閑話~魔王の黒霊騎士~C.V.の魔力感知
平安~戦国時代までの『僧侶』は武力を持っていました。利権・財力があり、様々な外交を行い、知識を独占しているに等しい。
強大な勢力だったと推測します。
ただし戦国時代の末期に、それらの大半は武家に奪われてしまい。
特に『薬草・医術の知識がある忍者』が医者になってしまうと。これまで通用していた”迷信治療”が暴かれたあげく。
〔坊主は寺の中で、学問『だけ』をしていろ〕と、いう『寺社の法度』に縛られ。”迷信治療”の失態をばん回することもできない。諸藩は国替え、取り潰しされるため、後ろ盾として当てにできず。大半の寺社は幕府に従属するしかなくなり。
こうして寺社の勢力は、弱体化していったと愚考します。
戦争種族であるカオスヴァルキリーは、ヒトの権力者たちにとって、極めてあつかいが難しい勢力だ。
ヒトが一生どころか、世代を重ねて築いた権力を、一夜で滅ぼす『様々な術』を使用できる。
同時にヒトの文明を守り、邪神・邪竜の類を殲滅する軍事力・『魔術能力』を行使する、戦女神でもあり。
C.V.との距離感を見誤る。ある【事情】により、一時的にC.V.勢力が弱体化しても。浅はかな”闇討ち”など仕掛ければ、後日に容赦ない報復が行われる。
それが”盗賊ギルド”が殲滅され、混成都市ウァーテルが築かれた理由の一つであり。
「そういうわけで、私は『契約』した国・貴族の領地で、行動に制限が課されます。無論、『デッドリーノヴァ』のような城壁を崩す『魔術能力』も、『契約』によって使用条件がさだめられていますわ」
「・・・-・?」「・・-:・・+・:・-・」「・:・ッl!」
一定以上の戦闘力を持つ6級以上のC.V.は、権力者と『契約』して、その能力使用に制限をかけられ。加えて『怪物暴走』『邪神の降臨』などから、人類文明を守る義務を課せられる。
その代わり権力者たちは、上位C.V.に最大限の配慮をせねばならず。
〔基本的に優先されるのは、C.V.側の『法規』であり。状況によって、上位C.V.の意向に、ヒトの権力者は臨機応変に対応する必要がある〕と、いう有様です。
強者がC.V.勢力側であり、命がけで『凶悪モンスター』と戦うのも戦闘型C.V.となれば。圧力外交・身分差による『特権』に執着する。
そんな”権力の亡者”から、C.V.たちはとやかく言われる筋合いなどなく。
現実問題として〔英雄が都合良く、危機に対抗するため訪れる〕などという、奇跡を当てにできない。そんな愚考・愚行の二重をすれば、屍山血河ができてしまうというのが、この世界の現実であり。
まともな権力者なら、C.V.との外交は細心の注意を払い、誠実一択と考える。
「ですが私たちC.V.は『神』でも、都合の良い『聖女様』でもありません。
行動を阻害されれば、力をふるいますし。知らなくて、失敗することもありますわ」
〔そして、その被害を受けるのは、知識弱者・説明を怠ったヒトになります〕
「何でっ…ただ〔冒険者に交渉を行った〕だけなのに‼」
「何様のつもりよぉ…」
「家と派閥に多大な利益をもたらすのだっ!それは将来的には全体の利益に…」
色々と人間側にも主張は、おありでしょうけど。
【魔王様】にはべる、側室で黒霊騎士のシャルミナとしては〔侮られるくらいなら、恐れられたほうがいい〕と、いう強硬策で動いており。
「間違っても、騒々しい小者に、侮られるなど許されません。ナイキス!」
「御前に」
「将軍C.V.シャルミナ・ヴァイ・ローウェルとして命じます。
有象無象にC.V.の威を示しなさい」
「・・・よろしいのですか?
