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微風のよどみ

日本の昔話において、『水神』を兼ねる『大蛇オロチ』とは、どんな妖怪でしょう?私は男女の性別がしっかりある、珍しい『妖怪』だと思います。


 姉妹の姫を要求した『八岐大蛇やまたのおろち』はおすであり。他にも人間男性に変化へんげして、娘との結婚を求める『大蛇』の昔話は日本中にあります。他にも口調から、酒好きの『うわばみ』は男だと推測されます。



 それに対し英雄大戦に登場する『清姫』は女性の『大蛇(or鬼女?)』であり。


 他にも〔人間の男を結婚したものの。〔産室をのぞいてはいけない〕と、いう誓いを男が破ったため。事実上の破局になり、子供に自分の『目玉(orアメ玉?)』を与えた。そうして目の見えない『大蛇の女性』のため、男は鐘をついて刻を知らせるようになった〕と、いう昔話があり。

 

 『弁財天』『竜宮城の乙姫』の系譜で、水を司る『龍神=大蛇』も女性の神格or大妖怪でしょう。



 このように『大蛇』は雌雄がしっかりある。男女の物語がある、珍しい『大妖怪』だと愚考します。

 魔王様の側室C.V.(黒霊騎士)であるシャルミナは、配下のC.V.三名を援軍として送り出し。

 それから侍女頭シャドウのアヤメさんが『遠当て』を放った地面を、慎重に凝視した。


 『・:○:●・(ダルクアイズ)


 水が地面にしみいるように『魔力』を流し。這いずる影ように『感覚の触手』をのばすと。


 「これはっ・・・」


 そうして、危うく【宝物】を割りかける。パワー型の戦闘特化C.V.であるシャルミナの『魔力』は、増設した『感覚』すら高密度であり。

 地面の微小な震動に合わせて放たれた、『風衝撃(遠当て)』の残留魔力メッセージを危うく破壊しかける。


 その動揺は心にさざ波を起こし。鉄壁鋼鎧より硬い、シャルミナの防護魔力にゆらぎをもたらす。



 「-ー~・ッ」


 「『やッホっ』!久しぶりだねぇ、シャルミナ」


 「・・・・・お久しぶりです、ティアニー。『魔王(旦那)様はご壮健ですか?』」


 道化の服を扇情的にアレンジした装備をまとう、6級C.V.とシャルミナは時候の挨拶を交わす。

 その『呪言』は実際のところ『本人シャルミナ』の確認と、『精神干渉』を受けていないかチェックを行う。遠征中のC.V.を『鑑定』するための魔術なのだが。


 「!?/+;-!ッ‼」


 少なくない者が〔火花が散っているようだ〕と、顔を引きつらせておっしゃり。

 シャルミナの隙を突こうとして、魔王様の側室の一人(ティアニー)に踏みつけられている。哀れな『刺客』がその火花をあびて脂汗を流していた。


 「それにしても『黒霊騎士シャルミナ』ともあろうものが、こんな“盗賊”に隙を見せるなんて。旅行気分で、気が抜けているんじゃない?」


 「面目次第もございません・・・と言いたいのは山々ですが。まずはその暗殺者を眠らせてください、ティアニー。【魔王様】の蔵書・魔導書に関わる案件です」


 「・・ー・!?」


 『承知したわ(テラーバイト)


 「ッy`;ー/」


 ティアニーの『魔力』が、首筋から『刺客』の脳を侵蝕していく。それは『彼』の記憶をひっかきかじり。『下位吸血鬼』を増やすように、元刺客を一般人へと『変質』させていく。

 こうしてシャルミナの隙を察知できる、腕利きの『刺客』は永久に沈黙させられ。



 「それで?」


 「次に私の乱暴な『感覚の触手(ダルクアイズ)』を乗っ取ってください」


 「・・本気なの?」


 「もしくは『ダルクアイズ』が不用意にふれた、地中の『空気』を読み取ってください。

  そこにアヤメさんの『メッセージ』が記されています」


 「・・ー・・・」


 シャルミナのセリフに、ティアニーの瞳が半眼になる。

 いくらC.V.が『魔力』を視れるとはいえ。〔見て魔術を盗み取る(覚える)〕のと〔魔術を乗っ取っり(、心に干渉できる『隙間』を露わにする)〕のは、天国と地獄ほどに異なるわけで。


