閑話~通り魔モドキ
北欧神話の『美神フレイヤ』には複数の『眷属』がおり。『豚』『戦車をひく猫』と『衣から現れる鷹』を従えているそうです。
膨大な『神話群』であるギリシャ神話の神々に比べると、3種類は少ない。おそらく北欧神話を更に調べたとしても。ギリシャ神話の『双子神アルテミス』が従える『猟犬・山の獣たち』に、『美神フレイヤ』の眷属は及ばないでしょう。
とはいえ文化・神秘の両面で、『フレイヤ』の眷属は面白い。『家畜の豚』『戦車をひける巨大な猫?』と『衣から現れる鷹』というのは、系統がバラバラであり。
『変幻の神ではないハズなのに、ずいぶん多様性のある眷属だな~』と、愚考します。
混成都市ウァーテル。かつて“悪徳の都”ウァーテルと呼ばれ。たった一夜で不様に聖賢の御方様に落とされ。生まれ変わった都市には、いくつか他の都市とは異なることがあり。
1)魔法種族C.V.様が、大手を振って闊歩している
2)【どぶ川のお掃除】を上の方が率先して行い、水の浄化に熱心だ
3)シャドウ一族と陸戦師団が、仲良く働いている
4)“盗賊ギルド”が無駄な抵抗をして、醜態をさらし続けている
その他にも割と公正な『司法』が機能していたり。被害者の身分にかかわらず、“詐欺師”を地の果てまで追いかけ、『生き地獄』に堕とす・・・というウワサが流れたり。
混成都市ウァーテルには、いくつか異常なことがあり。
「ルッタ、ラッタ、らー^~^ティッタ、チッタ、りー^~^」
「「・・-・ッ」」「「「・+・-;」」」「このォ・`ッ!」
一例をあげると、無防備な酔っ払いがスラムの道を歩いても。即座に身ぐるみを、はがされることは無く。
「オイっ!」「てめぇ・・ここを何処だと思って・・」「なめるなぁ・・!!」
チンピラたちは必死に獲物・標的の実力を偵察し、査定を行ってから。ゴロツキの暴力が通用する相手なのか、確認を行ってから、追い剥ぎを仕掛ける。
それに対し弓兵のタクマは、『術式』で応じた。
『旋矢笙』
「「「・・-・ッ;!?」」」
指一本ほどの大きさの『羽根矢』が複数本、放たれる。『吹き矢』のようなソレらは、ゴロツキたちの身体をかすめ。
「ヒぅッ!」「「「「・・;・ッ」」」」「ヤルかっ・・Yァんのか-・?」
怯えた本性をさらけ出させた。
混成都市ウァーテル。現在、この都市には一騎当千のC.V.様たちが集い。〔次代のC.V.を育むため、ハーレムを形成しよう〕と、している。
〔スケベ野郎が女性たちを集めて、ハーレムを作ろう〕と、しているのでは断じて無く。異性を選ぶ優先権は、あくまでC.V.様のパーティーにあることを、性根に刻む必要がある。
“男のたくましさを、生意気オンナに刻み込んでやる!”
“俺様のテクでメロメロにしてやる!”
“魔女C.V.を籠絡して、成り上がってやるぞ!!”