奴らとの『決闘』はフレイシア殿たちが、先に計画したものですが・・・」
配下の騎士が、下位C.V.たちへの懸念を口にするも。
「彼女たちには、相応の対価を支払いますわ。
それに仮にも話し合いの場で、『バーストウォール』はやりすぎです。
高位貴族に”契約を結んだ”のは私たちですし、文句は言わせません」
「かしこまりました。
8級闇属性C.V.ナイキス・ハノーヴァ、ご下命に従い黒霊騎士団の『威』を示してご覧にいれます」
こうして『決闘』の名を借りた、見せしめの儀式が始まった。
「勝敗は戦う前から、始まっている!既に『強化付与』をかけ、光属性の武具を携えた我らに、暗黒騎士がかなうとでも…」
『眼甲の暗闇』
「「「ぬ、なぁっ!?」」」「目がっ!」「「見えない!;⁉」」
決闘の開始、早々にナイキスの『術式』が、対戦相手たちの視覚を封じる。
一瞬で戦闘力を奪ったナイキスだが、『対抗術式』・降参の声は聞こえず。
仕方なく、ナイキスは決闘?を継続した。
「おのれ卑怯なっ!」「決闘の美学というm‘*;‼」「見えなぁ;+*ーー」
C.V.の種族特徴として、単一属性しか使えない者は、髪の色に属性の『色』が表れる。『黒灰』の髪を伸ばし黒霊騎士団に属する、ナイキスが『闇属性』なのは明らかだが。
「『魔力』の質・波長を診れば、戦闘パターンをある程度は推測できるのだけど・・・」
多少『魔力量』を隠しても、『魔力の質』を観察すれば、戦闘手段を察することはできる。
『魔力』の軽重によって、速さ・パワーのどちらを重視しているか。攻撃重視する者は、『魔力』を放出する傾向があり。逆に防御型は『魔力』を抑えても、盾・鎧をまとうような重量感がある。
他にも感覚器・足運びや言動と、『魔力の質』が合致してない者は、実力者で隠し玉を持っている等々。
『魔力の質』と立ち居振る舞いから、読み取れる『情報』は多く。
シャルミナ様をサポートする業務があり。訓練・実戦に時間をかけられず、魔力の『練り』が甘い。文官よりのナイキスが搦め手の『バイザーシェード』を使うぐらい、察してほしいものだが。
「こんなとこでっ…終わってたまr*・;!・」
強めの一撃を放ち、ナイキスは決闘相手の最後の一人を戦闘不能に陥らせ。
「審判・ー・」
「ッ!・?勝者・・C.V.ナイキス殿❕」
「この者たちを片付けたら、すぐに次の相手をするわ。
だけど、同じパターンで勝つのも味気ないし・・・『盲目化』の対策はできないでしょうから、今回の決闘で『バイザーシェード』は使用禁止にしましょう」
「‥⁉‘・・では、そのようにー~‥」
審判を促し、ナイキスは決闘を進行させていく。
人数・ヒトの派閥争いから三組に分けて、決闘を行うことになり。
C.V.側としても実力差を見せつけるために、三連戦を受け入れたのだけど。
「あまり魔術師協会をなめないでもらおう。我らにも意地がある!」
「「「「・・・:-:・」」」」
ナイキスの眼前に『肉壁』が作られ、その向こうで魔術師が挑発を行ってくる。
C.V.の様々な攻撃を『肉壁』に押し付け、受け止めさせ。
魔術師たちは安全な後方から、『魔術』を詠唱するという作戦なのでしょううけど。
「焼き尽くせ!『ファイアークライム』」
「・・・‘・」
魔術師たちの『攻撃術式』を、ナイキスは余裕をもってかわす。放物線を描き『前衛』を飛び越える『術式』を、人間の術者が使うのは珍しいけれど。
『魔力』を感知するC.V.のナイキスにとっては〔これから、こういう攻撃をしますので、よろしく〕と、宣言されているに等しく。
「やるなっ・・C.V.よ!だが、これは防げまい」〔『バイパーチェイン…~』〕
