閑話~仮面舞踏モドキの表裏:トラップマンティス
僧兵・山法師に由来する『武具・お祓い道具』を聞いたことがない。数珠を持ってお経を唱える坊さんの『昔話』は、きいたことがありますけど。500年以上も続いた僧兵に、『名持ちの武具』や逸話がないのは不自然であり。
情報の操作・抹消を疑ってしまいます。まあ証拠がない以上、陰謀論は”中傷”になりますから。あくまで妄想するだけですけど。
だから江戸時代に施行された『寺社の法度』が不可解なのも、あくまで妄想話と考えてください。
『豊臣秀吉』のあたりから、寺社の勢力は弱まっている感じですけど。江戸幕府が寺社を統制するための『法律』を作り。その後、寺社勢力が表立って武家に逆らうことはなくなった・・・と愚考します。
しかし単なる『法度・法律』で寺社を統制できるなら苦労しない。とっくの昔に鎌倉・室町幕府が行っているでしょう。
加えて迷信深い時代、諸国の藩は独自の信仰・宗教文化を持っているわけであり。『寺社への法度』は、そんな各藩の文化に干渉することを意味しており。
〔もっと反発があってもいいのでは?〕と、愚考するのですが。反乱らしきものはなく、『寺社への法度』が施行されたのは、不可解だと思うのです。
炎熱C.V.チームの一員、フラミア様とユングウィルはデートをする。
断じて『お見合い』ではないし、多重婚への『婚約』まっしぐらでもない。
ただちょっぴりチーム副官として、フラミア様の愛が深く。妹分なメンバーへのお土産選び・改造と利用計画が、少しばかり長引いたけど。
〔訓練場の問題を解決するため。至急、集まるように〕と、シャルミナ様に呼び出され。
その移動中に〔簡単に解決できる〕と、ユングウィルは言ってしまった。
「仮面舞踏会・・・ですか?」
「まあ正確には仮面『武闘会』なんだが」
「・・・愚弄しています?」
首をかしげるフラミア様、伝令と連行役を兼ねるナイキス様のお二人に対して、ユングウィルは自らの計画を説明する。
「端的に言えば『仮面』をつけた冒険者・『魔造生物』やC.V.様たちに、訓練相手を務めてもらう。
『仮面』に加えフード・仮装した鎧で正体を隠し。『疑似モンスター』と化した者たちに、訓練相手になってもらう。
それがワタシの提示する訓練計画です」
〔必要は発明の源泉〕と、言うが。
冒険者たちが求める『訓練』とは、『冒険でモンスターと戦える力を得る』こと。もしくは『冒険で遭遇する未知に、対抗する練習』を、することであり。
得難い経験ではあるものの、『竜角鬼』『攻撃魔術』によって、試し撃ちにされることでは断じてない。
「ですから『仮面』などで正体を隠した、未知の訓練相手を用意する。
同時に訓練に参加した冒険者の『手の内』・敗北した光景を隠す。そのために参加者にも仮面・防具などで正体を隠してもらい。
訓練場で敗れた姿をさらすのは、『疑似モンスター』であり。
ある程度の自信をもち、〔姿をさらしてもかまわない〕と、考えた訓練参加者だけに、素顔をさらしてもらう」
「なるほど・・~・」
「ふむ・-・」
ユングウィルの話を聞いた、C.V.様お二人はしばらく考えをめぐらし。
まず最初に口を開いたのはフラミア様だった。
「ユング!計画しているのは、それだけですか?」
「いや・・訓練計画が軌道に乗ったら、冒険者たちとも相談して、改良し続けていく・・・とはいえ、初期の計画は、もう少しあり。
『仮面・仮装』に重し・感覚の阻害をつけて、不利な状況での訓練を想定したり。
冒険者に『モンスター仮装』をしてもらい。その『疑似モンスター』の中に入っている、冒険者にも様々な体験をしてもらう。なんならややこしいことは考えず、うっ憤晴らしに『仮装』してもらうのも、有りだと思っている」
いくつかフラミア様が求める、『計画予定』をユングウィルは話し。
それに対し彼女はいちいちうなづき、『魔術』・炎熱C.V.メンバーの支援を提案してくる。
そんな風に『未定の計画』を応援・肯定してくれるのは、ユングウィルのやる気を増大させ。
同時に肉食獣の圧・熱気が放出されるのを感じた。
無論、そんなやり取りが長く続くはずもなく。
「しかしユングウィル殿!『仮面』や仮装の鎧・フードを用意する予算など、あるのですか?」
軽騎兵の装備をまとった、ナイキス様が水を向けてくる。
そのお説はごもっともであり。ギルド職員としては〔継続的に成果を出して、予算を出してもらう〕と、しか言いようがないのだが。
そんなユングウィルを援護すべく、フラミア様が口を開き。
「だったら・‘ッ」
