閑話~炎熱C.V.との関係
『 アポロン×アルテミスの双子神は島を産所にして誕生した』
ギリシャ神話の常として、この産所となった『島』には、いくつかバリエーションがあり。『浮島』『デロス島』『新しくできた島』など数種類があります。
そして同時に共通している、重要事項もあり。それは『双子神の誕生には、海神ポセイドンが協力した』と、いうことです。
海は『海神ポセイドン』の領域ですが。同時に海に囲われ、海産物を得て暮らす『島』も『ポセイドン』の領地であり。
海洋貿易が盛んだった『クレタ島』、ギリシャ軍に略奪された『トロイア』など。『島』や港のある『沿岸部』で、『海神ポセイドン』は信仰されており。
『島』で産まれた『アポロンとアルテミス』も、『海神ポセイドン』とつながりがあると愚考します。
冒険者ギルドの『訓練場』が有効活用されるようになり。
フレイシアたちC.V.勢力が放つ、『火属性攻撃魔術』を体験して、少しでも冒険者が『魔術に馴れる訓練』を行うようになってから。
しばらくが過ぎ、騎士・魔術師や“盗賊ギルド”など各勢力が、難癖をつけてくる。連中に何らかの形で買収されたり、結びつきのある、不良冒険者が言いがかりをつけてきて。
C.V.勢力たちと冒険者ギルドの窓口になっている、交渉担当を侮辱されて、火属性下位C.V.が暴発してしまう。そうして野蛮な『決闘』の勝敗で、全てを決めることになってしまったのだが。
「ユングウィル様は、お忙しいようですね」
「おかげさまで・・・・・」「・:・`・」「・・・~・ッ」
「ご心配なさらずとも。戯れ言に、いちいち目くじらは立てません。まして決闘騒ぎなど、もってのほかです」
「「「・・・・+・」」」
先日、わずかなつぶやきに、過敏な反応をして決闘騒ぎを起こし。冒険者ギルドを巻き込んで、各勢力と諍いを起こした。
そんな説得力ゼロなC.V.フレイシアに対し、冒険者ギルドの面々は冷たい視線を送ってくる。
〔もっと穏便な手段はなかったのか?〕
〔冒険者どうしならともかく、騎士階級と争うなんて・・・〕
〔少しばかり強いからと言って、いい気になるな!〕
そんな不満の視線を送ってくる、ギルドスタッフの心情も理解できるが。
フレイシアが率いる炎熱C.V.班にも都合があり。決闘騒ぎは彼女たちにとって、必要なことだった。
そもそも女系種族C.V.は、次代を産み育む目的のために、人間世界に来訪する。
そうして気に入った男性(ほぼ人間)と関係を持ち、ハーレムを築くことも珍しくないが。
戦争種族C.V.として、脳天気にお花畑なハーレムを築くわけではなく。
政略・恋愛感情や次世代の育成を考えつつ。ハーレムの維持・運営や現世利益についても考慮して、多重婚を行う。
男性の思想・状況から計算して、受け入れられるハーレムの人数を割り出し。公私を支える夫婦関係から、愛妾・一夜妻まで様々な関係を模索しつつも。
〔男性を成長させて、ハーレムの『枠』を増やしましょう〕
〔彼の単純なステータスは低いけど、○●C.V.との相性が良いわ!!〕
〔このハーレムには問題がある!私も参加して、問題解決をしましょう〕
経済・多方面の技術や『魔術能力』に交渉をからめ。多角的な戦争種族C.V.の手練手管を活かし、ハーレムの『例外枠』を作り、ねじ込むわけですが。
〔どう考えても、藤次様のハーレムに参加できる、初期人数を超過している。貴女たちは、別の人間をハーレムの主人にしなさい〕
〔〔〔〔〔・・・●・:〕〕〕〕〕
戦闘力に秀で、甲斐性があり。C.V.にとって重要な『魔術能力』の成長・アレンジを指導してくださる。人間女性で言うところの『好物件』な、殿方が主人となるハーレムの門は狭くきつく。
