠距離攻撃が無数に突き刺さる。その軌道を『旋矢』の術式で、傷口・急所に誘導しつつ。
タクマは『毒邪竜』の呼吸・血流を、冷徹な視線で観察し。
『両極の交叉、天地の連動は小人に遠く
雷鳴に怯え 石打ちの火花におののき
挟撃の猛攻にゆらいで 鏡と影の双牙を恐れよ!
双邪鐘(+旋風閃弓)』
毒血をしぶとく流し続ける、『毒邪竜』の精神にタクマは干渉を行い。
痛覚を認識させ、動揺をうながし、『死の予感』を確信へと変えさせ。
それからしばらく後に、『毒邪竜ファーク』は何一つ爪痕を残すことなく。
『素材』を容赦なくはぎ取られた。
ネタバレ説明:『旋風閃弓』について
四凶刃のタクマがふるう『旋風閃』の改良版であり。
『高速で跳躍・疑似飛翔をしよう』『騎兵に負けない、機動力を得る!』と、いうのを目標としている。
術理として弦を張ってない『長弓』を所持して、『棒』代わりに使い『高跳び』を行う。
〔『棒』より『長弓』のほうが弾性があって、はねるから『高跳び』をしやすいぞ!〕と、いう頭のおかしい理屈で発動しています。
ちなみに将来、『旋風閃弓』の劣化版を習得する下級シャドウは知りませんが。
タクマはまともな『棒高跳び』モドキすらしていません。
くどいですがこの世界の『魔術』は物理法則を無視できない。物理的に難しい、イメージしにくいことは、『魔術』の難易度も上がっていきます。
そのため跳躍の技を叩きこまれた、『ケルトの槍英雄』とかならともかく。
未知の地面・足場で『高跳び』などできませんし。まして初見なモンスターの背中で、『棒高跳び?』など不可能です。
そのためタクマは『風術の力場・足場』を形成して、そこを地面代わりに『棒高跳び』モドキを行っていた。『飛行の風術』を流用して、『壁・天井』代わりの『風の取っ掛かり』を構築し。
『全身』を使って、三次元機動を行っていました。
例えるならば、風術の『アスレチック道具』『動きを妨げない、大きなジャングルジム?』を利用して、タクマは一人だけ自在に動き。『長弓型の魔杖』で魔力量も補っている・・・と、いう感じです。
そのため初見なモンスターの体表だろうと、平気で高速機動・跳躍しているように見えますが。単にいつも通り『風術の足場・取っ掛かり』を利用して、体操モドキをしたり。
加速に緩急をつけたり、ブレーキをかける。
いつも通り『修練を積み重ねた』機動をするのが、『旋風閃弓』の術理です。
もっとも世間一般では・・・
〔『飛翔術』を使える術士でもやらない、(狂気の)『低空飛行』だろう〕
〔地形の凹凸やら、戦闘時の気圧・乱気流の変化を無視する、頭のおかしい乱舞だよな~〕
「・・・・・まず、凶悪な精鋭の嘆きを、世間一般の意見に”偽装”しないで欲しいんだが」
以上、『旋風閃弓』のネタバレ説明でした。
ネタバレ説明:『双邪鐘』について
精神干渉を行う『魔術能力』であり。幹部として敵の”催眠洗脳”に抵抗する『警鐘・防壁』の役割もこなします。
乱用して安易に他者を蹂躙すると、他人を『駒・奴隷』と、認識する思考になってしまうため。使用には制限がかけられ、使用した際の『戦闘報告書』は詳しく記入しなければなりません。
その効果は『挟撃・挟み撃ちに対する、動揺を増大させる』というものであり。
上下左右から二つ以上の『軍勢・飛び道具』で攻撃を行うことで、発動条件を満たし。
その攻撃を受けた敵の『動揺・恐怖心・ストレス』を増大させる。
本来、対応できるはずの挟み撃ち・同時攻撃を、通用するよう敵の心に干渉する。挟撃による敵の被害を増大させる『催眠』の術士・・・・・ということになっています。
実際のところ、タクマは弓なり曲射・時間差で矢を降らせる、『旋矢』を使用するので。
普通に矢も放ち、上方・水平射の『同時攻撃』が成立しますし。あるいは『旋矢』を放ちつつ、『旋風閃・旋風閃弓』の加速で自分が突撃してもいい。
罠・部下・仲間と連携すれば、いくらでも挟撃が行える。今回はC.V.様の遠距離攻撃と組んで、同時攻撃を成立させており。
野戦の兵法では、かなり有用な『精神干渉』と言えるでしょう。習得の難易度も低いので、情報の秘匿を命じられていますけど。
追記:なお今回の『毒邪竜ファーク』が、もう少し強力で頑丈だったなら。『瞼・目じり』から体内に侵入させた『矢じり』を、『妖鐘閃弓』によって操り。
毒邪竜の身体、外側・内側の両方から『同時挟撃』を仕掛ける、保険をかけていたのですが。
〔『旋風閃弓』の蹴り技で、片付いてラッキー~-〕
〔あの技量で、一夜妻・ハーレムから逃れられると考える・・・
タクマ君は愉快な殿方だね~〕
〔兄上…〕
〔まあ、奴には【功績】があるし、仮初の自由を楽しむといいでしょう〕
以上、『魔竜鬼』で、義妹?で、水蛇で、愛がオモい。
『水那』が未だ生まれていない、平穏な時期のお話でした。
ギリシャ神話の『スフィンクス』及び『オイディプス』にまつわるストーリー。
まず死の予言に怯えたのに加え、のこのこ(テーバイを救う)神託を聞きに行った。『ラーイオス王』は重視しなくて、よいでしょう。
もしかしたら状勢がよくない都市テーバイを救うために、一念発起した可能性もありますが。
王が予言者に『助言』を求める。部下に神託を聞きに行くよう、命じることはあっても。
『オイディプス』の年齢から考えて、中年を過ぎており。若いころの武勇伝もないラーイオス王が、旅に出るなど自殺行為でしかなく。
そんな旅を始めたラーイオス王の権力は弱かった。
古代・中世の常識的に、後継者を作れないラーイオス王の権勢が低くなるのは当然であり。
権勢を取り戻すため『神託を得るという冒険に挑んだ』と、推測します。
しかし都市テーベにも予言者は住んでおり。
その予言者を蔑ろにして、他所に自ら予言を求めるなど。他国・他都市に”恥をさらしに行く”に等しく。
ラーイオス王は色々と残念な王様だった。他にも失政をしたり、実権を他の有力者に奪われており。
『死の予言』に怯えたうえに、酒で過ちを犯し。自ら子供を殺す『暴君』にもなれなかった。
命の軽い『古代』の権力者としては失格であり。
戦場に行くならともかく、普通の『チャリオット』で旅に出るという。英雄たちですらやらない愚行で、狭い道での諍いを起こしたあげく。
最期は崖から突き落とされるという、不名誉な死因であり。
『都市テーベに災いが続き。オイディプスが王になってから、ようやくラーイオス王殺しの犯人捜しが行われた』と、いうことを考えれば。
〔そろそろ謀殺を疑ってもいいのでは?〕と、愚考します。
この項で、『ギリシャのスフィンクス』をまとめたかったのですが・・・もう少しおつきあいください。