閑話~微風の裏方:双竜爪:双竜爪影
世界中に『イノシシ』の神話は、それなりにあるけれど。『豚』を尊ぶ話は少なく。
『西遊記の猪八戒が、マシな豚かな~』と、いう感じでしょうか。
そんな中で『ケルト神話』には、『豚』を『再生・豊かさ』をもたらすアイテムとする逸話があるとのこと。
魔神バロールを倒した、光神ルーには『キアン』という父親がおり。彼を殺したトゥエン3兄弟に対し、『光神ルー』は賠償金?を求め『難題』を出す。
その『難題』の中に〔『再生を促す豚の皮』『食べてもなく減らない7頭の豚』を求める〕と、いうのがあり。
私の知るかぎり、これらが最も有用な『豚』が登場する、神話だと愚考します。
男性シャドウ1人に対し、C.V.パーティー7人を妻とする一夫多妻は、“オトコの夢”などではなく。そこに女シャドウが絡むと、けっこう怖いコトになる。
もともと軽い野郎シャドウの立場が〔風前の灯火〕と、なるのは至極、当然のことであり。
〔女性陣を我が物にしようとかムリ!;!〕
〔「戦果・勝利は評価しない」と、アピールする必要がある・・・〕
〔まあ、実際のところ元から狂女だったり、そう成る『魔術能力』だったり。
運悪く暴走することもある。本当に、たくさんあるんだけどなー^・;-〕
「「「「「「「「「「・・・・-・ッ」」」」」」」」」」
要約すると、こんな感じな『男性のための講習会』が終わり。
“元盗賊”にして『潜伏密偵』のムントは、絶望感にさいなまれていた。
〔戦力比がひどい・・・こんなの反則じゃねぇか・・・〕
『肉食獣?』・・^・女性たちの勢いにタジタジとなった、男性シャドウたちに気分転換をさせる。そんな『接待役』に任命されたムントは、ロクでもない『情報』を得ていた。
〔アレ以下か...シーフの実力って、奴等の底辺以下なのかよ・・・〕
シーフたちが束になっても、下級シャドウにすらかなわず。その上の実力を持つシャドウとの戦力差は、さらに隔絶したものになる。
〔手の内を調べて、奇襲を行い、一度の勝利で逆転する〕
そんな必勝パターンを計画するのに必須な『情報収集』に対し、シャドウたちは『逆探知』を仕掛け。そうして『盗賊・密偵』たちは連絡手段を絶たれ、“失態”を暴露され、面子を徹底的につぶされ。
『怪物行進』による都市への攻撃が、少人数のシャドウに撃退されてしまい。
時を同じくして、C.V.たちがシャドウの愛人?となったことを、隠さないようになる。そうして彼女たちの『魔術・財産』によって、盗賊ギルドはさらなる攻撃にさらされてしまい。
〔もう、盗賊ギルドは終わりだ・・・〕
〔だが密偵連合の盟約を破れば、制裁されるぞ!〕
〔『モンスターマーチ』を仕掛ける奴等になぞ、ついていけん・・・という名分をふりかざせばいいだろう〕
こんなやり取りが各地で行われ。“盗賊ギルド”からは、相次いで『所属組織』が離脱していき。混成都市ウァーテルには、大勢の非公式な『使者』たちが訪れることになる。
「そういうわけでムントよ。キサマの役目は、より重要なモノとなる」
「・・・:+:・」
混成都市ウァーテルに建つ、高級レストランの個室。そこへ呼び出された『潜伏密偵』は、本当の上司に無理難題を押しつけられていた。
〔こんな所に俺を呼び出して、我々の正体がバレたらどうするつもりだ!〕
そんな罵声を発しかけたムントに対し、上司モガムは“死んだ目”で応じてくる。
その表情はC.V.勢力によって、ムントの正体を既に見破られていることを、雄弁に告げていた。
「『降服の使者』として呼び出された。我々、各国の密偵を束ねる者たちへ、突きつけられたのは、恐るべきモノだった」
「・・・:+;・」
ムントの推測・警戒心や、その他諸々のモノは、どうやら甘かったらしい。
〔『降服』の使者ってなんだ。仮にも『密偵の長』が呼び出されるとは?〕と、ムントが尋ねたいことは、いくらでもあったが。『恐るべきモノ』とやらが告げられるのを、ムントは待ち。
「・・・よって、貴様はひたすらシャドウ様に媚びへつらい。必死に努力して、有用性を示し、利益を提供し続けろ。
そうして〔獣が腹を見せる〕のと同様に、我々が降伏している姿勢をアピールするのだ!!」
「・・・:+`・」
〔プライドを投げ捨てろ〕と、言ってるに等しいモガムの言葉に、ムントは半眼になる。『潜伏密偵』の心の拠り所である、『プライド』を捨てるなど言語道断であり。そのセリフは、ムントの心をゆっくりと蝕んでいき。
「承知した。もとよりウァーテルに骨をうずめる覚悟で、任務を受けたんだ。
今さら『恭順の意』をアピールするなど、どうということもない」
胸中の澱みを押し隠し、ムントは『道化』を演じ続けることを、宣言する。
しかしそれは主君の信用を勝ち得た、『道化師』などではなく。
周辺諸国を滅ぼす戦力を持つ、理不尽にさらされる。彼女たちに審査され、点数が足りなければ“見せしめ”にされかねない。
哀れな『道化役』を演じる舞台に立たされた。
その現実をムントが思い知るには、もう少し時間がかかるのだった。
『争い、連なる双方の竜よ 牙より弱く、角より短い、細やかな刃よ
蒼龍に伏し、その地を回り 屍山を崩す、静謐の血風をつかめ!
