372.閑話~弓兵シャドウの表裏
生生しいギリシャ神話のハナシで、身もふたもない『妊娠・出産』に関することです。不快な思いをする方は、読まないでください。
ギリシャ神話において『オイディプス』は『スフィンクス』の謎かけに答え、事実上の退治をしました。
しかしそれは『エディプスコンプレックス』の語源ともなる、悲劇の始まりであり。
知らぬこととはいえオイディプスは母親のイオカステーを娶り。息子二人、娘二人をもうけました。
この話で気になるのは『イオカステー』の存在です。
命の軽い古代世界において『健康』は宝であり。
『健康』でさえあれば、『婚姻』で年齢・年齢差を無視することは、珍しいことではありません。
とはいえものには限度があり。現代以上に『出産』にリスクが伴い。
『高齢出産』はそれに輪をかけて、命の危機だったわけですが。
既にオイディプスを産み、彼が成人するまでの年月がすぎ。その後に四児を得たイオカステーは、普通の女性とは異なる『理』の中で生きた。
魔女か、『神』の加護を得ていたのか?
イオカステーは魔性の女性だと愚考します。
『飛び道具』を防ぎ、『矢』を切り払う。
言うは易しだが『魔力』なくして、そんなことは不可能だ。
『身体強化』による、鋭敏な感覚で『矢弾』察知して、回避し迎撃する。
世間?一般の理論では、『そういうこと』になっているが。
『物理法則』が『魔術』に強く影響を与える、この『面倒な世界』において。
術士タイプの『身体強化』などたかが知れており。
『魔力が意思をもって、矢弾にまとわりつき、術士を護っている!!:?』と、いうトンデモ理論を語る者までいるが。
〔実際に魔力無しの『矢』で射殺されているのって、魔力の低い人・獣なんだよなぁ~〕と、四凶刃のタクマは認識している。
「つまり弓兵シャドウなんぞ、一発屋の期間限定な、”英雄モドキ”にすぎないわけだ。
いずれ対策をとられて、オレの『術式』なんぞ誰にも通用しなくなる。頭では理解していてもっ、悲しいな~」
「「ぐッ/*」」「くそがぁーー、やrぁ・/」「「「ッ`*」」」
「二人で組んÐ/*/…」「「ぎゃpッ⁉」」「「*ー―…」」
穏やかに語りかけるタクマの周りで、死がまき散らされる。
”盗賊ギルド”の私兵たちを、空から降り注ぐ『旋矢』が射抜き。その被害を増大させるべく、タクマは『旋風閃』の疾走で、敵陣を縦横にかき回す。
上空からの『旋矢』と、地上を駆ける『旋風閃』による、上横からの変則挟撃が行われ。軍隊くずれの”弓射盗賊”たちが、次々と倒れていく。
「バカなっ⁉名だたる騎士や冒険者どもを討ち取ってきた我らGガァg-ーーー」
「”毒矢で闇討ちした”の間違いだろう?ウソはいかんなぁ~」
『麻薬・魔薬』をあれだけ大量に製造した”盗賊ギルド”は、イロイロな『毒薬』も調合しており。水源にそれらを放り込む連中に、良識など全く期待できない。
そのため『持病』を悪化させたり、酒毒・色事で『催眠』をかけるなど、序の口であり。
普通に治療すれば治る傷病を、『毒』で悪化させて、名医の評判を堕とし。
”ヤブ医者”に高額治療をさせたあげく、良識派の貴族家に不和を持ち込み、傀儡にしたり没落させたりと。
”少しばかり、クスリと話術で『誘導』しただけ”
”殺さないよう、『矢』を急所に当てるのも、弓の技が必要だ”
そんな戯言をほざく連中は”外道な連鎖”で生き血をすすることに、無上の快楽を得ており。
『矢への対策』をしていた戦姫C.V.様が、”不幸な事故”で『流れ矢』によって屠られたことも重なって。
上の御方が命じなくとも、連中を始末することに、タクマがためらう理由など欠片もなかった。
しかし下衆なりに”弓兵シーフ”も考えており。
「ゴp、Gぉp、*+…pp」
「我ら弓士を倒Siて、いいギぃになるな…我らの怨念が/*/ー*//ッー」
「ハイハイ。そういうのいいから、とっとと逝け」
「「「「「「「「「「/`-…*/:ーーーー」」」」」」」」」」
タクマの『魔導能力』によって、あらゆる『矢』が動き出す。
地に落ちた『矢』は浮かび、浮かび上がった『矢』は空へと昇り。
『旋矢』の矢弾となるべく、宙を舞い始める。
それはタクマにとって、隙が多い大仰な『旋矢』の準備であり。
”弓兵シーフ”たちにとっては、腕利きの射手を屠った凶刃であるのに加え。
「くそっ…抜けろ・・動kガぁー!*?」「「「ヒィ*;…」」」
