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小者の雷~アジト襲撃

 大昔の日本において、『犬』はどんな時に『妖怪化』したのでしょう。端的に言えば、悲惨な事件が起こったとき『犬』は妖怪化したと愚考します。


狂犬病などの病にかかったとき。戦乱に巻き込まれて、傷ついたとき。そして人間に裏切られて、苦しんだ時でしょう。

 昔の『犬』は放し飼いだったとはいえ。飼い主はえさをやれる程度には、裕福だったでしょう。ところが戦乱・権力争いに敗れた飼い主が没落して、エサをやれなくなった。病毒・敗戦・加齢や“カルト宗教”にひっかかって、人が変わってしまった。


 そういう飼い主が『犬』を悪用したり。飼い主の責任を放棄して、裏切ったことにより『犬』が凶暴化した。あとは珍しい他領の『犬種』が山を越えるなどして、『妖怪』あつかいされた。


 こんなところを推測しますが、おそらく楽しい結末のお話にはならず。妖怪先生も執筆はなさらなかったと推測します。

 狙撃・遠距離攻撃を行うにあたって、狙いを定め『照準』をつけることは重要だ。

 それは『雷臨電翔らいりんでんしょう』のような、長距離を爆走しての『突撃・強襲』を行う際も同様であり。標的に『照準』をつけ、爆走する地形の『情報』をかき集めなければならない。


 その『情報収集』は、『雷鳴の幻術+電磁波(雷鈴鐘)』でひるんだ相手をたたきのめすより、はるかに困難であり。

 『八鷹輪舞』で必要な情報を集め。『旋風結界』が崩壊時に発する『光・音』を信号にして、『情報』を伝えた羽矢弥はやみには本当に頭が上がらない。


 「グォオオ(雷臨)Ooo--(電翔)-ー!!」


 「ギャひっ`*~」「待tT+*;」「「「「「*+!*-・・」」」」」 


 だからライゾウは一刻も早く、羽矢弥のフォローをすべく。ロゴニアの町に潜り込んだ“盗賊ギルド”のアジトを壊滅させて回った。

 “シーフ”のそれなりに鋭い感覚に『雷鳴の幻術』をたたきつけ。悶絶する間も与えず、双短棍で打ちのめす。中級魔獣キマイラエルクの頭蓋を割った一撃は、ゴロツキに対しオーバーキルな気もしなくはないが。


 奴等は“魔薬”で『怪物』と化し、悪あがきを散々している。過剰な殲滅は〔必要悪〕と言って、押し通せるだろう。




 「ここでっ・・五軒目っ!」


 ロゴニアの町に建つ建物の中でも有数の大きな屋敷に、ライゾウは狙いを定める。今まで強襲したアジトは二、三部屋しかない家屋で、伏せていた“賊”も少数だったが。

 この屋敷には広さに見合った、“賊”が潜伏しており。その戦闘力は侮れないだろう。


 少なくとも〔『雷鳴の幻術(雷鈴鐘)』をたたき込んで、悶絶する連中を仕留める〕と、いうような蹂躙は不可能だろう。


 「・・・っ!」


 そんなことを考えていたライゾウが、屋敷の壁を飛びこえた途端に・・・


 『アイヴィーバインド』×3


 『魔術』の罠が発動する。庭に植えられた樹の合間をぬって、魔力を帯びた『無数の蔦(アイヴィー)』がライゾウへと這ってきて。


 『雷臨電翔!』


 ライゾウの身体をかすめること無く、何もない空間を虚しくうごめく。三方から襲いかかり、空いた逃げ場に本命の『罠』があったか知らないが。対“盗賊”用の罠では、素のシャドウにすら通用せず。