さすれば悪鬼は、叫喚を唄い 破滅の刻限を、嵐の影と私は削る
双竜爪影!!!』
魔境の森林で、侍女頭のアヤメが『詠唱』を行う。
それは大質量になびき、壁にそって吹くだけの『風術式』であり。地に沿って這い進み、疾くかけ回る『小風刃の群れ』を、増強するだけの『魔術能力』だ。
そのため大気を切り裂く、『烈風』の華々しさはなく。むしろ『地虫・ネズミ』の陰が、地面にまとわりつくような。錆びた刃のような『妖気』を帯びており。
間違ってもC.V.パーティーを率いる、幹部候補な『戦姫様』たちに披露できるモノではなかった。
「「「「「/*:*/-~\」」」」」
「「「*・;`ー-ッ~」」」「「「-~;*//:+//-」」」
「こんなっ・・・」「「「・・・;・っ」」」
ただし現在、アヤメの発動した『双竜爪影』は、“暴行豚人”の軍団を迎え撃っており。
高貴な御方たちの、手をわずらわせる。戦争種族の中でも実力の高い、C.V.リーダーだちの武力・魔術が発揮されるまでの間だけ。
『風属性』の『魔術能力』は、愚かな“オーク”たちの足を切り裂き続ける。
足の指を切り落とし。歩くため持ち上がった、足首を押してバランスを崩し。
「「ブHォっ!?」」「「「プゴh/*ッ!」」」「「-:`・;ー」」
森林に生えた樹木という『大質量』をつたって、『小風刃』がわずかに飛ぶ。
樹木に触れた“オーク”の手指を切り、近くを通ったオークの肌を切り裂き。
そうして警戒の声をあげた、巨体を支える『脚』を切り裂き。流れ始めた血の臭いを、『小風刃』は運び。“オーク”の軍勢をかく乱すべく、血脂の臭いを拡散させていき。
「そろそろね・・-・『旋風閃影』!」
混乱と言うには小さすぎる。軍団のすき間にアヤメは、加速させた身体を滑り込ませる。
シャドウの中でも最速の『身体強化』が、脚を切られた“オーク”たちの間をぬうように進み。音・香りや体内電流の『オトリ』で惑わしつつ、最小限の障害を仕留め。
「ボンGoォォォ-^+^ーー・ー」「「「「バハHァhァーーー」」」」
「『暴帝オーク』っ・・・何処の『境界』を越えたのかしら?」
“オーク”の軍団を率いる、暴帝の『陣』へとアヤメは到着する。
移動する軍団の中央を、本来なら『陣幕』と呼ぶべきではないけれど。『暴帝オーク』を護衛する、“オーク”の猛将・勇士たちは、既に『陣形』を組んで『主君』を守る態勢を固め。
『・・////・・』
「「「「・;*://*!?!」」」」
驚愕の表情をはりつけて、血の海に沈んでいった。
『高速機動』を行うアヤメを迎撃するには、最低限の速さに加え。『高速機動』に反応する五感が必須であり。
「悪いけど・・『武人』の意地に関わっている暇などないわ」
“オーク”の顔面の筋肉・片目の『まぶた』に対し、アヤメは『身体強化』をかけた。それによって顔面の『目・耳・鼻・舌』の4感覚器官が乱れ。
それらの感覚器を復旧しようと、焦る連中の片足に『強化』をかけ。もう片足を『双竜爪』の風刃で切り裂けば。重量級の“オーク”どもに、精密な身体操作など不可能であり。
死に体に近い“オーク”など、アヤメにとって敵ではなかった。それが上位種であろうと、斬り捨てるのは、造作も無く。
「オンナァ~^-^ーーーゴ+バルBッグ『グラトニーアルター!!:!!』」
暴虐の“オーク”が“共食い”を始める。死んだばかりの同族を、『暴食の魔術』で吸収して、『タイラント』の強靱な身体をさらに増強していき。
「『アaA;!/?』・・!ー:!`?」
「“暴帝オーク”の発する死臭は、数キロ先からでも、感知して分析できる。
“キサマ”が“暴食の邪法”を使うのは、予想できたわ」
加えて周囲の空気を安易に取り込む。
身体を急成長させるために、体細胞が『大量の酸素』を必要とするのは、既にわかりきっており。
