表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
371/422

371.閑話~弓兵シャドウの凶刃:妖鐘閃弓

 ギリシャ神話の『スフィンクス』が出した、謎かけに答え。事実上のスフィンクス退治を行った『オイディプス』は都市テーバイの王に就いたものの。

 知らぬこととはいえ、実の父親を殺し、母親と交わる『禁忌』を犯した。

 そのためオイディプスは『自裁』して、破滅していくわけですが。


 〔ちょっと待て〕と、申し上げたい。


 何故なら都市テーバイはオイディプスが、禁忌を犯す前から問題だらけであり。

 『オイディプスが王になって、都市テーバイは飢饉や疫病に見舞われた。

 その理由は前王が殺された穢れがあるから』と、のことですけど。


 この前王ラーイオスが色々とやらかした時点で、テーバイの穢れはたまっていた。


 『穢れの原因をオイディプスだけ(・・)のせいにするな!』と、思うのです。

 聖賢の御方(イリス)様に仕えるシャドウ一族。その役職に『四凶刃しきょうじん』というのがある。

 他所の組織なら『四天王・四騎士・四傑』など、栄えある武人のトップなのだろうが。

 シャドウ一族の『凶刃』には、いくつか『義務』が課されており。


1)勇者のように、強大な敵(魔王?)を倒す刺客となれ。

2)次代のC.V.を育むため、(一夜妻ならぬ)一夜夫となれ。


(3:男性シャドウの模範となり。シャドウ一族をC.V.様の”魔手(求愛)”から守るため、死力をつくすように) 


 こういう理不尽かつ、どう考えても不可能な命を受けており。

 

 〔下級シャドウに潜り込んでいた時は、気楽だったな~〕と、タクマは心の底から思いつつ。



 「…よっ`と」


 『ッ**…』


 『矢』を放ち、おそらく偵察をしている”賊”へと『死』をもたらす。

 

 『弓矢で狙撃を行い、標的の偵察兵を射殺す』と、いう神技とは異なり。

 あらかじめ『目印の術式』で魔術陣を組み。その場所に偵察を担う”賊”が侵入したら、『魔術陣』に届くよう、遠方から矢を放つ。


 それによって物見の”賊”に当たり、運よく始末できたらよし。

 できなくとも『狙撃』を恐れた”賊”が撤退したり。奴らが狙撃を行う『弓士』を探し、周辺・・を警戒すれば。


 本当に腕の立つ『偵察役』を捕捉し、”盗賊ギルド”の耳目を潰すチャンスが得られる。

 そう思ってタクマは山肌から『矢を放って』いたのだが。


 

 「面白い仕掛け・・・遠距離から人力(タクマ殿)で矢を放つ、『矢射ちの罠(アロートラップ)』というところですか。

  『狙撃』や仕掛け細工だけの『アロートラップ』を、警戒している”賊”にとっては、探すだけでも一苦労ですねぇ」


 「ハッハーー、お褒めにあずかり、光栄でございます^・^」


 「イヤだわぁ。

  ザコの山賊狩りしかしてない。『竜爪獣アラクネ』使いごときに、四凶刃のタクマ殿が敬語を使う必要など、ございませんよ…」


 〔できるかぁーーーー❕〕



 正確にはザコ狩りしかしていない…ことに、霧葉さんはなっている(・・・・・)


 しかし四凶刃に戻ったタクマは、幹部として機密資料(残酷物語)を閲覧する義務があり。


 その中には”盗賊ギルド”の実力者⁇ともあろう者が、自ら拠点に仕掛けた『罠』に引っかかり⁈情けなくも自滅・・したという、不幸ホラーな事件が頻繁ひんぱんに発生したあげく。


 ”盗賊ギルド”は犯人捜しに、拠点の『罠』を点検し、必要なら『罠』を新しく設置して。さらに拠点を売却・再建リフォームしたり、亡くなった者の後釜をめぐって争い。

 聞くだけで莫大な労力・資金(コスト)に犠牲を払ったとわかる、争いを経て。そこから対策を立て、不動産の大仕事を行ったにもかかわらず。


 再び『不幸な事故?』が引き起こされ。”盗賊ギルド”の要人・腕利きたちが、誤作動?した『罠』によって惨殺された。


 一連の『不幸な事故』に伴い。

 C.V.のイセリナ様が土地・建物の売買(+裏取引)で、莫大な戦果と利益をあげたそうだが。



 四凶刃にすぎない、タクマが深入りしていい案件ではなく。

 〔より一層の忠節に励み(姫長様、姐さんたちに)日々の努力(絶対服従)を怠りません(いたします)〕と、しか言いようがない。

 

 