 まして下手な『獣』より素速い、『加速の身体強化(旋風閃)』を発動したライゾウに追いつけるはずがない。


 「くっ、どこだ!」「・・ー:+っ!?」「探せっ!この『蔦の結界(アイヴィー)』を簡単に脱け*/~ー」「・ー-*:ッ」


 そうして待ち伏せを行うつもりだった集団に、ライゾウは逆撃を仕掛ける。一番、うるさい指揮官らしき奴と気配を隠した腕利き?の二人に、ライゾウは短棍をたたき込み。


 「アニキぃ!?」「てめぇっ!殺s`*」


 そうして物言わぬ仲間に驚愕している、二人を『蔦の結界』へ突き飛ばした。


 「「ギャァーーーー`~!」」


 「・・・・・」


 身の毛もよだつ断末魔が響きわたる。半ば予想してたとはいえ、こんな物騒なモノを〔一般人も通る道に、壁一枚だけ隔てたところに設置するな〕と、ライゾウは思ったが。


 「敵襲っ!」「南側か・・・迎撃準備!!」「「「・・^ーーっ」」」「急げっ、遅れるな!」


 明らかに“盗賊”ではない。少し前に攻略された『山砦』にいたという、騎士らしき口調を聞き。

 ライゾウは即座に思考を切り替え。

 

 『雷臨電翔!』


 『・/g*:ー-*+--~//-Gy*』


 呑気にライゾウの前で“捕食”を行っている、“蔦怪物アイヴィー”を徹底的に粉砕する。

 単なる『罠・魔術』なら放置もあり得たが。『キマイラエルク』との戦闘経験によって、ライゾウは“盗賊ギルド”への良識を一切、期待しなくなり。『アイヴィー』が屋敷の『枷』を外れて行動する、“惨劇のリスク”を見逃す気などなかった。


 「少しはマシな騎士だといいんだが・・・」


 〔あるいは『粉砕』するとき、躊躇ちゅうちょの必要がない連中のほうが良いのだろうか?〕


 そんなことを考えつつライゾウは屋敷の壁を飛び越えた。






 高山に住まう『魔獣豹(雪ヒョウ)』から多くを学び吸収し。普通に足音を消せる『旋風閃』と異なり。

 ライゾウの『雷臨電翔』は騒々しい『術式』と言っていい。その存在を感知するのは容易であり。むしろ無視するほうが困難だ。


 ただしそれはイコール〔奇襲に不向きだ〕と、いうことにはならない。


 「どこだっ!侵入者は何処にいる!!」「探せっ!まだ、そう遠くには行ってないは/.*^ー」

    「エドヴァルっ!?貴様ァー~/・*:」  「「敵襲っ!敵しゅw`*」」


 さすがに『人間・・の遺体』に行うのは禁じられており。上級シャドウの許可なく“賊の屍体”に小細工を弄するわけにはいかないが。


 『B/b.bbーー~iB`ー+bbe!*!』


 先程、粉砕した“人喰い怪物(アイヴィー)”に『雷鈴鐘』をかけ。『騒音・怪音』を発する“奇術装置ガジェット”にして、雑兵の注意をひくのは許される。そして雑兵が混乱すれば、その動揺は拡散していき。


 『雷臨電翔!』


 「!*;`っ卑怯者がっ・・恥をしi-*」


 「“恥”だと?それを貴様等が語るのかよ」

 

 墜ちた元騎士の集中力を乱し、その隙を突くことも可能だ。

 

 亡国の騎士とはいえ、“盗賊ギルドの飼い犬”に墜ちた連中は、それなりに場数をふんでいて侮れない。騎士として訓練を重ねつつ、暗闘をくり返し凶猛に成る者も一定数いる。

 そして羽矢弥の安否が気になるライゾウとしては、そいつらとの戦闘で時間を浪費するわけにはいかず。こういう小細工を弄してでも、戦闘時間を短縮させねばならない。


 「まあ貴様たち(・・)は、死ぬときぐらい“卑怯”と罵ってもいいか」


 『グランドバルク!!ッ!』


 屋敷の壁が、巨漢の騎士によって破壊される。その破片が『爆風』とともに周囲にまき散らされる中で、地面に『戦鎚』がふり降ろされた。屋敷の庭に『衝撃波』がはしり、倒された元騎士たちが圧壊していく。



