閑話~メイガスメイドの魔導:ヘスティアゲーム
ピラミッドとセットになっている『ギザの岩山』。世界史の教科書に掲載されるほど、有名ですが。
「それならスフィンクスの神話には、どんなものがあるのでしょう?」と、問われて答えられる人が、いったいどれほどいるでしょうか?
ファンタジーネタになっている『朝は四本足、昼は二本足、夜は三本足のモノは何か?』『答えは人間だ』と、いう謎かけですけど。
あれは『ギリシャのスフィンクス』神話を流用した可能性があるとのこと。
さらに『スフィンクス』が守護している『墳墓・ピラミッド』は、盗掘の憂き目にあっており。
『スフィンクスは守護獣だ!』と、いう神話を語るのはイロイロときつい。
現状、判明している『エジプト神話』で、『スフィンクス』をファンタジーのネタにするのは厳しい。特撮ヒーローの怪人モチーフにしてでも、名前を売り。
〔何としてでも、忘れられないようにするべきだ〕と、愚考します。
そもそも私の知る限り、『web小説』のモンスターで『スフィンクス』が登場することは少なく。(もしかして皆無?)
砂漠が舞台のファンタジーですら出番がない。〔英雄大戦のエジプト英雄ならば・・・??〕と、いう感じであり。
ぜいたく言ってる場合ではないと、愚考します。
冒険者ギルドで出世する。言うは易しだが、行うのは難しだ。
何故なら、出世の『道筋』がわからない。
『依頼』を仲介し、『依頼』を冒険者に達成させ。その仲介料を大量に得れば、出世できるのか?
あるいは強い冒険者をギルドに所属させ。冒険者ギルドの戦力を高めることに、貢献すれば優秀なギルド職員と言えるのか?
極論、冒険者に厄介な『依頼』を強制してでも。街に利益をもたらすのが、有能なギルドスタッフと考える者もいるだろう。
〔だけど、オレはそんなギルドスタッフになりたくない〕
それではユングウィルの父親に敗戦の責を負わせ、没落させた”クズ武将”と変わらない。
”武官の面子を守るため”と、いう建前で保身に走った。アノ武官貴族は、今でも”濡れ衣を着せる”ことに忙しいと、ユングゥは確信している。
そんなことを考えつつも、”不良貴族・悪徳商人”との交渉を行うのがやっと。
”自称騎士”の仮面をかぶり、ユングゥは綱渡りな交渉で、厄介事をしのいでいたにすぎない。
そんなユングウィルを置いてきぼりにして、冒険者ギルドが変節していく。
1)『依頼料』を分割払いさせることで、依頼人の財政負担を軽くする(同時に『分割払い』をネタにして、取引を行ったり。『分割払い』を踏み倒す不届き者を、破滅させて利益を得る)
2)マッサージをはじめとした心身のケアで、冒険者の疲労を回復させ。機動力を増し、移動の負荷を軽減する。
そして今、三番目となる『仮面をつけた闘士・疑似モンスターによる、闘技場の興行』と、いう企画が進行している。
戦いに飢えた戦士に、激闘の場を与えるのか?
未知の敵と戦う、訓練場になるのか?
