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戦輪の連戦:チャクラムドライブ

 『かぶと』がついている、全身の大半を覆う『鎧』を比べる。西洋騎士の『フルプレート』や大陸武将の『鎧』を見比べると。戦国時代の日本武者鎧は、動きやすさを重視して軽量に作られているように見えます。


 その理由は様々、考えられ。


 1)山道・傾斜の多い地形での戦闘に対応するため。転倒したり鈍足にならないため。

 2)肉食が疎まれたため、身分の高い武将は小柄な者が多く。重い鎧をまとう筋肉がなかった。

 3)『馬』の品種改良が大陸と比べて遅れており。重い鎧武者を乗せられる『騎馬』が少なかった。

 4)『刀鍛冶』による鉄の加工技術が優れていたため。『鎧』もそれに伴って高性能になった。


 私が思いつくのはこんな所です。

 武術・魔術は常に進化し続ける必要がある。先人の言葉に〔現状維持は“退化”に等しい〕というのがあるが。〔戦闘技能の停滞は、全てを失う敗北の前兆フラグだ。あるいは戦場から離れる潮時だ〕と、戦闘特化のC.V.は考えている。


 それはマイアも同様であり。飛び道具の『チャクラム』に頼っていては成長できない。

 『魔術円サークル』を展開し、『戦車片輪ホイール』を走らせ、『戦輪チャクラム』と連携させる。

 『千変万化』にはほど遠くても、『百式千変の術』で攻め削る。それがマイアの戦法であり。




 『チャクラムアーム!』


 「ッ*+*」「クソがっ!」「おのれぇー!」「「・/*/*」」「何だ・:ナンなんだこの動きはっ!?」


 シーフブレイバーの本拠地を陥落させる力でもある。


 「ひるむなっ!相手は一人だ‥押し包んで、命がけで動きを押さえ込めば`・勝てる!!」


 「「「・;・ー!!」」」「「・・オオッ!」」


 リーダー格らしき者の号令で陣形を組み、刺客連中シーフブレイバーがマイアに殺到する。

 それは腕利きの剣士・術者を屠った連携であり。『肉の盾・血の惑わし』と『決死の力』を相乗させた、必殺技と言っても過言では無い。


 『チャクラムドライブ』


 「「-:`:ー^ー?」」


 ただしその必殺技は〔まっとうに地面を二足歩行している者〕にしか通用しない。それほど広くない通路だから、マイアが跳躍したところで通用すると想定した(思考停止した)のだろうけど。

