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閑話~ヘルムヴィーゲ::

 日本史・時代劇において、もっとも嫌われている職業は何でしょう?私は“僧兵”だと愚考します。


 〔カネに汚い。任務のためなら手段を選ばない〕と、言われている『乱っ波(ニンジャ)・素ッ破』の類は、『敵役』としての需要がありますが。

 “僧兵”にはソレすらない。悪者の坊さんは、怪僧・修験者の忍びくずれであり。薙刀すら持たず、素顔を露わにしている。あれでは、とても“僧兵”とは言えないでしょう。


 『僧兵』の英雄と言えば、『武蔵坊弁慶』と『常陸坊海尊』ぐらいであり。『僧兵』というより、『源義経の家来』という面が強い。


 “僧兵”は、何故こんなにも人気がないのでしょう。

 『セイクリッド・パニッシュ!-!:!』


 大聖神官の『神聖魔術』が放たれ。イリスの身を焼くべく、その魔力が殺到する。

 護衛のウルカたちが、その魔力に『干渉』をかけるも果たせず。イリスたちに灼熱の光輪が集束していき。


 『^』


 身を投げ出して『盾』になろうとした、双子シャドウ(ウルカ、サキラ)をかいくぐるように閃光が通り過ぎる。そして『神聖魔術』はイリスの頭に直撃した。


 「イリス様っ・・」「そんなっ!?」


 「ハハッ・-^・!」「オオぉッーー!!」「神よっ、偉大なる光よっ!!」

 「「「やった・・やったかっ!?」」」


 冷たい床へ、髪留めの欠片が転がり。




 「ああっ!?・・お気に入りだったのに・;・`ヒドイっ」


 「「「「「「「・・ー:`・・っ」」」」」」」」


 壊れた髪留めを惜しむ、イリスの嘆きが響きわたる。その声は悲嘆に満ちており。


 必死に格上イリスに挑む、常人たちの乾坤一擲けんこんいってきを、容赦なく踏みにじった。


 「ごめんねぇ、サキラ。せっかく造ってくれた髪留めなのに、こんなことになって・・・」


 「いえ、そんな・・・」「お気になさらずっ・・」


 「「「「・・+;--っ」」」」「・-・」

 「ふZけるなぁーーー!!:!『裁定の神罰をくだす!堕天の光を奈落に・//・?`?・?」


 激情のままに大聖神官が、攻撃の『神聖術』を唱えようとする。

 だが周囲の魔力は、『魔術式』として構成されること無く、空気中を漂い続け。


 「〔あるごすごーるど〕っと、そろそろ唱えようか。ボクが何をしているか、理解した?」


 「貴様っ・・きさま、キサマぁ-、kk.Sxm・*`/mmm-ー-ァああ」               「大聖神官様っ!」『『『『ホーリーMイsz!っ~:?/*・;』』』』

 「何を、何をSィdDd;~・」


 ろれつの回らない神官たちが、顔面の『穴』から赤色まじりの体液を垂れ流す。それらは清浄であるべき神殿の床を汚すも。『頭』にダメージがいった神官たちは、それを気にする意識など無く。


 その阿鼻叫喚な地獄絵図を、イリスは冷ややかに見つめ。


 「「・・`・:・っ」」


 平静を保とうとする、ウルカとサキラを静かに見守った。






 かつてイリスが故郷コロニーを防衛するC.V.将軍だったころ。『魔術能力』の開発・発現に悩む、光属性C.V.(イモウト)たちに、いくつか言い聞かせていたことがある。

 

 それは人型生物の大半は『視覚』に依存した生き物であり。同時に誰もが『魔力』を有している。

 そのため『耳・鼻・舌』などの他の感覚器よりも、『目』に『魔力』が宿るとイメージされ。『魔眼の術』や『瞳の護符』が創造されている。 


 しかし『眼球』に限らず『感覚器官』というのは、本来なら単独では機能しないものであり。 


 〔『目』の移植は苦労する。悲哀と無念に苛まれる、『眼影』の話は金言のかたまりだよ〕


 そんな逸話のある界影大戦を読み取り。〔ヘルメットマスクは大事です〕〔髪はC.V.の命だ〕という、昔からある文言から学び統合していき。


 イリスの妹たちは『髪をヘルメットに変成させる』と、いう魔術を編み出した。

 それは程なくして『魔眼によるバックファイアを軽減し、脳への負荷を減らす』と、いう『魔術能力ヘルムヴィーゲ』を編み出した。


 〔まあ、ぶっちゃけ『兜』をつけると(アタマ)傷んでしまう(汗くさくなる)からね~

  この術式で、それが少しでもマシになると、いいんだけど〕


 〔〔〔・・・-・〕〕〕


 〔おーい、突っ込みは~?〕


 イリスの発した軽口に対し。


 〔功績を押し売りする、姉様とは口を聞きませんっ・`〕

 