『肉壁』に姿を隠し。声高な呼びかけで注意をひき、『詠唱』の声を隠蔽したいのでしょうけど。
C.V.の魔力感知は『五感+α』によって、行われるため。『魔力』を帯びた壁・声でなければ、遮蔽物にはなりえず。ナイキスは見透かしている『束縛術式』に、余裕をもって対応し。
「無駄だっ!必中の『魔術』からは逃れられ・⁉・?」
「そうでもないわ」
秘技・極大の『魔術』ならともかく、隠蔽⁇できる程度の『魔術』で必中など不可能だ。必中モドキがせいぜいであり。
『〔必中だぞっ!〕と、いう催眠暗示をかけて。その後、本命の術かける』
『何らかの制約をかけて、命中率を高める』
必中魔術と誤認させる手段は、これら二つが主流だが。
「少しだけ、貸します」
「なぁ・・・何故っ⁉」
短いやり取りと交錯して、『魔力の鎖』がナイキスの持つ『鞘』に絡みつく。
必中モドキを成立させる、三つ目の手段として『必中?目印+本命の魔術』と、いう『複合術式』を唱える技法があり。これを使えばかなりの『追尾性能』を、『術式』に付加できる。
もっともナイキスどころか、決闘を見物しているC.V.たち全員が、『必中目印』を認識しており。
その『必中目印』を受け止めた『鞘』を、腰から切り離し。引かれていく『魔力の鎖』を追うように、ナイキスは間合いをつめ。
「ー/:////ー/!」
「「「「・*;^~・」」」」
魔力を帯びたサーベルで、前衛たちの持つ『大盾』を切り裂いた。
どの人間も微量ながら『魔力』を持っており。ナイキスの『感知』で、それらを精密・即座に見透かすことはできないけど。
〔固まって『壁役』『詠唱』のみに、注力していれば。私の『感知』でも、魔力の揺らぎから動作の『起こり』を見通せる〕
付け加えるなら微弱な『付与』によって、敵の装備に『鑑定モドキ』を行うことも可能であり。三流以下な達人の技、C.V.製の剣と相まって、派手に大盾を切り裂くことも可能だ。
そうして肉壁の役を果たせなくなった、前衛たちにナイキスは剣をつきつけ。
「降参するか、否か?」
「参りましたっ!」「「降参します!;!」」「ああっ・・ひぃ⁉」
「くぐっ・・・おのれ、まだ勝負は…」
『・:-デュラハンゲーム』
「「「「「ギャa-―-‐-―!*!」」」」」
『魔力』を五感で『感知』する。
それは往生際の悪い対戦相手が浪費して、放出し、訓練場に漂わせた。
その『魔力』を感知して利用し、ナイキスの『魔導能力』を、容易に発動させることも可能としてしまい。
「勝者・・ナイキス殿!!」
〔残り、一戦・・・〕
無双には遠いが、小隊規模の戦力を圧倒できる。
『魔力の感知』は、その程度の戦闘力を8級C.V.のナイキスにもたらしていた。
命が軽く、医者・薬屋も少ない。そんな戦国時代なら〔お坊様に治療してもらえるだけ、ありがたい〕と、いうことになった。医療ミスをしても、寺社の威光で何とかできたでしょうけど。
平和な江戸時代になると〔ヤブ医者坊主に高いお礼を払うくらいなら、高い薬を購入したほうがよかった〕と、なってしまい。江戸時代の治安・捜査能力から推測すると、あまりひどい医者は『不幸な事故』にあって、儚くなってしまうかもしれず。
弱体化した寺社では『不幸な事故』を防げない。『キリシタン』をあぶり出す、『宗門改』によって、檀家は安定していますけど。同時に『信者を増やして、勢力を拡大する』と、いうのは『寺社の法度』で取り締まられてしまう。
そして寺院・神社の維持管理を行うのも、わずかな例外を除き、少数の寺男と坊さん自身で行わねばならず。
施療と僧侶業務の二足わらじは、不可能ということになり。『僧医』は消えていったと愚考します。