 マイアは先人たちが、刃物・扇やほうきetc.に乗ることを既に知っており。それ以上を編み出さなければ、命を失う戦場を生きぬいてきたのだ。


 「こいつっ!+*?」「「ギャ/っ*!」」


 腰・背面につけた『戦輪を念動手で震わせ』て、装着者マイアの体勢をゆらがせる。それを『歩法・体重移動』によって加速する動作に変え。


 「‥!^:+/??」「何とっ・`!」「バk;*~;」


 『指輪・腕輪(チャクラム)』をとっかかりにして、さらなる体捌きを行う。

 一時的に『二足歩行』から、『四足』と化して空中機動を行い。装着した『指輪・腕輪』を仮の足場にして、『逆立ち蹴術(カポエラ)』モドキを低空で披露してみせる。


 「「「「「・・ッ/*、\*」」」」」


 そんな『チャクラムドライブ』の舞いに、思考停止した連中へ複数の『チャクラム』が殺到し。

 シーフブレイバーたちの待ち伏せは永久に沈黙した。






 「「「「「「「「「「・・・っ;」」」」」」」」」」

 「よくぞ、ここまでたどり着いた、魔女C.V.よ!だが、キサマの勝手もここまでと知れっ!!」


 「-:・・・・」


 クライマックスのボス戦。それはまっとうな『勇者』にとって晴れ舞台であり。『英雄譚』ならばこの一部分だけを抽出して、語られることも珍しくない。


 もっとも『密偵狩り』であるマイアにとって、たくさんある任務の一つにすぎず。冷めた瞳で、広大な空間に集まった戦闘部門の幹部たちを見やり。

 健闘を称えて、“キズ”をえぐることだけ(・・)は控える。


 「既にシーフブレイバーの大半は討ち取った。降伏するならば、悪いようにしない」


 「「・・・ッ」」「「「「「-;・・」」」」」「「・+ー・」」

 「バカめっ、我らは誇り高き盗賊ギルドのダガーだ!魔女に屈するなどあり得ん・`・」


 〔そうは言うけど、キサマ等は逃走を企てて失敗しただろう〕


 大言を吐く頭目シーフが隠しているつもりの“キズ”を、マイアはえぐること無く沈黙を保つ。



 『アジト・城砦』の常として、脱出のための『隠し通路』が複数あるようだが。

 残念ながら『幻影チャクラム(フューリーホイール)』を発動する以前に、マイアはアジトの構造を把握している。


 人間同士の争いなら、『魔術装置』も有用な防御になるのだろうが。『魔術文明』で育ち、『魔力』を知覚できるC.V.にとって。ヒトの操る『魔術装置』は“内通者”に等しく、『操作権』をすぐに奪えるモノだ。


 多少の相性はあるものの。『円盤怪器チャクラム』を送って封鎖するまでも無く、マイアは『脱出路』の開閉を掌握している。

 だから連中が『脱出路』を開けようとして、失敗したのも知っており。


 それをおくびにも出さない連中は〔決死の覚悟をきめて、抵抗を試みる勇士?』と言えなくもない。



 そんなマイアの考えは、一瞬で吹き飛んだ。




 『神秘の巨人よ!そのかいなを我に貸し与えたまえ! 殺戮と蹂躙の大いなる手を!!

  

  アームギガース』『『『『『『アームギガース』』』』』』


 「・・・^・・・」


 大きな『念動手』が複数本、呼び出され。そうして広大な部屋ごと、マイアを圧殺すべく殺到してくる。おおかたC.V.の『念動手』を簒奪したつもりだろうが。


 この世界の『魔術・・』で、ヒトが『破壊の念動』を制御するのは不可能だ。せめて大勢が一人に『魔力』を集中させれば、万に一つもあるのだが。

 こんな風に一人で一本の『念動巨腕』を操るなど、自殺行為に等しく。


 『サンダーストーム!』『フロストブレスッ!!』『サンドトルネードッ・・』


 せっかく連携させた『中級・・魔術』も、『巨腕』に進路を阻まれていた。おそらくマイアの『チャクラム』を迎撃したかったのだろうが。『手札』を隠す秘密主義のため、訓練不足は明らかであり。


 「『チャクラム』を使うまでもないな・・」


 「ーー~・・」


 マイアのくちびるを読んだであろう、頭目の表情がひきつる。それに気付かぬふりをして、マイアは『巨腕』の前に身体をさらし。


 「フッ・・!」


 「「「「「「:・;、ッ?」」」」」」「「「なっ!?」」」


 瞬時に“偽の念動手”を砂山のように突き崩す。


 別に難しいことでは無く。『何でもつかめる念動手は、全ての物体に干渉されうる』という、当然の法則によるもの。

 加えて『念動』で構成されているとはいえ、『手』には違いないのだから。ハリボテだろうと『筋肉・骨組み』に該当する部分が存在し。


 マイアは『チャクラム専用』に成る以前、励起したばかりの(ナンデモツカメル)『念動手』で、『巨腕の小指(骨組み)』をひねったのだ。


 「バカなっ!?」「こんなっ、こんなのっ・;・」「うおおォーー!」


 もろい小指といえど、握力の『要』であり。『術者?』には分不相応の『念動巨腕』が、次々と崩壊していく。

 マイアに攻撃する『動作・握力』を断念して、『念動巨腕?』の維持を優先させたなら。ここまであっさり崩壊しなかったのだろうが、それを告げても虚しいだけであり。



 『飛べ!私のチャクラム・・ー』


 「/・/ッ!?」「「「頭ぁ!?」」」


 いまだ戦意を失っていない。士気を復活させかねない頭目に、マイアは『戦輪』を投じる。


 こうしてシーフブレイバーたちの拠点制圧は、ほぼ終了し。




 『飛び交う戦輪よ  大地に刻み、進撃する戦車の片輪たちよ!