「まあ‼❕この程度のことなど、ユングウィル殿は理解しており。
だから訓練場で初歩の『防御』訓練をさせていた。いずれ状況の推移を見据え、段階を踏んで『訓練内容』を充実させていく。
その智謀、妖精霊騎士のC.V.ナイキスとして、称賛に値すると考えます」
「・・:+~・・ッ」
「・・・ありがとうございます」
〔称賛の言葉と並行して、狩人の視線を感じてしまう〕と、思うのはユングウィルの気のせいではないだろう。
それはフラミア様も同意見のようであり、眼光に警戒心が含まれ。
「このような秀でた『ご提案』は、速やかにシャルミナ様にお伝えしないと。
『狭間を走り 境界を越え 異邦を征する、悪路の戦輪よ
矢じりを眠らせ、刀槍を夜陰に納め 走破の車輪を疾く回せ
ポーターホイール!!』」
ナイキス様が『詠唱』を行う。その呪文が完成する前に、妖精霊騎士様の影が伸び、闇が広がり。
『ポーターホイール』の宣言が終わる前に、『闇色の馬車』がユングウィルたちを呑み込んで、疾走を開始していた。
「これがうわさに聞く『デュラハンチャリオット』・・・・・」
「『新たな術理』をご教授いただいた、最新型です。
ユングウィル殿が望むならば、戦場を駆ける『戦車』にもなりましょう」
「・・-;+`・」
フラミア様とナイキス様の二人が、何かやり取りをかわしている。
そんなことを考えているうちに、ユングウィルの意識は馬車?の闇に呑み込まれていった。
『仮面をつけて、訓練している冒険者の正体を隠す』
『竜角鬼・冒険者やC.V.様がフードをかぶって、疑似モンスターと化し。それらと戦闘訓練を行い、手の内がわからない未知の存在と戦う訓練をする』
その方法を言うだけなら造作もないことだが。訓練中に事故が起きないよう、入念な準備が必要であり。
〔ある程度、防御の訓練をした者。防御の技量がある者にしか、『疑似モンスター』との訓練はできない〕と、いう布告が出され。
「へっ、やってられるか!」「実戦こそ、最高の修行だろう!」
「上を目指すなら、手札を隠さないと・・・」
そういう反発は少なからずあったものの。
〔『疑似モンスター』役を務めて、訓練に協力してくれた者には、高額の報酬を出しましょう〕
〔高額の報酬などでは足りませんわ。私が訓練で使っている『竜鱗鎧』から、ウロコをむしって提供しましょう〕
〔〔〔絶対におやめください!〕〕〕
〔仕方ありませんね。
では・・・『仮面の冒険者』vs『疑似モンスター』という興行を行う。
『闘技場』モドキを開いて、賭け試合を行うのはいかがでしょう?〕
〔〔〔・・‘・`・〕〕〕
〔・・・(貴女は黒霊騎士ですよね?)〕
〔私はあくまで魔王様の側室にすぎませんわ。
ただ仮にもC.V.の将軍として、戦場の外でのことも考える。それを可能とする最低限の教育を受けているだけですわ〕
〔〔〔・・・-・~・・〕〕〕
配下の三人組C.V.の視線を無視して、シャルミナ様の企画立案は続き
〔大金を賭けたり、ギャンブル中毒になるのは困りますけど。
スラム住民や引退する冒険者たちに、最低限の雇用を提供したり。高額な報酬を得た冒険者に、闘技場?で賭けてもらい、『富』を還元する。負傷したり、装備を破損した冒険者に、安い利子で貸し付けを行う。もちろん祝い事があれば、ささやかな宴を開くのもいいでしょう。
ユングウィル殿の『ご提案』は、それらの『資金』を稼ぐのに、良い計画だと思います〕
〔あの~、ワタシはそれ程の『提案』など、しておりませんので・・・〕
〔黒霊騎士の私が『提案』しても、夢物語にしかなりません。
ここは『素敵な提案』をなさった、冒険者ギルドのスタッフ殿が責任者になるべきですわ〕
一体、どなたが戦闘担当なのだろう。怒濤の展開についていけず、ユングウィルは左側に視線を向けた。
〔・・・・ッ〕〔・+・-・:・〕〔・・・-・:・・〕
ならばと炎熱C.V.5人に救援を求めるも、3名の反応は左側と同様であり。
〔〔・・~・+・、・・~・-・〕〕
C.V.メイド二人の期待する視線を避けるべく、ユングウウィルは救援を断念する。
そもそもユングウィルが提案したのは、あくまで『仮面・仮装をして、正体不明な相手と戦う、訓練を行う』だけであり。
闘技場の賭博利権とか、雇用とか、冒険者の支援とか。想定を超えて、彼方に飛んでいく『企画』になど、関わりたくないのだが。
〔大丈夫ですわ。既に賭博場を経営している、”盗賊ギルド”の皆さんがバカな事をしないかぎり。
こんな計画が、実行されることはないでしょう〕
〔・・・・・--・〕
こうしてユングウィルのオーバーワークが確定し。
