369.閑話~炎熱C.V.の火成:ベリルバース:ベリルロッジ
1)う回路のある山に座す
2)旅人を襲っている
3)情報を秘匿すべき、『謎かけ』のことがばれている
ギリシャ神話の『スフィンクス』は、上記の不可解な点が多い魔獣?神獣です。
人を襲いたいなら、もっとよい狩場があるはずですし。
昔話・宗教関係の話ならともかく、『神話』で『謎かけ』を行う魔獣というのは、かなり稀少でしょう。
山に座しているのは『女王神ヘラ』の命令ですが。他にも指示があると考えるべきであり。
神秘の世界で『言霊』について考えると。『謎かけ』も、何らかの『制約・呪縛』があると愚考します。
単純に考えれば、『逃走・物理戦闘を禁じる』『謎解きに答えられなかったら、殺す』『謎解きに答えたら、スフィンクスは自害する』などは、ありそうですが。
『神話としては、単純すぎるのでは?』と、愚考します。
冒険者は様々な”愚行”を行う。
仲間を追放したり、捨て駒にする。
『宝物』を略奪し、『封印』を破壊して、災厄を解き放つ。
他にも”賊”に身を堕とし、『魔道』に魂を売るなど。
その”愚行”は多岐にわたりますが、『原因』は二つに大別できます。
一つは目先の『利益』に飛びつき、道を踏み外すパターンであり。
サル知恵をつけた中級冒険者が、伸び悩んだり壁に当たって、成長が鈍化してしまい。安直に『富・効率』を追い求め、非情な手段をカシコいと誤認する。
身の丈に合わない夢をいだき、半端な知恵をつけ。
〔勝利の美酒に酔って、悪行に走る〕と、いう流れは『伝承』でも多く見られる、定番でしょう。
〔まあ、どこの世界・階級にもマヌケはいるからね~〕
〔そういう者たちを、一つずつ潰していくことも、魔王軍の役目ですわ〕
〔・・・そういうコトは、配下に任せるか。『遠距離魔術』で、仕留めて欲しいのですけど〕
そういう”愚か者”たちへの対処は、基本的に殲滅と決まっており。
害悪をばらまく前に、上位C.V.様たち自らが、手を下すときもあるとか。
しかし炎熱C.V.班の一員で、魔術師侍女を務める。
『釜戸女神の魔導』を習得したC.V.の一人である、フリスの意見は少し異なり。
〔『肉食獣のジレンマ』ですか…〕
〔フリスちゃんは面白いことを考えるねー・ー〕
〔大変、興味深い『お話』だと考えます。
私も汐斗様のお食事は、気を使いますし〕
『肉食獣』は肉しか食べない。ただし、それは『草の栄養分を摂らない』と、いうことではなく。
草食獣の『生肉』を食べることで、間接的に肉食獣も『草の栄養素』を取り込んでいます。
たいした知識ではありませんが、調理担当のC.V.にとっては重要知識であり。
今まで『魔力』を吸収して、『栄養学』など必要なかった上位C.V.の皆様に、『料理』をお出しするとき。
『次代を育むため、人間の拠点に来訪なさる。上位C.V.様のお世話をする際に、これらのことを忘れると』
〔この件を念頭に入れていないと、普通に大惨事になります〕
〔大惨事って…〕〔・・言い過ぎでは?〕
〔栄養バランスが崩れ、ホルモンバランスが乱れ。
慣れない土地で『愛』に溺れて、機嫌が悪くなった上位C.V.様たちは、極めて危険な存在になってしまいます〕
〔〔・・・:…・:?〕〕
〔ウふふッ・・〇…〇〕
〔〔・ー…・ ̄~!!*・*ッ〕〕
こうして、怖い体験をしたものの。
フリスは『ヘスティアゲーム』を習得し、冒険者たちに接するようになり。
『人間は雑食であり、肉食獣ではありません』と、いう結論に至る。
要は『栄養バランスのとれた食事を摂らないと。人間は肉食獣のように、凶暴になる』と、いうこと。もちろん体質・精神力などで、個人差はありますが。
肉食獣のように飢えを満たすため、狩りを行う。
さらに言うなら、肉食獣のように『生肉』を食べない。焼いた肉を食べる人間は、猛獣よりも『草の栄養素』が欠乏してしまい。
”傲慢・凶暴性”など、肉食獣よりもケダモノの悪性が増大してしまう。
栄養バランスが崩れたため、『心身』を削ってバランスを維持しようとしたり。
『魔力』『感知の範囲』や『持久力』に、『老化』の早さなど。『大事な物』を削って、崩れた栄養バランスを、補おうとする。
さらに冒険者が小金を得て、好きな肉をたくさん食べるようになると。
その結果、栄養バランスが崩れて『心身』を削り、不安定になる。冒険者の道を踏み外す、リスクが増大してしまう。
