閑話~落鷹のその後 裏
大妖怪の『オオムカデ』は、大昔の『火山・鉱山』が神格化した存在だと愚考します。
ただし江戸時代・・・『鉱山開発・採掘』が盛んになった時代の『ムカデ妖怪』は、『うわばみ』より嫌われていた、迷惑極まりない“怪奇”だった可能性があります。
昔から『大百足』を真摯に祀っていた方たちには、申し訳ないのですが。
『開発・採掘の技術』が発展し。莫大になった『鉱山の利権』で欲に目がくらんだ連中が、どんな非道をやらかしたか想像に難くありません。
何故なら戦国時代の鉱山開発は、敵国・家臣(豪族)の目を気にしたり。領民の反乱を危惧して、一応の【遠慮】というものがあり得ましたが。
江戸時代は『徳川幕府』の権力を振りかざして、やりたい放題になった。『独占禁止法』が存在せず、『監査』もまともに機能しない。邪魔な『大名家』は取り潰すか、転封(引っ越し)させればいいわけで。
こんな状況下で〔“鉱毒・公害”が存在しない〕と、いう夢物語は期待できず。幕府役人の良心・見識を信じられるほど、私は純心ではありません。
むしろ〔家を守るため〕と、いう“免罪符”をふりかざし。『閉山』の責任逃れをしようと、何をやらかしたか。〔全く信頼できない〕と、愚考します。
せめて時代劇でぐらい『江戸時代の閉山ネタ』があれば、ここまで書きませんけど。
〔戦国時代の甲斐で、金山が枯れそうになった〕と、しか耳にしない現状であり。史実はもっとひどいと愚考します。
こうして火山・鉱山の神格だった『オオムカデ』は、川を汚染する“公害の妖怪”へと墜ちてしまい。恐ろしい水害の『大蛇』と融合していったと、私は妄想します。
『魔術・呪術』はイメージの力が要であり。〔術者がイメージした『事象』を、『魔力・呪力』によって発生させる。間接・直接の両面から、詐術であざむき、他者を利用してでも【成し遂げる】ための術〕と、言える。
そのため元侍女シャドウの羽矢弥がイメージし難い『事象・行程』は、『魔術能力』の構成・強制力も大幅に下がってしまう。
そんな術理を知り、羽矢弥が違和感を感じたのは『魔力の容量』に関してだった。
妄執の強い精神から産み出された『粘着質な魔力』は、『魔力容量』からあふれても霧散しない。『魔力の容量』に澱み、粘り、へばりついて。
使用する『魔術』に制限はあるものの。『キャパシティ』からあふれるほどの『魔力』を、『呪術使い』は行使できる・・・・・というのが『呪術』の術理ということですけど。
〔それは不可解な話だわ〕
人間は『杯』からあふれた『飲み物』をすすらない。少なくとも羽矢弥はすすらないし。家族や幼馴染みが、そんなことをしていたら『しつけ』を行う。
〔だって『粘着質な魔力』は“汚れ”になるから。澱み、へばりつく“汚れ”は『器』まで穢してしまう。
そんなモノを使う・・使い続けることはできはしない〕
“毒酒”を察知する『銀杯』、“毒殺”に対抗する『銀器』はキレイだけど。“毒”に触れて濁れば、美しさも毒を感知する『機能』も失ってしまう。
『粘着質な魔力』を『魔力容量』に注ぐというのは、同様のリスクがあり。
『呪術』の行使に、羽矢弥は慎重に慎重を期す。
〔だけど、ソレでは何も守れない〕
〔流されるまま、ハーレムを認めるしかない〕
〔唯々諾々と、C.V.様に従うしかない〕
『魔術』『|戦闘力』で、羽矢弥ごときがC.V.様にかなうはずがない。『呪術』によって意表を突き、奇襲を成し遂げる。
それしか羽矢弥に勝ち目はなく。一度の『狩り』で、勝利を確定させる『術理』をつかむ。
〔そのために私は・・・・・〕
『一つの嘴でえぐり 双眸で射抜き 三方の羽根で自在に空舞う
四爪の連なりよ
矢より鋭く 馬より速く 鴉を追い抜き 向かい風の中を疾く進め!
