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閑話~ライゾウのその後  表

 人間は水がないと生きていけない。だけど鉱山開発・採掘を行うにあたって、『水』とは邪魔物であり。鉱毒を含んだ『水』は、鉱夫に死をもたらす。それも“公害病”という、おぞましい死病をもたらしてです。


 笑い話に登場する、間の抜けた『うわばみ』はともかく。人食いを行う凶猛な『ウワバミ』は、こういう過酷な鉱山の『水事情』から産まれた。

 江戸時代に『オオムカデ』は過酷な鉱山労働の化身へと墜ちてしまい。『水神オロチ』も鉱山では、水の恵みをもたらす『水の神格』を維持できず。


 これら二つが融合することで、火をまとい山で人食いをする『ウワバミ』が創られたと妄想します。

 いくつかの偶然が重なり、羽矢弥は『雷鈴電鐘らいりんでんしょう』の術理を得る。微弱な『体内電流』を走査して、干渉する術理は【デリケートな治療】を行うのに向いており。

 偉大な『聖女』様がいないウァーテルで、彼女は『女性専用(産婦人科)』の治療院を開いていた。


 そしてライゾウはその治療院で、『番兵』として働き。


 「どけっ、平民ども!尊い血筋を持つ・・・」


 『雷鈴鐘らいりんしょう!』


 「・^・;~:*ーー」「「「「・:・:`・^*ーー」」」」


 そうして面倒な客を『物理的』に排除していた。


 「貴様ぁ・・Kおんnあことをして、ただで済むdO」


 『雷鈴鐘・・雷鈴鐘・:-雷鈴鐘!!』


 「「「「「Gyアっ・・Gyおo・:-ハGabvbvッ!?」」」」」


 『魔力の雷鳴(らいりんしょう)』が貴族を装った、刺客たちを打ちのめす。『変装』や仕掛けはたいしたものだが、まともな貴族様は平民の患者がいる『治療院』にやって来ない。

 最低でも先触れは出すだろうし。普通は『予約』をとって、平民の患者を締め出す。お家騒動・外患という脅威にさらされているなら、その『予約』も秘かに行うわけで。


 それらがない“自称貴族”サマを、ライゾウは警告無しで迎撃する許可を得ており。


 「おのれぇーー~、『耐電の護符』を持っているのに、何故『雷』を防げんっ・・*・」

 「せめて一刺し・・貴サマだけd`も・・!?/-*;ー-*」

 「どうしたっ・・おいっ、オイぃEee:~e:ッe」


 物騒な『道具』を所持したあげく。筋肉の組成・眼球運動に、皮膚に施された偽装(化粧)など。まっとうな貴族の従者では無いことを、示す『情報』はいくらでもあり。

 万が一、奴等が本物の貴族関係者だろうと、羽矢弥のところに通すのは危険だとライゾウは判定した。

 そのため『雷鈴鐘』を受けて、痙攣けいれんしたり“体液”を垂れ流す連中を見ても、ライゾウの心は小揺るぎもせず。それが『治療院』の番兵に求められる、心構えというものだとライゾウは考える。


 もはや下級シャドウとしてバカをやっていた時の、ライゾウではないのだ。



 「あらあら、騒々しいですわね」

 「懲りずに、よくやること」

 「お務めご苦労様でございます、ライゾウ様」


 そんな死屍累々となった通り道を、羽矢弥の施術を受ける患者一行(女性たち)が、にこやかに通り過ぎていく。

 彼女たちは歓楽街(色街)で働く娼婦ということになって(・・・)おり。実際、目の前を通り過ぎていく彼女たち()、本職の娼婦なのだが。


 本来の計画では娼婦(人間)の代わりに、『生殖能力』の低いC.V.の皆さんを、主な患者として治療を行う。羽矢弥の『雷鷹羽』によって、『下腹・血流』に処置を行う予定だった。


 「「「・・・・・-・・」」」


 「おはようございますっ!」


 「もう、日が高いです」「“ザコ”を倒して、気分がいいですか?」「・・・・っ」


 『首無し騎士(デュラハン)』『地獄の猛犬(ヘルドッグ)』『冥府聖女バンシー

 

