閑話~衛兵の表裏
『双頭犬』『双頭獣?』について考えるにあたって。子供である『ネメアの獅子』『ギリシャ神話のスフィンクス』は外せない重要な要素です。
そのうち、どちらか一つを重視するなら。
『大英雄ヘラクレスに退治された』と、いうつながりのある『ネメアの獅子』だと愚考します。あるいは〔『半島』・『島』にそれぞれ棲んで、『海』のつながりがある〕と、いうべきでしょうか。
正直、検索するまで『ネメア』の場所など知らなかった。
白状すると〔獅子が住んでいるなら、『ネメア』は『アフリカ北岸』古代の地名かな~〕と、いうぐらい。〔穴があったら入りたい〕と、いうレベルで考察が足りませんでしたけど。
ギリシャの玄関口とでも言うべき、重要地が『ネメア半島』であり。
〔酔狂で『重要地の獅子』と、名づけられたわけではない〕
〔できれば『ヘラクレス』『獅子座』の神話で、ほんの少しでも教えて欲しかった〕と、いうように。
『ネメア』を検索して、色々と考えてしまいます。
衛兵の仕事。それは危険で理不尽なものだ。
『街の治安を守る』と、いう仕事が建前上定められているが。衛兵の身分・武力で、そんな事を行うのは自殺行為であり。
〔ケンカを仲裁・制止することが、最も治安に貢献している〕
〔権力に従い、賊の武力に近づかず、スラムは放置する〕
〔余所者が罪を犯したら、取り締まる〕
大まかに、これらが衛兵の役割であり。
『逃げ足の遅い奴』『派手に犯罪をやり過ぎた奴』を、取り締まれば貴重な思い出になる。
〔街の治安を守るセイギの衛兵だ〕と、誇っていい。
それが『盗賊ギルド』及び『ギルドの傀儡貴族』が支配する、シグルスの街におけるルールであり。衛兵を辞めれば、困窮してスラム街に行くことすらある。
それがドノヴァたち下っ端衛兵の実情だったのだが。
『焦熱動床!』
『連火烈弾』×2
『H・;~Hィ`ーH;…・~』
スラムの地面を『灼熱の炎』が焼いていき。『火玉の雨』が二方向から、雨あられと放たれる。
それに対し魔女C.V.と『亡霊の鎧』が、青白い魔力の光を放ち。ソレにはじかれ『火炎・火石』が、あちこち跳ね返り、スラムの住居にふりそそぐ。
本来なら”大火事”になる、災厄の始まりなのだが。
「「「「・‘・`・ー・」」」」
どういうわけか”火災”は発生せず。代わりに魔術の戦いは、より激しいものと化していく。
『炎熱耐性』
「フリスっ!」「了解よ・・・」
『ビートバルカン!!』×2
恐怖に打ち震える衛兵たちの眼前で、『火石』の乱舞が激しさを増す。
壁を削り、地面をえぐり、景色を朱色に染める。それらの元凶は、ドノヴァたちに死を予感させ。
今までなら速やかに戦略的、撤退をすべき状況なのだが。
「どうした?とっとと衛兵として、なすべきことをするがいい。
肉壁になるか、魔女様の魔術に身をさらして”トウトい犠牲”になるか?
無論、私の装備に身を固め。
『惨めに、勇ましく、勝利に必要な犠牲となるのもいだろう』」
「(…ヒィ;!;!!)」「待って、‥待って…;・」「ウワァーー~;!!」
逃げる兵を殺し、戦闘を強いる”督戦隊”とは、こんな感じなのだろうか?
ドノヴァたちの背後から、怖気の走る風が吹く。
背後にたたずむ一見、細身のオンナから殺気が放たれ。
今まで『マジックアイテム』に触れたこともない衛兵たちが、何故か『魔力』を認識すると。
『『『シャGィッ●∖:∕●アぁァァー‐―ー!!』』』
「「「ヤメッ…」」」
衛兵の貧弱な防具から『怪光』が発せられる。昏い七色を発する鎧の一部に『竜角鬼』の頭が描かれ。革だった装甲が、木製へと変えられていき。
「イヤだぁー;~-」「とって・*外してx*;…」「ヤぁ;*;ー*」
喉笛に『カマキリ刃』をつきつけられたに等しい。『”戦奴”への枷』がドノヴァたち、半泣きする衛兵の身体へ強制装着させられる。
この状況で逆らうのは論外であり。『マンティスガジェット』を付けられた者は、逃亡・尻込みすら許されない。
なぜなら術者の桐恵様が〔気に入らない〕と、考えた瞬間に『竜角鬼』は巨大化して装着者を切り刻む。
『竜角鬼と模擬戦をする冒険者は、楽園に住んでいる』と、断言できる。
そんな”生き地獄”を装着者に味あわせることを、桐江様は躊躇しない。
ドノヴァたちは、そのことを骨身にしみており。
「目標!スラム街の秩序を乱すC.V.様・・・衛兵の意地にかけて、突撃を開始するがいい」
「「「サー、イエッサー;!;」」」
こうしてドノヴァたちの過酷な戦いが始まった。
世の中とは理不尽であり、人間はワガママなものだ。
シャドウ一族の桐恵は戦場?に生き、弱者を殺戮してきた。”シーフ”の大半と比べても、凶悪な殺人狂であり。
自分には〔”正義”を語る資格など、欠片もない〕と、確信をもって断言できる。
悪党たちも桐恵にだけは〔秩序がどうの…〕などと、言われたくないだろう。
「さあ、衛兵ども…”汚職”の罪を償うため、命をかけて戦えっ!」
「「「ヒィーーー!!」」」
それなのに桐恵は枷の形をとった『竜角鬼』を使い、賄賂をもらっていた衛兵たちを”戦争奴隷”あつかいしていた。
それは〔汚職役人を断罪している〕と、しか見えない光景であり。
いくら”山賊”とはいえ”大量虐殺”を繰り返してきた、桐恵にとって恥ずべき所業だった。
〔殺人狂の”重罪人”が、軽犯罪の『衛兵』を虐待し、死兵になることを強制している。おぞましい光景、以外の何物でもないな〕
「戦争奴隷っ⁉貴様たちは、こんなモノを使っているのか‼」
「・・・知らないわ。だけど味方してくれるなら、見捨てるわけにはいかない…
『ファイアーウィル!』」
『ファイアーウィル!』×2
「うぉおおーーー!」「やってやるっ!」「あったけぇ・・;」
スラム街で『魔術』をふるい暴れるC.V.が、驚愕の視線を向け。
炎熱C.V.のフレイシアたちが、飛び出てきた衛兵たちに『身体強化の付与』をかける。
下位C.V.の少ない魔力量を考えれば悪手だが。衛兵たちは爪の先ほどの感謝を、C.V.たちにいだいただろうか?