詳細は不明だが。またもやC.V.様が冒険者ギルドに、多大な利益をもたらすのは確実であり。
ユングウィルも、闘技場の賭博利権に食い込みたかったが・・・・それをほざく度胸などなく。
現状、美麗なC.V.女性たちとデートを重ね、流される日々をすごしていた。
『消火の水を打つ、熱気の炎 小さな清浄にして、欲望の室
糧をもたらす釜戸の焔は、灰に眠り、煙に映り
虹焔の命脈と共に日々を数える ヘスティアゲーム!!』
『魔術師侍女』を名乗るC.V.嬢が『呪文?』を唱え唄う。同時に台所の各所・調理器具が、『魔術の光』を帯びていき。
その中をフリス嬢が迅速に動き、複数の料理を作っていく。
〔手伝おうか?〕
そんなやる気のない声掛けをする、余地など欠片もない。見たことのない調理技術は、素人のお手伝いを事実上、拒絶しており。
同時にユングウィルは〔男子厨房に立たず〕の主義を投げ捨てたくなる。
そんな熱気をフリス嬢は放ち続け。
ユングウィルは彼女が御馳走を作っていく姿を、呆然と見続けるしかなかった。
そうして、わずかばかりの時間が過ぎ。
「できました・・どうぞ、お召し上がりください、ご主人様!」
「おおっ!これは旨そうだ・・・・・」
「「「「「・・-・:…;・」」」」」
ここが冒険者ギルドの酒場でなければ…
恨みがましい目で見る観衆がいなければ・・・
〔借家の台所では狭いですね…御馳走を作れる広い場所を借りましょう〕と、告げたフリス嬢の提案を断っていたら。
ユングウィルは知人・同僚に敵視される、こんな肩身の狭い思いをしないで済んだのだろうか?
〔見せつけやがって…〕〔自慢かっ、自慢したくてこんなっ⁉〕
〔前から、ユングゥは気に食わない奴と思っていたっ・*・〕
知人の冒険者はともかく、同僚のギルドスタッフとの関係が現在進行形で破壊されている。
この状況を打開する策は、一つしかないが。
〔美味しそう、旨そうだ、ウマいに決まっている!!〕
スープ、前菜、サラダと主役の肉料理。
匂いのハーモニーだけで、高レベルな味を確信させる。
ここ数日の暮らしで、ユングウィルはフリスの料理する腕前を思い知ったが。
本日、この時、この場で作られた料理は、ユングウィルの胃袋を完全に獲りにきており。
〔また作ってもらえば、いいだろう。ミンナにもわけてやる!〕などと、いう気にユングウィルは全くなれない。
そもそもギルド施設の調理場を借りる手続き、許可に、賃貸料金を払っているのだ。後ろ指を指されるのは不条理で、不当であり。
マスターとして、フリス嬢が作った御馳走を一人で堪能することに、何らやましいことはないわけだが。
「・・‥^~^・」
「ぐくっ…・;・;あ~ーちょっとこれからする提案を聞いてくれれば、この料理をみんなにふるまってもいいんだが・・・」
〔料理が報酬で、依頼を受けるなんてことは、しないよな?〕
「「「「「「「「「「・・‘-`・~^」」」」」」」」」」
そんなユングウィルの本当の願いは、一切受け入れられることなく。
不本意極まりない、料理外交?依頼交渉が始まった。
世の中に無敵の存在などいない。
正面から戦えば強者でも、毒・奇襲で弱点をつけば、魔女とて仕留めるのはたやすい。
〔そもそも奴らはプライドが高く、律儀に『契約』を守る愚か者だ〕
人質を使えば、ソレを守ろうと動揺し、隙をさらす。そしてヒトを操る手段は、金・酒・麻薬に洗脳と、いくらでもあり。
ザファスたち誘拐専門のシーフたちは、その手練手管で何人ものC.V.たちを狩ってきた。
〔そろそろ『駒』はそろった。またそいつらを使って、魔女C.V.たちに思い知らせてくれる〕
とはいえ『人質』が有効な善良魔女は限られており。戦争屋の”凶悪魔女”に対し、安易に手を出すのはリスクを伴う。
加えて時、場所など『人質』が有効打になる、『状況・舞台』の選別は必須だ。