 そうしてタクマは『ちょっと遠征』をしてから。四凶刃の責務を果たすべく、シグルスの街へとやって来たのだが。


 〔義姉になる者として、タクマ殿の弓術(実力)を見せていただけませんか?〕


 〔許可する〕


 こうしてタクマは”盗賊ギルド”の偵察兵を間引く、『矢』を放ち続けた。









 「何だっ…ナンなのだ、あいつはァ―――!!」


 〔〔〔〔バケモノだろう・・・*・〕〕〕〕


 山賊は獲物を物色するため、偵察を行うが。

 人狩りは状況にあわせて、硬軟自在に人買い・誘拐を行う。そのため求める情報の質・量も、必然的に高くなり。偵察役の『実力』に対し、安くない報酬を払い、その維持管理を行ってきたのだが。


 「何故っ⁉どうして”囮”に引っかからない・・」


 そもそも旅人を装っている偵察役を、どうやって見破っている?普通の旅人を何故、誤射しないのだ?

 死体が消えることも多く、死因を調べるのも一苦労という有り様が続き。


 〔いっそ”裏切り者”が、情報を流しているほうが、対処のしようもあるんだが〕



 メンバーにバラバラの情報を与え、どの情報が洩れているか調べる。次に情報を知っている者を、裏切り者の候補として、調べたり監視をつけたり。

 多大な時間・労力に人員を動員したのに〔裏切り者などいない〕と、いう結論が出たあげく。


 同時に第2波の”不幸な事故(罠で自滅)”が発生し。


 〔見当違いの”裏切り者”探しを行い。結果を出せなかったバーゾは、損失の穴埋めをしてもらう〕と、いうことになり。

 人身売買を担う幹部のバーゾは稼ぐチャンスのある、シグルスの街へと向かっていたのだが。

 次々と有用な駒(偵察役)が行方不明になり。遺体を探すことすら苦労したが。



 〔『矢』による『狙撃』だと?〕


 〔おそらくは…『残留魔力』はありませんし、傷を見る限り・・・〕


 〔・・・だったら、狙撃地点を襲撃すればいいだろうが!〕


 〔それが、それらしき場所には、全く人がいた痕跡すらなく…〕


 有り得ない、許されないことが起こっていた。

 盗賊ギルドの中でも、稼ぎ頭でパワーバランスすら操る。人狩りのバーゾともあろう者が、ひつじのように見えない敵に翻弄ほんろうされている。


 衛兵の”推理ゴッコ”を横目に、昏い所(犯罪)の情報を得て利益をむさぼる。そんな盗賊たちを束ねるギルドが、敵の正体を暴けないなど”屈辱”でしかなく。


 「敵の罠を食い破る…『宝物庫』を開けるぞ‼」


 「「「「ハ、ハァーー」」」」 


 金に糸目をつけず人員・魔法の装備をかき集める。その『隠語』を発して、バーゾは雌雄を決すべく、決戦にのぞんだ。






 




 『雲間を駆け 雷鳴をささやき  猛禽もうきんよりも、狡猾こうかつな矢じりよ  


  戦場を荒らす、風槌ふうついの連打を鳴らし


  盾を飛び越え、武具をも射抜く  慈悲なき驟雨しゅうう矢弾やだまと化せ


  旋矢群衝せんやぐんしょう!!!』


 「「「「「・*/:*ーーーー」」」」」「「ぐぅッ*…*:」」

 「「「「「「「「「「ギャ*ーーーー*…」」」」」」」」」」


 山なり曲射に『矢』を放ち。その降下する『矢』を風術で操り、防壁・障害物をよけて標的を射抜く、『旋矢』という『術式』がある。

 その『旋矢』を連射・速射したり。空中の『風術結界』に無数の『矢』を停滞ストックさせ、戦況に応じて『旋矢』を放つ。


 それが『旋矢群』『旋矢群衝』の術式であり。面制圧ができるわりに、『魔力コスト』の低い便利な術式だ。


 「ひるむなァっ・・矢を防ぐ『風のけ/・*…


 「「ヒッ*ーー//」」


『旋矢』の威力が高いのか。空から強襲する『旋矢』を想定・・した、『風術』を展開できないからか?

 『風術の防御』を貫きながら、タクマは戦況を見つめ。


 そろそろ敵弓兵からも『弓矢』を射かけられる、射程に入ったことを認識し。

 同行している霧葉さんに問いかける。


 「このぐらいの奴だと、『旋風閃の改良版(奥の手を見せない)』で片が付くと思うが・・・」


 〔桐恵イモウトさんの婚約者にふさわしいか、試験中なことを考えると・・

  『不幸な事故』を閲覧えつらんしたことも考慮すれば、俺も『切り札』を見せたほうがいいんだろうな~〕

 

 「・・・・+…・」


 霧葉さん、桐恵さん姉妹には、かわいがっているウェアルという弟がおり。そいつは戦闘以外の面で優秀だが、弓兵部隊に待ち伏せされたことが、あったとか。

 そんな記録コトことを思い出した、タクマは点数稼ぎ(アピール)をすることにして。


 『昏き夕闇のささやきにして  闇夜にさそう羽根たちよ


  悪鬼の弓にげんをはり   邪妖の影をおかして、混迷を奏でよ!