 〔いや、『髪』を変成して、下手に硬質化すると・・繊細な『髪質』に悪影響が出るからね?〕    

 〔そんなことは『脳』への負荷に比べれば、些末なことです〕


 〔ナニを言うのっ・・それは『ヘアーケア』に苦労する人々へ・:-`-・〕


 連日、繰り返した抗弁を続けようとするイリスに対し、光属性C.V.(イモウト)たちの瞳に涙が浮かぶ。通常の『目』を保護して覆っている『水分ナミダ』とは異なる。

 感情の発露に対し、イリスはどこまでも無力であり。


 〔・・^・わかったわよ。

  貴女たちの『魔術能力ヘルムヴィーゲ』開発に協力したC.V.として、端っこに名を記録しても・・:〕


 〔言質いただきましたっ!!〕〔・.・+(ブライト):+:-・-+(キャプチャー)〕〔姉様を確保ぉっ・:・〕


 妹のナミダは信用できない。それを思い知る幸せ?な昔日せきじつだった。

 










 ネタバレ説明:『兜を抱く戦乙女(ヘルムヴィーゲ)』について


 『頭髪を強化する』と、いうイメージによって、頭を防護する『マジックシールド』を展開する。事実上、魔術の『かぶと・ヘルメット』を具現化する『魔術能力』です。


 主な効果は二つであり。


1)『ヘルメット』と同様に、頭部を防護する。

2)『魔術・・による洗脳』を激痛によって、軽減したり抵抗する。


・・・となります。


 イリスたちは『「魔眼」による、「脳」への負荷を軽減する』と、していますが。これは2)の『洗脳の軽減』をアレンジしたものとなります。


 なお、イリスたちのC.V.姉妹(派閥)は、『髪』を媒体にした『魔術能力』は不得意であり。どこかの幽霊人のように『髪から飛び道具を放つ』『髪を触手のように伸ばす』と、いうことはできません。


 加えて『仮面マスク』とセットの『兜』をかぶり、『視覚(魔眼)』を狭めるのもデメリットが大きい。


 以上のニーズに対応して『ヘルムヴィーゲ』が、編み出されました。



 一応、『魔術能力』であり、使用するC.V.によって、様々なアレンジが施されています。『洗脳対策』を重視して、『使い魔』の頭に被せたり。『防御障壁』として、巨大なスライム状のアレンジ障壁をかぶるなど。千差万別であり。


 イリスのように『魔術能力』ではなく、『魔術』として使い。魔術の研究科目?にしたり。配下・友人に教えることを、目的としているC.V.もいるのですが。



 『髪』に魔力を通すことが得意な、他派閥C.V.との『技術交流』(外交ネタ)に使おうという動きもあり。それが大きなトラブルになると、イリスやイセリナたちは確信しています。


 昔、読んだ『平家物語』で、二人の『僧兵』が橋をわたって平家軍に攻撃をしかける。橋板を外され、骨組みだけの細い足場を進むというシーンがありましたが。100%間違いなく『僧兵』が、かっこいいシーンというのは、それぐらいでしょうか。


 〔名は体を表わす〕と、いうのとは違いますけど。装備している物は、使うために身につけています。


 そして“僧兵”が装備している、『頭の衣』は何のために使うのでしょう?私は『顔』を隠すための『覆面』であり。忌み嫌われ『覆面』をつけている、『忍び』と同じぐらい凶悪なことをしていた。


 そんな凶行を行う者の人相を隠すため、“僧兵”は頭・顔にころもをまいていたと愚考します。


 そもそもコロナ下でマスクをつけ、苦労していた方は既知のことですけど。激しい運動を行い、他人と話すにあたって、マスクは邪魔であり。口もとを覆うマスクを着けることに伴い、様々なデメリットが発生します。


 加えて『武勇・武名』は力であり、宣伝効果がある。武力・暴力の世界で生きるなら、顔を売ることも戦いでしょう。それなのに“僧兵”は江戸時代の“ドロボウ”よりも、しっかり『顔』を覆いかくしている。


 これで“やましいことは、一切してません”と、言うのは説得力が皆無だと思うのです。

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