可能ならば計画を推し進めている”魔女”を狙い、”C.V.勢力”に最大限の痛打を与えたい。
〔そのためには何よりも情報がいる。
”貧民・冒険者”どもに探りを入れた、報告はまだか‼〕
口先だけのメイドC.V.が、お人よしな”博愛主義者”なのは、調べがついている。
手始めに、その”アマ”から汚し尽くし、人質の連鎖で・・・
「…っ!!」
思案を巡らせていたザファスの耳に、扉をたたくことによる『符丁』が響く。
その瞬間、ザファスは気配を探り。扉をノックした者以外の奴がいないか、敵の尾行がないか、感知を行い。
「誰だ…」
「デックでさぁ・・・”奴”ら動き出し始めましたんで、その報告を・・・」
「よし、入れ…」
ザファスの言葉に従いデックが口を開く。そうして”魔女”に破滅をもたらす、『情報』を伝えようと試み。
『奴ら…冒険者どころかスラm^ォ』
「…チィっ⁉」
赤銅色の『炎』が吐き出される。
魔物のブレスのような『ソレ』を発したのは、情報収集を担う部下だったモノであり。みるみるうちに赤色に染まったデックがニンゲン大の松明と化す。
〔魔女めがっ・・・やってくれる〕
胸中で悪態をつきながらも、ザファスは頬がゆるみそうになるのを抑える。
〔ついに”魔女”が尻尾を出した。ヒトを無惨に焼き殺す『邪法』を使ったぞ!〕
この情報を利用し、悪評を流せば。
お人好しな”魔女”も、偽善の綱渡りから転落する。必死に積み上げた信頼は、砕け崩れる”砂山”も同然であり。
”魔女”の恩恵を受けていたモノたちは、共倒れになるか。手のひら返し”魔女”を破滅させる尖兵と化すのか?
いずれにしろザファスが『誘拐』を仕掛ける、好機が訪れたのは確実であり。
『おい、Daレcカ、火*Nぁ:・+ーーー
「・・・頭っ⁉」「なっ、なぁ、何Gぁァァァーー*」
「「「ヒィ…-―ぎィ*e」」」
自らの惨状も、各アジトの惨劇も認識することなく。
ザファスは勝利を確信しながら、火ダルマとなって狂笑をあげ続けた。
それから数日が過ぎ去り。
『おっバカな、おっバカな”とっうぞく”さん!
くっちさっきだ~けっの二っ枚舌^~^ー
あっしがおーそくて、逃っげられず~
わ~なっはおっさがり、サールのっ真似~^ー^~
恥ずかしく無いの? ワタシなァら、はっずい~`ー
だけどおバカな貴ィ族に似てきた、鼠賊は貪る、ルーー』
さびれたスラム街に『呪い歌』が響く。
正確には”盗賊ギルド”のメンバーを除く、大半の住人が引っ越した貧民区画に、シーフの尊厳を嘲笑う『魔術能力』が発せられ。
「いたぞっ‼こっちだ・・」「囲めっ!逃がすなぁ・・;」
「「「・・;・*・…ッ」」」「殺ス…コロしTぇYy`や~;⁺・ー」
シーフの尊厳を心の底から貶める。炎熱C.V.班すら眉をひそめる、歌詞を『唄う』メイガスメイドを、くたびれた”シーフ”たちが取り囲む。
連中は”誘拐”に関連する”脅迫・人身売買”で、富と影響力を持ち。
ほんの数日前まで、巧妙にシグルスの街に潜り込み、”作戦計画”を遂行する機会をうかがっていたのだが。
「うっわ、ダサッ!」
「「「「「「「「「「・・…;*・`・」」」」」」」」」」
主に頭頂についた『焦げ目』は、”シーフ”たちの潜入活動を不可能にして。
わずか数日で濁った瞳は、普通の疲労以外で消耗したことを、如実に表し。
もっとも”誘拐”によって、組織・複数の家族単位で生き血をすすってきた。善良C.V.の誠実さを踏みにじって、”なぶり殺し”にしてきた。
そんな”賊”たちの醜態など、フルルにとって三流以下の見世物でしかなく。
「だけどインテリ気取りの”賊”には、よくお似合い…」
「覚悟しろ、魔女が!!その減らず口を、叩けなくしてやるっ・`・‘・」
「おおっ⁉何も考えてない頭目が生きているなんてっ!
