閑話~C.V.フラミアとのお見合い
薬草知識のある忍者たちが、尊敬されてない。戦国~江戸時代の医師が貴重な時代に、薬師に近い忍者が蔑まれている。これが不可解な点の一つであり。
もう一つ不自然な点は『刀狩り』で、寺社の武装が没収されたこと。江戸時代に寺社が『法度』によって、統制されたことです。
〔江戸時代に取り潰された大名家が、武力で抵抗した〕と、いう記録がないことを考えれば。〔各地の寺社が、強大な幕府に逆らえるわけない〕と、断言したくなりますけど。
寺社ゆかりの霊験あらたかな『薙刀・錫杖』の話を聞かない。五百年以上もの歴史があった、『僧兵』たちがふるう『武具・刀剣』の逸話を聞かない。
〔だいぶ不自然だな~〕と、思うのです。
炎熱C.V.チームの一員であるフラミア様。少し背が高く、ドレスをまとった姿は美しく。彼女と結婚できるなら、たいていの男は歓喜するだろう。
小国とはいえ、貴族階級に圧力をかけて、『男爵位』を購入したり。
『火炎魔術』を素振り感覚で、使用したり。
そして炎熱C.V.チームの多重婚を行う相手として、ユングウィルを査定している。チームメンバーの大まかな能力を明かして、ユングウィルの反応を観察している。
〔これで『婚約』が成立しなかったら、口封じに消されるじゃないのか?〕と、いう破滅の予感が無ければ、ユングウィルも気楽にお見合いを楽しめるのだが。
小間物屋・服飾店に『手料理作り』と。
デートの予定を聞き、ユングウィルは何だか一生分の冒険をした気分になった。
〔まあ、あれこれ考えても仕方がない〕
そう考えたユングウィルは炎熱C.V.で女男爵の位を持つフラミア様を、小間物屋の一つに案内した。
「・・・お土産ですか?」
「ええ、フラミア様はお仲間のことを、大変気にかけているご様子ですから。
この店で、小間物などを選んではいかがでしょう」
正直言って、ユングウィルは炎熱C.V.様たちの能力を説明されても、理解が及ばない。
〔『バーンスライダー』はこういう『魔術能力』です〕と、目の前で実演されて。ようやく顔と『魔術?』が一致するかどうか。その運用方法・使用者の性格を連想するなど、不可能に決まっている。
〔そういうわけですから。私と貴女の二人で、デートを楽しみましょう〕
〔・・●-・〕
冒険者ギルドの職員と見合いする人間の令嬢相手なら、これがおそらく正解かもしれないが。
最初からハーレムを望む女魔術士にとって〔仲間を忘れて、私たちだけで仲良くなりましょう〕と、解釈される言動は、悪印象を与えかねず。
かと言って二流冒険者にすぎない、ユングウィルが生兵法で『魔術?』の話をしても。〔『デザイン』を全く理解できてない〕と、いう化けの皮がはがれるだけであり。
〔今日はお見合いだ・・・文字通り様子見に徹して、失点をふせぐぞ!〕と、いう考えのもとユングウィルはデートコースを踏破すると決めていた。
「下位C.V.たちが、ヒトの店で小間物を選ぶ・・・確かに面白い体験ですね」
そう告げるフラミア様は姉として、優しい目をしており。
「この棚の一列と、赤色系のリボンを全部もらえるかしら」
「・`・毎度ありがとうございます!」
「・・・^・;」
一瞬で〔男性がデートの資金を出すもの〕と、いうプライドを打ち砕いた。
「支払いと配達代は、(私が)金貨で支払うわ。釣りは・・・」
「お待ちください!そういう買い物をされては、困ります」
「「・・・・・・^・^」」
間違いなく〔釣りはいらない〕と、言いかけたフラミア様を押しとどめ。
ユングウィルは『貴族が買い物をするときは、店の者を呼びつける』と、いうことを丁寧に説明し。
〔ここは男の自分が払うべき〕と、いう説明を始めようとして。フラミア様の『目』が笑っていることに気付いた。
「高級娼婦よりは『お金』のかからない『逢い引き』をするつもりだけど。それでも私たち5人分のデート代は、それなりにかかる。