「「「「「イヤだぁーーーーー*/」」」」」
突き立った地面でうごめき、刺さった”シーフ”の四肢で振動し、肉をえぐる。
矢傷を負った”シーフ”たちにとって、『妖鐘閃弓』で操られる『矢じり』は『騒霊・呪いの矢』という認識であり。
「もし、も~し。自分たちが敵さんに”ど素人呪術式”をかけてきたからって。
俺まで同類にしないでくれるか?」
『矢による攻撃以外でとどめを刺された場合、敵兵・襲撃者に呪いをかける』
『体内に毒素を持つ生物』を真似たような、”生兵法の呪術式”を、タクマは『破魔の矢じり』で浄化しつつ。
タクマは『妖鐘閃弓』が、凡百の『魔導能力』にすぎないことを訴えるも。
その訴えは、”シーフ”どもに一切聞き入れられることなく。
”弓兵シーフ”の主力は全滅していった。
接近戦を得意とする武術家にとって、飛び道具対策は必須事項であり。
『目線・身体の重心』やら、わずかな微動・気配に至るまで、射手の挙動を察知しつつ。察知した挙動を解析しつつ、最適な迎撃を併せて瞬時に行わねばならない。
だが『魔力の感知』によって、飛び道具へ対策する『イメージ』が構築・周知され。
その結果『大半の領域』において、弓兵が英雄視されることは少ない。下手をすると雑兵すら、弓矢を持たない軍勢すら存在する。
「そこで戦士の『感知』を惑わすため。
『妖鐘閃弓』で『矢じり』を操って、風切り音を発したり。振動音を鳴らして、不気味な『騒霊の矢』と誤認する、怪現象の『演出』を行う。
臆病なうえに、連敗で不安をいだいている。”シーフ”どもはそれに引っかかって、飛び道具対策をするどころじゃなくなるわけだ」
「なるほどー~。それはスバラシイ『魔導能力』でございますねぇ」
そう、タクマは弓術・弓兵の復権に、大きく貢献する『妖鐘閃弓』を編み出したのだ!!
それなのに霧葉さんの前で、タクマは正座しながら『詰問』されている。
〔俺は四凶刃に復帰したのに…・・何故っ⁉〕
そんなタクマの不満を見透かし、捉えて、殺気を放っている。
霧葉さんの冷たい視線に、タクマは心底から震え上がった。
「何故、私が『妖鐘閃弓』の存在を、問題視しているのか。
タクマ殿は、おわかりですか?」
「それは…聖賢の御方様が出された方針によって、『魔術能力』は開示が原則となっている。
敵に『情報』がもれて、対策されるリスクを考慮しても。
仲間と連携して、互いに切磋琢磨する。その利点が大きいからだろう?」
まあ実際のところ。
『魔術』+『異能力』=『魔術能力』という公式が成り立つ。
そんな『魔術能力』は感情の起伏によって、『異能力』の面が狂って、凶暴化して、少しばかり暴走したり。
身の丈にあわない『知識』を得て、『魔術』の要素が邪法化する場合があり。
〔暴走への対処なんぞ、俺にはムリだが…『魔術』の面で警告したり。
余計な”ちょっかい”を黙らせて、手に余るようなら上の方に知らせる。そのくらいなら、どうにか可能だった〕
幸いにてして、暴走という非常事態は発生せず。
タクマは下級シャドウの身分で、余裕のある任務をこなし。たまにかわいい後輩たちへアドバイスなどをしてきたが。
「そうですか…あくまで白を切ると」
「っ‥!!」
『アラクネネスト!・・ネストコール…・アラクネコール!!』
〔ちょっと待て!〕〔死闘は禁じられている!!〕と、正論を言う暇すらない。
桐恵を、家族を守る姉として。霧葉さんは本気で『竜爪獣』の群体を呼び出して、最終通告をタクマに行い。
「貴方の本当の『魔術能力』は教えなくても、かまわない。
だけど本当の【戦果】を教えてもらうわぁ…」
「えぇーーー~」
〔そんなくだらないことで、殺気を飛ばすな!〕と、タクマは思ったものの。
少し『遠征』をしていた。上位C.V.様の『移動術式』を、少しばかり体験した時のことをぼかして、霧葉さんにお伝えし。
「・・・-◎・^・その『術式』…私がしっかり『去勢』してあげます」
迷うことなく逃げ出すはめになった。
貴族は血筋を、商人は財産を、前線で戦う者は〔『即戦力』になるか否か?〕を、他者を評価する基準とする。そして結婚の『相手』は、さらに細かく深い査定を行うのだが。
〔タクマ殿・・・あの男は危険だわ〕
只人からは、『異能力』と認識されている『魔術能力』を使う者たち。
C.V.様やシャドウ一族にとって、重視すべきは何か?