さすれば爪の錆び 翼の汚れ 双眸の陰り ことごとく削れ落ち
一つの嘴で、私は巣に・+/-』
羽矢弥が秘かに練っていた。命をかけて精神の奥底に蓄えていた『鷹爪巣』の『呪術』は失敗する。
本来は『魔力容量』を『呪力の塗料』で染色する『呪術』であり。
『魔力容量』からあふれ、『サカズキ』・思考や周囲を汚染しかねない。そんな『粘着質な魔力』を『釉薬・染料』に見立て、『魔力容量』を強化する。
その強化した『魔力容量』によって、ライゾウの『雷輪電昇』を受け止め。
〔彼の“負担”を肩代わりしよう〕と独断で企てていたのだけど。
『呼気はうなれ 血流は回れ・・・そして神の経路は猛って昇れ 雷輪電昇!!!』
〔ーー―っ!?〕
ライゾウの魔力は羽矢弥の予想をはるかに超えていた。姉君に勘当されて『修練の質』も下がり。そもそも女性シャドウのほうが、男性陣より『魔力』は高いにもかかわらず。
〔こんなのっ・・〕
『魔力容量』の質・耐久性を増すように、羽矢弥は『呪力の染料』を塗り重ねていた。『魔力』だけで構成された『宝珠』・『霊宝』のように、“邪心・悪想念”で汚染されないよう。職人の工程を真似して、『魔力容量』を『呪力の塗装』で強化していたにもかかわらず。
〔・・あふれっ〕
こうして羽矢弥が企てていた『鷹爪巣』は打ち破られてしまい。〔『器』に『釉薬』を塗って、『灼く』〕のと、似たイメージが行われ。
羽矢弥は『雷輪電昇』の一部を、意識に刻みこまれた。
“美人局”という“凶行”が、世の中にあります。端的に言えば〔『ハニートラップ』を女が仕掛け、相方の男が強盗・恐喝を行う〕と、いう『物盗り』の一種と考えられていますが。
〔そんな甘い『犯行』ではございません〕と、眷属C.V.のマリーデは述べたい。
“美人局”とは歓楽街に大損害をもたらす。金に困った娼館の主に“娼婦の損切りを行わせる”と、いう完全な“凶行”です。
大半の人々は〔“美人局”に引っかかるなんて、バカな“スケベ男”だ〕と、いう程度にお考えでしょう。ですが世の中の大半は『連鎖』して、影響を与え合っており。“スケベ男”にも『口』『同類』や五分の魂があります
加えて〔夜鷹殺すにゃ刃物はいらぬ、雨の三日もあればいい〕と、いう語りも存在し。
それは〔夜鷹(街娼)を大勢殺すのは、治安の悪さではなく。雨が降って『客』が来ない。不景気・悪政で『客』が来ないことこそ、致命的だ〕と、いう意味あいです。
無論、実際はそんな“甘い話”など、あるはずもなく。
“美人局”のせいで『娼婦・歓楽街』への信用がなくなれば、スケベでまっとうに金を払う『客』が来なくなり。
街娼は“ヤバそうな客”を取らねばならず。経営が傾いた娼館の主は、売れない娼婦を使い潰したり。病にかかった娼婦を休ませることなく働かせ、“この世から永久に休ませます”
〔“美人局”を探し出すため〕と、告げて貴族に雇われた冒険者が、探偵気取りで素人捜査が行われ。その時に“冤罪”をなすりつけられ、“接待に消費された”娼婦の悲鳴を、マリーデは決して忘れません。
マリーデは“盗賊ギルド”“冒険者ギルド”双方への報復を決意した。
“私たちは『依頼』を仲介しただけです”と、のたまった受付嬢には必ず報いを受けさせる。
そのために・・・
〔間抜けな受付嬢には、この世から退場してもらいましょう〕
〔貴女はっ・・〕
