37.掃討戦 旋風閃
『黄道12星座』:太陽の軌跡に鎮座する最も重要な星座です。その加護を得られれば黄金の輝きを放つ、『伝説の力』を得られ。『怪物』だろうと宇宙をのぞき、至宝を入手するチャンスを得られます。
そんな12星座ですが『ギリシャ神話』として、いまいちな気がするのは私だけでしょうか?
『大怪巨竜』からとはいえ、『神々』ともあろうものがシッポを巻いて逃げた。そんな恥ずかしい『化身』を、夜空にさらし続ける。
プライドの高い『ギリシャ神話』の神々にとって、かなりきつい“黒歴史”だと愚考します。
高地修練:酸素の薄い『高山』で修行することにより、肺活量を高めたり呼吸法を会得する『鍛錬法』だ。
しかしこの『修行』は、山籠もりの亜種で終わる確率が高い。学士が一夜漬けをする効果と同様に、武人が一時的に力を高める『特訓』で終わってしまう。そういう前例が少なくないのだ。
『恒常的に力を高めるのは、ほぼ不可能に近い』と、主張する者すらいる。何故か?
最大の理由は下山してしばらく経つと、体が平地に適応してしまい。高地修練、以前の状態へ身体が戻ってしまうから。
〔平地にはたっぷり酸素があるのだから、高地の肺活量、呼吸法など必要ない〕と、『無意識下』で判断すれば。せっかく高地で鍛えた『身体機能』は、ほどなく鍛錬前の状態に戻る。
他にも『食料』の少ない、高山に適応し過ぎて、代謝機能を落としてしまい。
『エネルギーの消費・身体能力』を抑える、『身体機能』を作ってしまう。高山の清浄な空気でないと、『呼吸法』が使えないなど。
高地修練によって得た『心肺機能』を維持するには、いくつもの試練が存在するのだ。
そもそも『高地修練』によって、誰もが強く成れるなら。『山岳民族』は誰もが平地の民を圧倒できるだろう。それができていないのは、『高地修練』で強さの殻を破れるのは、結局一握りしかいない。あるいは平地で活動し続けると、高山で鍛えた力が劣化してしまうということだ。
本来ならば。
『『『旋風閃!』』』
しかしシャドウ一族にその常識は通用しない。
悪徳都市ウァーテルに棲む、闇の住人たちに解毒剤で癒せない『高山病』をばらまいた。『小飛竜』の広域結界である『竜域』の術式内部で、定期的に修練を行う。他にもいくつかの『鍛錬法』を併用することで、『呼吸法』の修行を継続していたシャドウたちは、新たなステージに到達していた。
姫長の扇奈様が低空に展開させた、『竜域』に低酸素の『風』が渦巻く。
平地の生物にとって“病毒”に等しいそれを、下級シャドウたちは『発動句』によって引き寄せ、吸い込んでいく。そうして心身にかかっている『制限』を、次々と解除していった。
『発動っ・・』『参る・・』『刃影ーーー』
続いて身体強化の『術式』を、それぞれで発動する。てんでばらばらな個人の好みで、自我を発露させた『術式』の叫び。それらは咆哮となって路地に響き、『怪物』の存在を主張した。
『呼吸法』によって強化された身体を、加速させて活動するシャドウという『旋風閃』を。
「へっ!?」
とはいえ下級シャドウは『兵士』であり、扇奈様の『駒』である。『ヒーロー』の類ではない、強化シャドウたちが咆哮をあげるのは、『戦の連携』で定められており。
『疾風の矢』と化したシャドウたちは、注意を散漫にした“強盗”たちの包囲を、瞬時に飛び越えていく。
「ッ!?」
そんな彼らの標的は、悪徳都市ウァーテルの『要』となる戦力だ。
〔『情報』は人の生死・未来を左右する。殺戮の戦場で勝敗を決する『凶器』となる。
だったら情報を探る連中は、立派な武器を持つ兵士だよね?〕
聖賢の御方様が告げた言の葉が、シャドウたちの胸中に響く。
その『金言』に従い、後方から戦場を観測する『ウォッチャー』へ、シャドウたちの刃がふるわれた。
他にも『水瓶座:誘拐された少年』『牡羊座:妹姫を転落死させた騎獣』など、スキャンダルな神話がけっこうあります。加えて『ペルセウス』『ヒュドラ』よりも、明らかに格下の『蟹座』が星座の最高峰というのは、納得いきません。
しかし人類文明の観点から考えると、『黄道12星座』は文句なく至宝です。『羊・山羊』に『牛』という、様々な『家畜』を得た古代文明は、劇的に巨大化したでしょう。加えて『天秤座』は商工業、『射手座』は狩り・騎馬の象徴でしょうか?
魚は水運(船)・蟹は水辺の幸・獅子は王の権威。『水瓶』は貯水・酒の文化を表すとしたら、まさに天上にかかげるのにふさわしい、人類史の宝・転機でしょう。
そう考えると戦女神の星鎧拳士が12名もいるのに、強力なのも納得です。『ギリシャ神話』に関係ない力を使うも者も珍しくないのは、もしや『人類史』の力を使って・・・・・あくまで個人的な妄想ですので、推論は停止します。




