表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
305/422

閑話~冒涜のアルゴス

 初めに、念を押しますが。私は明治時代の『警察官』が大嫌いです。治安を守るため、必要なことに異論はありませんが。

 某朝ドラ主人公である植物学者と同様に、巻き添えで捕らわれた。冤罪で罰せられた人々は、大勢おり。その元凶である〔明治時代の『警察官』は、現代の『警察官』と全く違う“凶暴な官憲”だった〕と、宣言します。


 ただし同情の余地はある。明治時代の『警察官』は〔“無理ゲー”をプレイするしかない人間〕と、いう面もありました。


 その理由は多岐に渡り。

1:『警察学校』が無く。ろくな訓練もなく、警察官として治安維持を行うことを求められた。

2:『廃藩置県』によって経済が活性化し。同時に“犯罪”の規模・種類も増大した

3:明治政府によって大変革が起こり。『各藩』ごと(・・)の司法制度が廃止された。もしくは明治政府と地方の『司法ルール』がごちゃ混ぜになった。

 混成都市ウァーテルを支配する、光属性C.V.のイリス・レーベロア。彼女とその配下には、いくつか『誓約』が課せられている。


 その一つに〔『透視・遠見』の術式によって、他者のプライベートをのぞき見することを禁じる〕と、いうのがあり。

 『神聖ハカイな光』ではなく、『視覚・光学情報』を重視した『光術』を行使する。C.V.イリスたちの一派は〔他者のプライベートを、最大限に尊重します〕と、宣言しつつ。〔“生臭な神官”と違って、誠実なC.V.です〕と、広報戦を行うことが可能だ。

 加えて『誓約』による能力増幅により。敵勢力の『感知能力』に対し、『逆探知』を仕掛け。手痛い反撃を行うことも可能だ。


 さらにいくつか条件を満たす必要があるものの。非常時には『奇襲』も同然に『透視・遠見』の魔術を行使して、必要な『情報ヒミツ』を奪取している。



 「そういうわけで、羽矢弥ちゃんはヒーラーとして予想のはるか上を飛んでいっちゃった。もうマイアをライゾウ君の側室にする選択肢はなくなったね~」


 『・・・`・^・-・・』


 〔未熟・弱体化している『治癒術士ヒーラー』の安全を確保する〕と、いう条件を満たし。羽矢弥たちがいるスラムを『視て』いた、イリスは『壁』に向かって話しかける。


 密偵狩りを行い、『戦輪念動チャクラムアーム』をメインの『魔術能力』としているマイアは、闇属性のC.V.であり。彼女に対し、イリスはかつて“失態やらかし”をしていた。

 それをフォローする。〔ケアをしたから、“やらかし”を大目に見てね〕と、自己満足をするため。


 戦闘力が高くシャドウ一族の良家である、ライゾウとマイアの政略結婚ハーレム?を画策していたのだけど。


 「羽矢弥ちゃんはもちろんだけど、ライゾウ君も側室をめとれるほど器用じゃない。〔“失言”をするバカだから、ハーレムとか無理です〕と、アピールしていたし。


 これ以上、彼にハーレムを作らせようとするのは“悪手”だね」


 『・:・:-^-・・』


 「だからボクは降参するよ。ハーレムを作るのを強制しない。心が広い聖賢の御方様をアピ・:」


 『マスター!覚醒中に語りかけるのは、ご遠慮ください。そんな急に話されても困ります」


 そう告げて『壁』に偽装した『魔術装置』から、細身のC.V.が現れる。

 その表情・肌は高価な人形のように、作り物めいており。シミ一つない肌は、エルフのそれとは異なる冷たい輝きを帯びていた。


 「・:・`・・^:^ア、あ~、イ、う~・・声帯の機能復旧を確認・-・全身の覚醒を完了。

  イリス様(マスター)、9級光属性C.V.リンス・ウォーレット、現時刻をもって再活動いたします。何なりと、お命じください」


 「ありがとう、リンス。とはいえパーティーの『癒やし要員(マスコット)』で登録している、君を前線に出す気はないよ。

 ちょっと引導を渡して(デカケテ)くるから、表向きはボクの『秘書』として活動していて」


 「かしこまりました、イリス様。そのご様子ですと“予想通り”の結果になったのですね・・・」


 ガラス玉のような『瞳』に、わずかな影がさす。だが、すぐにそれは平静な輝きを取り戻し。


 「心配しなくても、『支部』にまで手は出さない。ただ“頭”の上層部を地獄に堕とすだけ・・」


 「承知しました。マスターのご武運を、お祈りいたします」


 こうしてイリスは、わずかな護衛シャドウを引き連れ、秘かに出撃していき。


 神殿の法衣をまとったC.V.(リンス)がそれを見送った。


 


 



 混成都市ウァーテルの周辺諸国において、最も信仰されている。光神教団を統括する神都エドヴァルにおいて、その“理不尽ワザワイ”は突然に起こった。


 『その目を開き、その目を閉じる  


  その眼光はまたたき、その視線は凝視を続ける


  かくして金の価値ある牛はとどまり続け  


  虚言の財貨は、巨万の富と災いを等しく巡る


  アルゴスゴールド!』 


 

