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370.閑話~金輝の連携:バルバトスゴールド

 ギリシャ神話の『スフィンクス』を考えるにあたって、重要ピースは『オイディプス(王)』の存在でしょう。


 『スフィンクス』の出した『謎かけ(リドル)』に答え、人食いの怪物を退けた(その後、スフィンクスは身を投げたので、事実上の退治をした)

 その後、功績を称えられ、テーバイの王になったものの。『予言』のとおり二重の禁忌を、犯していたことがわかり、破滅していくという。


 ギリシャ悲劇の最高傑作だそうです。

 ハッピーエンド好きには、最悪な物語の一つだと思いますけど。

 混成都市ウァーテルという商都がある。


 かつては”盗賊ギルド”が支配する、悪徳都市だったものの。

 カオスヴァルキリー、イリス・レーベロアが太守の座に就き。大陸に富を流通させる、経済の心臓に等しい商都と成り。


 ”光神殿・盗賊ギルド”の悪逆非道を暴いたのに加え。”寄生虫以下”の無策(奪うだけ)な経済政策があらわになり。

 混成都市ウァーテルは大陸中の財貨を『循環』させる。自他共に認める、商都と化した。


 そのため戦争種族C.V.が実権を握っていても、大国すら口出しできず。

 ”光神殿・盗賊ギルド”の残党狩りが、国境をまたいだとしても、抗議すらできなくなった。



 「…というか、”国境を越えたら、賊は野放し~”なんて。

  〔共犯グルですか?対策も立てられないの(ふざけるな)?〕と、言いたいのですけど」


 「そういうことは、思っても言うものではないわ…イセリナ」


 混成都市ウァーテルを支配する光属性?のC.V.二人。対外的には姉妹で、通しているイリスとイセリナが歓談する。


 「騎士の役割は国を守ること。敵国などの脅威を『威圧』することなのだから。

  敗北は許されないし。国境を越えて、戦端を開くなんて論外だよ。


  隠れて、あざむく”賊”の存在を見抜き、追いかけ捕縛する。

  イセリナに忠実な陸戦師団すら難しいことを、他国の騎士に求めるのは無理がないかな?」


 「それはっ‼・・その通りですが…」


 何度か〔国境をまたぐ”賊”を協力して取り締まろう〕と、呼びかけた事はあるものの。

 大半の領主が、”賊”の取り締まりよりも、国境の利権争いにばかり執心し。


 あげくに無実の行商人を惨殺して〔”賊”を討ち取った。功績をあげたのだから、便宜をはかれ〕と、のたまわれた時には、本気で切れかけたこともあった。

 その連中には”然るべき報い”をくれてやったものの。


 〔そもそも”盗賊ギルド”に癒着して、野放しにしていた。

  ”賊のおこぼれ(からワイロ)”をもらう連中に、治安を守らせるのは無理というもの〕


 そう結論づけたイリスたちは〔治安維持はC.V.勢力で、勝手に行おう。心配しなくても(弱小領主は)領土なんか奪わないよ(引っ込んでいて)〕と、いう方針に至り。


 かくして理由をつけては、”盗賊ギルド”の残党及び予備軍を、攻撃したり。

 遠近硬軟の様々な手段で、配下にも命じ破滅させた。


 『そろそろ、準備ができたかな?』


 『・・お任せください、姉上』


 そして今回は、人買い・誘拐魔の連中を、広域にわたって死地に誘導する。

 複数の国境をまたいで、シグルスの街へと連中を誘い込み。黒霊騎士団や斜陽の(炎熱)C.V.たちで待ち伏せして、徹底的に殲滅する。


 そういう計画をねり。



 〔・・・あまりにも短期に、強硬手段をとるのはまずいのでは?

  光神殿を派手に討伐したばかりですし、ほとぼりが冷めてから…〕と、いうような消極的な意見が出された。


 要は〔人間男性の伴侶を探している、(黒霊騎士団)C.V.のイメージダウンになるから。別のC.V.に頼むか、炎熱C.V.だけ(・・)でやってください〕と、いう苦情が出されたのだけど。


 〔そのセリフ、(黒霊騎士が好む文官系の)伴侶(殿方)がさらわれた後でも言えるの?