デザインユーザーごとに様々でしょうけど。霧葉が重視するのは『平穏』だ。
〔桐恵の戦闘特化な『魔術能力』を鎮める、『弓射系』の使い手と婚約させたかったのに・・・〕
タクマ殿が使う『妖鐘閃弓』から考察する。
『矢』を【再利用】したり、『弓射』で虚実の駆け引きを行い。
侍女頭様や聖賢の御方様と同様に、他人の感覚を『逆探知』する能力を持っているとしたら。
〔いっそ超遠距離狙撃・広域殲滅の『魔矢』を、射るほうがマシよ…〕
霧葉の懸念が当たっているか否か?
それを確認するためには、『遠征』の詳細を知る必要があるけれど。
〔ワタシの権限・能力では、『遠征?』を調べるのは難しいし…
のんびり資料を閲覧して、手遅れになったら最悪よ・・・・・〕
素早く思考をまとめた霧葉は決断を行い。
『ドラゴンクロウ…クロウアラクネ・・・アラクネビーストッ!』
桐恵と連絡を取るべく、伝書蜘蛛を送り出した。
自分たち姉妹が、大半の同族からも恐れられ。
〔霧葉ちゃん、桐恵ちゃんも組めば、それなりに強いようだし。
結婚生活は別々にしないと、旦那さんを選ぶのは一苦労だよね~〕
〔聖賢の御方様の権限で、人事の差配を願います〕
こういうやり取りが、交わされていることを知らず。
桐恵と連携をとるべく、動き始めた。
混成都市ウァーテル。富を流通させ、大陸の経済を回す大商都であり。八方様々な文化が交錯する十字路でもある。
しかし、そんな大都市でも『世界中』にある、巨万の財貨を動かすには遠く。
まっとうな『移動手段』では、たどりつけない『領域』も無数にあり。
その一つでは今日も争いが引き起こされていた。
『消えずの怪火よ…矢じりに宿り、倉庫を焼き尽くせ!!フォービィーアロー』
「城壁の兵士を一掃する・・・『共振』を開始せよ!」
『『アロービート!!』』『『『『『・・タスクストーム!!!』』』』』
「ひっ…」「「「「「「「「「「グ,W//*g*」」」」」」」」」」
もっとも都市を防衛している、人間の軍勢からすれば。
『争い』ではなく、『魔術』による一方的な虐殺でしかなく。防衛・迎撃をする以前に、命乞いする暇すら与えられず、斬殺されていった。
「あァぁ…」「やめろっ、こんなの戦いじゃ//-/*」
『ドラゴンタスク!…タスクソード・・ワイルドタスク!!』
練度・装備に戦術など、あらゆる面で過剰な『暴威』が蹂躙を行い。
それらの上をいく『魔術能力』が、強固な正門の扉を粉々にした。
「正門がっ⁉」「もうっ…こんなの、もう‥・」
「集まれ!防備をK・//tー*ッ」
正門が機能していた時すら圧倒されていた。そんな人間の弱兵が正門を破壊されて、抵抗などできるはずもなく。
こうして城塞都市ミルグリアは、たった十数人の戦姫C.V.によって、終焉を迎えた。
「何故だっ…どうしてC.V.がミルグリアを滅ぼすっ!!」
「〔どうして?〕ね…貴様ら”忘恩の輩”が、我らの里に卑劣な”闇討ち”を仕掛け。
それに対し、我らは当然の処罰を行った。
もっとも想定外の弱兵で、城塞の『魔術防御』は旧態の劣化したもの」
「もう少しぐらい、まともな防衛戦になると思ったのだけど・・・考えなしの”闇討ち”を仕掛ける連中には、相応の戦力だったわね」
敗者を侮辱し、誇りを踏みにじる。普段ならば心を腐らせる”愚行”として、忌むべき言動なのだが。
今回、拠点に住むC.V.たちが、本当に殺されかけ。
その原因となる『封印の解放』を行った、ミルグリアの者たちには『見せしめ』と、なってもらう必要がある。