 「たいした『範囲攻撃』だな。だが兵士を捨て駒にしても、勝敗は変わらんが」


 「・・ッー!?」


 『範囲攻撃』が何故、多大な戦果をあげられるのか?理由は『範囲攻撃』を常人がイメージできないから。『知識』はあっても、実際に『広域』を薙ぎ払う攻撃が放たれると。怯え、無駄に身体を硬直させ、思考を放棄する。


 応えない『神』にすがって、『戦い』を断念するから。『範囲攻撃』によって、雑兵は薙ぎ払われてしまう。回避・防御の手段があっても、戦闘不能に陥ってしまう。


 「だが俺たちシ(・・+a-r)ャドウは、『範囲攻撃』を受ける修練を(v・v・d)積んでいる(l:n)。『範囲攻撃』が飛び交う戦場で抗い(r-・:l~・:)、生きのびた経験がある。初見で驚愕(来たれっ)している雑兵を圧倒(ナりひビくイカヅチ)する程度・・の『薙ぎ払い』は通用しない」


 偉そうに講釈をたれながら、ライゾウは『静音詠唱』を行う。仲間からはバレバレな『腹話術』が、言の葉に隠れて強制力の強い『雷鈴鐘』を構築し。


 「侮辱は許さん!もう一Dぉ!^?」


 戦鎚持ちの将軍騎士の軸足・・・の下の地面を震動させ。同時に踏み込みの足に『電磁波の障害』をかける。2種類の異常をそれぞれの足に仕掛け、大技を放つ巨体がわずかにゆらぎ。


 「ォおっ『グランど


         『雷臨電翔!』


 後の先をとったライゾウが、名を知らぬ巨漢の『戦鎚』に加速を強いる。体勢を完全に崩した『必殺技』の魔力が、持ち主に『諸刃の剣』をふるい。


 「卑怯者がぁ--*:・」


 「悪く思うな」


 こうして羽矢弥が伝えてくれた、拠点アジトの大半は壊滅した。

 それでは『猫』の場合は、どんな時に妖怪化するのか?


 『猫』は気まぐれor孤高で人間の言いなりにならず。『犬』のように番犬・猟犬として荒事に関わる事もなかった。不思議な奇行もあり、妖怪化するネタには事欠かないのでしょうけど。


 そのわりに『化け猫』は、怖い怪談が多く。癒しの動物番組・動画の多い、昨今では考えられない凄惨な怪談もあり。


 その原因となりうるのが、『猫草』『猫の毛玉吐き』の習性だと愚考します。実際に猫を飼っている人は、御存じでしょうけど。猫は毛づくろいをする時、舌で体表面をなめて体毛を吞み込んでしまい。それを吐き出すため、『猫草』をかじり『毛玉を吐き』ます。


 これは『猫』という動物の習性であり。飼い主なら、不必要に騒ぐことではないのですが。(健康に不安のある猫の場合、獣医さんに相談してチェックしてください)


 昔の『穢れ・物忌み』などの迷信を信じていた人々が、『毛玉を吐く猫』を見たらどう思うか。あるいは『風邪』が容易に人の命を奪う、医療レベルの地域・時代なら?

 おそらくロクなことにならなかった。“穢れ・死病”をばらまく『化け猫』が創られていったと愚考します。


 もちろん放し飼いの元気な『猫』なら、人間の目につくところで『毛玉を吐く』姿を見せるヘマはしなかったでしょう。ですが加齢・飢えや傷病で弱った『猫』に、それを求めるのは無理があり。


 こうして人間に害をなす『化け猫』は、質・数の両方で『犬妖怪』を上回ったと愚考します。そのかわり『猫の神様』は稀少な感じがしますけど。 

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