しかし世の中に、実情を理解しない“愚か者”が多く。C.V.様に身の程知らずの“劣情”を抱くモノが後を絶たない。
否、周囲の迷惑にならない妄想ならば。本人の評判のみを底辺に落とす、“劣情”を抱くだけなら〔勝手にしろ〕で、すむのだが。
あいにく世の中、そんな甘い話はなく。
〔“ゲス連中”が『毒・罠・触手』や奇襲を仕掛ける。“人質”を取るなら。
私たちC.V.も『魔術能力』を使って、奇襲をかけても問題無いね!!〕
〔問題だらけじゃぁー;+`ーー!!〕
〔ヤメテっ:・;男の尊厳を破壊するのやめてよぉ〕
〔少々、お待ちくださいませ!今すぐ、不埒者どもを成敗しテDぇ*!・?〕
〔それでは、同じコトのくり返しでしょう。もっと狡猾に、入念に、シめてやらないと。いつまでも不毛な争いが続いてしまうわ〕
〔〔〔(貴女様なら、即日で殲滅できると愚考します)〕〕〕
〔・・・+・●・〕
〔〔〔全力で解決策を提示いたします!;!〕〕〕
『戦闘民族』ではなく『戦争種族』である、C.V.様たちに『魔術能力』を使用する、口実を与えてはいけない。何故なら争いは虚しく、非生産的で、何も産み出さないからだ。
そういうトッテモ高尚な『談合』が、上?のほうで行われたことにより。
その一環として、下っ端な弓兵はスラムで無防備な姿をさらし。裏組織のゴロツキたちを挑発しつつ、“潜入密偵”を狩り立てる。
〔金をもらって、オレたちに敵対したら。容赦なく制裁する〕と、いう威嚇をしつつ。
C.V.様への敵対心を、男性シャドウに向けさせる。
そういう通り魔モドキの『役』をこなすため、タクマはスラムに赴き。
『旋矢笙』で『小さな矢』を乱射しているわけだが。
「タクマの旦那・・あまりこいつ等をからかわないでくれませんか?」
「ほう・・・オレ様が好きに街並みを歩いて、何か問題あるのか?」
「問題だらけですなぁ。
旦那だってスラムの住民が、貴族様の街を歩いたら、たたき出すだろう」
ここら一帯を取り仕切る、元締めのゼムルグがタクマに苦言を述べてくる。
「「「頭っ・・!」」」「「「・・-・;・~・・・」」」
「てめぇ、ゼムルグの頭が出張って、ただですむと・*・ー」
「余計な茶々を入れるんじゃねぇ!オレが旦那と話している」
「「「「「「へいっ!」」」」」」
ボスが来て、気が大きくなった配下たちを、ゼムルグが黙らせる。
スラムの元締めの一人であるゼムルグの立場では、弱気な姿を部下にさらすなど、論外に決まっているが。
かと言ってタクマの『上』を怒ら・・・不快にさせただけで。ゼムルグたちは逃亡すらできず、破滅が確定してしまう。そもそもタクマと同レベルのシャドウが三人も組めば、ゼムルグたちの組織を壊滅させることなど造作もない。
「それで?今日はいったい、どんな用事があって来たんだ?」
「ああ、実はこいつの『試し撃ち』をしたくて、やって来た」
そう告げて、タクマはふところから『吹き矢筒』を取り出して見せる。
ゼムルグはボスとして、タクマに面従腹背の外交を行わねばならず。
それに対しタクマは面子をつぶさない範囲で、奴等に面倒な依頼をすることもある。
相場の報酬は払っているし、ゼムルグにとって『顔の広さ=権力の強さ』なのだが。
その表情を見る限り、タクマの依頼を“厄介事”と、認識しているのは明らかであり。
「何だ・・それは?『短杖』の一種か?」
「そんなわけないだろう。弓兵が使うんだから『飛び道具』に決まっている
『旋矢笙』」
『吹き矢筒』の口に『風術』を発動させる。それにより口をつけなくとも、手に持った『吹き矢筒』から『羽根矢』が射出され。
「「「「「「「・-・`+・ッ!?」」」」」」」
「続けて『旋矢笙』×3・・・『旋矢群』」
『隠し武器』のように、着衣に隠した複数の『吹き矢筒』にも『旋矢笙』をかけ。そうして放たれた『吹き矢』を、タクマは『旋矢群』の術式で操り、曲芸飛行モドキを行って見せる。
「殺傷力の無い、面白ギミック何だが・・・もしかしたら強力な『術式』になる可能性もゼロではない。それで身軽なおまえらに、『標的役』になってもらおうと思ってな」
「手間賃はもらえるんだろうな・・・」
「無論だ。オレが報酬を出し渋った時があったか?」
「・・・:-・」
ゼムルグは真っ白な目を、タクマに向けてくる。
だが嫌な予感だけで、興味と報酬にひかれる配下たちを、止めることは不可能であり。
「わかった、何人か見繕うから・・・」
「そこまでよ!!!」
よく通る声が、タクマの企みを制止する。
その響く声と共に、『鷹の使い魔』が飛翔してきた。
『鷹』は精悍な猛禽類であり、枝葉の生い茂る『森』の中を、飛べる種類もいるのだとか。
そして何より『鷹狩り』に使われる鳥であり。日本以外にも、モンゴル・アラビアやイギリスなどでも、『鷹狩り』は行われたそうです。
そのためファンタジー大好き野郎としては〔もう少しぐらい、神話・昔話に登場してもいいのでは?〕と、思うのですが。
神話に『鷹』が登場しないのは、神話の原典が創られた『古代』に『鷹狩り』がなかったのか?英雄譚が謳われた、『中世』に神秘と切り離されたのか?
色々と『なんちゃって考古学』を想像したり。『美神フレイヤ』への興味がわいてきます。