『毒蛇竜ファーク』によって、諸都市の住人たちまで”嬲り殺しか、生きたまま喰われるか”と、いう危機が起こりかけたことを考えれば。
ミルグリアの権力者とその私兵たちぐらいは処断しないと、この地のC.V.や諸都市の首脳陣も納得しないというもの。
『定法』どおりにミルグリアの老若男女、及び周辺の血縁者まで殺戮するのを避けるため。
エルメリアが率いるC.V.パーティーは、派手にかつ圧倒的な戦力差を見せつける必要があった。
「ですが結果的に、類まれなる勇士が飛来なさいました。
『伝承』すら伝えられない、”無学の貴族”といえど。
〔多大な利益をもたらした〕と、言えるのでは?」
「そんなモノは結果論にすぎない。この”愚か者”たちには、せいぜい惨めに破滅してもらわないと。
『封印』を宝物庫と勘違いする、”盗賊”にはしばらく関わりたくないわ」
「そうですか…ですが幼子たちまで、同じように処刑するのは哀れと言うもの。
この”暗君”の血で『怪樹の人形』を造り。
身代わりとして処刑台に上がらせましょう」
「許可する」
「待てっ…わしの命もォおOーー-ーー;ー*‘⁺*:*//」
こうして悪趣味な残虐劇が始まった。
〔これでよろしいのですね?タクマ様〕
もっとも戦姫として、まっとうなプライドがあるならば。
『毒蛇竜』の討伐で戦功第一をあげた、【勇士様の意向】を最優先にする。不毛な流血を嫌うご意思を尊重するのは、当然のことであり。
これから遥か遠方の混成都市に赴き、勇士の後宮を形成する。
そのためにエルメリアたちは、イロイロな『準備』が必要であり。
都市ミルグリアを滅ぼすことなど、ハーレムに参加するC.V.パーティーを選ぶ、『参加資格』を得たにすぎない。
〔お望みなら『酒池肉林』を超える、『酒湖肉森』をも用意します。
ですが、タクマ様が有能な将軍C.V.を求めるならば・・・私はっ!〕
どんな困難も乗り越えて、ご覧に入れます。
至宝を集め、パーティーメンバーの力を高め、貴男様のように『魔術能力』を研ぎ澄まし。
〔必ずやお側に参ります〕
そんな風にエルメリアたちは恋に狂いながらも。
激戦が確定している『選別の試験』を、圧倒的な実力で勝ち上がった。
年齢・加齢が常人と異なるのは、別に『イオカステー』の専売特許ではなく。
同じくギリシャ神話『トロイア戦争』の英雄オデュッセウスたち『夫婦』も同様です。
『トロイア』に遠征して激戦を繰り広げ。ようやくトロイア戦争が終わっても、艱難辛苦に見舞われたオデュッセウスの一行で、帰還できたのは英雄一人という有り様でした。
その間オデュッセウスの妻『ペーネロペー』は、求婚者たちの横暴にさらされ。機織りをしながら、時間稼ぎをしていたわけですが。
欲望に正直な”求婚者”どもが、『ペーネロペー』に拒否され20年前後も待っていた。『オデュッセウス』が遠征し、故郷に帰還するまでの約20年(17年以上?)もの間、待っていた理由は一つ。
それは『ペーネロペー』が年月が過ぎても、多方面で衰えることなく。不届きな求婚者たちを、拒絶する『力』があり隙をみせなかった。
もし加齢でペーネロペーに衰えがあったなら。”簒奪者”に等しい求婚者たちは、容赦なく弱肉強食の理論をふりかざしていたでしょう。
一方、夫のオデュッセウスもトロイア戦争に加え。帰還の時は神々の怒りにふれ。ひたすら海難・怪物に襲われ続け、部下は全滅するという有り様。
オデュッセウス、ペーネロペーの夫婦ともに、不自然なまでに年齢で衰えることはなく。
両親が直接、『ギリシャの神』でなくとも。一応、人間なのに年齢チート持ちは多いと思いました。