閑話~冒険者ギルドの表裏
『アポロン神』が弓矢を放つ神話。それは日本ではマイナー神話だと愚考します。
数十年前の日本に伝わっている『アポロン神』は、そもそも弓矢など持っておらず。主に『竪琴』を所持していました。
昨今だと『デルポイの予言所・神託所を守護する『大地の大蛇』を、弓矢で射殺す』と、いう『絵』を見かけるようになった、程度であり。私の知るかぎり『ピュートーンを弓矢で射殺した』と、いう具体的な神話は聞いたことが無く。
『アポロン神の武具は弓矢だから、大蛇退治も弓矢で行った・・・はず』と、いう。作者のイメージ・想像によって描かれた『絵』があるのみ。
『神話』の定義を『古代から伝わった神々の伝承』とするならば。『アポロン神のピュートーン退治』は、『アポロン神が弓矢を射た』と、いう神話ではないと愚考します。
『冒険者ギルド』というものがある。
探索・魔物退治を生業とする、冒険者たちの組合・・・・・ということになっているが。実態は国家・各ギルドに都合のいい”私兵・傭兵”を斡旋する、傀儡ギルドという側面もあり。
実際、冒険を成功させて、多大な功績をあげても。それで得た富・財宝の大半は、大商人によって買いたたかれ。
王侯貴族の初代より、大きな偉業を成し遂げても。それが正当に評価され、出世につながる確率は極めて低く。“ねたまれ、疎まれ、罠に嵌められるコトが大半をしめる”と、いうのが実情であり。
その現実を知り、打ちのめされ。即物的で、性根の歪んだ冒険者が一定数、発生する。
そして冒険者ギルドは、それに対し有効な対策を取らない。“その状況”を必死に解決しようとする、熱意は皆無に近く。
”不良冒険者”たちが、権力争いの“駒”となり。冒険者だったときより実入りのいい、お山の大将になる者は少なくなかった
「それでは、これから依頼を提示します」
「「「オオォーーー!」」」
冒険者ギルドの朝。掲示板に冒険者への依頼書が、貼り付けられ。それを冒険者たちがとって、依頼を受けていく。
定番の光景だが、そこにかつての喧騒・混雑はない。
〔たまには、別の依頼を受けてみるか〕
〔仲間が休んでいるから、個人で活動できる依頼を受けよう〕
〔昔みたいに、依頼書の取り合いは無いのか・・・〕
『依頼書』の取り合い、奪いあい。かつて毎朝のように行われたソレは昨今、珍しいモノとなっている。
〔依頼書を確保する時点から、冒険は始まっている〕と、いう意見もあるだろう。
しかしヒトを使い”依頼書を奪うだけ”と、いう冒険者が幅をきかせる。
実力・相性の悪い高額報酬の依頼を受けた、冒険者がクエストを失敗させるだけにとどまらず。怪物に血の味を覚えさせたり。周囲にまで被害を広げたあげく、それを隠蔽するため濡れ衣を着せる。
〔それらの”凶行”を防ぐため。依頼の受注は、ギルドスタッフが調整します〕と、いうことになり。
掲示板に貼られる依頼というのは、難易度が低く。だれが受けて、失敗しても損害が小さい。
〔自由を愛する冒険者のため。掲示板には自由に受けられる、依頼をはっておきましょう〕と、いう『思いやり』だったり。
〔難しい依頼ですけど、ギルドはその依頼を冒険者に斡旋しています〕と、いう姿勢をとるため。
〔一応、掲示板には依頼書を貼っておきます〕と、いうかつての掲示板が残滓となっている。
そもそも冒険者ギルドの改革で、忙しいスタッフたちは『残滓』を気にしている場合ではない。
なお冒険者ギルドの改革は以下の通りであり。
1)依頼料の『分割払い』による、報酬額・依頼する者の大幅な増加
2)『分割払い』に伴う報酬の多様化、及びそれに伴う『利権・交渉』の複雑化
3)冒険者たちの訓練・移動や資料集めなどを、ギルドでサポートする
4)冒険者たちの心身を、【健康的】にケアする各種サービスの提供
これらを行うことで、ギルドスタッフの給料・待遇も大幅にアップしていき。
「先輩っ、センパイー・~」
「泣いてるヒマがあるなら、手を動かしなさい。
ここでは速読・速記術は必須スキルよ!`!それらを会得すればっ!」
〔ウソだっ・・並列思考とか予測演算とかも、必要なんだっ・;!〕
「おうおう、カワイイ新人だな~。優しいオレ様が*`・/-!?」
「受付嬢に、おさわりは禁止ですよ^+^」
「ぴっ!;?」
「スミマセンでしたぁーーー」
ほんの少しちょっぴりだけ、野蛮暴力的になっているけど。
世界全体に『視野』を広げれば。
悲劇は減って、平和になったと言えなくもない。