「もっとオレに『魔術』をかけてくれ!これじゃ足りない」
「わかったわ…『インフェルノレベリオン』!」
「考えがある。まずはあんたらの魔術で足止めしてくれ!」
「えぇーー・-」
「衛兵のオレを信じてくれ!街のことなら任せろ」
「・・・わかりました。フルルっ!」
汚職衛兵どもと炎熱C.V.3人が陣形を整え。急造のパーティーながら、連携をとろうとしている。
それは強大な黒霊騎士団のC.V.様に、一矢報いる勇者たちのようだった。
『・:ー・:ー・:ー・』×3
〔ほー~…〕
もっとも『枷の竜角鬼』を制御している桐恵は、衛兵たちの『心音』を把握しており。
熱いセリフとは裏腹な、規則正しい”ウソツキ”の『脈拍』を聞き取る。
それと同時に桐恵の胸中に、抑えていた感情がわきあがった。
〔ワイロをもらっていた汚れのくせに…
”シーフ”に内通して、善人を食い物にしていた裏切者がぁ・・・
血税に群がる寄生虫ごときっ●:/●//〕
”少しぐらい臨時収入がなければ、暮らしていけない”と、いう下級役人がいるのは、桐恵とて承知している。
しかしこの世は『ワイロの不文律が絶対に順守される、閉ざされた箱庭』などではなく。
”犯罪ギルド”から暴君が率いる侵略帝国まで、様々な脅威が存在する。他勢力・多文化が入り混じった世界であり。
『連中が一回でもワイロを利用して、諜報活動を行い、略奪暴行を為したら。
貴様ら衛兵どもの首で、償いになると思っているのか?』
「「「ヒィ;ーp!?」」」
「これはっ⁉」「フレイシアっ…」
「落ち着きなさい!今は(まだ)味方よ・・・」
炎熱C.V.たちを黒霊騎士のC.V.に押し付けようとした。救援をするふりして、逃亡を試みようとしていた、不届き者たちに桐恵は殺気をたたきつける。
同時に冒険者ギルドの訓練場で戯れさせていた、雑兵の『竜角鬼』ではなく。
大事な家族の護衛につかせる、『竜角鬼』の凶悪版を作成し。
〔最後の機会だ…死ぬ気で戦え‼〕
「「「ヴワァーーーー*ー‼」」」
『フレイムバイザーsetup●ー●ブレイズカノン!』×2
「・・-・『バーンスライダー』…複数展開!」
こうしてスラム街の魔術戦闘は、激しさを増していった。
『ヘラクレスの十二の試練』において、最初に討伐されたのが『ネメアの獅子』であり。
『こん棒でたたいたら、こん棒が壊れた。そのためヘラクレスは獅子をつかんで絞め殺した』と、いうのが『ヘラクレスの獅子退治』のあらすじです。
子供・・・というか、ついさっきまで〔ヘラクレスの腕力はすごいな!怪物の力を行使する英霊は、もっと獅子座の力を使っても・・・〕と、まあ勝手な妄想をしていましたけど。
『重要地ネメアの獅子』を退治した。ギリシャ神話が『勢力・文化』を登場キャラクターにしたと考えると。
『ヘラクレスによるネメアの獅子退治』は『人喰いライオンを退治した』と、いう神話ではなく。
『ギリシャ(ローマ?)勢力が、ギリシャの玄関口を支配した』という伝承になってしまう。『ネメアを支配して、漁業・貿易の利権を得た』と、いう歴史解釈になってしまい。
神話的にも『ギリシャの玄関口を押さえて、ヘラクレスは各地に冒険ができるようになった』と、いう感じになり。
『アルゴー船』『トロイア戦争』など、『船を使う神話の礎を築いた』という解釈もできなくはない。
『ネメア』というギリシャの玄関口を押さえた。『ヘラクレス』は『ギリシャの国』に多大な利益をもたらした、『大英雄』だと思うのです。