こういうやり取りによって、反対意見は程なく沈黙していった。
「ケケッ、冒険者ふぜいが貴族様の仮面をつけられると、思っているのか?」
「『フード』をまとう時は、『罠』が仕掛けられてないか確認しろー^~」
「盗賊ギルドの逆襲はここから始まる。まず手始めに・・・-・」
『ドラゴンホーン・・ホーントラップ・・・トラップマンティス!!!』
「「「ギャGァ*・//*;;;ーー/ー/ーーッ」」」
不用意に『仮面』・フードの保管庫に忍び込んだ連中は、待ち伏せしていた『竜角鬼』たちに、手指を切り刻まれ。
「バカなっ!?『罠』には充分、警戒してい/gー・`*//`-」
脚を狩られ、次々と捕らえられていく。
「このォo*\~*!!」「やmェ/|/|/*|/*|」「ヒィっ-・-●\:/●』
ちなみに訓練用の『妖樹鎌切)』と異なり。『残酷罠の竜角鬼』には、カマキリ本来の機能が多く組み込まれている。
そのためこの場合の『捕らえる』と、いうのはカマキリが獲物を捕食する『前段階』をさす。
トゲが連なるノコギリ刃で肉を割き、カマキリの前肢ではさんでから。両の前肢で獲物の身体をねじり、圧をかける。
『曲刀』をふるうカマキリの怪亜人にはできない、やろうと思わない。
本来の『カマキリ』が捕食前に行う下ごしらえが、人間のもろい肌を血まみれにして、ひしゃげさせ。
「こいつ等は使いっ走りの”捨て駒”にすぎない。しっかり元を絶たないと」
桐恵の新しい相方の言葉で、その暴虐は止められた。
「わかっている・・香奈穂の『符術』で貪るがいい」
「・・・ええ、好きに利用させてもらうわ」
「「「「「ッ*:*-~;y--!!」」」」」
こうしてまた”盗賊ギルド”に、『暴虐の連鎖』が襲いかかることが確定した。
ネタバレ説明:『トラップマンティス』について
『妖樹』と触媒を合成して、中級シャドウの桐恵が製造する。
妖樹とカマキリのキメラ?魔造生物である、『竜角鬼』をアレンジしたものの一つが『トラップマンティス』です。
端的に言うと『悪魔像』『自在箱』のように、待ち伏せを行う『竜角鬼』であり。姿をさらす『ミミック』『ガーゴイル』と異なり、いくつか『隠行』を使って待ち伏せを行う、『竜角鬼』です。
その方法は大まかに3種類あり。
1)保護色で、景色にまぎれる。材料に『妖樹』を使っているためか、林・草原での『隠行』を得意とする。
2)虫サイズの小さな『竜角鬼』を、物陰・地中などに隠す。小さいサイズを活かして、虫のように隠れる。サイズは小さくても、製造時の魔力・使用した材料によって『魔改造』されてるものもある。
3)上記の小さな『竜角鬼』を警報代わりにして。保管庫などから離れたところに隠した、人間サイズの『竜角鬼』を呼び出させる。
なお警報は侵入者に聞こえる『警笛』ではなく。桐恵の姉である、霧葉が生成する『霊糸』をつなぎ、振動・鳴動によって侵入者の存在を伝える。
これら3種類の方法を、状況にあわせて使用します。
『拝み虫』の別名がある通り。カマキリの狩りは『待ち伏せ』によって、行われることが多く。カマキリ型である『竜角鬼』の身体構造を活かして、待ち伏せする。それが『マンティストラップ』の運用方法です。
なお『罠』の名前がついていますが。『トラップマンティス』の実態は『人食い宝箱』に近く。どんな腕ききの盗賊でも、『ミミック』『悪魔像』の迎撃を解除できないように。『トラップマンティス』の目から逃れ、やり過ごすのは困難であり。
まして『トラップ』の名称を信じ。〔『罠の仕掛け』を解除しよう〕などと、考えて挑むと。不適切な接触によって、いつまで経っても『トラップマンティス』の犠牲者は減らないでしょう。
以上、『トラップマンティス』のネタバレ説明でした。
一応、『関ヶ原の戦い』における論功行賞によって、国替え・領地の没収が行われ。その有様を見て『寺社が幕府に逆らっても、勝ち目などない』と、考えたり。寺社の後ろ盾になるはずの大名・武家が〔『国替え』の混乱によって、寺社を守ってくれそうもない〕と、判断した。
そのため『寺社の法度』を受け入れ〔寺社は江戸幕府に降伏した〕と、考えますけど。
もう一つ考えられるのは、戦国時代と比べ、寺社勢力がかなり弱体化した。『楽市楽座』などによって利権を奪われたり。関所がなくなり、僧侶以外も諸国を移動できるようになった。教育・文化水準が上がり、武家も交渉・外交を行うようになった。
寺社勢力が弱体化する理由は、いくらでもありますけど。その理由に『医術』が関連していると、私は愚考します。