“盗賊ギルド”の滅亡は、聖賢の御方様により決定している。あとはどのくらい“共犯者”を狩るかだが。『冒険者ギルド』には利益を提供すると同時に、『改革』もしてもらう。
〔その際、少なからぬ冒険者ギルドの構成員には、“賊の共犯者”として報いを受けてもらいます〕
〔・・・よろしく、お願いします〕
〔『代価』は『労役』によって・・ー-・私の任務を貴女たちに手伝ってもらいます〕
〔かしこまりました。羽矢弥様に従います〕
こうして“美人局”を行う連中の破滅が確定した。
貧民街の入り口、市街地との境目には様々な建物がある。
【どぶ川のお掃除】・下水の浄化によって集められた『汚泥』を、『肥料』へと変える。『集積場』兼『錬金施設』の建物だったり。家畜肉を『解体・加工』する工場・魔術を併用しての訓練場や『研究所』など。
都市ウァーテルに利益をもたらす、真新しい重要施設であり。広い敷地が必要なため、市街地にある建物を取り壊すのは、反感を買ってしまう。
そのためスラムの家屋を買い上げ。代わりの住まいや仕事を提供する。そういう『契約』を結んで、重要施設を建てる土地を確保し。
「スラムの者に正規の『契約』など結ぶ必要などございません!
奴等はいわば“不法住居者”であり・~・^・」
『デッドリーノヴァ!!!』
闇属性の『魔術』が轟音をあげる。闇色の『球体』が堅牢だった城壁を灰燼と化し。それらが地面に崩落する前に、静寂の『球体』が貪欲に呑み込みを行って。
「「・・:・;ーー―」」「「「ッ!?」」」
「・`・・*^・・」「「・^・;ッ!!」」
「おやおや、黒霊騎士様が『魔術能力』を“暴走”させたヨウダね~」
「ああっ・・なんて恐ろしいことでしょう!^!」
「これは厳重に抗議しないと。誰か『交渉』をしてくれないかしら」
「「「「「「「「・~・;・・・―ー―」」」」」」」」
誰も名乗り出る者などおらず。聖賢の御方様によって、速やかに『交渉団』が任命される。
その中にはスラムの住民を“食い潰し”たり、孤児院に“不届きな行為”をしている者たちも参加させられたが。
『交渉』は真面目に政務を行っている者が、魔王の側室様から『賠償金』を得る『契約』を結び。
『交渉団』から逃げ出した連中の行方は、誰も調べようとはしなかった・・・・・調べようがなくなった。
そんな裏事情を羽矢弥は知ることなく。彼女は新しく建造された施設で、忙しい日々を送っていた。
『雷鷹羽』
「先生っ・・」
「母子ともに健康よ。『仕事』は控えて安静になさい」
侍女シャドウを辞した羽矢弥が、本当の『仕事・役職』としていること。それは『娼婦』等の【特殊技能】を持っている、女性専門の『治療院』だ。
「そうは仰っても・ー・・娼婦たちが食べていくには(夜の)仕事をしなければ・・・」
「幼い子供を育てるには、もっと稼がなければならない。その『技能』を覚えるために、『本職』のほうは休みを取るしかないわ」
音曲・芳香による癒やし。文芸・食事の知識など、『娼館』に付加価値をつけるスキルは無数にあり。それを習い覚える時間・人材は、あまりにも少ない。
「『男娼・娼婦』を嫌悪するC.V.様たちに、『歓楽街』の運営を黙認させる。都市ウァーテルで『娼館』を営む条件に〔『契約』を守る〕〔『娼婦』を穏便に引退させる〕と、いう『契約条件』を満たす必要があるわ。
体調が不安定になった貴女たちは、それら『契約』を守るための重要な兵力よ。しっかり訓練して、武装しなさい」
「羽矢弥姐さん・・・っ!」