これがフリスの考えた『肉食獣モドキのジレンマ』であり。
〔まあ、面白い説ではあるけど、確証はないし。
蓄積された研究データもないよねー〕
〔おっしゃる通りでございます…〕
〔だからシグルスの街を、炎熱班のみんなにあげるよ。
あの街の食糧事情を改善して、冒険者のみんなに美味しく『野菜』を食べてもらって。
それで冒険者の”暴走”が、少しでも落ち着くようなら、儲けものだよ〕
かくしてフリスは9級C.V.には有り得ない、強力な『魔導能力』を使えるようになった。
『誘拐』とは何か?それは人を操ることだ。
他人の人生を操って、消費する。他人の日常を操って、乱す。
そして『誘拐』に携わる、シーフどもを手駒にして、”護衛”をあざむく。
それらは”狩って食い殺すケモノ”ごときの力が通用しない。
高度な『戦略』が必要な領域であり。
「『野菜を食べさせて、身体を作る』…か。のどかなものだな」
「いかがなさいま、ウィーザル様?」
ましてや肉食獣に狩られるだけな、”草食獣”に等しい愚行など敵ではない。
「『流言を流す』『病毒を仕込む』『働く者を買収する』
『貴族をけしかける』…以上の『策』は即日、実行できます」
「スラムの連中は、”魔女”たちに尻尾をふっておりますが。
半数はこちらに取り込めるでしょう」
”魔女C.V.”どもが、いかに”妖術”を駆使しようと。百名以下の人数では、街の兵士たちにすら人数で劣る。まして街全体の治安を守るなど、不可能であり。
ウィーザルが率いる誘拐組織の『操り』に、抵抗するなど無駄というもの。
金・色香に人質を行使して、『言いなりにした者』を操れば。”魔女C.V.”たちが、ウィーザルのもとにたどり着くなど、不可能であり。
〔その間に『狩り場』を移し、力を蓄えれば…〕
『手駒』となる奴隷・負け犬に世間知らずは、いくらでもわいてくる。
奴らの『物量』に”魔女”たちが敗北しているのは、歴史が証明しており。
「・・・~?…:」「何だ・・今日はずいぶんと暑いな」
「・・・ッ⁉」
思考しているウィーザルの頬に、汗が流れる。
一筋の汗は間を置かず、連なりと化していき。
「これはっ⁉」「バカな…殺気どころか、『魔術』の兆候すら・・*:」
この非常時にとまどう、側近たちに見切りをつけ。ウィーザルは『隠し扉』がある、壁の仕掛けへと、迅速に手を伸ばし。
「あちっ…*!!:?」
熱を帯び仕掛けが膨張している、半ば溶解しかけた壁から、とっさに離れ。
「なっ…床がg*アヅぁ*----」「ヒィ‥+*燃えェeee~―u-」
瞬時に部屋中が『業火』に包まれる。ようやく『魔力』を感じた時には、視界が真っ赤に染められていき。
〔異臭が全く出ないで、火炎だけだとっ⁉魔女Gガアぁーーー〕
そうしてウィーザルの意識は、ゆっくり永遠に途切れていった。
『黒煙を散らす、熱風よ 熱雲を鎮める、熱水の流れよ
熱砂で磨かれ、溶岩に彩られし 業火の館へ
罪過と悪辣を等しく誘え
ベリルロッジ!!』
「「「「「「「「「「…―:*-―- ̄:*ッ」」」」」」」」」」
『火属性の魔力』で他の『地・水・風属性』に干渉し、複合魔術を発動する。
疑似的とはいえ、かなりの万能性を持つ『炎天属性の魔力』が蹂躙を開始する。
標的は”誘拐魔”たちが拠点にしている建造物であり。
『殺気を感じ取れる』と、いう程度の『感知能力』しか持たない、住人では逃げられない。
〔さあ、次よっ…〕
そして炎熱C.V.の護衛兼魔将は、”誘拐魔”たちを一人として逃す気はなかった。
その行動は、戦場ではないシグルスの街において、”凶行”と呼ばれる行為だが。
〔平時から”誘拐”という”凶行”を行っている。悪辣な”賊”を焼殺するためなら問題ない〕
〔弱肉強食の世界で、隙を見せるほうが悪い〕と、いうのが”賊”のルールだとするなら。
『魔力』が無い、知らない、行使できない。
そういう連中が、『魔力』を硬軟自在にふるう魔女を、理解してないのは怠惰で惰弱であり。
”賊のルール”において”弱者なうえに無知でいることは、狩られて当然の愚行だ”と、フレイシアは主張したい。
そして狡猾で恐ろしい”誘拐魔”に対し、フレイシアが『虹珠の山小屋』を仕掛けるのは、”シーフと同レベルに堕ちる凶行”であり。
〔ハーレムを形成しつつあるフィニーたちに、”同じこと”をさせるわけにはいかない〕と、フレイシアは強く思う。
