閑話~明暗の始まり
“『首飾り』を作らせる対価として、小人職人と一夜を共にした『美神フレイヤ』”
この『北欧神話』には続きがあり。“夫のオーズ神が妻フレイヤの不貞を嘆き、出奔した。それを嘆き悲しんだ女神フレイヤは、泣きながら夫を探して世界をめぐった”と、いう内容です。
一応〔夫への『愛』だけは、特別に大事にする『妻の女神』〕と、いう内容にとれますが。
『アフロディーテ』『イシュタル』など、他神話の『奔放な女神』たちと比べてみましょう。
浮気が当たり前な古代・地域で信仰された、『愛の女神』たちが純情娘のように『泣きわめく』など恥に等しい。『多産』を司る、『女神・神々の女王』としての立場を否定するのも同然であり。
こんな『神話』が記載された、北欧神話の書籍は【よく吟味】したほうがいいと愚考します。
ただし〔お子様用に改稿しよう。純情こそ至高だ!〕と、考える『善意』のアレンジという可能性も、一応なくはないでしょうけど。
『密偵』を狩る。隠れている『密偵』をあぶり出すのは、厄介な任務だ。
『鑑定』などの『見透す・全知に近い』能力があったとしても。『偽装・隠蔽』の能力を、高レベルで使用する者を、探し出すのは困難であり。
そもそも精鋭の『密偵』を育成せずとも。何らかの『取引』によって、素人に情報収集を代わらせる手段など、いくらでもあり。
『密偵』と『密偵狩り』はイタチごっこを繰り返してきた。“盗賊ギルド”の工作によって、『密偵狩り』の手間が増大したり。不信感をあおられたあげく、『感知魔術』による『密偵狩り』すら、苦労する有様だったのだが。
〔期間限定で『身体強化』の情報を開示する。
そして『旋風閃』を会得した者を、『騎士』として取り立てよう〕
混成都市ウァーテルにおいて、この布告が出された時、文字通りの激震が走った。
〔これはチャンスだ!絶対に成り上がってみせる!!〕
〔そんな甘い話が、あるわけ無いだろう・・-・〕
〔だけどチャンスには違いない。シャドウ様も面子があるからな・・・〕
こうして始まった『採用試験』は、『疾走・徒競走』から始まり。
「『旋風閃』は高速戦闘だけにとどまらない!敵さんより長い距離を、早く移動する。
そのための『脚力』を見せてみろ!」
「「「「「「「「「「ウォー・~--!!!」」」」」」」」」」
混成都市の外周を走らされる。その長距離走が終われば、『城壁』の階段を登らされ。さらに人通りのない『歓楽街・地下水路』を駆ける、下級シャドウとの追いかけっこが始まり。
「こんなっ・・こんなのっ・・っ;」「無理ぃ・絶対ムリだぁ・;・ー」
「泣くなっ!追いつけなくとも、努力を見せれば・;+`・」
「そういう『努力賞』とか無いぞ~。(今回の選定は)結果が全てだ」
「「「「「「・・-;・ー・・」」」」」」
シャドウの通告に、大半の挑戦者たちが膝を屈し。
「貴様らにチャンスをやろう。スピードが駄目なら、腕力をみせろ‼」
「「「「「っ⁉`ぬぅーーー⁺;・・」」」」
続けて重騎士たちの剛力によって、引き起こされ、叩きつけられ。
「『獣』を狩るのは『身体能力』などではない。知恵と『魔術』よ!」
「「どわぁー~っ!」」「ぐくっ⁉」「「「ギャっ⁉アァあー~ー‥」」」
最後にシャドウ・重騎士までもが、理不尽な『攻撃魔術』によって撃たれ、倒されてしまい。
「喜べ!全員、一次試験に合格だぞ!!」
「「「「「「「「「「・・・ー・」」」」」」」」」」
応急手当を施された試験官が、明るい声を発し。それを聞かされた試験の挑戦者たちは、沈黙と白い視線を返す。
「ちょっとした手違いにより、『攻撃魔術』が暴発してしまった。
それは、こちらの落ち度なのだから、落選など許されない。
よって一次試験の参加者は、二次試験への参加を命じる!^!」
「「「「「・・ー・*・・」」」」」
「「「「「・・・・・っ!」」」」」
早口で視線をあわさず、空しい言の葉を垂れ流す。そんなシャドウは無言の批判にさらされるも。
「ちなみに危険を察し、逃亡を試みた連中は、既に捕縛して『魔導師団』送りにしている‼!