綺麗事を並べる羽矢弥だが、つい最近まで彼女も『娼婦』にいい感情を持っていなかった。
それなりに潔癖症なうえに、恋人を誘惑する可能性は排除しておきたい。
〔“盗賊ギルド”を撃退しているシャドウ一族なら、歓楽街をつぶすぐらいたやすい〕と、羽矢弥は傲慢にも考えていた。
しかしシャドウ一族が使う『身体強化』のリスクを考えると、それは“悪手”でしかない。
『薄い空気の「結界」で修練を積み重ね。心肺機能を鍛えつつ、『食事療法』で強い肉体も得る』
そうして機動性を重視した『身体強化』を行う、『旋風閃』は健全であり。デメリットはないように思えるが。
昨今の研究で副作用が判明した。
それは【身体の“獣化”】であり。『獣』のように高い身体能力を得る代償に、『獣』と同様に『繁殖力』が低下してしまう。
一年のうち数ヶ月の『繁殖期』を持つ、頭数の多い『獣』と同レベルに『発情』するならいいのですが。
『発情期は数年に一度・その期間で受精するのは数日』という。身体能力の高い『奇獣・巨獣』と、同等の『出生率』になってしまう上級シャドウもおり。
〔高貴で長命なエルフ様は、子供が産まれないことが問題になっている〕
この問題が寿命の短い。C.V.様の文明レベルに大きく劣る、人間に突然、降りかかっている。それが羽矢弥たちシャドウ一族の現状であり。
〔対策は待ったなし〕と、いう状況だった。
「次の人、いらしてください」
「・・;・;・・」
「その患者は羽矢弥様の所ではなく、『芳香治療』を行う部屋に案内しなさい」
そのため『娼婦』たちに借りを作り、『女性用の治療院』を運営する人材を派遣してもらう。
厄介な客をあしらう『対人スキル』を持つ、『娼館の従業員』を働かせ。この世の理不尽が身にしみている、『娼婦』たちを患者にして『医術』『治癒術』の経験を積み。
「よroし・く,お願いしますっ!:!」
「・・・よろしくお願いします(勇敢なC.V.様)」
患者たちの中には『身体強化』の副作用も含め、様々な事情で『出生率』に悩んでいる『カオスヴァルキリー』の皆様も来訪しており。
「それでは『施術』を始めます。身体を『雷鷹羽』で走査することを、お許しください」
「お願いし;まs;、貴女様だけが頼りなんで・・;・」
余計なことは考えない。羽矢弥は『身体操作』で顔面の表情を『笑顔』に固定し、まず半泣きのC.V.患者を落ち着かせることから取りかかった。
人を食う『酒好き大蛇』。それは『水神の蛇竜』と比べて、変化が大きすぎます。
日本の神々は、〔怨霊を祀って鎮める〕〔恵みをもたらすと同時に、荒ぶる神でもある〕と、いう『神格』が無数にあり。『大蛇』も水の恵みと洪水の水害をもたらす、『大妖怪』であり『神様』ですが。
『酒好き』“人食い”の属性追加までならともかく。〔水気のない山に棲む。火を吐き、まとう〕と、いうアレンジを行う。『オロチ』を『ウワバミ』に変えてしまう。
現代ファンタジーの『創作キャラ・モンスター』なら、そういうのも『ゲーム』でならあり得ますが。
昔から信仰されていた『水の神』が、『火妖』に変わる。明らかに異常事態であり。よほどのことがないと、こんなことはあり得ません。
その理由として〔昔から発生していた『川の氾濫』など、比べものにならない“災厄”が起きた〕と、愚考します。〔神様が荒ぶった〕では済まされない。
おぞましい“公害病”が起きたため、江戸時代あたりから『うわばみ』が作られたと妄想します。