  一時、その刃を休め眠り  さやなき蔵で、その輪を次なる戦に備え待て


  されど静寂と安息の夜は彼方に  円環は独り楽しく、逢魔の刻に狂宴を開かん


  廻れ、私のチャクラム!   ダークタービュランスッ!!』


 

 間髪入れずに『魔導戦闘』の戦端が開かれた。











 ネタバレ説明:チャクラムドライブについて


 手に持つ『チャクラム』をとっかかり、『つり革』にしてアクロバティックな機動を行う『魔術能力』です。


 『ドライブ』の言葉に反し、この魔術能力は『チャクラム』に乗ったりしません(・・・・)。『飛刀・浮遊板フロート』を足場にしたり乗るように、『チャクラム』に飛び乗ったりは一切せず(・・)


 『平行棒・鞍馬やつり革』で体操競技をするように。『チャクラム』をつかんだ腕によって、マイアの身体を速く小回りのきく『三次元機動』を行う。それが『チャクラムドライブ』の正体です。


 少しばかり跳躍・飛行する。〔樹上の猿は素速い〕と考える。そもそも古代世界の『体操』を知らない。

 そういう“賊・モンスター”を蹂躙してきた、マイアが持つ手札・・の一つであり。『チャクラム』の投擲に対抗できる、同族(C.V.)との勝負において。奇襲をかけ、競り勝つのに有用な魔術能力です。



 ただし『水中・高空の広い空間では、使用時の負担が大きい』、という欠点があり。

 その理由は『チャクラム』が『念動手』によって支えられている。『念動手』は地面・壁がないと、『チャクラム』を空中に固定できない。『チャクラム』だけ(・・)を空中に滞空させるのは可能ですが。『チャクラム』を『つり革・棒』の代わりにして、マイアの機動をサポートする。


 そういう風に『チャクラム』を空中へ固定するため。本来は『触手・手長(伸縮自在)』な形態である『戦輪専用の念動手(チャクラムアーム)』を、壁・床を支点?にして制限する必要がある。


 そのため『チャクラムドライブ』の名に反し、(体操競技と同様に)『屋内用』の魔術能力です。

 

 なお上記の1)~4)はマシな理由であり。戦国時代の鎧が軽量に作られた、世知辛い理由も多々あります。


 5)貧乏豪族が道の整備をしない。〔悪路になれば防衛に役立つ〕と大半の者が考えたため。攻守どちらも、移動しやすい『軽量の鎧』が求めた。

 6)渡河する際に『重い鎧』では溺れてしまう。5)と同様の理由で『橋』が少なく。実際、戦になれば『橋』が焼かれ、材木ドロボウにあったため。渡河しやすい『軽量の鎧』が求められた。

 7)〔実力重視・下剋上の戦国時代〕とはいうものの。身分の高い者より、下の者が立派な鎧をまとうことは許されず。トップの戦国大名が軽装だと、配下武将の『鎧』は軽装甲(それ以下)になってしまった。

 8)山賊同然に『略奪品ヒトサライ』『武具』や『手柄首』を運ぶ際、『重い鎧』が邪魔になった。

 9)『鎧』にコストをかけて防御するより。『鉄砲』『兵糧』や『軍勢の数』を集め。攻撃する武将が勝利し、生き残った。


 こんな理由で日本の『戦国時代の鎧』は、世界の『全身鎧』と比べ軽量になったと愚考します。

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