 それぞれ『妖精郷?』の存在を、『魔術能力』としてイメージした。三人チームのC.V.たちが、ライゾウに冷たい視線・声音を投げかけてくる。

 彼女たちは『魔術能力イメージ』まで開示して、ライゾウを信頼していた。羽矢弥を護衛する同僚であり、戦友たちなのだが。



 〔サヘル様がいない間だけでも、歓楽街の治安を守ってください!〕

 〔『治療院』の番兵がオレの任務だ。襲撃チームを壊滅させることしかできん〕


 〔タチの悪い客に、一服盛られて意識が戻らない子がいるんです・・助けてください!〕

 〔アホかっ(ツボ押し)部屋ネヤの中のことまで(心臓マッサージ)面倒見られ(雷鈴鐘)るか〕


 〔貴族のお家騒動にまきこまれみたいで・・・お願いします!私を他の町に売っ(逃がし)てください〕

 〔娼婦にたぶらかされたボンボンが、家の金を着服して・・・・・クソがっ!!はや・:オレの客に手を出すとはいい度胸だな〕



 それら諸々のことがあり。武力に関してのみ、ライゾウは歓楽街の顔役(シャドウのサヘル)と同程度の立場を獲得していた。

 その結果、娼婦と歓楽街の関係者たちは、羽矢弥の『治療院』に通い続け。未知の『雷鷹羽』に恐れを抱き、人間の患者は来なくなるはずだった。次代のC.V.を産み育むためだけ(・・)の『治療院』を創る『計画』は頓挫してしまい。



 〔バカなのですか?〕〔世間知らずにも(救いようのない)程がある(マヌケ)〕〔こうなったら、私のっ・・〕


 C.V.三人チームの信頼は地の底に堕ちた。彼女たちからすれば、C.V.種族の未来がかかっている、『計画』に支障をきたした。資金・時間や御主君シャルミナ様の面子がかかっている『計画』が、危機的状況にあるわけで。

 

 これ以上、ライゾウが余計なことをしないよう、にらみをきかせるのは当然のことだった。 






 繁殖力が低下した女系(C.V.)種族の未来をつなぐため。元侍女(中級)シャドウの羽矢弥さんが行使する『雷鷹羽』によって、母体をケア・サポートする『治療院』が建てられ。


 「予想はしていましたけど、問題が山ほど発生しましたわね」


 「・・・;・っ」


 貴族家の“お家騒動”に、“痴情”のもつれ等々。『産室』と同様に聖域にして不可侵にすべき『女性専門の治療院(産婦人科)』には、連日のように“厄介事”が持ち込まれていた。


 もっとも羽矢弥さんの『治療院』は都市ウァーテルの中にあり。都市ウァーテルは『いくつかの手段』で、独立している混成都市です。


 『旋矢群っ』、『旋風閃!』×7、『霊鳥符』

 『デッドリーノヴァ』

 『雷輪電昇!!』


 そのため他国では大問題となる『魔術(能力)』が、容赦なく“厄介事”に放たれ。



 〔下級貴族ごときが、『治療院』に負担をかけるなんて。いい度胸してるわね〕


 〔無礼なっ!我がストルゥ子爵家が『妖術』を、活かしてやろうと・・・〕


 〔もう、けっこう。キサマの“家”には見せしめになってもらう〕


 イセリナさんと“無礼者”との間で、こんなやり取りが交わされ。

 半月も経たずに、お家騒動の内情(スキャンダル)が暴露されたあげく。ギャンブルに負けた貴族家の破産が確定し。怒り狂った(青ざめた)寄親の大物貴族が、“元子爵家”に容赦なく制裁を加え。


 〔お許しをっ・・どうかお慈悲を賜りたくっ!〕


 〔悪いけど、姉上イリスから“手ぬるい”と、お叱りを受けているの。己の行いを後悔しながら、滅亡しなさい〕



 その後、対価と覚悟が無い貴族家が、『治療院』に関わることはなくなったのですが。 



 羽矢弥さんの魔力量はけっして多くはなく。

 それに対し、『雷鷹羽』によるケアを求める。『身体強化』『身体改造』によって生殖能力が低下した身体を弱体化させ(ケアして)。〔常人と同程度の『色欲』を取り戻したい〕と、願うC.V.は多すぎました。


 そして戦()種族であるC.V.は『外交・交渉事』も、多数の命運を左右する『戦場』と考えており。羽矢弥さんを自分たちの専属とすべく、複数のC.V.勢力が争奪戦を繰り広げる。