てめぇらの名前・人相に職業は記録している。間違っても逃げられるなんて、思うんじゃねぇぞ❕」
“盗賊ギルド”に等しい、最低の怒声が放たれ。
こうして一次試験は終了した。
そんな愉快な『試験ごっこ』から、数日が過ぎ。
以前から進められていた、数組のC.V.パーティーによる突貫工事?によって、上下水道の『地下水路』が急速に延伸され。その一部は研究所・訓練施設の『迷宮』と化し。
「こんなことをして、タダで済むと思うな!;!」
「そう言って、逆襲できた奴はいないんだけど」
「いったい、いつ反撃するのやら・・・」
「ハイハイ^・^キサマこそ、秘密を知ったんだ。しっかり生きのびろよ?」
その一画は敵勢力の人員を捕らえる、『監獄』と化していた。もっとも重要人物を収監できる、堅牢な『監獄』ではなく。
〔“中の下レベル”な敵勢力のメンバーを監禁しておく。まあ一般の『看守』に接触させると、不都合がおきるかもしれない。念のため、隔離しておこう〕と、いう程度の『微妙な捕虜』を捕らえる施設にすぎず。
そこで弓兵シャドウのタクマは、看守役のシャドウと三人で、数日前に捕らえた『密偵』をなぶっていた。
「“盗賊ギルド”を圧倒してきた。兵隊シャドウが使う『加速の身体強化』は、無敵にはほど遠い。
高山の『薄い空気』が漂う領域で、定期的に修練しないと劣化していく。
平地・山の麓で活動し続けると、『身体強化』の練度が低下していく」
「・・・`・-・」
「その足りない頭に、ちゃんとこの『情報』が入っているか~・-?
忘れたりしたら、お仲間の犠牲がムダになるぞ~^-^ー」
「・・*・~・」
“嘲笑”まじりのシャドウの言葉に対し、微妙な捕虜は平静を装うとして、失敗する。
密偵を、諜報戦を愚弄しているシャドウのセリフに、殺意がわくものの。無力な虜囚の身では、かみついても無駄であり。
〔必ず脱出して、『情報』を持ち帰る。そうしてシャドウ一族を打倒してみせる。
今のうちに、勝利に酔いしれているがいい!!〕と、でも思っているのだろうが。
〔“略奪暴行の外道”を呼び込む。密偵なぞ“暴行小人”の同類だろう〕
〔殺す、コロす、惨殺してやる・・・絶対に許さんぞ!*!〕
〔侍女頭様の手を、わずらわせるまでもない。此奴らは俺等で狩る〕
タクマたちシャドウの胸中には、密偵たちへの昏い感情で満たされており。その悪意を察せられないよう、『雰囲気の偽装』を行っていた。
『契約』でC.V.様から借り受けた『監獄』とはいえ、この場はシャドウ一族の『城砦』であり。
上級シャドウ様たちには、遠く及ばないとはいえ。下級シャドウたちでも『気配をいじる』ことは可能となる。
その『技法』で、密偵の油断を誘い。
「来たか・・・」
「ッ!?ソレは・・・いったいナ+;`・」
「知りたいんだろう?オレたち下級シャドウが、どうやって『旋風閃』の『身体強化』を維持しているのか。
しっかり丁寧に教えてやるよ」
「「・・-・:・」」
看守シャドウ二人に“密偵”の挙動を、完全に封じさせる。両側からはさみ、床に押しつけた身体の『経穴』をえぐり。
「まずはこの『汁』の力を借りる。初めてだから手加減して、『消毒』はしてやる」
「っ`!/**^ーーw~;!?+***oOォーー」
こうして弓矢シャドウのタクマによる、苛烈な『密偵狩り』が始まった。
信仰を集める、上位神格の『女神フレイヤ』は神々の『女王』に等しく。人間の女王様が謝らないのと同様に、『夫神オーズ』の出奔を『美神フレイヤ』は嘆いたりしないと愚考します。
そんな『女神フレイヤ』には、複数の『眷属』がおり。『戦車をひく猫』『衣から現れる鷹』や『豚』が眷属だとのこと。
ケルト神話で語られる、日本ではマイナーな逸話に『いつまでも食べられる7頭の豚』『再生の効果をもたらす豚の革』というのがありますが。
『双子兄神フレイがイノシシに騎乗する』という神話よりも、『フレイア女神は豚を従えている』神話を、私は聞いたことがありません。とはいえ『豊かさの象徴』つながりで、『兄神フレイがイノシシを従えるように、女神フレイアは豚を従えている』と、イメージしていいと思います。
もっとも私、個人としては『猫・鷹』の眷属に興味があります。『主神オーディン』も『鴉・馬・狼』を眷属にしていますが。『女神フレイアの猫・鷹』は、それらに匹敵する。重要な意味を持つ『眷属』だと愚考します。