閑話~お祭りの表裏
子供の時に読んだ『黒馬物語』には、『騎馬・馬車馬』たちの過酷なエピソードがありますが。
〔それらを合わせた、チャリオットをひく馬たちは、最も過酷なんだろうな〕と、いう確信に至り。
〔やはり『女神フレイヤの猫がひく戦車』は、娯楽のファンタジーにふさわしくない〕と、いう結論を出さざるをえません。
とはいえなんちゃって考古学?にとっては、面白い題材です。
現代の平和な国にとって『猫』はペットですが。中世の『猫』はネズミを狩る、家のガーディアンであり。『飢え』“重税”による、生死を分かつ守護神です。
『ネズミ』は歯を削るため、建材をかじり、家屋の寿命を縮めますが。それよりシャレにならないのが、『穀物』の蓄えを貪ること。
“重税を課す役人”が難癖をつける、チャンスをもたらす。“ネズミがかじった穀物など、税として認められない。追加の税を課す!”と、いう残酷話が始まりかねず。
その元凶となる『ネズミ』を狩る、『ネコ』は大事にされた。『猫がひく戦車』を所有する、『美神フレイヤ』も人気があったと推測します。
混成都市ウァーテルにある、スラム街の近くに元侍女シャドウの羽矢弥は拠点を作り。
そこから様々な干渉を行って、スラム街を解体していく。
その一環として『上下水道』の拡張を行い、住民に雇用をもたらし。さらに当座の資金を稼ぐため、『催し』を企画した。
「これより『上下水道』の進捗達成の祭典を開催します。
皆さん、日頃の疲れを癒やすため、大いに飲食を楽しんでください」
「「「「「オーーーっ!」」」」」「「わ^ー^い」」
「「「食うぞーーー!」」」「「ばんざいっ、バンザーイ!!」」
「「「「「・・・ー^ー;ーーっ」」」」」
羽矢弥の行ったこと。それは〔上下水道の工事がうまくいっている〕と、いう建前で『祭り』を開催する。
工事に参加して汗を流している、(スラム?)住人たちを(特別あつかいして)ねぎらう『祭り』を開き。市街地の住民たちを『祭り』に引き寄せ、『金』を落とさせる。
スラムの住民たちに、祭りの露店で商売をさせることだ。
〔治安の悪いスラムに行けるかっ!〕
〔ケッ、貧乏人どもが・・・〕
〔だけど、前みたいに牛一頭が、丸ごと解体されて・・・・・〕
無論、物騒な世界で生きる人々が、安易な『祭り』に惑わされることなどない。
『ピッ、ピッ、ピ~ヒャラ、パッ、ラッ、ラー~~』
「さ~、今夜のみの割引サービス!」
「とっとと『売り切れ』にさせてくれ!タダ酒がオレを呼んでいる^!^」
“悪徳の都”だった時には、夢見ることすらできなかった。
酒と肉がふるまわれ、甘味が誘惑してくる。『無料』は誇張だが、一夜限りの『割引』はチャンスであり。
『シッ、シッ、シッ!裕福な金持ちは、お呼びじゃない。
腰抜けの臆病者はさびしいベットで、独り寝がお似合いよ。「我こそ」と、思う勇士だけに道は開かれるわ。
「多頭水蛇!!!」』
「どけぇっ!!」「邪魔するなっ!」
「征くぞっ!!」「「「おぉー~ー!」」」
『お祭り』への道を妨げる、腰より低い水芸をするだけの偽『多頭蛇竜』が出現し。それを知らされた冒険者たちが発憤して、『お祭り』への道が開かれ。
かくして少なくない市街地の住民が、元スラム街に入り込んで『お祭り』を楽しんだ。
〔こんな単純な誘導に引っかかる、冒険者は大丈夫なのかしら・・・〕
〔さあ?そこまで、面倒は見きれないわね。
私は『スラムの解体』と『身体強化に伴う色欲の低下』と『C.V.様との外交』しか担当してない。冒険者のことなど、知ったことではないわ〕
〔・・・・・どうか、貴女様もご自愛ください〕
こうして『お祭りの前半』は成功した。
『お祭り』の前半、一日目が終わり。露店の一時撤収が行われる深夜に、羽矢弥はある場所へと疾走した。
「お疲れ様でございます」「あのスラムで露店が連なるとは・・・」
「素晴らしい、お祭りでした!!」「「「・・・-・:・」」」
大店・商会のトップが集い。『金』の力を重視する、商人系C.V.様が見え隠れする。今回の『お祭り』に出資したメンバーが集う、高級宿の大広間に羽矢弥は訪れ。
「ありがとうございます。
皆様たちのおかげで、『上下水道の工事』に携わる者たちの士気は、更に上がるでしょう。
それに伴う利益が、都市ウァーテルをさらに潤すことを願います」
そんな最低限の挨拶を行い、羽矢弥は速やかに本題に入る。
「今回の『お祭り』成功をもって、『魔術』の使用制限を行う、区画の設定が認められます。
つきましては(お祭りへの)多大な援助を賜りました。
皆様には新興市場の土地利用に関する、入札を行わせていただきます」
「「「「「「・・:・・・^・~」」」」」」
羽矢弥の宣言を聞いて、商人たちが肉食獣の笑みを浮かべる。
その表情に内心で動揺しつつも、羽矢弥は土地の賃貸オークションを開催した。
スラムを解体するうえで、様々なものが必要となる。
雇用・区画整理に、治安の向上や食糧の安定供給など。必要なものは多岐に渡り。金・資材や人員が、いくらいても足りず。