  あるいは産まれた子に「人買いが怖いから、家の中にこもって」と、告げるのかな?〕


 〔・・・-・…仰る通りでございます。

  先ほどの発言は全て撤回し。全力をもって、計画に協力させていただきます〕


 〔ありがとう。協力に感謝するよ〕


 こうしてシグルスの街を使っての、待ち伏せ作戦が開始された。


 無論、イリスたちも今回の作戦で、この大陸の”誘拐魔”が絶滅するなどと思っていない。

 だけど”盗賊ギルド”が都市を牛耳っていた状勢で、力を蓄えた”誘拐魔”のチームには、完全に消えてもらう。


 ”盗賊ギルド”を後ろ盾にして、”誘拐”に関するノウハウを蓄え。”誘拐”の場数をこなし、『道具』をそろえ、情報網を形成し。

 そうした”誘拐”専門のパーティーは、C.V.勢力と言えど欠片も油断できない。

 何年も潜伏したあげく。C.V.勢力にとって最もイヤな時期を狙い、その連中が”誘拐”を仕掛けてくる。


 そのリスクは到底、看過かんかできるものではなく。

 ”凶悪な魔女C.V.”と、見られる不利益よりも。

 〔”誘拐魔の賊”がもたらす危険は大きい〕と、イリスたちは分析した。


 かくして”盗賊ギルド”と同様に、国境・領地の境を無視する、待ち伏せの作戦が発動し。


 「さあ、破滅の刻限だよ…『術式干渉アルゴスゴールド!!』」


 「姉上の『魔力(ゴールド)』借り受け、連なり、合わせます。


  『山野の弓手ゆみてに、金塊は重く  河川の釣果ちょうかを、砂金は奪う


  されどケダモノを追う、勢子せこの糧食は契約により…


  針を研ぎ、あみおぎない、弓を束ねる


  輝石きせきが放つ金光きんこうは   妖夢と毒矢を、等しく照らす


  バルバトスゴールド!!』」


 イリスの補助によって、イセリナが『禁忌の魔導(バルバトスゴールド)』を発動させる。

 

 『契約』を破っておきながら〔逃げおおせられた〕と、思った者。

 ”詐欺”を仕掛けて〔一儲けできたぞ!〕と、歓喜した者。


 その他にも偽りの勝利に耽溺たんできし、心の隙に『傷痕ノロイ』を打ち込まれた”モノ”たちが、イセリナの望むままに『衝動』に駆られ。


 〔このままでは先が見えてる。何としても大金を得るぞ!〕

 〔不確かな情報だが、俺ならできる。あの魔女C.V.すらあざむいたのだ!〕

 〔シグルスの街なら、我らのことも知られていまい。初見ならばっ!〕  


 こうして湧き上がる『衝動』のままに、”人買い・誘拐魔”たちはシグルスの街へと旅立った。

  


 



 人間には得手・不得手があり。万能の『兵士』、あらゆる環境に適応できる『獣』など存在しない。

 せいぜい疑似的に環境適応ができるよう、観察者に『誤認』させる。条件付き一時的に、他所でサバイバルしたのを『環境に適応した』と、錯覚させたり。


 あるいは自然環境を破壊して、自らに都合の良い縄張り(テリトリー)を作りあげ。

 ”オレは環境に適応してるぞ!”と、吹聴して広報戦を仕掛ける。


 〔そういう声が大きい”山賊”には、なりたくないわねぇ〕


 『ドラゴンクロウ…クロウアラクネ・・・アラクネトラップ!』『アラクネトラップ…トラップゾーン・・・蟲竜の結界(ワームゾーン)!!』『ワームゾーン…巣の結界(ネストゾーン)・・・アラクネネスト!!!』


 益体もないことを考えつつも。シャドウ一族の霧葉きりはは次々と『竜爪?』に、『魔力』を注ぎ、段階を経て望むモノを造っていく。

 妹の桐恵きりえほど才能がなく、覚悟にも乏しい。『竜角・竜牙』の素材を獲得する、戦闘力もなく。『竜の残骸(竜爪?)』で、安価な『竜爪獣アラクネ』を造るのがせいぜいという、実力しかない。