 シャドウ一族どころか、都市ウァーテルの存亡がかかった争いが勃発しかねない。危機的状況が迫っていたのですが。



 「ライゾウっ!もっと激しく・・・」


 「無理を言うな、羽矢弥っ・・オレをなんだと思っている^:`!!?」


 「私の名前を大声で連呼する、恥ずかしい殿方でしょう」


 「なっ!?そのことは忘れるって、約束しただろうに・・+・」


 「約束したのは〔言いふらさない〕と、いうことだけよっ^・^二人だけの時は、一生ささやいて興奮を高めるタメに・-^・;っ!?」


 「このアマがっ、その減らず口をたたけないようにしてやる!:!!」


 「ああっ、あ、アアぁーー・・そんなっ、後ろからなんてっ!!!」



 「「「・・・・・っ・・・」」」



 身体を重ねあわせ、『心の奥底』を同調シンクロさせる。


 ライゾウ殿の『特殊属性カミナリ』の魔力を、羽矢弥さんの『背骨』に注ぐ情報が開示され。

 大半のC.V.勢力が『外交』を行うことを断念しました。


 何故なら『魔力』と『異能力』の混成である、『魔術能力』を継承するのは【デリケート】な条件を満たす必要があり。〔ただ手順をなぞれば、再現できる〕と、いうものではございません。


 そのため強行手段(決闘)など論外であり。心の底から納得させられない『契約書』など、何の意味もなく。

 まして〔砂糖を吐きそうです〕〔破廉恥にも程がある〕などと、言っている臆病乙女(C.V.)に挑む資格などないでしょう。


 「『魔力』を譲渡するなら、薄い背中から行った方が効率がいい。

  だけど『魔術能力』に『たか』をイメージしている、羽矢弥さんにとって。背中にのしかかられるのは、『色々』と刺激的なのでしょう」


 「「「・-・:・~・+・」」」


 「何より、しばらく待つだけで。『鷹』や『雷鳴』のチカラを持つ子供が確実に^~・・」


 「そういう身も蓋もないことを言わないでください、シャルミナ様!」

 「私は何も聞いてない。『ヘルドッグ』は部屋の“残り香”なんて一切、嗅いでません」

 「・;+;・フフッ、知ってますか?『殺気』だけでなく、“色欲”も気配を発するんですよ?」


 黒霊騎士シャルミナの配下C.V.三人は、早急に心の『休養』が必要なようですけど。

 魔王の側室(シャルミナ)としては、とても興味深い『術理』であり。


 「5級『()霊属性のC.V.シャルミナ・ヴァイ・ローヴェルの名において、命じます。

  

  貴女たちは羽矢弥さん、ライゾウ殿の護衛として、『治療院』をあらゆる脅威から守りなさい」


 「「「・;・御下命、承りました」」」


 

 この日、シャルミナは初めて配下のC.V.たちに『無茶な任務』を容赦なく命じた。 

  私は以前〔江戸時代の鉱山は『妖怪』の話すら出ない、過酷な環境だった〕と、書いたことがありますが。

 『ウワバミ』が『山林』に登場し。『大百足おおむかで』がマイナーだったり、『鉱山』に関わらないのも、同様の理由からだと愚考します。


 特に『ムカデ』は〔狭い坑道を進んでいく〕と、いうイメージがあるそうですけど。

 それって〔小さな子供に、|過酷な児童労働を強いる《狭い坑道に潜らせる》行為であり。ファンタジーな土竜もぐら・ドリルが、鉱山採掘を行うほうがずっといいと思うのです。


 もっともこんな暴露をして、『鉱山』にマイナスイメージを与えたら。『鉱山』の採掘で生活している人々や『鉱山のある町』に対し、“風評被害”をもたらすわけで。


 〔『鉱物』を掘り尽くせば、(『江戸時代』と違って)まっとうに閉山してしまう。そんな近代の『鉱山・鉱夫』に追い打ちをかけることもないだろう〕と、いう【情】のある判断をなさった。

 

 〔霊感のある大先生たちが、『ウワバミ・大百足』を登場させない。登場させても『鉱山』を連想させないのは、こんな理由かな~〕と、いう妄想をしています。

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