(殿方がデート代を支払うのは)あきらめて、私に任せなさい」
「くぐっ・・」
フラミア様の言葉に、ユングウィルは危うく、うなづきそうになるも。
〔これから五人もの妻たちに、尻に敷かれる未来を避けるため。
可能なかぎり、デート相手にたかるヒモ男になりたくない〕と、いう本音を隠しつつデートを成功させるのが、ユングウィルの至上命題であり。
「ご安心ください。こんなこともあろうかと・・・・・」
「あら、オレンジ色のリボンもあるのね。『紅玉』はいまいちだけど、フリスが『付与術式』の練習に使うでしょうし・・・」
〔野郎の『体感時間・メンタル』からすると、女性の『お買い物』は壮大な計画に基づいており。そのお買い物を乱すことなど、立場の弱いユングウィルに許されることではない。
むしろ、これをチャンスにして、他の炎熱C.V.様の重要情報を入手するべきだろう〕と、ユングウィルも頭では理解している。
〔長時間・大量の買い物をしたから、その支払いは女性持ちにしてください〕と、告げてもフラミア様が機嫌を損ねることは、無いはずだ。
そう考えたユングウィルは覚悟を決めて、フラミア様の『お買い物』につきあい続け。
「ソロソロお腹がすいてキタから移動シマショウ」
「・・・・・ッ!?あら、もうこんな時間に・・・私としたことが・・`」
「お買い上げっ!ありがとう;ございます-^~」
こうして奥向きのことを担当する、フラミア様とのデート前半が終了し。
あくまで時間の都合により、服飾店への訪問はキャンセルされ。
ウワサに聞いた『耐熱付与』を肉塊にかけながら焼く、絶品ステーキを食べ。
しがない冒険者ギルドの職員では、一生味わえない美酒?を味わい。
〔もう、このまま昼寝を楽しんでいいんじゃないだろうか〕と、ユングウィルが思い始めた時に、ソレはやって来た。
「・・ー・何の用かしら?現在、(ハーレムを形成するための)デート中と知っての来訪かしら」
「無粋な乱入をしたことを、まずは詫びよう。
だが8級闇属性C.V.ナイキスとして、シャルミナ様のご命令を伝える。
チームに所属するフラミア及び、統括者の有力候補であるユングウィル殿。
〔両名は訓練場の問題を解決するために至急、集まるように!〕とのお達しである」
こうして夜まで続くはずだった、逢瀬は延期となり。二人は冒険者ギルドの訓練場で起こった、問題についてC.V.の伝令役から聞きつつ、件の冒険者ギルドに向かい。
ユングウィルは、取り返しのつかない過ちを犯してしまった。
「なぁんだ・・・それなら簡単に解決できる。
予定通りに、訓練計画を進めればいいだけじゃないか」
「「・・・そうなのですか?」」
「ああ。訓練の様子を確認して、成功の目処を立ててから、実行する予定だったんだが・・・『仮面舞踏会』を開けばいい。まずは・・・」
この不用意な発言により、ユングウィルの『安寧』は崩壊することが確定した。
素人知識で申し訳ありませんけど。キリスト教なら『天使・聖者に由来する遺物・武具』と、いうのがいくつかあり。日本昔話だと『坊さんが経を唱えて、妖怪を調伏した』と、いう一神教の『エクソシスト』みたいな伝承があります。
それなのに『僧兵・山法師』がふるった『武具』の話は聞いたことがない。現代、各地で祀られている『刀剣』は〔武家が由来で、貴族も少し?〕と、いう感じであり。
宗教家にとって、尊い御山・寺社を守ったはずの『武具』が見当たらない。それどころか『僧兵の武具』にまつわる昔話も聞かない。
信仰に命をかける人々が、『刀狩り』に抵抗したり。『尊い武具』を隠匿して、江戸幕府が滅びてから、世に出してもいいと思うのですが。
処刑されたり、隠れて信仰した『キリシタン』と比べ。
『法度・刀狩り』にあっさり従った、寺社は不自然であり。
いくつか歴史ネタを妄想してしまいます。