加えて投資を行った分の『原資』すら、回収できる保証はない。解体に失敗すれば、赤字どころか手痛いしっぺ返しすら有り得る。
そのため、たいていの為政者はスラムを放置しており。権力者がスラムを疎ましく思えば、強行手段に出ることも多いのだが。
〔せっかく聖賢の御方様から『特権』を預けられたのですし。
縄張りを大事にする『鷹』のシャドウとして、やってみたいことがあります〕
〔へえ・・・〕
〔・・・それなら私が全面的に出資をするわ!〕
〔申し訳ございませんイセリナ様。
私は獲物が豊かな区画が欲しい、『鷹』なのでございます〕
〔・・・・・-・〕
〔いいよ、おもいっきりやっちゃって~^〕
そうして羽矢弥が始めたのは、『土地』をエサにして商人たちに投資・人材提供を行わせること。
まず混成都市ウァーテルに来訪している、C.V.様たちに通告を行う。
〔色欲が低下するという、『身体強化』のデメリットを解決する。
『魔術』による身体改造によって、生殖能力が低下する問題に、対策を講じるにあたって。
安易に『攻撃魔術』を使われたり。『魔術感知』によって、『施術』を求める方たちの秘密を暴かれたら。
私のような弱者は、怖くて『施術』が行えませんし。防諜のため、警戒にリソースを割かねばなりません〕
〔〔〔〔〔・・・・・ー・〕〕〕〕〕
〔なんてことっ!?〕〔それは一大事ね~〕〔早急に対策を取らなければ!〕
こんな風に茶番を、羽矢弥は演じ。『魔術』の使用を大幅に制限する『区域』を、解体したスラム街に設定してから。
次に羽矢弥は商人たちに呼びかけ。
〔『魔術』の使用を、大幅に制限する『区域』を設けます。
先見の明がある商人の皆さんには、『出資』をお願いしたいのですけど〕
〔それはけっこうなオハナシですな〕〔前向きに検討させていただきます〕
〔商人は利で動く者。羽矢弥様は、どのような対価を提示されるのでしょう?〕
〔そうですね。秘密を守ることが重要な、『歓楽街・賭博場』を将来的には建てたいですけど。
既存の娯楽施設とお客の取り合いをするのは、私の本意ではありません〕
〔〔〔・・^・-・〕〕〕
〔当分の間は、私の患者であるC.V.パーティーの皆さんに、『素材・稀少品』を売ってもらう。その窓口となる店舗が並ぶ『区域』の整備を目指しましょう〕
C.V.様たちが所持する、貴重な『マジックアイテム』は元スラム街の『区域』でしか、あつかえません。そう告げる羽矢弥の言葉に、商人たちの目の色が変わり。
〔とはいえまっとうな商人の皆さんにとって、元スラム街の治安は、懸念材料でしょう〕
〔滅相もございません!〕〔喜んで出資を・・・〕
〔何か良い案が、おありでしょうか?〕
〔そうだ!近々『お祭り』を開催します。
その成功をもって、スラム街が解体されたことの証明とする。かつてスラムに住んでいた人たちの『良い変化』を、市街地の住民にアピールしましょう〕
〔〔〔・・・-・っ〕〕〕
単に『金』を出すだけでなく。元スラムの住民を雇い、教育する『コスト』をかけてください。
その手始めに、商人たちが『お祭り』を成功させてください。
そう告げる羽矢弥に、一瞬だけ商人たちの視線が険しくなるものの。
「もちろん無理強いなどしません。ゆっくりと考えてください。
私はこれから【上】の御方に呼ばれているので、失礼します」
〔〔〔お待ちください!!〕〕〕
羽矢弥の下手くそな素人交渉でも。『特権』を持っているだけで、その効果は交渉?に多大な影響を及ぼし。
こうしてスラム街の解体は、加速していった。
中世の人々にとって、『森』は恵み・燃料の薪をもたらす、重要な領域であり。
木の皮をかじり『樹木』を枯らしてしまう、ネズミは完全に“害獣”でしょう。その増殖を防ぐ『猫』と、猫を眷属にしている〔『女神フレイヤ』は篤く信仰されていた〕と、愚考します。
同時に『北欧神話』の『女神フレイヤ』は、もっと武闘派な女神だったのでないでしょうか?
その理由は二つあり。
一つは『雷神トール』のように、『チャリオット』に乗っているため。日本ファンタジーでは、マイナーですが。『武神トール』は『戦車』の神具を所有しており。
同様に『戦車』を所有する『フレイヤ』は、『美神・奔放な神格』としては、ありえないレベルで『武力』を持っていたと、愚考します。それこそメソポタミア神話の『イシュタル』のごとく。
そして二つ目は『北欧神話』に『チャリオット』が登場していること。『北欧』は雪深い地域であり。しかも原典が13世紀となれば、『チャリオット』が実際の戦場に出てくるのは、無理があるでしょう。
そのため『北欧神話』に登場する『チャリオット』は飛翔している。もしくはそれ以上の『魔力・神力』で機動する、『神具兵器』というべき存在であり。
検索すると『嵐を司っていたオーディン』に、比肩する『魔力』を持っていた。嵐に苦しむ船乗り・北欧の人々に、かなり崇拝されていたと愚考します。