 「っ!?-~-」「ガァっ/・:・;・--」「バッ、こんn`*+;ー」



 全てのヒトは『魔力』を持っており。ほぼ全て人間は『視覚』に依存している。

 ならば『視線の魔力』に干渉できる『アルゴスゴールド』は、数多の『魔術』に影響を及ぼすことが可能であり。


 たとえ『光神』由来の魔術であろうと。人間の術者(神官)が使用可能な位階レベルにまで劣化させた神聖術モノなど、イリスにとって“児戯”に等しい。



 『術式干渉アルゴスゴールド』に侵蝕された『神聖術』がズレて、歪み、あさっての方向で発動する。絶対の『神聖術』が暴走したかのような(・・・・・)光景に、神都の住民たちは動揺し。

  その動揺は混乱と化して、都市中に広がっていった。


 「なんだっ!?」「魔女っ・・・」「ああっ!・?」

 「お守りを・・どうかご加護を!」


 もっとも平時から発動している『神聖術』は、都市のインフラを支えている。生活を支え、神都を彩る『神聖術ヒカリ』が大半であり。

 多少、『視線の魔力』に干渉され、『術』の発動場所をいじられたところで、人々を傷つけることは無い。傷つけようがない。


 「だけどワタシが起こした異変に対し、人々は請い願う。偉大で無償な『加護』を、求めてしまう」


 本来の『アルゴスゴールド』の効果は、『「魔術」の発動場所・対象をイリスの意のままに設定する』と、いう『魔()能力』にすぎない。

 そして光属性の『魔力』にあふれた光神の都においては、『光属性の付与魔術エンチャント』をアレンジして、『付与』を『接着・束縛』へと変換する効果が加わるのみだ。


 「悪徳の都を侵略した時のように、『刃』をふるって命を奪うことはしない。

  だけど生臭な神官たちは、配慮しないで“やり”続けた。その信仰を傷つけ、冒涜する。


  『アルゴスゴールド!』」


 しかし異変に動揺した人々の『魔力抵抗』は低下してしまい。都市エドヴァルの住民たちでイリスの『アルゴスゴールド』と、神官の『神聖術』を判別できる者は皆無に近く。

 そんな彼らに2回目の『アルゴスゴールド』は、より深く侵蝕していく。『防御力』を増加させる術式を、もたらし拡散させ。


 「おおっ!」「「「ありがとうございます」」」「これなら、どんな脅威が来ようと・・」


 『アルゴスゴールド!!!』


 希望の『光』をかいま見た人々を、絶望の淵へと落とす。


 『防御力』を増加させた術式が『光の鎧』となり。そこに3回目の『アルゴスゴールド』がかけられ、『加重』の術式を追加していく。『光の鎧(マリョク)』では大幅に軽減されている、鎧の重量デメリットを具現化させ。


 「「「「「「「「「「・-・~・・:・-・.・,ーー―」」」」」」」」」」

 

 住民の誰もが虜囚となり。動くことのない『魔除けの像(ガーゴイル)』以下の置物となる。

 命こそ奪われないものの、命脈は削られていき。『人としての(セイリ)尊厳が失われる(ゲンショウ)〕という危機に、誰もが心胆を寒からしめていった。



 そんな住民・衛兵たちの視線を読み取り。死角を跳躍して移動しつつ、イリスたちは光神教団の最深部へと突入していった。

 どれも『警察官』にとって厳しい状況であり。特に3は『各藩』によって異なっていた『司法』が、新政府のそれに統一され。

 極論すれば〔元奉行など『警察役の武士』が行っていた治安維持カントリー・捜査手段(ルール)が使えなくなった〕と、いう地域もあったと愚考します。上役に“忖度”して、犯罪を黙認したり。まじめに治安維持をしなかった、諸藩の武士は『人生』が詰んだのではないでしょうか。


 しかし弱い平民にすぎない私は、これらのことで明治政府の警察官(元武士)に同情したりしません。朝ドラ某主人公のように、警察官に暴行され。理不尽に人生を奪われる“地獄”と比べるほどのことではありません。


 明治時代の『警察官』たち。彼らに同情の余地があるとしたら、『元武士』であること。

 『警察官』として失態を犯したり。〔『警察官』にふさわしくない〕と、上役が判断してクビになれば、『浪人』になることです。


 もちろん失業(浪人)は、何時の時代でもつらいですけど。明治時代には『警察官』などに再就職できなかった、『不平士族』がたくさんおり。

 明治時代の『元警察官』は、『不平士族』たちから嫉まれ憎まれていた。『不平士族』を取り締まる役目のため、『警察』の権力を失えば彼らに報復されかない。


 加えて現代の『警察官』ほど仲間意識がなく。みんな自分の再就職ことで手一杯だった。江戸時代の身分差・出身地の派閥などで、いさかいや権力争いこそあれ。全国の『警察官』たちが、今ほど身内意識がなく。


 明治の『警察官(元武士)』は〔一度の失態→失職→不平士族に襲われる〕の連鎖を恐れ。 

 〔必死になって働き、『容疑者』に暴力をふるった〕と、愚考します。実際のところ地域性や『上司』の器量・能力などで、色々と差もあったと推測しますが。


 〔正確な歴史資料を閲覧するのは、勇気がいるだろうな~〕と、思うのです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