それがC.V.様の勢力と『契約』して、服従することだとしても。
受付嬢をモノとしか見てない〔”連中”の片棒をかつぐよりも100倍マシだ〕と、断言できた。
「ほらほら、怯えているヒマなどないわ。
故郷の家族に確実に仕送りをするのでしょう?仕事が終われば高級甘味・混成酒が待っている。化粧品を得ても、側室の座は限られているわよ」
「負けない、マけてない、負けられないっ!:!」
今日も冒険者ギルドは平和だった。
『報酬の分割払い』によって、依頼の報酬・件数が莫大に増加する。
それは『莫大な利権』の発生であり。有象無象の欲望を人死にが出るレベルで、刺激するのと同義であった。
その結果、下はボス猿から上は暗君まで。
様々な連中が難癖をつけ、甘い汁を吸おうと群がり。
『ドラゴンホーン・・』
「「「/-`*!;?」」」
『ホーンマンティス・・・』
「「「「ギg`-///*!?」」」」
『マンティスタワー!:!!』
「ま、待/*tッ*」「う、腕ガぁ`ー///`-」
「「「ギャァーg`+;//」」」
『竜角鬼』を操るということになっている。女性シャドウの桐恵によって、強行手段に出る、連中の戦力は殲滅されていた。
『巨木妖樹?』と『蟷螂』が合成されたような怪物が、桐恵の『詠唱』によって出現し。
「ひ//るむ*+`なっ!っ!?」「術者さ//え仕Tめ*ばっぅ」
「「「「「ひぃっ!?*:/」」」」」
その足下で、桐恵がふるう『鎌切刀』が、連中を惨殺していった。
『鎌切刀』の尖端が刺し、『鎌腕』がはさみ、獲物の全身をたたきつけ、切断していく。『カマキリ』の亜怪人・キメラを、はるかに圧倒する暴威がふるわれ。
『妖樹の鎌切』が動く前に、屍山血河が築かれていき。
「グくっ・・何故だっ・・どうして冒険者どもを守るためにキサマ等が出張ってくる!?ナゼだぁー^-!!」
『マンティスソーン・・ソーンリッパー・・・リッパーグレイヴ!!』
『術式』を発動しつつ、桐恵は凶刃を振るう手を休めない。
命運を左右する『情報』をのぞき見すれば、『命』で払ってもらう。尊厳を守りたければ、『精神干渉』に抗う必要がある。
それらと同様に、戦場で『おしゃべり』をしたければ、相応の実力・器用さが必須であり。
桐恵はそのモットーを語ることなく、私兵たちを蹂躙し続けた。
殲滅者である桐恵は、小難しい『仕組み』など理解していない。
命令に従って殺戮を行う『鎌切刀』も同然の存在だ。
とはいえ冒険者、及び冒険者ギルドが改善していき。
その結果、大きな利益を得るべきは、【まっとうに】働いている者たちであり。
その次に『改善』に大きく貢献した、C.V.様とシャドウ一族が対価を受けるべきだ。
間違っても声だけが、大きい”寄生虫”にくれてやる養分など無いし。二重基準で”他人の生き血をすする”連中など、この機会に抹殺すべき対象でしかない。
それに弓兵シャドウが正体を現した以上、仲良く霧葉と山賊狩りをしている場合ではなくなった。
そうして桐恵は標的の集団を、全滅の一歩手前まで惨殺していき。
「そこまでよ、桐恵!『符術:妖犬牙』」
「・・・ッ」
「ふっ・・!」
空中に放たれた『呪符』をはじく。
その隙に標的の生き残りは、死力をつくして逃走していき。
「どういうつもりかしら、香奈穂?」
「それは、こっちのセリフよ桐恵」
新しい相棒?と相対した。
『アポロン神が確実に弓矢を射た』と、言える神話。
それは『母親の女神レトを侮辱した、女性の子供たちを弓矢で射殺した』と、いう神話であり。単に『アポロン 神話』で検索しても出てこない。
〔絵画になっている、その神話を載せないのは、何故ですか?〕と、尋ねたい。
神話の資料が、不確かなのか。それとも『アポロン神』の評判を落とすから、載せないのか?
理由は不明であり。邪推はロクな事にならないので、ノーコメントにさせていただきます。
ただし『神サマ』が神具を使って、人間に制裁を加えるのは、珍しい神話であり。
『神の威光』を示すなら、呪い・天変地異のほうが、派手でインパクトを与えられる。
女神アルテミスの『猟犬座』にまつわる、『鹿に変えられた猟師』の神話や。『戦女神アテナ』の『クモに変えられたアラクネ』の神話など。他にも地形を変えたり、疫病をばらまいたり、非業の運命を操るなど。
『神の怒り』を示す、恐ろしい神話は、枚挙に暇がありませんけど。
〔それらと比べて、神具の弓矢で射殺すのは、珍しい神話なのでは?〕と、思うのです。