 シャルミナとしては【魔王様への宝物】を入手する、覚悟を示したつもりだが。ティアニーにはすこぶる不評のようだった。


 「とりあえず貴女シャルミナが『地中の空気(メッセージ)』に、多大な期待をしていることは理解した。

  まあ確かに〔畑の土に空気が入るよう耕す〕と、小耳にはさんだことはあるけれど。それを『術式』にまで改良するなんて・・・その女は本当に人間なの?」


 ティアニーが失礼なことを言っている。とはいえシャドウ一族の『魔術能力』を初めて知った際、シャルミナはもっと無礼な(モンスター)ことを考え(を連想し)ており。

 偉そうに彼女ティアニーを責められないのだが、重要なのはそんなことではなく。


 「男性シャドウの3名が、既に中級以上のC.V.と『つがい』になっていますわ。

  イリス様が保証している以上、シャドウの皆さんは人間ですわよ」


 「そうねっ!失言だったわ!!」


 シャルミナはもちろんのこと。仲間ハーレムの中で、伝令や『道化師』を担うティアニーも『血統の鑑定士』ではない。下手につついて〔蛇が出たら〕誰も幸せにはなれず。

 シャルミナたちは一つの宝物を得るのに、集中することで一致した。


 


 

世の中とは理不尽なものです。


 必死に積み重ねた努力を上回る、才能があり。誠実に生きれば、悪意に狙われ。奸知をふるえば、正攻法に敗れる。ルールを守れば、日付とともにそれが変わり。『契約』の隙をつけば、呪縛による“悲惨な未来”が待っているとか。


 そんな世の中で、侍女シャドウの羽月はづきが最も理不尽を感じること。


 「・・・・・^・・・・」


 「・・・・ッ」


 それは敬愛している侍女頭アヤメ様が醜態をさらしていることだ。


 せっかく姫長様から〔ロゴニアの町に入ったら、侍女頭アヤメの護衛につきなさい〕と、命じられ。己を律し、『旋風閃』を教導し、誰もがその力を認める。

 〔そんなアヤメ様と共に戦える栄誉を与えられた〕と、思ったのは今では昔のこと。


 羽月が目の当たりにしたのは、絶縁したはずの(くだらない)弟に執心している只の姉だった。


 「・・・~(まだっ?)-・・:・・(まだなのっ)!」


 「・・;+(お姉さま)・・・」


 その視線の先には元侍女シャドウだった羽矢弥はやみが力なく倒れ。元姫沙薙(きさなぎ)家の失言シャドウ(ライゾウ)が覆いかぶさっていた。

 傍目にはよからぬ行為に及んでいるようにしか見えず。それをアヤメ様が凝視しているお姿に、羽月はすさまじい理不尽を感じる。



 かつてお館(イリス)様がシャドウ一族に対し〔ハーレムの主(種馬)になってね〕と、言ったとき。あの男(ライゾウ)は様々な暴言を吐き出してくれた。


 

 “イリス様の良人になれと!?光栄でございますっ!”

 “姐御たちを一夫多妻でめとる!っ!?^!ドラゴンの群れに放り込まれたほうがマシだろう・・・”

 “正気かっ!?姉上アヤメと勇馬が婚約するなんて・・・猛虎と馬は結婚できな/-*^*”