よっぽど人材がいないのねw^・^~」
「・・・この”魔女”を捕らえろ!!」
こうしてフルルによる殲滅は、仕上げに入った。
ネタバレ説明:『ヘスティアゲーム』について
C.V.が人間文明に対し、”飯テロ”を仕掛けるための『魔導能力』であり。
本来は武装に『付与』を行う術式を、『台所・調理器具・食器・食堂』など全般にかけ。
温度・食材の変化を、『透視・熱感知・解析』など、多岐にわたる『感知能力』によって把握する。
『薪で釜戸の火力を調整している』と、いうレベルな『人間の食文化』に対し。『錬金術』『食事療法』に各大陸の食文化のいいとこどりを行って、標的の胃袋をつかむのを目的とした。
『多重婚』の障害を、『食事外交?』によって粉砕することを目的とした、『魔導能力』が『ヘスティアゲーム』です。
そのためC.V.集団・パーティーで、少なくないC.V.が会得しており。アレンジ・使用条件も多岐にわたります。
ちなみにフリスの『ヘスティアゲーム』は劣化コピーにすぎず。
とはいえ火属性の下位C.V.フリスと『釜戸女神の魔導』は、とても相性がよく。加えて混成都市ウァーテルの近隣は、焼いた肉料理が一番の御馳走な、料理文化の地域であり。
やり過ぎて『御馳走は、もう嫌だ』と、いう状況に陥らない限り。
『ヘスティアゲーム』の飯テロは猛威をふるうでしょう。
ちなみに火属性のフリスが得意とするのは釜戸を『結界器』と化し。
電熱、遠赤外線、通常の火という三種類の『熱』を操る。『火工』をメインとした料理が、得意ですが。
シャドウ一族が編み出した『焦げやすい肉・食材を、耐熱術式で保護する』という技法を、技術交流で習得し。さらに『鍋・蒸し器』の中にある、食材の『熱感知』まで可能です。
『火属性だから火術しか使えない』という制限は、『ヘスティアゲーム』の調理において、ほとんど適用されません。
冷蔵庫のように、『熱量』を移動させて冷やすことにも対応し。一番苦手な包丁さばきは、弱めの『身体強化』を使う、容赦のなさです。
もっともフリスに飯テロの趣味はなく。酒場をつぶしたり、料理人の職を奪う気はありません。
ただ必要な時・場所で【御主人様】の胃袋を掌握する、オモいを料理にこめるだけであり。
『御馳走には、もうあきた』などと、いう献立を作らないよう、しっかり計画をたてています。
以上、フリスによる『ヘスティアゲーム』のネタバレ説明でした。
そんな風にマイナー化している『エジプトのスフィンクス』ですが。
個人的に『古代中東のスフィンクス』こそ、ファンタジーのネタになると愚考します。無論、古代シュメール~バビロニアの『スフィンクス』なので、エジプト風の頭巾をかぶっておらず。
『翼の生えたライオン像』という外見が、古代中東の『スフィンクス』だそうです。
その姿は『虎に翼』ならぬ、『獅子に翼』であり。人面の不気味さもなく、幻獣・守護神獣にふさわしい。
〔もう古代メソポタミア地方の『スフィンクス』をオリジナルにしていいのでは?〕と、すら思ってしまいますが。
王が最高司祭を兼ねるような、古代の『宗教』政治を考え。
古代の『地中海で遭難していた』と、いう『旅の危険性』を考えると。
メソポタミア?・エジプトにギリシャの三地域で、『守護獣』になっていた。旅で遭難するリスクが高い、古代世界で広い地域に伝播した『スフィンクス』は重要な神獣であり。
「神話ゼロとか、『ギザのスフィンクス』だけとか・・・ちょっとひどくない?」と、思うのです。