〔そもそも私たち女性を差し置いて、ハーレムを作るなんて・・・〕
〔なめられたものねぇ〕
〔あいにく”一夜妻”などという、浮ついたハナシは困るのよ〕
彼女たちを差し置いて〔側室におさまる〕と、いう無謀な戦いは禁じられており。戦略眼のある軍師C.V.からも〔損害が甚大になるため、シャドウ一族へのハーレム工作は、絶対に禁じる〕と、厳命されてしまい。
フレイシアたち下位の兵卒C.V.は、従来どおり冒険者ギルドで『お相手』を探すことになったのだけど。
〔”盗賊ギルド”とのつながりが無いこと。この条件さえ満たしていれば、高望みはやめましょう〕
〔〔〔〔異議無し!〕〕〕〕
こうしてフレイシアたちは『訓練』に協力しつつ、『旦那様』を探し求め。
〔夫婦生活を送るなら、C.V.を怖がらないお調子者がいいでしょう〕
〔・・・・・〕
〔・・リーダーの決定に従いますわ〕
〔まあ、少し鍛えれば許容範囲になるかしら・・・〕
〔・・-・~・:・・〕
少しもめたものの、C.V.班の同意も得られ。
フレイシアたちはユングウィル様の地位を高めるため、いくつか工作を仕掛けており。
”つぶやき”に怒った後で、『4人同時に壁を破壊して突入した』のも、偶然などではなく。
他勢力にC.V.が侮られないよう、脅しも込めて同時の壁破壊を行って見せ。
〔侮辱に怒り、報復に『魔術』を使う。そんなフレイシアたちの手綱を握れるのは、ユングウィル様だけだと知りなさい〕
こういうアピールを狙って、先日の件を半ば意図的に引き起こした。『侮辱』がなければ、別の手段でユングウィル様の点数稼ぎを行ったのだけど。
「・・・誰か来たわね」
「「「「・・ッ!」」」」
索敵担当のフラウラの一言で、フレイシアたちは即座に臨戦態勢をとる。
そうして隠れる気の無い、強力な上位C.V.の存在を、全員が感知させられた。
ユングゥ・ソレイストという男がいた。
ソレイスト子爵が戯れに、産ませた庶子であり。そんな彼が最初に受けた教育は、『読み書き』などではなく。
貴族からは”卑しい血の流れる半端物”と、蔑まれ。平民からは”日頃の鬱憤をぶつけていいエセ貴族”と、見られている。
迫害される『ハーフエルフ』と同様に、ユングゥは混血児としてつまはじきにされ。貴族と平民の両者から、敵視される存在であり。
〔実力を示して、貴族の末端に食い込むか。素性を隠して、漂泊者として生きるか?〕
英雄の器では無い、ユングゥは速やかに決断しなければならず。
迷ったユングゥが選んだのは、冒険者『ギルド』に潜り込むこと。ギルドスタッフとして働きつつ、実家の子爵家に冒険者の情報を流す。そんな『潜入密偵』になることだったのだが。
〔実家と縁を切るか、無惨に殺されるか?今すぐ選びなさい〕
〔〔〔・・ー*・ッ〕〕〕〔全員、貴女様に服従いたします!〕
若者の時点で決断をするハメになった、その経験が活きたのか?ロクに密偵として成果をあげていなくて、ブラフを仕掛けられたのか。
いずれにしろユングゥはとっさに返答を行い。多少の立場こそ違えど、同類のスタッフをまとめ、C.V.勢力の下僕となったのだが。
〔どうして、こんなことになったのだろう・・ー・〕
ユングゥの名を完全に捨て去り、ユングウィル・ソレイストの名と貴族籍を与えられ。
『貴族の代理人』として冒険者ギルドの外交を担うようになった、ユングウィルは胸中で首をかしげる。
〔下位C.V.たちに『訓練場』で魔術を撃たせる。面倒を見てやってくれ〕
〔〔〔〔〔よろしく、お願いします!〕〕〕〕〕
〔こちらこそよろしく〕
そんな初対面から始まり、ユングウィルはフレイシアが率いる炎熱C.V.たちに、関わることになったのだが。
『連火烈弾!』×5
〔ちょっと、待て~-ーい!・!!〕