 姫長様に仕える姫沙薙家に産まれたため、助命はされたものの。

 羽月としては〔勘当などでは足りない。一生監禁するか、永久追放が失言シャドウの『罰』にふさわしい〕と、今でも考えている。


 そして当然、アヤメ様も同意見だと羽月は考えていたのだが。


 〔違うっ・・そこはもっと慎重にっ・:ー・〕

 〔『波長』をつかめ!人間は常に硬直していられない・~・〕

 〔ああっ!?~・`・驚かせないで・・・〕


 「〔・・・:+;〕」


 表情こそ一応、平静であるものの。気配・生体魔力オーラのゆらぎは明らかであり。アヤメ様が何を考えているのか、羽月ごときの腕前で察せられてしまう。

 その事実に彼女は、ものすごく悲しくなり。



 『風尾・+双竜爪』


 *//*\*/-*:*-*\*


「なっ・・!?」


 大事なときに反応が遅れてしまう。

 暗い夜空を切り裂いて、『矢』がライゾウたちのもとに飛来し。


 「敵襲・・と言っていいのかし(旋風閃影)ら?・・“賊”のくせに面白いことを考えるわね」


 それらを瞬時に迎撃する、お姉(アヤメ)様のお姿に見惚れてしまう。


 『風尾』は音・香り・冷熱や残留魔力を『幻獣キツネの尾』のように広げ。その『尾』が変化するのを観測することで、『感知』を行う術式であり。


 「羽月っ!『霊符』を放って・・場所は壊滅させた“賊のアジト”でお願い」


 「はいっ、ただ今!!『霊鳥符れいちょうふ』」


 〔一晩で二度・二重に壊滅させたアジトに、性懲りも無く“賊”がいるのですか?〕


 一瞬、そんな疑問が浮かぶも。羽月の手は『術式』の印を刻んで『封紙』に力を流し。さらに『封紙』の中へ『呪符』を入れ、夜空に放つ。

 羽月の『生命力()魔力()』を帯びた、その『紙』はまたたきゆらぎ。


 『怪鳥』と化して翼を広げた。

 





 世の中には様々な不条理がある。その中で侍女頭シャドウのアヤメがまっ先に思い浮かべるのは“有能な部下”であり。身の程をわきまえない“謀反人”だ。


 〔王や殿様にとって、有能な部下こそ最大の脅威だ〕と、言う『戦記』がある。若く武勇に優れた流浪人に嫉妬して、ヒヒじじいの権力者が色々と横暴をやらかす『逸話』の導入部だが。


 扇奈の副官アヤメとして〔流浪人はふざけるな!!〕と、言いたい。


 武勇に優れ、天性の才があるのはけっこうだが。それは自らのプライドを最優先にしている、傲慢さも併せ持っており。

 それは権力者の『権威』を貶めてしまう。民衆・兵士や戦国武将の『評判・権威』が重要な、政権を揺るがす『謀反』に等しく。存在するだけで権力者の一族はもちろん、その家臣団や仮初めの平和を破壊する行為です。


 確かにヒヒ爺(権力者)には、問題も多いですけど。

 戦に勝ち、外交を行い、経済を発展させ、慣れない諸芸礼法を頭にたたき込んだ。そんな一大の傑物が、武勇だけの流浪人に振り回され、権力の座を脅かされる。


 〔暴君老爺が派手な流浪人を攻撃するのも、当然なのでは?〕と、アヤメは考え。


 〔私もシャドウ一族(家族)のため、『名声・戦果』をコントロールしなければ〕と、いう結論を出し、『魔術能力(風尾)』を編み出した。


 姫長の扇奈は『某猿面冠者』のように勝利・社交・金策や多文化の会得を求められるのに加え。

 C.V.様という『理不尽文化』に対抗し、『旋風閃(術式)』を配下に教え、“状況を理解してない盗賊ギルド”の相手をしなければならない。


 そんな扇奈の修羅場を踏みにじって“私が最強、私が一番手柄をあげている”などと、のたまう気はアヤメに無く。


 〔たとえ奸雄が邪知をめぐらせ、勇者の暴虐が襲来しようとも・・・〕


アヤメは一族を守って見せる。そのためなら理不尽イリス様の『本職』に、協力するのもやむを得なかった。

 『大蛇オロチ』のように、大妖怪でしっかり男女を描かれている妖怪は珍しいと愚考します。


 修験者がモデルの『天狗』は、『男性社会』であり。昨今の『性別転換キャラ』はともかく、昔話の『天狗』は男ばかりであり。


 そして『鬼・河童』に男女はいますが。その場合、『集団生活をする亜人』という感じになり。『大妖怪』と言うのは厳しいと愚考します。


 そして『鬼』の場合、『鬼女』の昔話はありますが。『地獄・鬼ヶ島』に『鬼女』はおらず。

 『鬼女』というのは、恐ろしい『山姥やまんば』『夜叉』『般若はんにゃ』などが混ざった。『地獄の鬼』とは別の妖怪だと愚考します。


 『茨城童子』や『○○御前』などは、女性の『鬼』ですが。『茨城童子』は昔の作品だと、男の場合も多く。『○○御前』の鬼女説は、“女のくせに、男より・・・”というやっかみが混ざっていたり。霊場の山を支配する『女王』に対し、後世の男社会が広報戦を仕掛けて『女王→女魔神→鬼女』に貶めたと愚考します。



 そんな中で、しっかり男女が描かれている『大蛇』は珍しい大妖怪だと思うのです。

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