  侵略の火は灰塵かいじんに埋もれ  弓射きゅうしゃほまれは等しく堕ちる


  妖鐘閃弓ようしょうせんきゅう!!』


 「なっ…何をォーーー/*+*

 「「ひィ:;ee*」」「「「「「*:* //-ー…ーーー 」」」」」

 「ナンだkツ*:/…;」「*/ギy-ーーー」


 「ほー・・普通の矢ならさばけるし。『魔弓』での遠距離戦も、こなしている。

  ”盗賊ギルド”にしては、なかなかの腕利きを集めたか?」


 「き、キサマa...・・」


 そうして血の海に沈んだ連中に、とどめを刺しながら。タクマは見届け人(ウォッチャー)を狩るべく、『弓』で狙撃を行う準備をはじめ。


 「どういうことか、説明してもらえませんか?」


 家族思いの霧葉(義姉)さんから、厳しい詰問を受けることになった。







 ネタバレ説明:『妖鐘閃弓ようしょうせんきゅう』について


 タクマにとって、二番目に重要な『魔導能力コアデザイン』です。

 一夜だけ『ゾンビ』を操る『灰鳴閃弓かいめいせんきゅう』に、容量キャパシティを喰われていたため使えませんでしたが。

 ”盗賊ギルド”との外交によって、『灰鳴閃弓』が永久に封印されることになり。めでたく本当の『魔導能力(妖鍾閃弓)』が使えるようになりました。


 その『術式』は敵味方を問わず、『矢』を操ること。主に・・・


1)放たれ地に落ちた敵味方の『矢』を、空中に舞い上げ『旋矢』として再利用してしまう。

2)倉庫・矢筒にある『矢』を付与術式エンチャントで侵蝕し、怖い音を鳴らさせる。

3)タクマが放った『矢』と交叉こうさした、『敵の矢』を侵蝕して落下させる。


 主な使用法は、この三つになりますが。

 『不可視の矢』『術式の矢』『遠当て』『幻影の矢』などを併用し、かなり多彩(悪辣)な弓術をふるいます。


 とはいえタクマの『魔力量』では、『魔導能力』の乱用などできるはずもなく。

 現状、『待ち伏せ』を行う『場所』に結界をしき、『魔力』を蓄える。

 『静音詠唱』を奇襲の前から長時間、行うなどして。『魔力不足』を補っているのが現状です。




 「まあ『弓聖』どころか『弓士』のC.V.様なんて、いるわけないし!

  『魔力量』の少ない四凶刃として、お気楽にザコ狩りでもしているさっ!!」


 「「「「・・・-・…◎」」」」


 「ひっとり~、ふーたり~・・た~くっさん―――」


 「・・・こういう時は〔お気楽でけっこうですねw~〕と、言うとこだよな⁉」


 「まあ、四凶刃に戻って、しばらくは幹部・・の役目もこなさないといけないし。

  

  大丈夫だよ^・^『ミミックキューブ』の藤次君も、既に通ったハーレムへ(絶対に)至る道だから!!」


 「・・・・-;…」




 以上、『妖鍾閃弓』のネタバレ説明でした。



  

 そもそもラーイオスは『子供を作ると殺される』と、いう『神託』を、既に受けていました。


 それなのに子供オイディプスを作ってしまい。その原因は『酔った勢い』との説があります。

 もっとも『酔って』いなくとも。今まで跡継ぎを作るという『王の責務』を放棄していた、ケダモノがいたしたこと。

 さぞかし”乱暴”だったでしょう。


 そしてラーイオスは『スフィンクス』に対抗するため、神託を受けに旅立ち。そこでオイディプスといさかいになり、殺害されるわけですが。

 〔そもそも跡継ぎがいない王が、のこのこ都市テーベの外に出るな〕と、強く言いたい。

 あるいは〔せめて自分に『もしも』があった時に備え、後継者を決めておけ〕と、言うべきでしょうか。


 死ぬのが怖いから、王の責務を放棄する時点で、問題のある王ですけど。それならそれで、『養子』をとるなり、跡継ぎを指名しておけば。

 何等かの対策をしていたなら。『スフィンクス』を退治したとはいえ、ぽっと出の『オイディプス』が王になることもないわけで。


 これら色々と思慮が足りないラーイオス王が、まともな治世を行っていたのか?私ははなはだ疑わしいと考えており。

 〔オイディプス王の治世で、都市テーバイが災厄に見舞われた原因って。

  ラーイオス王が色々と失政をやらかし、そのうみがあふれたせいなのでは?〕と、愚考します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