「ヒューー:*;`ヒィ!:?~~+/」
「普段は効かない『窒息の魔術』も、この状況でなら『致命の術式』と化す」
まあ実際のところ『窒息』は偽装にすぎず。『酸素を薄くする高山化』の結界を、『双竜爪影』で形成したり。気体に固有の『魔力付与』を行って、“オーク”に吸収されるのを妨害したり。細い血管に『風球』を侵入させ、詰まらせたり。
これらをタイミングよく仕掛けて、『窒息の旋律』を奏でたりしたけど。
これから惨めに死んでいく“元王サマ”に、説明する気などアヤメにはなく。
『もう少々、「契約」はお待ちください。
今から“オーク集団”を殲滅いたします』
『『『『;っ・・・・』』』』
C.V.の観客たちに対し、侍女頭は丁寧な『伝達』を行う。
シャドウ一族の女性を侮っている。他のC.V.パーティーに影響力を持つ。平穏であるべき『家庭』に、ハーレムの激情を持ち込みかねない。
いわゆる『不穏分子』なC.V.リーダーたちと、穏便にハナシをする努力をすべく。アヤメは“タイラント”を中心にして、『双竜爪影』の暴威を、再び解き放ち。
数時間にわたり、“オーク”たちの悲鳴・断末魔が、魔境の森林に響き続けた。
ネタバレ説明:『双竜爪』と『双竜爪影』について
『風は大質量。建物にそって吹く』と、いう自然法則を守る。
その代わり『風刃』のコントロールする精度をあげる。『風刃の群れ』を操り、様々な『効果』を付与しつつ。
『身体強化』を発動したアヤメが、『高速機動』で襲いかかる。それが『双竜爪』の術式であり。『双竜爪影』は、その上位互換であり。アヤメの『切り札』に近づいた『魔術能力』でもあります。
『双竜爪』だと、平地の地面を這うように、曲がって滑空する。軽量な密偵たちの『機動力』を切り裂くぐらいでしたが。
『双竜爪影』だと傾斜・樹木や建物にそって、『小風刃の群れ』が斜め・垂直に飛び交い。やろうと思えば、オーク・オーガの太い脚も切り裂けますが。
『軍団』を一網打尽にするため、軽傷??にとどめ。軍団がいる空間を『風属性の魔力』で『侵蝕』し。『軍団』の概要を探ったり、酸欠に陥れる準備をしていました。
なお『双竜爪影』は、不穏分子なC.V.リーダーたちの前で披露して見せたとおり。
〔『魔力』を五感のどれかで感知できる、C.V.様に模倣されても仕方がない〕と、いう程度の『魔術能力』にすぎず。
本命の『旋風閃影』を隠す、『覆い』の役目が今回の使用目的です。それでも(人間一人では、まず勝てない)6級C.V.の表情がひきつる、評価を受けていますけど。
ちなみに『大質量にそって吹く、小風刃の群れ』である『双竜爪影』は、周囲の地形・樹木をほとんど切り裂きません。倒れた暴行亜人で、草花は踏みつぶされ。『血河』に伴う悪臭・汚染物質がひどいですけど。
某女魔導士様のように、環境および地形破壊をしないことを重視している。
その点でのみ『双竜爪影』は、稀少な『魔術能力』と言えるでしょう。
『食べてもなくならない7頭の豚』:戦闘系の神話には出てきませんが。世界中の神話・おとぎ話に類似の『品・家畜』が登場します。
例えば『北欧神話』の『雷神トール』が所有する『山羊』は、『骨さえ残しておけば、肉を食べても再生する山羊』であり。他にも『塩が無間にでる石臼』『酒の出る徳利』など、食糧事情を一変させる。『豊かさの象徴』とも言える『魔法の品・家畜』がおり。
ケルトの神話において、その豊かさの象徴が『豚』なのでしょう。
ちなみに難題を課された『トゥエン3兄弟』は、それら『豚』をケルトから南方のヨーロッパから武力で得ており。(一応、冒険譚?の範ちゅうに入るようです)
そこら辺は〔『豚』を入手した歴史文化に重なるのかな~〕と、愚考します。