 そんな中の下シャドウの霧葉は、珍しく桐恵()と別行動をとっていた。




 〔同じ主君(イリス様)に仕え。混成都市を護る戦力(者たち)が、不毛な派閥争いをするのは好ましくないでしょう〕


 〔そんなっ・・・(恐ろしいことが、できるはずないでしょう!)〕

 〔すばらしい(やったー)お考えです(ラッキー)ぜひとも人材(陸戦師団で、)交流をしましょう(骨休めだー)

  〔〔〔〔〔・・-・…〇-・〕〕〕〕〕


 本音は隠され、冷ややかな視線が交錯するも。


 極めて高度な政治(ハーレム野郎にも)的やり取りがなされ(、休養は必要でしょう)

 そのまきぞえによって、霧葉たち姉妹と(ウェアル)までもが、混成都市の文官トップ(イセリナ様)のもとに出向することになり。


 〔せっかくC.V.の魔術文明に接するのだから、たくさん学んでね!!〕と、聖賢の御方様が仰ったこともあり。

 霧葉と桐恵の二人は、C.V.様が(ウェアル君の)主導なさっている(勉強の邪魔だから)、シグルスの街に遠征することになった(るよう命じられ)




 「貴男はどう、思いますか?タクマ殿」


 「いや~--、聖賢の御方(イリス)様の考えは、新米の四凶刃ごときにわから…」


 「・・・・-●…:」


 「さあ、狩りの時間だっ!とっとと奴ら(・・)に、引導をわたすぞ!!!」


 こうして臨時のコンビによる、待ち伏せが始まった。


 









 ネタバレ説明:『狩猟魔神の黄金(バルバトスゴールド)


 血に飢えた狩人・(自称)捕食者たちを狙い。『精神干渉』によって死地に誘導する、『魔導能力』です。


 勘が鋭く、感覚が鋭敏な『狩人』たちを、逆に罠にはめて襲う。それは容易なことではなく、失敗すれば『バルバトスゴールド』を行使した者が、逆襲されるでしょう。

 そんな手強いハンターたちを惑わし、『情報』を流して、待ち伏せを仕掛ける場に誘い込む。


 そのために『傷痕』を打ち込んだ者を、『半端に賢い吸血鬼(下級の使い魔)』のごとく操り。

 間接的にほぼ(・・)本当の情報を流させたり。人狩り・人さらいの渇望を増大させて、被術者エモノを狩り場に誘い込む。


 軍師・参謀が知ったら〔ぜひとも、使えるようになりたい!〕と、望む悪辣な『魔導能力』であり。

 狩人を束ね、狩り場を独占する。『狩猟の魔()』をイメージした、『魔導能力』です。



 なお本来、イセリナとイリスたちが使う『魔導能力』ではない(・・)のですが。

 『正当な契約』・極めて親しいC.V.のつながりで、一時的に発動させただけであり。今後、『バルバトスゴールド』を、このC.V.姉妹が使うことはない。


 次があるとしたら、本来の使用者であるC.V.が、来訪する時であり。

 その時は、誰かが政略結婚⁇するはめに、なるかもしれません。 

 オイディプスは予言に翻弄されましたが。その行動・知見は、大半が悪くなかったと考えます。


 父親を殺すという『予言』から逃れようと試み。スフィンクスの『謎かけ』を解き。

 そしてテーバイの”穢れ”をぬぐうため。テーバイの前王(オイディプスの実父)を殺した犯人を、真剣に探し。その犯人(オイディプス本人)にたどり着き、自らを処断した。


 これらオイディプスの行動を”非道”とののしるなら。

 殺戮を行い宝物を奪った、大半の英雄たちも有罪にすべきでしょう。


 オイディプスの過ちをあげるとするなら、道争いになった謎の人物(実父)を殺害したことですけど。

 同じ国・文明国?ですら武人が争うことを考えれば。古代ギリシャの旅人なら、それなりにあった武人のならいであり。


 実際、”穢れ”がテーベの街に災いをもたらすまで、必死に犯人捜しなどしておらず。前王が殺害された時に、同行していた従者はテーベに報告こそしたものの。責任を問われることなく、テーベの街で暮らしていました。


 そのため『古代ギリシャのルール』的には、オイディプスは賢く誠実とすら、言えると愚考します。

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