『訓練用の魔術』を目の当たりにして、ユングウィルは制止の大声をあげることになる。
〔どうかしました?〕
〔そんな『攻撃魔術』を放ったら、冒険者たちが大ケガをする。
もっと手加減して威力を弱めてください!!〕
〔〔えぇっーー!?〕〕〔こんな、子供の放つ『火弾』でっ!?〕
〔・・・そんなに驚くことはないわ。『あの手』を使えば、問題は解決する〕
戦争種族を名乗るC.V.様たち。彼女たちは、あらゆる分野の戦い・競争において、他種族を圧倒するとのことだが。
大半の人間にとって、C.V.様は『魔術を行使する種族』であり。その実力・文明と『認識』の差は、普通に凡人を抹殺する。
『文化の認識違い』と言うには物騒すぎる、『事実』をユングウィルは知ることになり。
〔ッ! ̄*・;^gYァベっ・・・〕
〔ああっ!?『耐火術式』をかけたのに、どうしてっ・・・〕
〔反省は後よ・・・急いで衛生兵を呼んでっ!〕
〔冒険者ギルドにメディックなど、いるはずないでしょう〕
〔〔ちょっとッ・~ー!;?〕〕
身をもって『隔絶した魔術文明?』を、心身に刻むことになり。
〔攻撃魔術を体験して馴れる『訓練』開始まで、時間がないわ・・・〕
〔〔シクシク;・+;〕〕
〔こうなったら近接戦闘を交えて、時間稼ぎをして・・・〕
〔やっぱり『レジストファイア』をアレンジしましょう。訓練魔術として・訓練場だけで使うという『誓約』をかけて、術式を強化すれば・・●・^〕
色々なことがあった。ほんの短い期間に、ユングウィルは一生分の火傷を負い、生傷は絶えることなく。死の予感を感じた回数など、数えたくもないが。
〔・・;・わかっている。オレに『レジストファイア』をかけて、効果を確かめろ〕
〔〔〔〔〔ありがとう、ユングウィル!〕〕〕〕〕
『バルカン』と『レジストファイア』を一組の術式としてあつかう・・・という『誓約』も課し。ようやく『訓練場で使う専用の魔術』が完成したときに、ユングウィルは自分の人生を幻視していたが。
〔今回も生き延びた・・・そしてオレはもっと出世してみせる!!〕
〔それなら私たちの指揮官になりませんか?〕
〔いいぞ。このオレに任せておけ!!〕
〔〔〔〔〔・・^~^ッ・●ー●〕〕〕〕〕
この時、ユングウィルは何をしたか、何を宣言したか理解しておらず。全容を把握した時には、完全に包囲網が完成した後だった。
『箱に詰められ、海に流された姫が、島に漂着し。ペルセウスを産んだ』
『愛人を殺し。神獣を石化して、生贄を奪ったにもかかわらず、ペルセウスは海神の神罰を一切受けていない』
こんな『ペルセウス星座』の神話と同様に。『アルテミス×アポロン』双子神の誕生には、『海神ポセイドン』が関わっていると推測します。
そもそも海洋国家の人々にとって、太陽は海から昇り、沈むものであり。『多芸神=様々な文化』も、海上貿易に伴う異文化交流によって、持ち込まれた物は少なくないでしょう。
加えて『月神アルテミス』は、『ポセイドン』の息子である『半神オリオン』に好意をいだいていました。
『ポセイドン』と『オリオン』は、別の神格であり。ハーレムを築いていた『ポセイドン』は、『父神ゼウス』と同様に、『処女神アルテミス』にとって好ましくない相手だったと思いますが。
それでも『狩人オリオン』に流れる『ポセイドン』の血は、『月神アルテミス』にとって評価の一つになったと愚考します。
そもそもどんな『島』で『双子神』が誕生しようと。周りの海が穏やかでなければ、『母神レト』は『島』に上陸すらできないわけで。『母女神』を大事にする『アルテミス×アポロン』にとって、『海神ポセイドン』はつながりの深い神格だと推測します。
少なくとも、ほったらかしにしている『実の父親』よりは!!敬愛しているのではないでしょうか?