「*/ +ッ『デモニックギロチン!!:!』」
『虹珠の火成』
そんな益体もないことを考えつつ、フレイシアは『魔剣』による奇襲をさばく。
「・・*;*ーーッ」
『防御術士』を務め、穏健さをアピールしていた時ならともかく。
『ベリルバース』を発動した魔将C.V.のフレイシアは、火属性の迎撃を容赦なく行い。
「全員がアジトと共に、焼き討ちされるかと思ったけど・・・
それでアナタたちが、”賊”の最高戦力なのかしら?」
「バケモノがっ…」「「「・・・⁺:;・・」」」
「覚悟を決めろ・・逃げ場などない!!」
フレイシアの誰何に返答はなく。
こうして掃討戦は、少しばかり長引いた。
ネタバレ説明:『ベリルバース』について
シャドウの姫長で『旋天属性』である扇奈が、『風属性』によって『四大属性』に干渉するのと類似している。
『火属性の魔力』で一応『地水風』に干渉し、『複合魔術』を行使する。
仮の『天属性』としては、だいぶ格下の『炎天属性』を使う『心身』へ、制限付きで成る。これが『ベリルバース』の正体であり。
本命の『焔天属性』を使うC.V.を護り、もしもに備える準『魔導能力』です。
はっきり言って、本職の戦闘型C.V.に対抗できる力はなく。
”偽の魔女王”『6級C.V.としては強い方・・?』『術式に依存し過ぎだよ~』
・・・・・と、いう感じに狂猛な戦姫C.V.からは、軽視されているのですが。
人間にとっては充分な脅威であり。最低でも『火竜』、普通に『火炎竜』『火の巨人戦士』を討伐する、戦力がないとお話にならない。
得意な『術式』がはまると、一歩的に蹂躙されかねない脅威です。
さらに『熱感知の眼晶』『水属性への耐性』『攻撃力の増加』などを、常時発動しており。
『火属性』の弱点対策も、しっかり行っています。
ネタバレ説明:『虹珠の山小屋』について
建造物を丸ごと『たき火・マグマ部屋』へと変えてしまう。
迎撃どころか、降伏すら許さない。極めて殺傷力の高い『火術式』であり。
『術式』の開発に携わった、四凶刃の藤次ですら・・・
〔こんな恐ろしい『焼却炉』な術を、教える気などなかった!信じてくれ!!〕と、言わしめている『火術式』です。
『術式』の対象が『建造物』であり。
『柱』から魔力で侵蝕して、建物全体を最終的にマグマ?に変えてしまう。
そのため壁・扉が赤熱化した時は、手遅れと言ってよく。
〔建物は、あって当然だ〕と、いうナめた考えだと。解除・脱出どころか、気付くことすらできず、焼き討ちされてしまいます。
短所としては建物全てを焼却するため。基本的に『建造物』内の生物は、人質も含め皆殺しであり。他に財貨・重要書類も、丸ごと燃やし尽くしてしまいます。
長所?としては、術式対象の『建造物』を完全に、焼き尽くすほどの火力ですが。それ以外の『周囲の建物』は、一切焼かず延焼もしない。
加えて『建造物』の内部で、『自爆』を試みたり。”厄介な汚染物質”があったとしても、周囲に広げることなく、焼失させてしまう。
あくまで『標的の拠点』のみを、熱風・熱水と溶岩の『魔術』を、複合的に使い焼失させる『術式』であり。
大火事を平気で引き起こす、『火計・火攻め』の術式とは異なります。
少なくとも元凶の藤次は〔火事はダメ絶対!〕と、フィニーに諭しており。
民家には火災を起こすことなく。炎熱C.V.たちは生き延びて、戦っています。
不可解な点が多い『スフィンクス』の神話ですけど。ひどい”妄想”を積み上げても、不毛すぎます。
最低限、『ギリシャ神話』で起こったことをあげましょう。
まず重要なことは、『スフィンクス』は外様のモンスターだということ。『エキドナ』はともかく、『テュポーン』の血は、神族にとって敵対者のものであり。
しかも『結婚・貞節』をつかさどる『女王神ヘラ』にとって、『胸部』をさらしている『スフィンクス』の外見を、どう認識しているか?・・・ということ。
私は〔けしからん、破廉恥だ〕と、いう認識だと思うのですが、どうでしょう?
『権力』を司る女神として、『ヘラ』が『ライオン』につながりがある。その『ライオン』つながりで、『スフィンクス』を従えたとも考えられますけど。
あまり良好な主従関係ではなく。
『魔神の血を引く上に、破廉恥な姿をさらし。賢しい知恵で、口が回る』と、いう感じだったのか?
『スフィンクス』の謎かけを解いた、『オイディプス』をからめて、考えてみましょう。